文化逍遥。

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ピート・シーガー氏を悼んで

2014年02月01日 | わたしのレコード棚
1月27日、ピート・シーガーPete Seeger氏(以下敬称略)がニューヨークで亡くなった。94歳だった。
「フォークシンガー」と、一言で言い表わせない多才な人だった。
戦前より音楽活動を続け、また一時はアメリカ共産党に所属するなどし、政治的なメッセージを発信した人でもあった。それゆえか批判されることも多く、又、自らの音楽がコマ―シャリズムの中で消費されることに随分と苦しい思いもしたらしい。
が、わたしのようなミュージシャンの端くれから見れば、すぐれた音楽家であり民俗音楽の研究者であった。


Seeger1
フォークウェイズから1956年に出た「The Folksinger's Guitar Guide」。
いわゆるフォークムーヴメントごく初期の頃に作られたもので、基本的な奏法をLP一枚と共に解説書で丁寧に説明している。どこで買ったのか、今では良くおぼえていない。お茶の水のニコライ堂下にある「ハーモニー」というレコード専門店だったような気もするが、内容よりも歴史的な価値を感じて欲しくなった事だけは覚えている。

Seeger2
1960年代にTVで放送されていた『Rainbow Quest』という番組をヴィデオに編集したもの。
ピート・シーガーがホストで、毎回多彩なゲストが出ていたようだ。今となっては、当時活躍したフォークロア系のミュージシャン達の貴重な映像記録になっている。ブルース関係のミュージシャンの出演も多く、わたしが持っているヴィデオだけでも、Gary Davis、Elizabeth Cotton、Mississippi Jhon Hurtそして上の画像のSonny Terry & Brownie McGheeらが出演していた。
楽器についても、独自の発想で工夫した人だった。写真左上に見えている12弦ギターは、サウンドホールを三角形にしたもの。バンジョーは、いわゆる「ピート・シーガーモデル」で普通のバンジョーよりも3フレット長いロングネック。普通のバンジョーは標準的にGでチューニングするので、そのまま3フレット分下がるとEになる。このモデルのバンジョーは、たまにお茶の水あたりの楽器店で見かける。値段は30数万円といったところ。弦も普通のバンジョー弦では短いので、ロングネックバンジョー用の弦が必要になる。当然ながら、あまり売ってない。

彼は、たしか『セサミストリート』にも出演していたなあ。
音楽に対して、常に真摯に向き合っていた人だった。

ちなみに、シーガーは、1919年5月3日生まれ。
ロバート・ジョンソンが1911年5月8日の生まれだから、8歳しか違わないことになる。
「長生きも芸のうち」とは八代目桂文楽の言葉だったか・・・

合掌


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