文化逍遥。

良質な文化の紹介。

南総尺八、一尺九寸管

2013年03月03日 | 楽器・エッセイ
毎年この時期に千葉そごうデパートで地元の物産展があり、市原市で尺八を製造されている福田さんの「南総尺八」も出ているので見に行ってきた。
すでに福田さんの手による一尺六寸管と一尺八寸管の二本を持っているが、今年はさらに長い一尺九寸管を買ってきた。いつもながら安くしてもらってありがたい。東京あたりの和楽器店で買い求めれば、我が家にある三本を合わせた値段でやっと一本買えるかどうか、という位。

Nansoushakuhati

キイは基準の八寸管より半音下がるのでC♯になる。ただし尺八に限らず和楽器は、クラシック音楽のようにA音が440Hzというように基準となるピッチが厳密に決まっているわけではなく、それほど正確さを求められない。特に尺八は元もとが虚無僧の修行のためのものなので、昔は自ら竹を切って制作することから始めたと言われている。その過程では、基準音ではなく竹の自然な長さを大切にしたように思われる。ただし、このことは音のコントロールがいい加減で良いということではなく、むしろ逆で、五線譜に表せないような音まで感じ取りコントロールしてゆかねばならない、と考えるべきだと思う。
これを西洋的な発想で、合奏時に基準音に合わせた音程を出すには吹き口の角度を変えてフラットさせたりシャープさせたりして合わせる必要がある。これを、それぞれメリ・カリと呼んでいるが、和楽器どうしの合奏ではむしろ微妙なピッチのずれこそが絶妙な呼吸になって深い味わいとなるように感じる。
いずれにしろ自分ではそこまで行けるはずもなく、なんとか音を出せたことを喜んでいる程度だ。

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