金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

108:恩田陸 『ブラザー・サン シスター・ムーン』

2010-06-27 20:14:52 | 10 本の感想
恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)
★★★☆☆

三部構成で、三人のそれぞれの大学時代を描いているのだけど、
事件もなく、筋らしい筋もない。

高校の同級生で、同じ大学に進んだ綾香・衛・一。
何者でもなかった無為な大学の四年間に
それぞれが出会ったものと、
大学に入って疎遠になっていき、
道が分かれていった三人の関係を淡々と描く。

「C年」や「D年」が何のことだかよくわからなかったのだけど、
ネットで調べて解決。

読んでいるときはつまらなかったわけじゃないけれど、
もう一度読みたいとは思わないな~といった印象。
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107:徳永進 『死ぬのは、こわい?』

2010-06-27 19:58:22 | 10 本の感想
徳永進『死ぬのは、こわい? 』(よりみちパン!セ)
★★★☆☆

著者は鳥取のホスピス「野の花診療所」を開設したお医者さん。
診療所の「先生」が中学二年生の夢二をつれて
診療所の人々のところをめぐりながら、
生と死について語る。

いい内容だと思うし、
生死についての教育にふさわしい本ではある。
でも、ふわふわしたやさしい語り口ですすむ文体が
あまり好きではなく、そのせいかいまいち入り込めなかったな~。
好みではないけれどよい内容、ということで★3つ。
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106:松江哲明 『童貞の教室』

2010-06-27 19:43:18 | 10 本の感想
松江哲明『童貞の教室』(よりみちパン!セ)
★★★☆☆

これも、しゃちほこ村の全図書館に1冊という稀少本。
裏表紙はさくらんぼ、そして表紙の男の子が着ている
Tシャツの文字が「DT」という小ネタがしこまれたカバー。

ぜーんぜんエッチじゃない、と感じたんだけど、
中学生はどう思うんだろ。
自ら「童貞です!」とカミングアウトする昨今の若者に
対する違和感やメッセージ、
在日韓国人であった家の環境が影響したと思われる
十代のころの自分の心理や経験談を交えて語っている。
タイトルにはパンチが効いてますが、
ネタ本ではないまっとうな内容。
エッセイとしておもしろく読めました。
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105:平岩弓枝 『新・御宿かわせみ』

2010-06-27 13:25:22 | 10 本の感想
平岩弓枝『新・御宿かわせみ』(文藝春秋)
★★★★★

新シリーズの連載開始の時点で、
すでに文藝春秋誌面で驚愕の展開を知ってしまっていた。
ショックを受けて久しいので、怒りは感じない。
旧作はかなりマンネリ化しており、
実は東吾のことが好きじゃなかったのもあって、
世代交代に違和感もなし。
世の中が変わっていく明治時代の初め、
新しい世相を背景にした事件の数々がおもしろい。
旧作と新作の間に起こったできごとを知った時には
ショックを受けたけれど、新シリーズ、
いいんじゃないでしょうか。

源太郎と花世の恋にやきもき。
女と歩いてきた源太郎の横っ面をいきなり張り飛ばすなど、
花世はじゃじゃ馬というレベルを越えてすっかり野蛮人。
子どものころは一応お姫様なところもあった気が
するのだが……
麻太郎・源太郎・花世の組み合わせが好き。
しかし、旧作の主人公二人の娘である千春の
存在感の薄さといったら!
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104:山本史也 古代の音―続・神さまがくれた漢字たち』

2010-06-26 00:08:46 | 10 本の感想
山本史也『古代の音―続・神さまがくれた漢字たち』(よりみちパン!セ)
★★★☆☆

一冊目の『神様がくれた漢字たち』もかなり難解で、
語彙や抽象概念の問題でまず小学生には無理!
という感じだったのだけど、
二冊目のこれは中学生でも無理。
高校生でも危ういかも……

一冊目は漢字の「かたち」の成り立ちを中心に
語られていたのだけど、二冊目のこれは
ことばの始まりともいえる「音」にスポットをあてて
語られている。
ことばの呪術性についての話はおもしろかったし、
中国や日本の古代史料の引用も
個人的に興味深かったのだけど、
自分の考えを述べる際に断言する根拠が
示されていないことが多いので説得力に欠ける。
しかも、ここまで「読者にわかるように書こう」という
意志が感じられない文章は久々だ……。
ついてこられるやつだけついてこい!な一冊でした。
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103:平松洋子 『ひとりひとりの味』

2010-06-25 23:55:16 | 10 本の感想
平松洋子『ひとりひとりの味 』(よりみちパン!セ)
★★★★☆

著者のこと、わたしはなんとなく料理の先生だと
思っていたのだけど、そうじゃないのか。
肩書きはフード・ジャーナリスト、エッセイスト、らしい。

子どものころからの食べ物にまつわる体験や、
大人になってから出会ったインドや中国、韓国などの
外国の食文化についての話を交えながら、
国の味、家庭の味、ひとりひとりの味があること、
食事のマナーや喜びについて語る。

語り口やムードが好き。
著者のレシピも入っていて、
空腹時に読むと食欲を刺激されます。
塩豚がおいしそうだ~。
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102:中島義道 『狂人三歩手前』

2010-06-25 12:39:39 | 10 本の感想
中島義道『狂人三歩手前』(新潮社)
★★★☆☆

『新潮45』連載のコラム集。
『私の嫌いな10の人びと』と同じカラーなので、
早くも飽きてきてしまったのだけど、
夫婦喧嘩の末に奥さんに首をしめられたり、
「クレオパトラとインディアンを合成したような
ファッション」の山田詠美と会ったり、
ディテールの表現に笑ってしまう。
そして水谷修氏に相談してしまうところで
不謹慎ながら吹き出してしまった。
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101:石川直樹 『いま生きているという冒険』

2010-06-25 12:19:59 | 10 本の感想
石川直樹『いま生きているという冒険』(よりみちパン!セ)
★★★☆☆

冒頭の部分を読んで、
「もしや『○か国に行った』自慢のバックパッカーなのか?
 いやだなあ~」
という不安に襲われる。
そういう人の話とか文章って、「行った」とか
「(ガイドブックに載っているものを)見た」とか
いうところに話の主眼が置かれていて、
ほんとうにつまらないんだもん。

読み進めると、そんな不安は打ち消されて安心しました。
客観的に自分の変化を見つめ、
自分の思いを自分の言葉で語っているところに好感が持てた。
「ミクロネシアに伝わる星の航海術」の章が
とくによかったなあ。
未知の文化、未知の世界へ向き合おうとする
真摯な姿勢に胸を打たれる。
★3.5。
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100:宮沢章夫 『演劇は道具だ』

2010-06-21 11:21:38 | 10 本の感想
宮沢章夫『演劇は道具だ』(よりみちパン!セ)
★★☆☆☆

「遠回りな演劇入門」とあるように、
演劇についての説明や技術指導といった内容ではなく、
演劇というものの性質や歴史に触れながら
筆者が自分の考えや思いを述べているエッセイといった感じ。
演劇を世界や人間、自分を考えるための道具ととらえている。

正直、わたしは演劇の意義に興味がなく、
演劇ではどうしてもストーリーとか表現に
目がいってしまうので、
その本質について述べたこの本は
観念的すぎて読むのがつらかった……
内容が悪いのではなく、
わたしの興味と一致しなかったという理由で★2つ。
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99:伊藤比呂美 『あのころ、先生がいた。』

2010-06-14 23:43:20 | 10 本の感想
伊藤比呂美『あのころ、先生がいた。』 (よりみちパン!セ)
★★★☆☆

著者は詩人。
小学校から高校までに出会った先生たちとの思い出を語る。
おもしろかったりかっこよかったり尊敬できたり、
そんな先生じゃなくても、出会ったことでなにかしら
子どもに良い影響を与えることもあるんだなあ……と
思える一冊。
逆に出会っただけで悪い影響を与えることもあるんだろうけどね。

文字量が少ないのもあるけれど、リズムのよい文章で
さらさら~っと読めてしまう。
目からウロコ!みたいな新鮮な驚きはないのだけど、
中学・高校時代の空気みたいなものを
うまくいい表しているなあ~と感じるところも。
ほかの著作も読んでみたくなった。
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