金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

映画:『ジェイン・オースティン 秘められた恋』

2010-11-27 10:19:11 | 10 本の感想
映画:『ジェイン・オースティン 秘められた恋
★★★☆☆

『高慢と偏見』の作者として知られるイギリスの女流作家
ジェイン・オースティンの若き日の恋を描いた映画。
18世紀のイギリス、ハンプシャーの貧しい牧師の娘として
生まれ育ったジェインは、小説を書いている。
当時の貧しい女性の生きる唯一の道は、
財産がある男との結婚であった。
ジェインは地元の名士であるグレシャム夫人の甥・ウィスリーに
見初められる。
財産の相続人であるウィスリーと娘の結婚を母は望むが、
ジェインは同意できない。
ある日、ロンドンから休暇のためにハンプシャーにやってきた
トム・ルフロイに出会ったジェインは、田舎を見下す彼に
反発しながらも、やがて惹かれあうようになる。
しかし、ともに貧しい家庭に生まれた二人の恋は
前途多難であった。

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久しぶりにつまらない映画を見た……

一定水準には達しているので
「ひどい!」という感じはないのだけど、
途中で「あと一時間もあるのか」と思ってしまった。
たぶん、原因の一つが描写・説明不足。
特典としてついていた、カットされたシーンを見て
ようやく意味がわかったところも多々あり。

ルフロイの魅力がちっとも理解できず、
彼がジェインを愛する理由も描写不足で納得できず、
恋愛関係に突入した瞬間に、ときめくどころか
「こいつ、裏切るんじゃないの?」
と思ってしまった説得力のなさ。
アン・ハサウェイは美しいけれども、
一人だけ容姿が現代的すぎて浮いていた。

しかし、生活と家族のための決断は
愛で腹は膨らまないというシビアな現実を反映していて
なかなかよかったな。
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186:ウェブスター 『あしながおじさん』

2010-11-26 12:18:20 | 10 本の感想
ウェブスター『あしながおじさん』(偕成社文庫)
★★★★★

孤児院で過ごすジェルーシャ・アボットは、
書いた作文がお金持ちの評議員の目に留まり、
文才を見込まれ大学へ進学させてもらえることに。
援助の条件は、月に一度、大学生活や勉強について
報告する手紙を書いて送ること。
ジュディと改名したジェルーシャは、一度その後姿を
見かけただけの後見人を「あしながおじさん」と呼び、
返事の来ることのない手紙をせっせと書き送る。

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訳は恩地三保子。
「ハウス世界名作劇場」の「私のあしながおじさん」が
好きだったな~と思い出して再読。
第一章以外は、ジュディからあしながおじさんへあてた
手紙で物語が構成されているのだけど、
ユーモアに満ちた文章と笑いをさそうイラスト、
文章から垣間見える大学生活の様子が楽しい。

初めて読んだ小学生のときには感じなかったけど、
今読むと、おじさんの嫉妬とあからさまな妨害工作が
なかなかに気持ち悪いな。
そしてジュディはお調子者で無礼。
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185:中村うさぎ 『こんな私が大嫌い! 』

2010-11-26 00:30:51 | 10 本の感想
中村うさぎ『こんな私が大嫌い!』(よりみちパン!セ)
★★★★☆

叶恭子さんと並べてイロモノ呼ばわりしてしまいましたが……
こちらも驚くほどまっとうだった!

「『人と自分をくらべるな』ってホントだろうか?」
「自分の顔が大嫌い!」
「自分のカラダが大嫌い!」
「『自分嫌い』という呪い」
「自己評価って上げられるの?」
「『自分嫌い女』の半生」
「『自虐ギャク』のススメ」
「自分の性格が大嫌い!」

の8章から成り立つエッセイ。
筆者によると、「自分嫌い」とは、「自分好き」の裏返し。
理想の自分を高く設定して、理想と現実と差に満足できない。
よく雑誌に書かれている「自分を好きになろう」は
きれいごとに過ぎず、自分嫌いを克服するには
「自分のことを嫌いでも、好きでもない状態」に
至らなければならない、という。

自己評価の低さとか、コンプレックスの原因だとか、
思い当たることが多すぎた
そして、「自分嫌い」=「自分好き」って、よくわかるなあ。
容姿や性格に悩む思春期の女の子たちにはもちろん、
大人にもおすすめしたい一冊。
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184:伊藤整 『少年』

2010-11-19 14:59:12 | 10 本の感想
伊藤整『少年』(筑摩書房)
★★★★☆

村に暮らす靖は、親類である問題児・房太郎といっしょに、
房太郎の家に下宿している田崎先生に勉強を教わっている。
若く美しい田崎先生にあこがれる靖だが、
房太郎がかぎつけてきた田崎先生の
「女」の部分に、恐れを感じながらも
好奇心を押さえることができない。
やがて、房太郎から手紙の仲介を頼まれたことをきっかけに、
都会からやってきた同級生の女の子に
胸をときめかすことになる。

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この人初めて?と思ったけど、ブログ内検索かけたら
「典子の生きかた」を読んでいました。
初版が昭和31年で、入手できず、図書館で
変色しまくった本を借りてきました。
しかし他地区の中学入試には出てるのね。
表題作「少年」のほか「子供暦」を収録。

時代の問題だと思うけれど、登場する女性は
「女らしさ」が徹底しているなあ。
そして女性に対する憧れが過剰なほど。
ラストがなんとなく尻切れトンボな印象。
ラストが冒頭につながっていかないので、
冒頭で回想の形式をとった理由がわからず、
やや消化不良気味。


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映画:『藍色夏恋』

2010-11-12 17:43:49 | 映画の感想
映画:『藍色夏恋』(イー・ツーイェン監督)
★★★★☆

17歳の女子高生・モンは、親友のユエチャンに頼まれ、
夜のプールで泳いでいたユエチャンの片思いの相手・チャンに
声をかける。
ユエチャンが架空の友達で、モン自身が自分を好きなのだろうと
言うチャン。
しかも、ユエチャンに頼まれて渡したラブレターの差出人が
モンになっていたため、チャンはモンに好意を抱いてしまう。

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また台湾映画。
原題は「藍色大門」。
邦題は意味が変わっちゃっていまいちだなあ。
ケータイ小説みたいなタイトルになっちゃった。

最初は主人公の考えていることが読めず、
その行動にイラッと来たし、
観ている最中はとくに感慨もなかったのだけど、
観終わってから、なんだかキラキラした、切ない余韻が残った。
少女漫画の世界なんだけど、今の少女漫画にはない世界。
うわああと悶絶したくなるような。

好きな相手の名前を100回書くっておまじない、
小学校のときにあったなあ。
まさかの「木村拓哉」に吹き出してしまった。
台湾でもメジャーだったのね。

主人公を演じた女の子、作中では張りつめたような透明感があって
ムードのある女の子だったんだけど、
特典のインタビュー映像を見ていたら、
「この子、女の子にきらわれるんじゃなかろうか……」
とおせっかいな心配をしてしまった。
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183:高橋順子・佐藤秀明 『雨の名前』

2010-11-12 17:33:11 | 10 本の感想
高橋順子(文)・佐藤秀明(写真)『雨の名前』(小学館)
★★★☆☆

短歌・俳句や詩を引用しつつ、方言も交えた
「雨に関する言葉」を集めた辞典&写真集。

一時期、この手の本がはやりましたね。
よく読んでいました。
再読だし、今回は写真の部分を目的にして手に取ったので、
文字情報についてはとりたてて言及することがないのだけど、
この本は「辞典」「歳時記」「写真集」の要素に加えて
「エッセイ」も入っているのが特徴。
「あじさいの花は嫌いだったけれど」
というエッセイのタイトルが、なぜだか好き。
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182:白尾元理 『月のきほん』

2010-11-12 17:19:28 | 10 本の感想
白尾元理『月のきほん』(誠文堂新光社)
★★★☆☆

「○○のきほん」シリーズの一冊。
月の満ち欠けが起こる理由や、月齢とその動き、
月の誕生に関する説、これからの月探査計画など、
月に関する基本的な知識65項目を、
見開き1ページ完結で図解を用いてやさしく解説する。
基本的な内容でありながらも、曖昧だった知識を
確かなものにしてくれる。
月形成論に関しては、古典的な説として

①分離説
②捕獲説
③兄弟説

の三説を紹介、それらの欠点を補完する新説として

④ジャイアント・インパクト説

を紹介している。
小学生のときに読んだ学習図鑑では、
④が載ってなかった気がするんだけど、
当時はまだ定着していなかったのかな?
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181:橋本治 『勉強ができなくても恥ずかしくない〈3〉』

2010-11-07 20:35:58 | 10 本の感想
橋本治『勉強ができなくても恥ずかしくない〈3〉それからの巻 』(ちくまプリマー新書)
★★★☆☆

お母さんの陰謀で家庭教師をつけられた小学六年生。
中学受験に失敗し、公立中学で楽しい生活を送る中学時代。
大学受験に向けて盛り上がるクラスメイトについていけず、
徐々に孤立し学校嫌いになっていく高校時代。
大人になり、「学ぶ」ことを見つめなおす完結編。

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高校生にしては幼すぎるんじゃないか……と思われるケンタくん、
大学受験に興味を持てず、クラスから浮いていく。
幸福で楽しくやっていた学校生活の最後にこの展開は悲しいのだけど、
いつまでも子ども時代と同じようにはやっていけないし、
まあ、これは浮くよね……。
このシリーズは著者の自伝的小説になっているのだけど、
ラストと現在の著者のポジションを考えると、
これまでのケンタくんの歩みをふり返って
涙ぐみたいような気持ちになる。
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180:橋本治 『勉強ができなくても恥ずかしくない〈2〉』

2010-11-07 20:30:51 | 10 本の感想
橋本治『勉強ができなくても恥ずかしくない〈2〉やっちまえ!の巻』(ちくまプリマー新書)
★★★☆☆

小学校高学年になったケンタくん。
勉強もできず、友達もできなくてお母さんに叱られてばかりだった
ケンタくんにも、徐々に変化が現れる。
紙芝居を見るためにお母さんの財布から盗んだお金、
ビー玉遊びで負け続けた中で発見した「学び」、
誘われて受けにいった模試で思いがけずおさめた良い成績。
ケンタくんは学校で幸福な時間を過ごすようになっていた。

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本自体はあっというまに読めちゃう薄さなんだけど、
中身はなかなか考えさせられる内容になっています。
素直で自分で物事を考え、答えを見つけていく
ケンタくんの成長もほほえましい。
「すこしぐらい悪いことをしないと、元気な子にはなれない」
っていうの、身に覚えがあるなあ。

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179:川島隆太 『脳を育て、夢をかなえる』

2010-11-07 20:24:35 | 10 本の感想
川島隆太『脳を育て、夢をかなえる―脳の中の脳「前頭前野」のおどろくべき働きと、きたえ方』(くもん出版)
★★★☆☆

仕事で。
脳科学ブームはまだまだ続くのかなあ……
仕事柄、似たような文章を何回も読まなければならず、かなり食傷気味。

本書は小学生にもわかる易しい文章とカラー図表で、
読書、ゲーム、会話などなど、人間のさまざまな行動に際し、
脳のどの部位が働いているのかを示し、
脳を鍛えるにはどうしたらいいのか?ということを述べた本。
出版された2003年当時には、新鮮な話題だったのかな~。
子供向けでわかりやすいし、
初めてこの類の本を読む子にはなかなか興味深いんじゃないかと
思うので★3つ。
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