金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

57:豊島ミホ『花が咲く頃いた君と』

2011-05-29 20:53:49 | 11 本の感想
豊島ミホ『花が咲く頃いた君と』(双葉社)
★★★☆☆

【収録作品】
「サマバケ96」
「コスモスと逃亡者」
「椿の葉に雪の積もる音がする」
「僕と桜と五つの春」


「小説推理」に掲載されていた短編を収録。
読んでいたときには気づかなかったのだけど、
ひまわり(夏)・コスモス(秋)・椿(冬)・桜(春)と
四篇とも季節の花が登場しているのね。
椿と桜以外は、なくてもたいしてストーリーに影響が出ない
エッセンス程度の存在感だけれど。

中学生の女の子二人の関係を描いた「サマバケ96」が
いちばん好き。
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56:山田詠美 『学問』

2011-05-28 16:53:09 | 11 本の感想
山田詠美『学問』(新潮社)
★★★★☆

東京から静岡県の美流間市に引っ越してきた仁美は、
テンちゃんと呼ばれる心太と出会った。
人気者の心太に、食いしん坊の無量、眠るのが好きな千穂と
特別な絆で結ばれることになった仁美の
7歳から17歳までの日々。

**********************************

さすがの貫禄。

物語の中に差し挟まれた、登場人物たちの死亡記事が、
彼らの「その後」に関する情報をもたらすだけでなく、
描かれた10年間の人生の中における位置づけを
感じさせる。
最初と最後の死亡記事のリンクに気づいて呆然。

それにしても山田詠美も「年上の女」好きだよね。
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映画:『めぐりあう時間たち』

2011-05-21 10:44:29 | 映画の感想
映画:『めぐりあう時間たち
★★★★☆

1923年、ロンドン郊外のリッチモンドで
精神の病と闘いながら『ダロウェイ夫人』を執筆していた
作家のヴァージニア・ウルフ。
1951年、ロサンゼルスで夫と息子、おなかの中にいる赤ん坊と
暮らしながら、一見幸福に見える日常生活から
逃げ出したいと思う主婦ローラ。
2001年、ニューヨークで、詩人のリチャードから
かつてつけられたニックネームにとらわれ、
エイズに冒された彼の世話をし続ける編集者のクラリッサ。
異なる時代、異なる場所で生きた三人の女性の一日を描く。

********************************************

これもなぜリストに入れたのか謎。
雑誌で紹介されていたような気がする。
関連のないと思われた三人の一日に共通項がいくつか見られ、
やがてそのつながりが明らかになるというつくり。
日常生活の中で絶望感が女性たちを蝕んでいく様子が描かれている。
静かでしっとりした雰囲気の映画で、
号泣するようなストレートなストーリーではないのだけど、
いい映画。

ヴァージニア・ウルフの夫レナードの献身的な愛が
泣かせる。
始まりからあれなので、その徒労感やいかに、という感じだ。
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53-55:竹宮ゆゆこ『とらドラ・スピンオフ!①~③』

2011-05-20 20:22:45 | 11 本の感想
竹宮ゆゆこ
とらドラ・スピンオフ!―幸福の桜色トルネード (電撃文庫)
とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)
とらドラ・スピンオフ!〈3〉―俺の弁当を見てくれ (電撃文庫)
★★★☆☆

番外編の短編集。
これ、本編終了後じゃなくて、本編の間に出ていたのね。
本編を読み終わってからこれを読むと時系列がわからず戸惑う。
①はこれ自体で話が完結しているので、
本編を知らなくても読めそう。
②・③は宣伝やゲームやら何やらのオマケを集めたものなので、
完全にファン向け。
これで本になるなんて、よっぽど人気があったんだなあ……と
いうのが第一印象(オチのない小話が多い)。

能登を主役にした「ラーメン食いたい透明人間」はよかったな。
普通の高校生だ……。
脇役までしっかり青春しておる。
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映画:『禁じられた遊び』

2011-05-19 20:59:32 | 映画の感想
映画:『禁じられた遊び
★★★★☆

1940年、パリから逃れる途中でドイツ軍の攻撃を受け、
目の前で両親を殺害された少女・ポーレット。
難民の列からはなれ、川に投げ捨てられた飼い犬の遺体を
追っていたポーレットは、農家の少年ミシェルに出会う。
話を聞いて同情したミシェルに家族のもとに連れていかれ、
ポーレットは彼の家で暮らすことになった。
ミシェルから、死んだものは埋めるのだと教えられたポーレットは、
飼い犬だった子犬のための穴を掘り始める。
お祈りと、墓の作り方を教えたミシェルは、
子犬がさびしがるというポーレットの言葉に応え、
死んだ虫や動物などを次々に埋めてお墓を作り、
教会や墓地から十字架を盗もうとするようになる。

*******************************************

無邪気で残酷な子どもの世界を描いた作品。
主題歌が有名ですね。
戦争や貧しさというのは大人たちの都合で、
そのとばっちりを受けながらも
大人の事情や常識にはまるで頓着せずに
自分たちの遊びに没頭する子どもたち。
その大人社会から隔絶した世界の浮遊感が
なんとなく恐ろしい。

子役の二人の可愛らしさに胸キュン。
特に小さな女の子とヒヨコの組み合わせは、
もだえるくらいに可愛いな。
ポーネットの小悪魔ぶりは末恐ろしいよ。
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52:小松易 『1分で身につく片づけ力』

2011-05-17 12:39:53 | 11 本の感想
小松易『1分で身につく片づけ力』(ベスト新書)
★★★☆☆

①忙しい→部屋が荒れる→掃除したくない→掃除本を読む→
 掃除する→忙しい→部屋が荒れる(以下略・エンドレス)

②夜更かし→遅起き→生活リズムめちゃくちゃ→
 早起き本を読む→早起き→数日後、また夜更かし→遅起き
(以下略・エンドレス)

というのがここ三~四年ほどわたしが繰り返しているパターンで、
このブログに記録していないため何冊読んだかわからないけど、
とにかくモチベーションアップのために
「掃除本」と「早起き本」はかなり読んでいる。
読むとやる気になるからいいよね。
実行するかどうかはともかくとして……

免疫がついてしまって「目からウロコ」状態にはならなかったけど、
これを読んで机の上と、会社に保管してあった書類は片づけました。
次の日には机の上はまたもとの状態に戻ってたけど……。

「型」をつくらなければ生活は変わらない、というのは
この本に書いてあるとおり。
1分で片づけられる女になれたら誰も苦労はしないのである。
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51:恩田陸 『私の家では何も起こらない』

2011-05-16 09:43:41 | 11 本の感想
恩田陸『私の家では何も起こらない (幽BOOKS)』(メディアファクトリー)
★★★☆☆

幽霊屋敷と噂される、小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。
その家で起こった過去の事件を描く連作短編集。

「私の家では何も起こらない」って、
明らかに何か起こるだろというタイトルだ。
女性作家がひとりで住むいわくつきの家の「いわく」が
後から明かされていくのだけど、
残酷な話もしごくあっさり書かれている。
ホラーなんだろうけど、全然怖くはない。
いつもの「ここまで引っぱっといてコレかよ!」という
肩透かしもなく、きちんと一冊で過不足なくおさまっている印象。
むしろ、書き下ろしだという最後の部分は
付け足さないほうがよかった気がする。
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41-50:竹宮ゆゆこ 『とらドラ!①~⑩』

2011-05-14 14:58:16 | 11 本の感想
竹宮ゆゆこ『とらドラ!①~⑩』(電撃文庫)
★★★★☆

知人宅の本棚にあったもの。
ラブコメ(らしい)。
テンションの問題で、もうライトノベルを読むのはキツい……
と思っていたのだけど、これはあまり抵抗感がなかった。
電撃文庫だけど少女小説のテイスト。
ところどころ、文章がくさくて、
「こっぱずかしい! もうやめて!!」
とのたうちまわりたくなる。
終盤の昼ドラ展開に突入する前の、クリスマスのあたりまでが
おもしろかったな。
ゆりちゃん先生の年齢を追い越しているわたしは、
登場人物が女同士でやたら殴り合ってようが、
ぶっ飛び展開になろうが、
みんな可愛いのう、青春だのう……と
目を細めてしまうのであった。

以前アニメ化もされていた模様。
大河はアニメ絵のほうが好み。
コメント (2)
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DVD:『四人の食卓』

2011-05-11 11:20:14 | 映画の感想
映画:『4人の食卓
★★☆☆☆

インテリアデザイナーのジョンウォンは、地下鉄の終電を
降りたとき、回送になった車両の中で二人の幼い姉妹が
座ったままなのに気づく。
その後、その姉妹が死体として車両の中で発見されたことを
知り、衝撃を受ける。
帰宅し、夜中に仕事をしていたジョンウォンはふり返り、
婚約者が家に持ち込んだ四人がけのダイニングセットに、
姉妹が向かい合わせに座っているのを見た。
父の教会の信者である女性・ヨンを車で送っていく途中、
彼女が意識を失い、やむなくジョンウォンは
彼女を自分の家に連れて行き、介抱する。
去り際に「子どもたちをベッドに」と言うヨン。
ジョンウォンは衝撃を受け、同じように姉妹を見ることのできる
ヨンに救いを求めるが……

*******************************************

韓国の……ホラー? サスペンス?
なぜ予約リストに入れたのか謎。
夜だし、怖かったらいやだなあ~と思って見始めたのだけど、
わたしは理由の明確ではないホラーは怖いと思えないみたい。
目を覆いたくなるような残虐シーンもあるのだけど、
ホラーとしての怖さじゃない。
「なぜそうなる」ばかりが気になって、
ちっとも恐怖が感じられなかった。

警備員がヨンの夫を電話で脅迫していたのは
いったいなんだったのだろう。
友人が赤ん坊を殺したというヨンの証言が必ずしも真実ではなく、
どのようにでも解釈できるようになっているようなのだけど、
それにしたってつくりが中途半端だなあ。

本編に関係ないけど、特典でついていた監督のインタビュー。
絵コンテの絵が上手なのに感心した。
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40:志賀直哉 『暗夜行路』

2011-05-09 13:14:28 | 11 本の感想
志賀直哉『暗夜行路』(新潮文庫)
★★★☆☆

志賀直哉の代表作ですが……
途中で中断しながら、非常に長い時間をかけて
書かれたというのもあるのか、
構成を考えて書いていないのでは?と思われるほど
まとまりが悪い。
特に前半は、「この場面はいったい何のために?」と
思われるような日記めいたエピソードが多く、
グダグダで冗長に感じられた。
前編は半分の長さにしてもよかったのでは?と思うくらい。
後半からがおもしろいんだけど、
前半のグダグダでエネルギーを削り取られて疲れてしまった。
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