文化逍遥。

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テレキャスター シンライン

2018年12月23日 | ギター
 4年ほど前に腰のヘルニアを患い、それ以来腰痛も持病になった。長身なこともあって、もともと腰に痛みを感じることも多かったが、還暦過ぎてエレキギターをストラップで下げて弾いていると辛くなってきた。我が家にあるエレキギターは3.6キログラムから4.2キロ位で、重さとしては標準的で、けっして重い方でもないのだが、それでも4キロを超すものは立って弾くのは辛い。若い頃は、まさか自分が歳を取って軽いギターが必要になるとは思ってもみなかった。
 そんなわけで以前から、取り回しが良く、耐久性があり、軽いエレキギターがあったら必要に応じて手に入れておかなくてはならないかな、と感じていた。ESPテクニカルに行ったついでに店長に訊いてみたところ、軽い材を厳選して2.5キロ位のテレキャスターを作れるが40万円程かかる、という。しかし、すでに仕事はやめていて経済的に余裕があるわけではないのでそれは無理だ。安くて必要条件を満たすギターは無いだろう、と考えていた。が、ありました。フェンダージャパンの中古テレキャスター、イシバシ楽器で85000円ほど。ほぼ未使用で、材も作りも納得できるシンライン。


 ピックアップは、フェンダーのものが3個ついている。標準的なテレキャスターのフロントにハムバッカーを付け加えた感じ。材はアッシュで、トップ側を裏から繰り抜く様な感じで削り出し、バックを貼ってある。ブリッジは、3連。スウィッチは5連。音質的には、正直言って線が細く今ひとつ。と云うわけで、家にあるパーツを使い、お金をかけずに大幅に改造を試みた。


 PUやブリッジを外したところ。見てのとおり新品同様で、買った後は使われずにしまわれていたらしい。フレットの減りもない。


 こちらは、完成したところ。ピックアップは、フロントにリンディー・フレイリンのP90。リアにはダンカンのSTK-2という縦にコイルがスタックになっているハムバッカーPU。ブリッジも6連に換え、スウィッチも3連のものにした。ガードは厚さ0.5ミリの塩ビ板を自分でカットした。あまりきれいには仕上がっていないが、近くで見なければわからないだろう。下手なくせに、こういう作業が好きなんだわ。特に、ハンダ付けはなんどやっても綺麗に仕上がらず、一目で素人がやったな、とわかる。文字どおり「下手の横好き」というやつだ。


 全体はこんな感じ。ケースは安物のソフトケースだったので、以前グレコのテレキャスターを入れていたハードケースに入れてある。
 さて、肝心の音質だが、ほぼ思い描いたとおりの音が出た。この状態で本体の重さは2.8キロほど。ボディ内部はかなりなホロウ(空洞)構造なので、随分軽く感じる。大音量を出すとフィードバックしてハウリングを起こすかもしれないが、わたしはそんなに音量を出すわけではないので、まず心配ないだろう。


 「Made in Japan」ではなく、「Crafted in Japan」になっている。少し調べたところ、1997年から2008年まで「ダイナ楽器」というところで、木材加工をフジゲンや寺田楽器に外注して組み立てたものらしい。型式やシリアルナンバーは本体に刻印されていない。イシバシ楽器の表示では型式は「TN85-SPL」で、1998年製となっていた。それが正しいとすると、このギターは、作られた後20年間眠っていたことになる。塗装が馴染んでいるのはそのためか。しっかり弾いてあげたい。

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