金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

138:山田邦紀 『明治時代の人生相談』

2011-10-31 09:46:33 | 11 本の感想
山田邦紀『明治時代の人生相談』(日本文芸社)
★★★☆☆

これも雑誌の本とマンガ特集で紹介されていたもの。
明治時代に新聞・雑誌に掲載された人生相談とその回答を
集めたもの。
身分や徴兵、将来の夢などなど、明治時代ならではの相談もあるし、
男女関係や結婚、ご近所関係といった現代と共通点もあるけれど
考え方はまるで違う相談もあり。

セックスについて相談してきた「女學界」の読者に
「不埒千万言語道断これを西比利亜(シベリア)の中原に
追いやりたい」
と激怒したり、生活が苦しいため避妊法を教えてほしいという相談に
「なんたる不料簡ぞ。余はかくのごとき人に一片の情なきなり」
と冷淡に突き放したり、感情的な回答者の返答がおもしろい。
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137:ナンシー関 『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』

2011-10-30 18:36:34 | 11 本の感想
ナンシー関『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』(カタログハウス)
★★★☆☆

雑誌の本とマンガ特集で紹介されていたもの。
存在は知っていたけれど、読んだのは初めて。
「通販生活」掲載のものに、書下ろしの「考察」と
「座談会」を加えた3部からなる。

単純におもしろいので、ちょっとした気分転換によい。
絵だけではそれほどおもしろくなくても、
ナンシー関のコメントで笑える。
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映画:『ドライビングMissデイジー』

2011-10-27 22:35:13 | 映画の感想
映画『ドライビングMissデイジー』(ブルース・べレスフォード 監督)
★★★☆☆

人種にまつわる差別意識が根強く残るアメリカ南部の町に暮らす
未亡人のデイジー。
彼女が車で事故を起こしたことをきっかけに、
彼女の息子は黒人の専属運転手・ホークを雇う。
老いても誇り高いデイジーはホークを拒むが、
ホークの明るい性格に、かたくなな彼女も
次第に心を開いていく。
衝突しながらも固い絆で結ばれていく二人の25年間を描く
ヒューマンドラマ。

********************************************

たぶん、本か雑誌で紹介されてたんだけど、
予約したのがずいぶん前だったので、
何に載ってたのか忘れてしまった。

舞台はキング牧師の時代で、黒人であるホークは
白人用のトイレが使えないし、
お金持ちであるミス・デイジーも、ユダヤ系であることで
嫌な目に遭う。
白人のミス・デイジーと黒人のホークの間にも
人種にからんだ衝突が起こる。
前半はそんな人種問題にまつわる要素が色濃く出ているのだけど、
後半には諸々の問題を超えて二人の心が強く結びついていく
様子が描かれていて、「You are my best friend」という
シンプルなセリフに心動かされる。

話自体はとにかく地味だし、
個人的な問題として「いい話」には免疫がついてしまっているので
泣けるような感動はなかったのだけど、
しみじみと「良かったな~」と思える良作。
コメント (2)
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映画:『借りぐらしのアリエッティ 』

2011-10-26 23:45:43 | 映画の感想
映画『借りぐらしのアリエッティ』(宮崎駿 監督)
★★★★☆

公開当時、あんまり話題になっていなかったような印象があり、
「小人の話」くらいの前知識で、特別興味もなく借りたのだけど……

なんだこの、男の子の王子様っぷり!
病弱な美少年なんか好みじゃないよと思っていたのに
ときめいてしまった……

家政婦のおばちゃんがなんでそんなに小人にこだわるのか
背景がちっともわからず、掘り下げ不足なのは確かだし、
男の子はいきなり「君たちは滅びゆく種族なのだ」とか
言いだして「失礼すぎるにもほどがあるだろ!」って感じなんだけど、
『コクリコ坂から』のひどさを思えば、
説明不足と唐突感についてはそれほど気にならない。
ストーリーはあっさりしているんだけど、
これはこれで、ちょっと物足りない感じがいい。
滅びに向かいつつある一族のもの悲しさみたいなものは
最後まで付きまとっていて、ラストの、
ちょっとセンチメンタルな感じとも合っていてよかった。

全然期待していなかった分、評価が上乗せされたというのも
あるかもしれないけれど、★4。


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136:養老孟司・河野和男 『虫のフリ見て我がフリ直せ』

2011-10-21 11:36:56 | 11 本の感想
養老孟司・河野和男『虫のフリ見て我がフリ直せ』(明石書店)
★★★☆☆

解剖学者の養老孟司と農学者の河野和男という
虫好きの二人による対談。
虫は特別好きではなく、むしろ苦手、
生物学についてもさっぱり!なので、
「『種』や『属』は存在するのか」
という対談や
「個体発生と系統発生」
「高位分類群とホックス遺伝子」
あたりのコラムは、よくわからなかったのだけど、
知らないなりに読み進めていったら何となくわかった。
虫から関連して文化や社会、教育、政治にまで話がおよび、
虫好きじゃなくてもおもしろい。

鳩山邦夫氏の話が出てきたときに、すかさず
「彼は蝶屋さんでしょ?」という言葉が出てきたのが
なんだかおかしかった。
「創造論」「インテリジェント・デザイン」の話、
最近別の本でも読んだぞ、何だったっけ……と
考えていたのだけど、結局思い出せず。
今朝ブログを見返してやっと思い出したのだけど、
たぶんこれ
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135:野中柊 『きらめくジャンクフード』

2011-10-20 11:22:54 | 11 本の感想
野中柊『きらめくジャンクフード (文春文庫)』(文藝春秋)
★★★☆☆

NHKの英会話のテキストに掲載されていたらしいエッセイ。
ハンバーガーやポテトチップス、ポップコーンといった
いかにもなジャンクフードだけでなく、餃子やグラタン、
おでんや桜餅といった身近な食べ物を挙げて、
思い出や趣味嗜好を語っている。
『小春日和』以外はあまり好みじゃないなあ……
という印象の作家さんなのだけど、この人の描く世界が
なんとなくお菓子っぽいイメージなので
テーマにぴったりだったのか、楽しく読めました。

わたしはもう以前ほどケーキやクッキーを
おいしいとは思わなくなったけれど、
これを読んでレモンメレンゲパイとバナナブレッドが
無性に食べたくなった……




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134:中島義道 『女の好きな10の言葉』

2011-10-19 11:09:40 | 11 本の感想
中島義道 『女の好きな10の言葉』(新潮社)
★★★☆☆

国内外の戯曲・小説・随筆等からの引用を交えつつ、
女性の口にする言葉とその言葉が生まれる背景について
書いたもの。
タイトルになってる「女の好きな10の言葉」は
以下の通り。

「ほんとうの愛って何?」
「私はあなたの何なの?」
「私を人間として見て!」
「あなたには私は必要なの!」
「あなたは不潔よ!」
「私に何でも言って!」
「私に心配かけないで!」
「わかんなーい!」
「かわいーい!」
「すごーい!」

まあ、内容はいつもの通り。
もともと人によって見えているものが違うので
誰もが納得する「男性論」とか「女性論」はあり得ないだろうし、
自分の見ているものと一致する点や相違点を楽しむものだと
思うので、これで怒ったりするのは筋違いというもの。
……と思えるのは、著者がおじいちゃんであることと
文章のユーモアゆえかしら。
身近な男性が「女ってさー」って語ると、
「あんたがどれだけ女を知ってるって言うのさ」
と腹が立つし。

電車で化粧する女性を妨害するエピソードはおもしろいんだけど、
身近にいたら絶対に近寄りたくない危険人物。
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133:週刊朝日 編『親子論。』

2011-10-18 09:38:20 | 11 本の感想
週刊朝日 編『親子論。』(朝日新聞社)
★★★☆☆

佐藤明&佐藤可士和、鳥越俊太郎&鳥越さやか、
石田純一&いしだ壱生、ちばてつや&千葉修平……などなど、
様々なジャンルで活躍している35組の親と子のトーク。
週刊朝日に連載されていた「親子のカタチ」から
一部をピックアップしてまとめたものだそう。
内容は割と表面的な部分にとどまっている感じがあるのだけど、
一般人じゃないお父さんやお母さんも登場していて、
子供のころの思い出や家庭環境を語ることで
著名人の生まれ育った背景みたいなものがわかるのがおもしろい。

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132:柴村仁 『プシュケの涙』

2011-10-17 08:56:32 | 11 本の感想
柴村仁『プシュケの涙』(電撃文庫)
★★★★☆

書評ブログで「名作」に挙げられていたもの。
二部構成になっていて、
第一部が校舎の4階から飛び降り自殺したとされる同級生・吉野彼方の
死の真相をめぐる二人の少年のやり取り、
第二部が吉野彼方視点で語られるボーイミーツガールの青春もの。
正直、「感動!」とか「泣いた!」というほどの
インパクトはないんだけど、
透明感のあるセンチメンタルな感じが電撃文庫みたいな
ライトノベルでは珍しいのかも。
死んでしまうとわかっているだけに、第二部での救いが切ない。
第一部・第二部の構成が逆転していたら
ここまでの喪失感は出なかったはず。

表紙のイラストもライトノベルによくある萌え絵じゃない、
透明感のある絵で良い。
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131:湯前悟郎 『廃墟探索』

2011-10-15 11:19:27 | 11 本の感想
湯前悟郎『廃墟探索 西日本篇』(新風舎)
★★★☆☆

持ち物や危険の可能性、法律との兼ね合いといった
廃墟探索の際の注意点が書かれているところを見ると、
これは実際に廃墟に足を踏み入れたい人を
読者として想定している模様。

写真が小さいうえ白黒で、現場のレポートも少ないので
『廃墟本』と比べるとちょっと物足りない。
軍艦島と徳山村のところはおもしろかった。


コメント (2)
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