金木犀、薔薇、白木蓮

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129:山本周五郎『樅ノ木は残った(上) 』

2024-06-12 17:24:18 | 24 本の感想
山本周五郎『樅ノ木は残った(上) 』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
敵か?味方か?お前はどちらだ―。

仙台藩主・伊達綱宗は幕府から逼塞を命じられた。
放蕩に身を持ち崩したからだという。
明くる夜、藩士四名が「上意討」の名の下に次々と斬殺される。
疑心暗鬼に陥り混乱を来す藩政に乗じて権勢を増す、
仙台藩主一族・伊達兵部と幕府老中・酒井雅楽頭。
その謀略を見抜いた宿老の原田甲斐はただひとり、藩を守る決意をする。
詳細な注解、家系図、臨場感溢れる地図が付いた!
今こそ読みたい、新・山本周五郎。
 
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めちゃくちゃ長いこと積読していた作品。
文庫本で3冊セットだけど、1冊が分厚いから、
一気読みできるときじゃないとダメだ!と取っておいたのだった。
旅行を契機に、ついに読み始めた。
 
大河ドラマを見たり、歴史漫画読んだりするとき、
「そんな簡単に諱で呼ぶな~!!」
と思ってた。
視聴者や読者の知識レベル・情報処理能力にあわせてるんだと理解しつつも、
「仮名(けみょう)と諱くらいで混乱せんだろう」
と思っていたのだけども、すみませんでした、私がまちがっていました。
私がすんなり登場人物の整理ができていたのは、
だいたいの歴史ものにおいて、すでに諱を知っており、
そこに仮名をインプットするだけでよかったからでした。
 
前提知識がまったくない状態で読み始めると、
こんなにわけがわからんのか……
と、初めて実感。
「伊達騒動=仙台藩のお家騒動」
くらいの知識しかなく、誰一人として登場人物を知らなかったので、
次々に人が出てくる最初の20ページくらい、
本当に誰が誰だかわからないの。
「名字」「通称(官職名)」だけでなく、
統治している地名で呼ばれたりもするから。
3分の1くらい読み進めた段階で、ようやく頭に入ってきて、
残り3分の2はスムーズに読了。
2周読んで、全体像を把握。
 
これは一般的な「伊達騒動」のストーリーを知ったうえで読んだ方が
面白かったかもな~。
もちろん、この作品から入っても面白いんだけども、
通説を知ってから触れた方が、主人公の原田甲斐の描き方や、
オリジナル要素に新鮮味や意外性が感じられて楽しかったと思う。
私は上巻を読み終わってから「伊達騒動」をウィキペディアで調べて、
主人公が悪役とされている人物だったことを初めて知った。
 
気になるのは、おじさんである主人公が女性にえらくモテていることで、
10代前半の宇乃ちゃんがいきなり主人公に恋しちゃってる風なのが、
キモいんだわ……。
宇乃ちゃんが、というよりは、ドリームが……。
江戸時代も、執筆当時も、全然タブー視されていなかっただろうし、
「男が歳の離れた10代の女の子に手を出すのは気持ち悪い」
と明確に拒否感を示されるようになったのは最近だって
わかってるんだけど。
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