フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

1月25日(木) 晴れ

2024-01-26 10:17:13 | Weblog

8時、起床。

チーズ&カレートースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

チーズ&カレートーストは昨日より出来はいい。カレーそのものにもう少し加熱したいところだが、そうするとパンが焦げてしまいそうである。火加減が難しい。

9時半に家を出て、大学へ。

地下鉄の早稲田駅を上がったところにある百均ショップ「キャンドゥ」の店先に小さな縫いぐるみのようなワンちゃんがいた。

今日は2限、3限、4限と授業がある。

2限は学部の演習「現代人と孤独」。今日が最終回。4人組のグループ発表。

 「一人居酒屋に見られる個人差とその要因」

同じ居酒屋に4人が個別に行って、その感想を「ブログ形式」(?)でレポートに書いていた。私のブログのスタイルを真似たので「ブログ」という言葉を使ったようである。ここは「フィールドノート」という言い方が正しい。

これで全員の発表が終わった。30人の履修者全員が、1名の脱落者もなく、最後までいけたのは珍しいことである。「孤独」がテーマの演習であったが、「つながり」は保てていたようである。お疲れ様でした。

昼食は研究室でおにぎり2個(鮭と梅)とミニワンタン。

3限は大学院の演習。これも今日が最終回。Iさんの報告。

  「作家・上橋菜穂子を作った人物ー祖母と父ー」

授業が終わって、いつものように本棚から読みたい本を持って行ってもらう(さしあげます)。

Nさんは「場所」に関連する3冊。

それからこれも。

さらにこれも。

Iさんは「環境」や「食」に関する本を2冊。それともう1冊、私がある先生からいただいたその先生の書かかれた本もほしいといったので、さしあげることにした。本は天下の回りものである。

大学院の演習は研究室でやっているので、授業の後に気軽に持って帰ってもらっているのだが、学部のゼミ、演習、講義(オンデマンド)を履修している(履修したことのある)学生もウェルカムである。ただし、私が研究室に滞在している時間は限られているので、事前にメールで連絡してから来てください。

4限は院生の研究指導(オンライン)。これは今日が最終回ではなく、来週以降も継続する。

5時半に大学を出る。出るときに大森のパン屋「ベイクマン」に電話をして、食パンを二斤取り置きをお願いする。

蒲田の1つ手前、大森で途中下車。

「ベイクマン」に着いたのは6時半。この時間だとすでにスタッフの方はおらず、店主さんが一人で店にいた。彼はお店のインスタによくお子さんの写真を挙げている。よく見てますよと言って、子供好きのパン屋さんはいいパン屋さんに決まっています、ということを店主さんに言ったら、大いに照れて、かつ喜んでおられた。

夕食は「マーボ屋」でテイクアウトする。

海老のさくさくフリッターと牡蠣の甘辛炒め、野菜スープ、サラダ、ごはん。

何を注文しようかと毎回考えるのだが、結局、同じところに落ち着く。

牡蠣はまだまだいけそうである。

食事をしながら『プレバト』を観る。お笑いコンビ「アインシュタイン」の河合ゆずるが次の一句で特待生に昇格した。

 待春の病室祖母に巻くロッド 河合ゆずる

「待春」(たいしゅん)という季語を使っている時点で、ただものではない。

昨日が提出期限だったオンデマンド授業の大量のレビューシートのチェック。今日から新しい回(最終回)の講義が公開されてている。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時、就寝。


1月24日(水) 晴れ

2024-01-25 01:29:55 | Weblog

8時半、起床。

チーズ&カレートースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

チーズ&カレートーストはイメージ通りできなかった。焼きが弱かったかな。

「ノチハレ珈琲店」のインスタを見たら、大好物のマヨたまトーストの写真が載っていて、「人気のマヨたまトースト、個人的に定期的に食べたくなってしまう一品です。本日も18:00まで営業中。朝はとても落ち着いた店内です。ぜひお待ちしております。」とあった。ちょうど今日伺おうと思っていたところだった。

昨日のブログを書いてアップする。

明日の演習の準備(発表予定者のレポートに目を通す)。

レビューシートのチェック。

1時半頃、家を出る。「一二三堂」に寄る。今日は開いていた。ようやく『NHK俳句』2月号を購入する。駅ビルの本屋でも買えるのだが、ここで買うことに決めているのである。

日・月・火とお休みだったのは、思った通り、正月に行けなかったご実家の石川県(河北郡)にご一家で行かれていたからであった。現地の様子を伺った。ご実家は無事だったが、内灘砂丘を宅地にしたところや河北潟を埋め立てた宅地は大丈夫で、その間のあたり、昔からある宅地の被害が一番大きかったそうである。意外であった。

先日『ブラタモリ』で観た黒部峡谷の話をしたら、ご主人はそのあたりのことに詳しくて、いろいろと教えていただいた。「立山ホテルは眺めがよくて、温泉も豊富で、いいですよ。星空も素晴らしいです」。最後の「星空が素晴らしい」というのは元天文少年の私には殺し文句である。行ってみたいです。

矢向(川崎から南武線で二つ目)へ行く。

「ノチハレ珈琲店」へ行く。新年初訪問。

珍しく先客はいなかった。ご主人と「今年もよろしくお願いします」の挨拶。

マヨたまトーストとハレブレンドを注文。

美味しい。今朝、チーズ&カレートーストをうまく作れなかったという話をご主人にする。ご主人もこのマヨたまトーストを商品として完成させるまでには試行錯誤を繰り返したそうである。

『NHK俳句』2月号に目を通す。

 エスカレーター春服冬服すれ違う 戸松九里

店が混んできたので、1時間ほどで席を立つ。

矢向に来たらもう一軒寄りたいカフェがある。「パン日和あをや」に電話入れて、テーブル席が空いていることを確認してから向かう。

町工場が並んでいる線路わきの道を歩く。

『パン日和あをや』も新年初訪問。

マダムと「今年もよろしくお願いします」の挨拶。来月、お店は開業12周年を迎える。

本日のスープはナスと鶏肉のタイカレーか。好きなスープである。

ミニで注文した後、思い直して、レギュラーサイズで注文する。

ホットショコラとクロワッサン。

客は私だけだったので、ずっとマダムとおしゃべりをしていた。主要な話題は「介護問題」だった。マダムは「介護」が好きだという。まだ実際に親の介護をされたことはないのだが、介護に対して前向きである。必要とあれば親戚の介護をしてもよいという。店の常連客については、介護とまではいかないが、困ったことがあれば駆けつけるという。私もお願いしてもいいですかと尋ねたら、「店から徒歩圏3キロ以内までです」と言われた(笑)。

しゃべり続けて喉が渇いたので、アップルタイザーを注文する。

ずいぶんと話し込んで、店を出たのは5時半。滞在時間は2時間に及んだ。

『NHK俳句』に載っていた「老い」をテーマにした句で印象に残ったもの。

 チューリップわたしが八十なんて嘘 木田千女

 老人のかたちになって水洟(みずばな)かむ 八田木枯

 蛍の夜老い放題に老いんとす 飯島晴子 

帰宅する前に「まいばすけっと」でストロベリーチョコレートと柿の種(わさび味)を購入。

レビューシートのチェック。

夕食は広島菜チャーハン、サラダ、柚子大根、味噌汁。

食事をしながら『厨房のありす』初回(録画)を観る。自閉症スペクトラムのレストランの店主を門脇麦が演じている。永瀬簾、前田敦子、大森南朋が共演。

風呂から出て、今日の日記と今日のブログを書く(明日は午前中から夕方まで授業なので)。

1時半、就寝。


1月23日(火) 晴れ

2024-01-24 11:54:23 | Weblog

8時45分、起床。

トースト、カレー、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。

昨日のブログを書いてアップする。

オンデマンド授業の原稿を書く。

1時半頃、昼食を食べに出る。寒い日が続くと、手袋の落とし物をよく見かける。よくこの道を歩く人が落としたのなら、一日二日のうちに気づくはずだが、それを過ぎるとそれっきりになってしまうだろう。

下丸子(しもまるこ)に行く。蒲田からは多摩川線で3つ目だ。多摩川線は駅の間隔が短いから「隣町」の範疇だ。

駅舎の隣の「喜楽亭」。新年初訪問である。ご主人と「今年もよろしくお願いします」の挨拶。

チキンカツ定食を注文する。

いつものようにご主人とおしゃべりをしながら食べる。「とんでもない正月でしたね」とご主人が話の口火を切った。「まさか正月にあんなことが起こるなんて。でも、それは人間の考えで、自然にとっては盆も正月も関係ないんですよね」。そうですね、元日は特別な一日ではなく、365日の1日に過ぎない。大きな地震の起こる確率は他の日と同じである。われわれはいろいろな不安を抱えて生きているが、不安が現実化するのは今日明日ではあるまいと先送りして考える癖がある。それは日々を穏やかに生きるための生活の知恵ともいえるが、「まさかこんなに突然に」という事態に遭遇することはしばしばである。「天災は忘れたころにやってくる」「備えあれば憂いなし」とはよくいったものだが、日々身構えながら生きることもけっこうしんどいものだろう。

ご主人と話し込んでいて、店を出る時間が少し遅れた。下丸子の駅のホームでスマホを見たら、妻からLINEが届いていた。2時半に蒲田の紳士服の店「バロンズ」で待ち合わせる約束をしているのだが、少し遅れそうである。その旨を伝えたが、妻の追及が厳しい。「時間を守る」は現代社会の根幹にある規範である。パンクチュアルな妻は一番身近な社会の代理人(エージェント)なのである。

5分ほど遅れて「バロンズ」に到着。久しぶりにスーツと礼服をオーダーする(ついでにワイシャツも2着)。この数年、少々お腹がきついのを無理をして着てきたのだが、もう限界で、新しいものをオーダーすることにしたのである。スーツの生地を選ぶのに時間がかかった。それから各パーツのデザインを決め、採寸をして、2時間ほどかかった。仕上がりは2月の下旬。

久しぶりのオーダーで少々疲れた。帰宅して少し横になる。

夕食前にオンデマンド授業の原稿と資料を仕上げる。

夕食は卵とベーコンとニンニクの茎の炒め物、スナップエンドウとマシュルームの炒め物、タラコ、ワカメのスープ、ごはん。

食事をしながら『君が心をくれたから』第二話(録画)を観る。交通事故で瀕死の重傷を負った彼の命を助けるため、彼女は「案内人」(死神?)と取引をして、自分の五感を(順々に)失っていく。最初に失うのは味覚。彼女の夢はパティシエになることだったのである。味覚の喪失は夢の喪失でもある(普通の人でも味覚の喪失は人生の喜びの何割かの喪失であろう)。その前に彼女はマカロンを心を込めて作り、それを幼いころに分かれた母親とそして彼に食べてもらう。これから話が進むにつれて他の感覚にも及んでいくのであろう。辛い話過ぎないか? でも、最後にハッピーエンドになるのであれば観ようかとは思うのだが・・・。

デザートは苺。私がコロナにかかりたくない一番の理由は、味覚障害が残ることである。

「ライフストーリーの社会学」の最終回の収録。やれやれ。残るはレポートの祭典(誤変換)、いや、採点だ。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時45分、就寝。


1月22日(月) 晴れ

2024-01-23 12:09:18 | Weblog

8時半、起床。

朝食は食べずに、9時半に予約している病院に下腹部のヘルニアの経過観察に行く。CTを撮る。去年の4月に撮ったものと比べると、少し大きくなっている。緊急を要するものではないものの、放置しておいて小さくなることはなく、これからも徐々に大きくなっていくことは予想できるので、それならば時間的に一番余裕がある3月の中旬に再手術をすることに決める。

病院を出たのは12時を回っていた。朝食兼昼食用に蒲田駅東口前の「鳥久」で特製弁当(900円)を買って帰る。

鶏のから揚げ、チキンカツ、焼き鳥、鶏つくね団子、じゃがいもの甘煮、蒲鉾、昆布の佃煮、紅生姜、梅干で構成されている。ボリューミーだが、鶏肉なのでカロリーは相対的に低めであり、甘辛のおかずの配分も絶妙である。TVの現場でも評判がいいようだ。

昨日のブログを書く。句会ブログ+王将戦のTV観戦記。将棋があっさり終わったのは、物足りなかったが、ブログを書く上では時間がかからず幸いだった。

句会ブログで取り上げなかった「風呂の湯を一度上げたる寒さかな」(私の句)についてここでちょっとコメントしておきたい。まず、この一度は「一回」という意味ではなく湯温を「1℃」上げたという意味である。また、「一度上げる」というのは「ちょっと上げる」という意味ではなく、風呂の湯が一度上げると「熱く」と感じるものである。つまり、そのちょっと寒いかららではなく、かなり寒いから一度上げたのである。我が家の風呂の温度は夏で39度、秋で40度、真冬で41度を基準にしている。私と妻では風呂の温度の好みが一度違っていて、私の方がいつも+1℃を好むのである。妻は長湯が好きで長湯には少し温めの方がいいというのだが、私も長湯は好きで、その少し温めの基準が違うのである。そのため妻が先に入り、後から私が入るときに一度上げることになるのであるが、その結果として、風呂を洗うのは私の役目になる。

夕方、散歩に出る。「一二三堂」は今日も閉まっていた。明日は定休日なので、おそらく家族で旅行に行かれたのだろう。ご主人の実家は石川県(金沢市の近くの河北郡)で例年お正月に家族で訪れるのだが、今年は震災で中止されたと伺っていた。少し落ち着いたこの時期に行かれているのかもしれない。

「テラス・ドルチェ」に寄る。午後6時を回ったこの時間帯は客も少ないようで、マダム(若いマスターのお母様)がおひとりで店に出ていた。

ちょっと甘味が欲しかったので、珈琲フロートを注文する。

昨日のブログを読まれた坂井素思先生(放送大学)が、『日本の新進作家展』の「挨拶」の中で引用されていたオーデンの「一万メートルの深い孤独」は原詩では「A solitude ten thousand fathoms deep」で、正確に訳せば「一万八千メートルの深い孤独」で(one fathomは約1.8メートル)、もっとずっと深いのだとLINEに書いてきた。まぁ、確かにそうなのだが、「一万八千メートルの深い孤独」では詩の言葉にならないから、意訳ということで(誤訳ではなく)よいのではなかろうか。重要なのは「ten thousand」(一万)という言葉の響きの方だから。

ちなみに子供の頃に歌った「アルプス一万尺小槍の上で」は、槍ヶ岳の頂上付近にある小槍は標高3030メートルで、まさに「一万尺」なのである(一尺は30.3センチ)。この一致は奇跡的である。

ついでに言うと、谷川俊太郎の詩に「二十億光年の孤独」というのがあるが、この詩集が出版された当時(1952年)、望遠鏡で観測可能な宇宙は20億光年離れたところまでだったので、「宇宙の果て」という意味で使われた言葉である。

「テラスドルチェ」にいるときに妻からスマホに電話が入った。「もう夕食作っちゃんたんだけど、どこにいってるの?」。時計を見たら7時20分だった。7時半までに戻ります!

夕食は鯖のおろし煮、サラダ、玉子豆腐、味噌汁、ごはん。

食事をしながら『さよならマエストロ』第2話(録画)を観る。今日はロッシーニの「ウィリアムテル序曲」が演奏された。毎回、何か演奏されるようである。この点は『リバーサルオーケストラ』と同じだ。継続視聴決定。

デザートはハーゲンダッツ(マカデミアナッツ)。

チャイがわれわれが食事を終えるのをソファーの上で待っている。毛づくろい+チュールを期待しているのである。

授業の準備あれこれ。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時、就寝。


1月21日(日) 雨のち晴れ

2024-01-22 17:45:40 | Weblog

8時半、起床。

王将戦第二局二日目の様子をネットTVで観る。

先手藤井の封じ手は4六角(6四に居た角を4六に引いた)だった。

中継を観ながらの朝食は、チーズトースト、たらこスープパスタ、目玉焼き、ハム、サラダ、牛乳、珈琲。

藤井が自陣を整備してから、満を持して2四歩と突いた。

『福のラジオ』をタイムフリーで聴きながら、ネット中継を横目で見ながら、昨日のブログを書く。

藤井が「と金」つくりを目指す4二歩と敵陣に打った局面で昼食休憩に入った。後手はこの「と金」作り=「と金」攻めを阻止することはできない。かといってそれを上回るような攻めがあるわけではない。つらい。投了してもおかしくない局面だが、タイトル戦の二日目の昼食前の投了など前代未聞である。つらくてももうしばらく指し続けるほかはない。

私の昼食はにしん蕎麦。

1時から「いろは句会」(オンライン)。ライブ参加者は私のほかに月白さん、渺さん、明子さん、さやかさん、桜子さん。事前投句・選句(期日前投票のようなもの)は直美さん、蚕豆さん、花さん。

今回の作品は以下の24句。

読み方はこちら。

月白さんに読み上げていただいてから、選考タイム。天(5点)一句、地(3点)二句、人(1点)二句の計五句を各自が選ぶ。私は以下の五句を選んだ。

天 祈りつつストーマ替える去年今年(こぞことし)

ストーマとは人工肛門のこと。作者はそういう介護をしながら越年したのである。友人から奥さんが大腸にガンが転移して人工肛門を付けたという話を聞いたばかりだったので、余計にリアリティがあった。高浜虚子の有名な句「去年今年貫く棒の如きもの」がおのずと頭に浮かぶ。

地 スキップを知らない国に雪がふる

ファンタジックな句である。スキップを知らない国とはどこか。二通り考えられる。一つは学校教育が普及していない南の貧しい国。スキップという不自然な動作は学校教育を通じて身に着けるものだからである。その貧しい南の国に珍しく雪が降っているのだ。子どもたちははしゃいでいるが、スキップを踏むものはいない。もう一つは極寒の国。道路はいつも凍てついている。スキップなどしたら転倒してしまう。そういうスキップNGの国に今日も雪が降っているのである。私としては前者の解釈を好む。

地 耳元でピキッと音する雪催い

東京でも寒い日はあるが、空気が凍てつくほどの(「ピキッ」と音が聞こえるような)寒さというものは経験したことがない。作者は北海道か京都の方だろう。「ピキッ」という鋭い擬音が「雪催い」(ゆきもよい)という柔らかな語感の美しい季語の中に吸い込まれていく感じがいい。

人 創刊号「小津の湯たんぽコレクション」

兼題である「湯」を使った句。架空の雑誌の架空の特集の話であろう。まさかとは思うが、念のため、ネットで調べてみたが、そういう雑誌はなかった。理知的な遊びの句である。兼題「湯」から「湯たんぽ」くらいは連想できても(私は子どものころ湯たんぽを使っていた世代である)、「湯たんぽコレクション」という言葉は出てこない。去年は小津安二郎生誕120年であったが、「小津の湯たんぽ好き」というエピソードが元にあるのだろうか。

人 湯気立ちて白熊のいる会議室

「天」にリアルでシビアな句を選んだせいだろうか、他はファンタジックな句を選びたい気分だった。この湯気は白熊から出ているのである。なぜなら会議室に来る前に白熊は露天風呂に入っていたからである。「お先にいただきました。いいお湯でした」と言いながら、これから地球温暖化についての国際野生動物会議が始まるのである。

各自の選句が終わり、一人ずつ自分が選んだ句を言っていく。集計の結果が出て、上位の句から感想を述べ合い、その後に作者が明らかにされる。

17点 創刊号「小津の湯たんぽコレクション」 桜子

今回の特選は桜子(さくらこ)さんの句。直美さん、蚕豆さん、あきこさんが天を付けた。感想は選句のときに述べたが、作者がわかって、桜子さんの師であるあきこさんは小津安二郎研究者であるから、師へのリスペクトを込めた一句だろう。「小津」という二音の苗字は珍しいので、いつか句に使いたいとメモしておいたそうである。へぇ。「オズの魔法瓶」とかもいけそうですね(笑)。

11点 スキップを知らない国に雪がふる 桜子

これも桜子さんの句。さやかさんが天を付けた。感想は選句のときに述べたが、「スキップを知らない国」についての私の解釈は深読みだったようである。作者は「スキップのできない子ども」(そういう子どもは必ずいるものである)を見て、そこから対象を「国」に広げて、そこに雪を降らせて、ファンタジックな世界を構築しようとしたようである。

10点 湯気立ちて白熊のいる会議室 あきこ

花さんが天を付けた。感想は選句のときに述べたが、桜子ーあきこの師弟コンビで1位2位3位を独占である。これまで月白ー渺の夫婦コンビは要注意とマークしていたが、これからはこちらのファンタジック路線の師弟コンビもマークしておかなけねばならなくなった(笑)。

9点 祈りつつストーマ替える去年今年 直美

私が天を付けた。感想は選句のときに述べたが、やはり直美さんの句であったか。句会の主宰の直美さんはこのところご家族の介護で句会をお休みされている。次回は記念すべき第60回なので、参加できるといいですね。

8点 赤べこの背やわらかにお正月 あきこ

月白さんが天を付けた。本来のお正月らしい句、一種の挨拶句である。「赤べこ」も「お正月」も普通の言葉であるから、この句の持ち味は中七の「背やわらかに」にある。それは視覚から来る背中の見た目の曲線のやわらかさだけでなく、手で撫でてみた触覚からくるやわらかさなのであろう。

8点 鶺鴒(せきれい)の行ったり来たりケバブ店 たかじ

私の句。鶺鴒の夫婦が営んでいるケバブ店ではない(私はファンタジックは句は好きだが、自分では詠まない)。自宅から蒲田駅まで歩く途中にあるケバブ屋の店先でちょこまか動いている鶺鴒を見て詠んだ句である。ケバブのおこぼれにありつきたいのだろう(ありついたことがあるのだろう)。上手くありつけたらそれで一日の摂取カロリー量は十分で、あとはのんびり過ごせるかもしれない。鶺鴒は秋の季語だが、都市で暮らす鶺鴒はオールシーズン目にするのである。スリムで、品があって、しかし、ちょこまかした愛嬌のある動きをする小鳥である。

8点 耳元でピキッと音する雪催い 花

感想は選句のときに述べたが、作者は京都(宇治?)にお住いの花さんであった。京都の冬の底冷えについてはいろいろな方からうかがっている。そういえば京都には何度も言っているが、真冬の京都には行ったことがなかったな。そうだ真冬の京都に行こう(かな)。

7点 始めからやり直したき七日かな たかじ

私の句。直美さんから天をいただいた。誤解があるようだが、これは決して怠惰な人の句ではない。この年始は元日の夕方に能登地方の震災があり、二日の夕方に羽田空港の飛行機事故があった。正月気分は吹き飛んでしまった。そして私事だが、5日6日と高い熱が寝て「寝正月」を強いられることになった。「七日目や全部なかったことにして」と最初詠んで、そこから推敲してできたのがこの句である。味わえなかった正月気分を取り返したい気持ちで詠んだ句である。みんなもそうでしょ?

6点 冬木立「か」の付くものを探します 渺

桜子さんが天を付けた。面白い句だとは思ったが、私には「か」の意味がわからなかった。「か」の付くものを探すという行為の意味がわからなかった。これがもし「ゆ」であったら、今回の兼題である「湯」と結びつくのだが。謎は作者の解説を聞いてわかった。この句は蕪村の「斧入れて香に驚くや冬木立」を踏まえて作られた句だったのである。そうだったのか。「か」は「香」であったか。蕪村のその句を知っていながらそのことに気づかなかった自分が情けない。

6点 湯につかる足先じんじん福はうち 花

この句を選んだ桜子さんが「私は冷え症なのでこの句の「足先じんじん」はよくわかる」という発言をして、他の冷え性の方もそれに同意した。作者の花さんも冷え性なのだろうか。冷え性をしらない国の私は「ふ~ん」とそのやりとりを聞いていた。ちなみに私と握手をした冷え性の女性たちはみな「あったか~い!」と感嘆の声をあげる。

6点 冬青空散歩の軌跡はコリオリ 蚕豆

渺さんが天を付けた。「コリオリ」とはフランスの数学者の名前。回転しながら移動する物体にはその移動方向に垂直の慣性力が働くことを証明したことで知られる。それと冬の青空の下の散歩の軌跡がどう関係しているのかはわからない。思った通り蚕豆さんの句だった。北極の氷の下の海に住む「クリオネ」という生物がいたことを思い出した。もし「コリオリ」を「クリオネ」にしたらファンタジックな句になって選ぶ人が増えたかもしれない(笑)。

4点 甥っ子の年賀はLINEで秘湯から 月白

兼題句だが、「甥っ子」(たぶん若いのだろう)と「秘湯」の結びつきにやや無理がある。秘湯のあるような場所は電波状態が悪いのではとも思う。とはいえ、年賀状は元日にいただくときはよいが、返信を出すと時間がかかるので(6日・7日・8日の三連休は配達が休みだった)、しかもハガキが値上げになるので、LINEにとってかわられるのはしかたないと思う。

(以下、時間の関係で句と作者の紹介のみ)

3点 甲辰神(きのえたつかみ)は何処や小正月 花

3点 初夢は天国にいたよおばあちゃん あきこ

3点 紙を折るこれは冬舘(やかた)の裏口 桜子

3点 自衛隊テントの暖簾紅葉の湯♨ 直美

2点 炊き出しの湯気を透かして寒夕焼 渺

1点 あと三日あと二日一日山笑う 蚕豆

1点 病院の待合室より初句会 直美

1点 風呂の湯を一度上げたる寒さかな たかじ

次回の句会は3月10日(日)。兼題は「電」。またお会いしましょう。

3時に句会を終えてネット中継を観ると盤面はここまで進んでいた。先手陣は頑強で、それに対して後手陣は薄い(持ち駒に金銀がないので補強もできな)。先手が93%の勝率とAIが判定している。

以下、指し手は進んで、先手が端攻めから8五金と打った局面。

ここで後手は投了した。午後3時半の早い終局だった。菅井は感想戦で封じ手前に指した「4五桂」と跳ねた手を悔やんでいた。「指した後、なぜこんな手を指したのか自分でもわからなかった」とまで言っていた。よく言われることだが、「タイトル戦には魔物が棲んでいる」ということだろう。

ブログを書き上げてアップする。午後5時前の西の空。

ずっと家の中にいたので散歩に出る。「ルージュブランシュ」に立ち寄る。

ショートケーキと紅茶を注文する。

ショートケーキは久々である。

ご主人からのサービスはトリフとオランジエ。ごちそうさまです。

「一二三堂」に『NHK俳句』2月号を買いに言ったら、今日はお休みだった。

夕食はカレーライス、サラダ、牛乳。我が家ではカレーライスのときのは水ではなく牛乳を飲む。

食事をしながら『となりのナースエイド』第2話(録画)を観る。これは継続視聴決定である。

風呂から出て、本日放送されたNHK杯将棋トーナメント3回戦第7局、藤井聡太八冠対久保明九段戦(録画)を観る。王将戦がものなりなかったからである。将棋は先手の久保が三間飛車に振って、居飛車穴熊をめざす藤井に袖飛車から急戦を仕掛けて、双方一手のミスも許されない激しい戦いになったが、藤井の戦い方は冷静沈着だった。

ここで久保は投了。解説の藤井猛九段は「いつもの久保さんらしい戦い方ではなかった」と評した。藤井聡太を格上の棋士と認め、強者に弱者が勝つには急戦しかないと考えての作戦だったと思われる。

相手に自分の将棋を指させなくする力(オーラ)が藤井にはあるのだろう。恐るべし藤井聡太。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

2時、就寝。