7時、起床。
朝食は、昨日同様、ホテルの近くのコンビニで買ってきたもので。
チェックアウトを済ませ、荷物はフロントに預けて、タクシーで京都大学へ。タクシー代は1500円で、昨日より200円安いな、道が空いていたせいかなと思ったら、それもあるのだだが、どうも降りる場所を間違えたらしく(少し手前で下りてしまった)、会場に着くのが遅れ、お目当ての報告(岩手大学の竹村祥子先生の「複数回の被災を乗り越えて生きる女性のライフヒストリーから生活の転機を考えるー昭和8年の三陸大津波を経験した女性たちへの聞き取り調査をてがかかりとしてー」)の冒頭部分を聴きそびれてしまった。部会が終わってから竹村先生には個人的にお話をうかがったが、次の部会が同じ教室であるので、十分にはお話できなかったのは残念だった。
11時になるのを待って、ある卒業生に電話をした。実は、昨日の夜、その卒業生からメールが届いた。心臓の病気で近々手術をすることになり、いまは地元に帰って入院中であると書かれていた。知らせようかどうしようか迷ったが、久しぶりに私のブログを見て、知らせずにはいられなくなったとも書いてあった。電話で話せるかとメールを返して、11時から12時の間であれば検査等はないので、話せますとのことだった。
電話の声は思ったより元気そうだった。元気そうにしようとしていたのかもしれないが、実際、体を休めることで心臓への負担が楽になったようである(でも、やっぱり手術は必要なのだ)。夏が苦手な彼女とは、以前、秋が深まった頃にカフェをしようと約束をしていた。しかし、こういうことになってしまって、その約束が果たせないかもしれないと思ったので、私にメールで病気のことを知らせて来たのだ。手術の時期や、どういう手術かにもよるだろうが、回復したらカフェをしよう。なんだったら、私がそっちに行ってもいい。この数年、ときどき地方で卒業生と会ってカフェをしているのだ。「ところで、そっちにはカフェはあるかな?」と聞いたら、「カフェくらいありますよ!」と彼女はちょっとムッとしたように、そして笑って答えた。「いや、私好みのカフェという意味だよ」と言うと、「わかりました。捜しておきますね」と彼女は答えた。楽しみにしているよ。
今日のランチはこのカフェで食べることに決めていた。
北門(農学部キャンパス)の近くにある「カフェ・コレクション」。私のブログの読者で(ただし面識はない)、京大の卒業生で弁護士をされている方が、一昨日メールで教えてくれたカフェである。「約20年前,私が京大に通っていたころから,営業しているカフェで今もほとんど変わりません。とても美味しいオムライスを出します」とのことだった。
店内は面白い間取りになっている。
左半分はおそらく昔のままのインテリア。
右半分は白木を基調にした明るいインテリア。お店の方に「面白いインテリアですね」と尋ねたら、「去年、リニューアルしたのです」とのことだった。私にメールを下さった方は、このことをご存知ないのかもしれない。
卒業生と電話をした後で、明るい気分でいたかった私は、明るい場所でランチをとることにした。
おすすめのオムライスを注文する。かなりのボリュームである。たぶんこちらは「昔のまま」なのだろう。とても美味しかった。そしてお腹いっぱいになった。
食後に紅茶を注文。
百萬遍の交差点の近くにある「百萬遍知恩寺」。私の家の菩提寺は浄土宗の寺であるから、ここはその八総本山の一つで、お参りにをしていくことにした。
「百萬遍」の由来が書かれている。
「南無阿弥陀佛」と百萬遍唱えるということだが、私も菩提寺での春と秋の法要のときに「百萬遍繰り念仏」といって本堂で檀家たちと車座になって大きな数珠を回しながら念仏を唱えている(もちろん実際に百萬遍は唱えませんけどね)。
本堂で彼女の心臓手術が無事成功しますようにとお願いする。うん、これで大丈夫。
ついでに鐘の1つも叩こうかと思ったが・・・
それはできないようである。
寺の並びにある古本屋をのぞく。
店頭に出ていた菅野仁『ジンメル・つながりの哲学』(NHKブックス)を購入(300円)。所有している本だが、先日、探して行方不明だったので。
二文の卒業生で、いま、総合研究大学院大学(文化科学研究科国際日本研究専攻)の博士課程の学生で、愛知淑徳大学の非常勤講師をしている大石真澄さんから「商談のお願い」という件名のメールをいたたいたのは8月の中旬のことだった。商談? 一体、どういう商売を始めたのかといぶかしく思ったが、もう一度よく見ると、「商談」ではなく「面談」だった。やっぱり老眼鏡が必要かもしれないと思った(家族の中では私だけ裸眼でやってきたのだが)。
大石さんとは卒業以来会っていないが、メールのやりとりは何回かしている。彼女が私のブログを見ていて、私が学会で京都へ行くことを知り、会えませんかというメールをくださったのだ。その際、彼女の友人で、立命館大学(グローバル・イノベーション研究機構)で研究員をされている妹尾麻美さんという方も同席させてもらっていいですかと書いてあった。彼女はライフコースの質的研究に関心があって、私の著作なども読んでいるそうだが、大石さんが私と知り合いであると知って大いに驚き、ぜひこの機会に私に会いたいとのことである。 わかりました、10日の午後2時にホテルのロビーで待ち合わせましょうとお返事をした。
私が京都大学からホテルに戻ると、すでに2人はロビーにいらしていた。フロントに預けていた荷物を受け取って、ホテルから少し歩いた場所にある「京都芸術センター」に行く。顔出しNGなのが大石さん、OKなのが妹尾さんである。
「京都芸術センター」は廃校になった小学校をリノベーションした施設だが、二宮金次郎の像はその名残である。
職員室だった部屋がカフェになっている。
レモンスカッシュを注文。
お二人の研究の話をうかがう。妹尾さんは大学生の就活過程(就活スタートから内定をもらうまで)における「やりたいこと」の強制的な自覚というのをテーマにしている。労働市場において初めから「やりたいこと」がはっきりしている学生というのはまれで、多くは就活を進める中で「自分がやりたいのはこういうことなんだ」ということを半ば無理矢理自覚する(エントリーシートや面接において語れるようになる)というのが実態であろう。そのことはつとに多くの人が指摘していることだから、それだけではドクター論文としては弱い。何かそこにオリジナルが視点、切り口ががほしいところだ(ということを言わせていただいた)。大石さんはメディア研究だが、昔のテレビCM(彼女がベータの録画装置を使って録り溜めた膨大なデータがある)有効活用できたらと考えている。彼女からは学生時代からそいうい話を聞いているので、そろそろそれを具体化しないとなるまい。データは仮説とそれを検証するための方法があって初めて活用されるものですから。
カフェの梯子をして「高木珈琲店」高辻本店。
小腹が空いたのでホットドッグとコーヒーを注文。出てきたホットドッグに目が釘付けになった。
初めて見るタイプのホットドッグである。短足のウィンナーがひしめきあっている。しかも焼くのではなく、揚げている。かかっているのは単純なケチャップではなく、ソース(お好み焼きに使う甘口のソースではなかろうか)がブレンドされているように思われる。
帰りの新幹線の時刻が近づいてきた。店を出て、烏丸通りでタクシーを拾う。どうぞ研鑽をつまれていい論文に仕上げて下さい。
日曜日のこの時間は、こんなに短い間隔で「のぞみ」が運転されているのか。
17:02発「のぞみ388号」に乗車。
妻へのお土産はこれ。粒あん入りの生八つ橋。
車中、友人からメールが届く。人間ドックで初期の癌が見つかったと書いてあった。
蒲田には7時半頃着。
「そば新」で夕食をとってから帰ろう。
天玉うどん。
帰宅してすぐに友人と電話で話をした。向こうは落ち着いていて、私の方が慌てている。
3時、就寝。