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わたしのレコード棚ーブルース132 William Robertson

2021年05月20日 | わたしのレコード棚
 ウィリアム・ロバートソン(William Robertson)。この人に関しても、詳しい事跡は分からない。インターネットでも検索してみたが、ほとんど資料はなかった。下のLPは、ジョージ・ミッチェルが1976年頃にジョージア州南部を訪れた際にフィールド録音したもので、ミッチェルが書いたLP裏面のライナーノーツが唯一と言っても良いほどの資料になる。

 それによると、ミッチェルが伝統的なブルースを演奏できるブルースマンを探していた1976年頃のジョージアには、古いカントリーブルースの継承者は死に絶えているか、老いて演奏をやめていた、という。そんな中で、やっと出会ったのがウィリアム・ロバートソンで、ジョージア州の南西に位置するアルバニー(Albany)という町から25マイル離れた農村に住んでいた。ピーナツ畑が水平線まで続いているようなところで、ロバートソンの収入はほとんどなく、家には電気も水道も来ておらず、わずかの障害者年金で生活していたらしい。
 録音時54歳だったというから、1922年頃の生まれと推測される。没年等は未詳。5歳の頃に、食用油の缶を使ってワンストリング・ギターを作って弾いたのが初めで、12歳の頃にギターを手に入れたという。その後は、近隣のパーティーなどで演奏していたらしい。


 SOUTHLANDレーベルのLP、SLP5。写真はロバートソンの家と思われるが、かなり傾いている。

 音楽的には、けっこうモダンな感じの多様なスタイルで、ギターはエレキギターを使っているようにも聞こえる。ただし彼の家には「電気も来ていなかった」ということなので、確かなことは分からない。ヴォーカルは、あまりうまいとは言えないが、ジョージアの田舎のパーティーを盛り上げていたソングスターの音色を今に伝えている。

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