文化逍遥。

良質な文化の紹介。

ボブ・ブロズマン氏を悼んで

2013年11月03日 | わたしのレコード棚
最近まで知らなかったが、ボブ・ブロズマン(Bob Brozman)氏が今年の4月24日にカリフォルニア州サンタクルズの自宅で亡くなっていた。すぐれた技術を持つギターリストであり、リゾネター・ギターおよびアメリカの民俗音楽の研究者でもあった。59歳だった。

Truckload
1992年Rounderから出たCD。
わたしは、1997年頃にお茶の水のディスク・ユニオンで生の演奏にも接したことがある。その高い技術には感心させられたし、リゾネーター・ギターの持つ可能性を広げるものだった。このCDにも様々な要素―ブルース、スウィングジャズ、ハワイアンなど―を巧みに取り込んでいる。が、何かが足りない。それはなんなのだろう。改めて聴き直して考えてみたが、どうもハッキリと言葉にできない。つまり、言葉にならない何か、なのだろう。言葉以前の「言霊」のようなもの、落語で言うフラのようなものだろうか。心の奥にまで届く演奏をすることの難しさを感じている。作品を作るということは、底の見えないほど深く、手が届かないほど高いものなのだ。

Resonator
こちらは、1993年Centerstream Publishingより発行された『National resonator instruments』。A4大の大きさで、写真をふんだんに取り入れた290ページに及ぶ研究書。

Hotguitar
1993年Homespum発行の教則ヴィデオ。
この人は、本質的にはインストラクターなのかもしれない。実にわかりやすくギターの可能性を引き出す方法を解説している。

いずれにしろ、生音で演奏できる優れたプレーヤーが又ひとり亡くなった・・・合掌。


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