金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

7:小川洋子 『沈黙博物館』

2008-01-29 16:12:20 | 08 本の感想
小川洋子『沈黙博物館』(ちくま文庫)
★★★☆☆

依頼を受け、博物館を建てるために
技師としてある村にやってきた主人公。
依頼人は奇妙な容貌をした辛辣な老婆。
老婆が作ろうとしていたのは死者たちの形見をあつめた博物館。
老婆の娘だという少女とともにコレクションの整理をしつつ
老婆に代わって形見を盗み集めることになった主人公だが、
村では若い女性たちの乳首を切り取る殺人事件が
連続して発生し―――。

*****************************************

小川洋子は最近読み始めたばかりなので
傾向といってもいまいちよくわかっていないのですが、
主人公が男性だったのがちょっと新鮮な感じ。
幻想的な世界観や顕微鏡にまつわるエピソードなどが
どことなく長野まゆみに通じると思ったのですが
どうなのでしょうか。

グロテスクでほのかにエロチックな雰囲気は
苦手なような、心惹かれるような。
もやもやっとしたまま、いまいちすっきりしない読後感では
あるのだけど、それもふくめて雰囲気は好み。


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6:高里椎奈 『銀の檻を溶かして―薬屋探偵妖綺談 』

2008-01-18 17:01:40 | 08 本の感想
高里椎奈『銀の檻を溶かして―薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫)
★★★☆☆

第十一回メフィスト賞受賞作。
茶髪の美少年・秋に、美青年・座木、赤毛の少年リベザル。
「深山木薬店」を営む三人の正体は、実は妖怪。
持ち込まれた二つの探偵業の依頼は、
思いがけないつながりを持っていて……。

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いかにもライトノベル!って感じの表紙が
本屋で目立ってたし、本格ミステリーにライトノベルの手法を
持ち込んだということで話題にもなっており、
前から興味を持ってました。
ミステリーとしては、「えっ、これでいいの!?」と
いまいちすっきりしない読後感だし、
拙い感じが爆発してるのだけど、
キャラクターに魅力が感じられれば
楽しんで読めるんじゃないかな~。
ただ……

わたし、美少年が嫌いなんです

彼らのかけあいだとか、キャラクターに関する
無駄なディテールだとかに冒頭部分からうんざり……。
作者が自分のキャラクターや彼らの関係性に
「萌え」ちゃってるのね、っていうのがにじみ出ていて
なんだかいたたまれないような気分に。
これを『周公旦』と同じ★3つにするのは
正直納得がいかないのだけど、
おもしろかったことはおもしろかったんだな。
とりあえずシリーズ2作目にもチャレンジしてみます。


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5:酒見賢一 『周公旦』

2008-01-14 10:03:31 | 08 本の感想
酒見賢一『周公旦 (文春文庫)』(文藝春秋)
★★★☆☆

殷周革命ののち早逝した武王に代わって
幼少の成王を支え、創成期の周をつくった周公旦。
成王の憎しみを受けて、亡命を余儀なくされた折、
亡命先として危険な楚を選んだのはなぜか?
孔子があこがれた聖人・周公旦の活躍を描く一冊。

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この本、『陋巷に在り』の副産物なんでしょうか。
オリジナルの解釈とかストーリーも
たくさん入っているのだろうけど、
子どもの頃に読んだ歴史上の人物の伝記みたいで
さらっとしすぎていて、もの足りない。

最初は、作者の殷周革命と宮城谷昌光の『太公望』が
頭の中でごちゃごちゃになってやや混乱してしまいました。
しかも周公旦といったら、最初の印象が
藤崎竜の漫画『封神演義』だし、
あの顔のイメージを取り去るのに四苦八苦

『陋巷に在り』ほどの盛り上がりはないものの、
楚へ赴いてからの部分はおもしろかったです。
カニバリズムが何度か出てきて気分が悪くなったけど。
(さっきmixiのページをみたら、検索キーワードのランキングに
 「カニバリズム」……。バンドの名前ね)

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4:山田詠美 『風味絶佳』

2008-01-11 12:38:25 | 08 本の感想
山田詠美『風味絶佳』(文藝春秋)
★★★★☆

【収録作品】
「間食」
「夕餉」
「風味絶佳」
「海の庭」
「アトリエ」
「春眠」

表題作は映画化もされていましたね。
山田詠美の小説って、「うまい!」「おもしろい!」って
思うことは多いけど、好みのものって言われたら
「蝶々の纏足」くらいしか思い浮かばない。
新刊もしばらく出ていなかったし
PAY DAY!!!』もなんだかなあ~という感じで
心が離れ気味だったのだけど、
これは前評判が高かったのと
文学〈2005〉』所収の「夕餉」が良かったので
いつか読もうと思っていたのでした。

成熟した大人の恋愛ですな~。
「夕餉」と「海の庭」が好き。
「風味絶佳」の不二ちゃんは……
もう一種パターン化したキャラなので食傷気味。
でも「素敵なおばあちゃん!」って思う人が
多いんだろうな。


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3:黒川康正 『できる人の「朝の時間」の使い方』

2008-01-09 12:32:06 | 08 本の感想
黒川康正『できる人の「朝の時間」の使い方―この2時間(ビフォア9)が人生を変える』(大和書房)
★★☆☆☆

「できる人」という言葉がタイトルについた本を読むのって
なんか恥ずかしいなあ~。
なんかおこがましいような気もして、
電車の中では読めません
いまさら「できる人」になれるとも思えず、どちらかというと
早起きのモチベーションアップのために
借りてきたのだけど……セレクトミスでした。

弁護士・公認会計士・通訳の「資格三冠王」である著者が
提案する「ビフォア9」の使い方、という内容なのだけど、
わたしは特に勉強したいことがあるわけでもないし、
目的自体が本のコンセプトと一致してませんでした。
それにわたし、こんな生活イヤだよ!
こんなネタばらしされたあとで、この人から年賀状がきたら
なんだか興ざめだなあ……
だれだってやってることかもしれないけど。

「仕事は忙しそうな人に頼め」って、一理あるけど、
自分が忙しくてヒイヒイ言ってるときに
「君に頼んだほうが効率いいから」
ってさらに仕事を回されたら、わたしは怒るよ!

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映画:『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

2008-01-08 15:22:01 | 映画の感想
映画:『ハリー・ポッターと炎のゴブレット
★★★★☆

これもお嬢様からお借りしました。

恋愛色が一気に濃くなって、青春ドラマ風味。
主人公3人組が急に「お年ごろ」になってしまって
ちょっととまどったけど、いまのところ、
シリーズ中いちばん好きなかも?
たしかに俳優自身が歳を重ねていて、特に子役の子たちは
最初と全然顔つきがちがうものね~。
ラストでハーマイオニーが
「みんな変わっていくのね」
みたいなことを言っていたけど、見ている人たちも
それには同感なのでは?

スネイプ先生って自分のこと、最初から「我輩」って
言ってたっけ?? なんか違和感……。
そしてヴァルデモードは弱すぎるよ


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映画:『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

2008-01-07 15:20:49 | 映画の感想
映画:『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
★★★☆☆

お嬢様が貸してくれました。

ブーム最高潮のころに原作を読みましたが、一巻で挫折。
ファンタジーって、文章が合わないとまったくダメ
映画版は好きなのだけど、熱心なファンというわけでもなく、
いったいどういう順番なのかわからないし
(本でもそうだけど、シリーズものは1とか2とか明記してほしい)
いったいどこまで見たのか、記憶もおぼろ……
今回も半分くらい見たところで
「あっ、これ見たことある!(しかもお嬢様から借りた!)」
と気づいたのだけど、ぜ~んぜん覚えてないの。
ハーマイオニーのピンクのパーカーが可愛いってことだけ
覚えてて、それで見たとわかったのです。

真相が明かされる肝心の部分がやたらとスピード展開で、
原作を読んでいないとかなりわかりにくい。
でも映像とか演出はきれいで良かったな。

そういえば、この巻で初めて、
「えっ、ハーマイオニーはロンなの!?」
と思った記憶もあり。
ハリーじゃないんだ……


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2:田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』

2008-01-06 14:24:29 | 08 本の感想
田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』(角川文庫)
★★★☆☆

【収録作品】
「お茶が熱くてのめません」
「うすうす知っていた」
「恋の棺」
「それだけのこと」
「荷造りはもうすませて」
「いけどられて」
「ジョゼと虎と魚たち」
「男たちはマフィンが嫌い」
「雪の降るまで」


蔵書整理のため再読。
恋愛小説の短編集。
表題作は映画化もされていましたね。
映画版は見ていないのだけどアレンジらしく、
この説明をどう映像化するのかなあ~と楽しみ。

表題作以外は、二十代後半以降の女性が主人公になっていて、
酸いも甘いもかみ分けた、恋愛に夢を見ていない女性が多く、
好きな男性と結ばれてハッピーエンド!では終わらず。
大阪弁の響きとは裏腹に女性たちの思考はドライ。
いまだに子どもらしさでいっぱいなわたしとしては、
ぼけ~っとなりゆきを見守っているしかない大人の世界でした
「わかる」んだけど、登場人物の言動に対して
あれこれ感想を言えない感じ。

表題作がいちばん好き。


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1:森鴎外 『舞姫 うたかたの記―他3篇』

2008-01-03 18:09:17 | 08 本の感想
森鴎外『舞姫,うたかたの記―他3篇』(岩波文庫)
★★★★☆

【収録作品】
「舞姫」
「うたかたの記」
「文づかひ」
「そめちがへ」
「ふた夜」

「舞姫」「うたかたの記」「文づかひ」は、
鴎外がドイツから帰国した後まもなく発表された
ドイツ土産三部作。
「ふた夜」はドイツの作家ハックレンデルの作品を
翻訳したもの。

再読の作品もあり、初読の作品もあり。
ドイツ土産三部作は、いずれも悲しくて美しい
ロマンチックな物語が雅文体で綴られているけれど、
やっぱり「舞姫」がいちばんかなあ。
白樺派の人々が「大事なところを書かない」というような
批判をしていたという話を読んだことがあるのだけど、
「舞姫」の「恍惚の間」のことなんだろうか。
主人公の豊太郎は、エリスと関係を結ぶときだとか、
なにか重大な決断をせまられるときには常に
「ショックで頭がぼんやりしてたんだよ~」とか
「知らないところでそうなっちゃったんだよ~」とか、
言い訳していて、本人が決断する前に
状況が進んでしまうのです。
逡巡とか決断の苦悩とかいうものが
ふわふわと表面的なところを漂っている感じ。
しかし文体と雰囲気は好きです。

「そめちがへ」は「」を使わずに会話を書いているので
非常に読みづらかった


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