フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月2日(月) 晴れ

2024-09-03 12:42:34 | Weblog

7時50分、起床。

空が高く、雲が白く、動きが早い。夏から秋へ。

チーズトースト、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日の朝ドラ。東京地裁で原爆裁判の公判が始まった。傍聴席には寅子とは昔からの知り合いの記者(ずいぶんと老けたな。まだ現役なのか)が一人だけ。当時は、世間から注目されてはいなかったのだろうか。

月曜日の新聞には俳句・短歌欄がある。

 おつとこれはわれ涼風を見つけたり 森住昌弘(正木ゆう子選)

 お客さんどちらまですか?聞いてみる肩に止まりしてんとう虫に 三神玲子(小池光選)

お客さんペットボトルのキャップを口で開けようとしても無理っすよ たかじ (自由律過ぎる) 

チャイは今月末にワクチンの接種がある。

『山下達郎 サンデーソングブック』をタイムフリーで聴きながら、昨日のブログを書く。先週に続いて竹内まりやとの「納涼夫婦放談」のパート2だが、2回録りではなく、パート1のオンエアー直後に録っているそうだ。まりやの新曲の「歌を贈ろう」の次に定番の「September」が流れた。「やっぱり9月の初めに聴くのはいいですね」とまりやが言った。アップテンポな曲だが、歌詞は悲しい。メロディーと歌詞のギャップの大きな曲としては、大滝詠一の『君は天然色』と双璧ではなかろうか。

 Septembe そしてあなたは
 Septembe 秋に変わった
 話すことさえなくなるなんて私に飽きた証拠
 Septembe そして9月は
 Septembe さよならの国
 めぐる季節の色どりの中で一番淋しい月

原稿(論文)の第三章の展開図を描く。ゴルフに喩えれば(私はゴルフはやらないのだが)、第一打をこう打って、第二打をこう打って、第三打でグリーンにオンさせて、第四打でピンに近づけて、第五でカップイン(パー5なのだ)・・・という論のスムーズな運びをイメージするのである。実際は、途中でバンカーにつかまったり、池ポチャなんてことも起こるのである。

2時半頃、昼食を食べに出る。曜日によって行く店の候補は決まっているのだが、月曜の候補の「ハナコーヒー」は臨時休業中(カナダに旅行にお出かけ中である)だし、不定休の「燈日」は今日はお休みである。どこに行こう。

久しぶりに東急プラザ4Fの「シビタス」に行く。外のベンチで少し待ち、カウンター席に案内される。

目の前は水槽で、小さな熱帯魚が泳いでいる。

注文を済ませてから、テーブルの上にキンドル・スクライブを置いて『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を読み始める。

門番は「僕」に仕事の説明をした。

「とにかくあんたはこれから毎日、図書館に行って古い夢を読むんだ。それがつまりあんたの仕事だよ。夕方の六時にそこに行って、十時か十一時まで夢読みをやる。夕食は女の子が用意してくれる。それ以外の時間はあんたの自由に使っていい。制限もない。わかったかね?」わかったと僕は言った。」(「世界の終わりー図書館ー」より)

悪くない仕事のように思う。たとえば、私の家の書庫には収集したたくさんの人物の自伝があるが、それを毎日一冊(分厚いものは二、三日かけて)読むのが仕事で、それで暮らしていけたら悪くない。しかし、夢読みなるためには、その資格を与えられねばならないのだ。

「彼は僕の右目の瞼を指で押し開き、ナイフの先を僕の眼球に突きさした。しかしそれは門番が言ったように痛くはなかたし、不思議に怖くもなかった。ナイフはまるでゼリーに突きささるように僕の眼球にやわらかく音もなく食いこんだ。次に彼は僕の左の眼球に対しても同じことをした。「夢読みが終了すれば、その傷も自然に消えちまうと」と門番は皿やナイフを片づけながら言った。(中略)そして門番は僕に黒いガラスの入った眼鏡をくれて、眠るときの他はいつもこれをかけているようにと言った。そのようにして僕は日の光を失ったのだ。」(「世界の終わりー図書館ー」より)

眼球にナイフ。これはいやだ。

最初に珈琲が運ばれてきた。

少し間があって、ホットケーキが運ばれてきた。昔、神田にあったフルーツパーラー「万惣」のレシピを受け継ぐクラシカルなホットケーキである。「ホットケーキ」という言葉からイメージする通りのものといってもよい。何の外連味もない誠実なホットケーキである。

外に出ると、雲が増えていた。湾に押し寄せて来た流氷のようである。

帰宅して原稿書き。正確に言えば、書くための参考文献に目を通す。リーディング・グラスを掛け、頑張って紙の本や論文を読む。

夕食は鮪の山かけ、ローストチキン、蓮根と挽肉の煮物、かきたまの味噌汁、ごはん。

食事をしながら『降り積もれ孤独な雪よ』。最終回直前で新たな登場人物。それはないんじゃないの。こっちは既存の登場人物の範囲で事件の謎を解明しようとしているのだから、それをやられてはお手上げである。

デザートはシャインマスカット。粒が少ない。前日、ひと房を二人で分けようとしたので、それはちょっと多すぎると言って減らしてもらったのだが、その余りである。リストラされた「社員マスカット」。

「卵がなくなった」と妻が言った。毎週、水曜日に生協が届けてくれるのだが、そうすると明日と明後日の朝食の目玉焼きが作れないことになる。近所の「まいばすけっと」に買いに行く。「2個は買えないわよ。最少でも6個パックね」と妻が言った。そうなのか。さすがにばら売りはしていないだろうが、3個単位くらいで売っているんじゃないか。

妻の言うとおりだった。Lサイズで199円した(1個あたり33円か)。政治家も自分でスーパーに行って買い物をするといいと思う。

目薬を差しながら、参考文献にひたすら目を通す。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

2時10分、就寝。