フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月15日(土) 晴れ

2006-04-16 00:33:23 | Weblog
  2限の社会学基礎講義A、3限の社会学研究9、ともに90分フルにしゃべる。私は講義中は椅子に座らない。板書の度に立ち上がるのが面倒だし、歩き回りながら話した方が脳の回転がよくなるような気がするのだ。目の前の学生に話しかけて対話型の授業にもっていくこともできるし。ただし体力はかなり消耗する。間に昼休みが入っているとはいえ、正味40分ほどしかなく、2コマ目が終わると、ぐったりする。相当のカロリーを消費しているはずだ。リクライニングチェアーに身を横たえていると、誰かがドアをノックする。K君という教育学専修の3年生だった。彼の父親は私の大学時代の友人である。しばらく話をしていく。妹が今年一文に入学し、私の社会学基礎講義B(後期)を受講するとのこと。へぇ、そうなんだ、とK君の話に相槌を打っていたが、ときどき意識が遠のいていく。K君が帰ってから、シャノアールにコーヒーを飲みに出る。階下の書店でパソコン各社の夏モデルを紹介した雑誌を購入し、コーヒーをすすりながら、科研費で購入するつもりのモバイル・パソコンをどれにしようか考える。FMV-BIBLO LOOXシリーズのT70S/V(28万円)、VAIOのSZシリーズのVGN-SZ71B/B(23万円)あたりか。こういう時間は楽しい。
  夜、高田馬場で調査実習の打ち上げのコンパ。「ごはん」という名前の店だったので、「孫悟空の子供か・・・・」と私が呟くと、幹事のS君に「先生、それはもう今の学生には通じないですよ」と注意される。そ、そうか。小綺麗な店で、テーブル席に案内され、いつものクラコンではなく合コンのような雰囲気。左隣に座ったベトナム系美人のTさんや正面に座った体育会系男児のG君とあれこれ話をした。元気に就活中のTさんに比べてG君はかなり落ち込み気味で、ちょっと会話が途切れると、すぐにうつむき加減になるので、私とTさんとで風呂に薪をくべるように話題をつなぐ。「先生はトルコ人に似てますよね」とTさん。そういうものまで薪に使いますか。お開きの時間となったとき、記念品をMさんより頂戴する。開けてみると、ウェッジウッドのコーヒーカップとソーサーのセットだった。S君とMさんが三越に行って買ってきたのだそうだ。私の趣味がよくわかっている。もちろん選んだのはMさんであろう。確認すると、Mさんが選び、S君はうなずいただけであるという。やっぱりな。人造人間18号とクリリンみたいなもんだ(通じないか・・・)。いま、そのコーヒーカップとソーサーは、このフィールドノートを書いている私の傍らに置かれている。どうもありがとう。大切に使わせていただきます。

4月14日(金) 曇り、北風寒し

2006-04-15 01:23:58 | Weblog
  7時起床。昨日の授業日誌を付け、調査実習の学生たちに報告書の配布と正誤表の件でメールを送ってから、朝食(シシャモ、豚の角煮、味噌汁、ご飯)。行きつけの歯科医院に予約の電話を入れる。定期検診ではなく歯痛があるのだと言ったら、来週の月曜日の午前中に入れてもらえた。数日ぶりに研究ノートを更新してから、大学へ。
  昼食は途中のコンビニで購入したおにぎり3個(梅、鮭、昆布)。3限の社会学演習ⅡBは定番の自己紹介。昨日の二文の社会人間系基礎演習4の自己紹介と比較して、自己開示の幅は狭く、深度は浅い。これは一文生と二文生の違いではなく、明らかに2年生と1年生の違いである。1年生は大学という新しい環境に入ったばかりで、自己の拠り所となる場所や他者を求めている。だから自己を表出することに熱心である。「好きな食べ物は・・・・」といったデータベース的自己紹介よりも、「私はかくかくしかじかの人生を経て、いま、この場所にいます」といった物語的自己紹介が多い。それに対して2年生は、大学内の人間関係において一定のスタンスをすでに獲得している。したがって自己紹介もどこか儀礼的で省エネ的である。他者が働きかけてくれれば応える気持はあるのだが、自分から積極的に他者に働きかけようとはしない。4限の大学院の演習は出席者6名で、うち5名が新顔である(文学研究科のM1が2名、教育学研究科のM1が1名、慶応大学の大学院の社会学専攻のM1が2名)。故に自己紹介に時間をかける。学部の演習の自己紹介と違って、「好きな食べ物は・・・・」といった語りは皆無で、研究テーマ中心の自己紹介である。5限は空き時間。教員ロビーで英文学の安藤先生、ロシア文学の草野先生としばし歓談(健康談議あるいは病気自慢)。用事があって事務所に顔を出したら、Kさんが、私の科研費の申請(清水幾太郎と彼らの時代)が通ったようですと教えてくれた。一瞬、Kさんの顔が天使のように見えた。Kさんの叱咤激励がなかったら、私は期日までに申請書類を書き上げることができなかったであろう。6限の講義「社会と文化」は定刻ちょうどに教室に入る。すでにほとんどの学生は入室済みで、遅れて入ってきた(といってもわずか数分なのだが)学生が、入口で「遅れて申し訳ありません」と頭を下げてから入室したのには感心した。講義要項に「授業中の入室は授業の妨げとなるので、遅刻することを何とも思っていない(「時間を守る」という文化を内面化していない)学生の履修は堅くお断りする」と書いたせいに違いない。書いてみるものである。夕食は五郎八で揚げ餅うどん。意外に冷たい夜風で冷えた体に温かいうどんがとても美味しかった。
  夜、今日の授業日誌を付けながら、TVドラマ「てるてるあした」の初回を観る。面白い。両親から見捨てられたどーしよーもない女の子がちゃんとした人間になっていくというストーリーは「あいのうた」に似ているが、異界の人たち(幽霊)が出てくるところがミソである。継続して観ることに決定。

4月13日(木) 曇り

2006-04-14 01:05:21 | Weblog
  明け方、歯が痛くて目が覚める。寝ているときに奥歯を噛みしめたりしたのだろうか。授業初日(私にとっての)というのにやれやれである。鎮痛剤を飲み、それが効いてくるまで(1時間半ほど)、書斎で調査実習の報告書の付録のCDの焼き付け作業。寝る前にやった分(60枚)と合わせて100枚仕上げた。それから、午前中の予定をキャンセルして、3時間ほど眠る。遅い朝食(炒飯)を食べてから、ここ数日滞っている研究ノートのブログの更新作業(ただし更新までには至らず下書き止まり)。遅い昼食(即席ラーメン)を食べ、2個目の鎮痛剤を飲んでから、家を出る。
  5限の卒論演習の前に、出来上がった調査実習の報告書を受け取りに来た学生たちに、CD、送付状、封筒、切手(670グラムの冊子小包で340円)と一緒に渡す。ただし、対象者への発送は1週間先で、それまでに各自が自分の書いた文章を読み直して、ミスがあれば正誤表を作成する。5限の卒論演習はAさん(養子縁組制度について)、Iさん(中年期の夫婦関係について)、もう一人のIさん(恋愛における性差について)の3人が報告。時間を1時間延長して7時まで行う。メーヤウで夕食(タイ風レッドカリー)をそそくさと食べてから、7限の社会人間系基礎演習に臨む。全員新入生だから、期待と不安の入り混じった独特の雰囲気が教室に満ちている。初回の授業の定番の自己紹介。28名(1名欠席)一人一人前に出て話してもらう。だんだんリラックスしたムードになって、15分ほど延長して終了。唯一の欠席者のことが気になったが、帰宅してメールのチェックをしたらその学生からのメールが届いていて、昨日部活で野球の練習中に熱中症を起こして病院に運ばれ、今日一日は自宅で安静にしているよう医者から言われたのだそうだ。来週までの課題について返信のメールで説明しておく。
  11時帰宅。かくして新学期がスタートした。とりあえず沖の小島(ゴールデンウィーク)まで泳ぎ、その後は、海の向こうの大陸(夏休み)をめざしてがむしゃらに泳いでいくほかはない。

4月12日(水) 曇り

2006-04-13 02:36:48 | Weblog
  午前中に病院へ行く。K医師に結石3粒を見せる。形状から判断して、11月の内視鏡による手術の際の破片(腎臓の方へ上がっていたのが降りてきたもの)で、これまでは腎臓から膀胱に降りてくる途中の尿管の狭くなっている部分で停留して、そこで大きくなっていったのだが、その箇所を手術で広くしたので停留することなく排出されたのでしょうとのこと。単純レントゲン写真を一枚撮って見た限りでは、体内に残っている結石は確認されなかった。今回は3個で打ち止めということか(でも、油断はできない、というのがこれまでの経験からの教訓である)。病院から帰る途中の中華料理店でレバニラ炒め定食を食べる。数日前から左の奥歯(の根っこ)がものを噛むと痛む。歯根炎というやつであろうか。疲れが溜まって身体の抵抗力が弱まると出るのだ。今週は様子を見て、回復しなければ、歯科に行かねばならないだろう。石の次は歯である。堅いもので苦労する。
  帰宅してメールをチェックすると、去年の社会学専修の卒業生のKさんからメールが届いていた。会社のパソコンから昼休みに送ってきたのだ。このフィールドノートを昼休みに読むことを日課にしているとのこと。なるほど、アクセス解析によると、朝の9時台、昼の12時台、夕方の5時台というのはアクセスの多い時間帯(一番多いのは夜中の12時前後)なのだが、これはオフィスで働いている方が見てくれている証拠だろう。ちなみに昨日のアクセスIP数は231で、gooブログの中のランキングは846位とのことである。・・・と言われても、多いのか少ないのかピントこない。
  夜、実習の報告書の付録のCDに収めるインタビュー記録の最後の(本当に最後の!)校正を終わらせて、最低限明日必要なCD60枚をコピーする。病院の待ち時間に中川清編『明治東京下層生活誌』(岩波文庫)を読みながら考えたことを研究ノートのブログの方に書こうと思っていたのだが、その時間はなくなってしまった。
  

4月11日(火) 曇り 一時 小雨

2006-04-11 21:43:29 | Weblog
  大学に出る前に、昨日作成したインタビュー記録のHTMLファイルとPDFファイルを担当学生にメールで送って最終的な確認作業を要請する。班レポートと個人レポートはすでに印刷・製本中で、もしいまから間違いが発見されても正誤表を作成して対応するしかないが、インタビュー記録については明日中にCDに収録すればよいので、今日一日、最後の校正が可能なのである。
  蒲田駅で蒲田-東京間の定期を3ヵ月分購入。17950円也。午後1時から基本構想委員会。委員長に田島先生を選出し、今後の活動方針(正確には不活動方針)について話し合う。会議というものは開くばかりが能ではない。開店休業宣言もよいのではないか。3時からの別の会議が始まるまでの間、社会学演習室のキャビネットの中の本と資料を研究室に運ぶ。私は今年度は調査実習を担当しないので、キャビネットを明け渡さなくてはならないのである。大きな紙袋を両手に持って、演習室と研究室とを三度往復した。途中で一度、階段を下りながらポケットからのど飴を取り出そうとして階段を踏み外しそうになる。授業開始直前のこの時期に足を骨折しようものなら一大事であった(私は大教室での講義のときは椅子に座らない)。研究室のテーブルの上も片付け、授業初日を迎える心の準備を整える。テーブルの上に何もない状態というのは明鏡止水の境地に似ている。
  夜、家で食事。わかさぎの天ぷらが美味い。母が赤飯を炊いてくれた。今日は私の52回目の誕生日なのである。格別の感慨はないが、できるだけシンプルな生活を心がけたいと思う。TVドラマ『ブスの瞳に恋してる』の初回を観たが、引き込まれるものを感じなかった。見切ることにする。実習の学生たちから最終確認の返事のメールが届く。けっこう直しがある。今夜も遅くなりそうだ。