すてきな庭

高井戸にあるＹ会の敷地には、病院、デイケア、老人施設など、いくつかの建物がたっている。そこの庭では、今バラの花が見ごろである。公園のようにすばらしい庭だなあ、と行くたびに思う。

今年の２月に他界した父が、初めて危篤状態になって、この病院に入院したのは、５年前のことだ。その時から、私のＹ会通いが始まったが、多い年では、一年間に２００回もここを訪れた。
辛い時や、悲しい時もいくどもあったが、この庭のおかげで、ずいぶん心がなぐさめられた。春には広い敷地全体が、桜のピンク色に染まる。暑い夏には、何本もある大きなケヤキの木が、すずしい木陰をつくってくれる。庭には池があり、夏にはカメが何匹かぷかりぷかりと浮かんでいる。
いろいろなことが起こるたびに、私は心を落ち着けるために、この庭のベンチに座った。そこで、どれほどの時間を過ごしたことか。最後は車椅子になった父とも、よくここを散歩した。

今も、母がここの病院で診察してもらうのに付き添ったり、私が山に行く時などショートステイをさせてもらうので、週に、何回かはここに来る。母はインスリン注射が必要なので、看護婦さんのいる所でなければ、１日だって過ごすことができないのだ。介護の資格があっても、ヘルパーさんには注射をすることが許されていない。
明日、あさってと山にゆくので、今日から母はＹ会の施設でお世話になっています。