金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

36:乗代雄介『皆のあらばしり』

2025-03-27 17:39:24 | 25 本の感想
乗代雄介『皆のあらばしり』
★★★★☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。
三島賞作家の受賞第一作。
 
幻の書の新発見か、それとも偽書か――。
高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。
人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、
男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。
うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。
ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。
 
****************************************
 
初めての作家さん。
 
小津久足って、江戸時代に実在した人物なのね。
栃木県の旧家に、世に知られていない小津久足の作品があると知った
男の指図を受けて、その本を所蔵する家に入り込んだことを
男に報告する主人公。
決められた法則の日に会う二人のやり取りで話は進む。
 
どんでん返しがあることは本の紹介文でわかっていたのだけども、
こういうどんでん返しか~!
確かに爽快、そして微笑ましさも感じる。
 
期待していた方向とは違うほうに話は進んだし、
登場人物の倫理観とか動機に納得できない点もあるのだけども、
面白かった。
ただし、会話の中心になっているものの地味さで脱落する人は
多いかもしれない。
作中でも言及されていたように、知らないものに対して人は冷淡だしね。
 
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35:安形麻理・安形輝『ヴォイニッチ写本 世界一有名な未解読文献にデータサイエンスが挑む』

2025-03-22 14:11:18 | 25 本の感想
安形麻理・安形輝『ヴォイニッチ写本 世界一有名な未解読文献にデータサイエンスが挑む』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
第一線の研究者が語るヴォイニッチ写本の最新研究

ヴォイニッチ写本、それは発見から1世紀余りが経過した今なお解読を拒む、
世界一有名な未解読文献である。
未知の言語とも暗号とも、時には捏造、デタラメとも言われるこの謎めいた本は
好事家たちの関心を集め、書誌学や情報学の専門家のみならず
多くの在野研究者が解読に挑んできた。
小説や漫画などのポップカルチャーにも多大な影響を及ぼしている。
本書はヴォイニッチ写本の研究に取り組む著者達が400年にわたる解読の歴史とともに、
データサイエンスを用いた最新の研究を解説し、
日本におけるヴォイニッチ写本紹介の先駆者である荒俣宏氏との鼎談を収録した、
最高のヴォイニッチ写本入門である。

特別鼎談 荒俣宏×安形麻理×安形輝 収録!
 
****************************************
 
研究の歴史――どんな説が出てそれがどんな風に否定されていたかということが
まとめられている。
コンピューターを使用した解析というものが具体的にどのように行われて、
どのようなことがわかったか、ということが理解できてよかった。
新説とか結論だけを知りたいという人には物足りないだろうけれども、
研究の過程を楽しめる人にはよい本では?
 
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34:toka『おうちにある100の幸せ』

2025-03-22 14:07:23 | 25 本の感想
toka『おうちにある100の幸せ』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
SNS総フォロワー数93万人!
Vlogが大人気のtokaさんによるおうち暮らしの最新刊。

・早起きしていつもと違うことにチャレンジ
・夜のお茶会
・小さなおかずを楽しむ豆皿定食
・毎週水曜日は息抜き献立
・身近なものをときめきでいっぱいにする
・1日を心地よくスタートする朝のケア
・季節のお花を楽しむ
・ひたすらのんびりする日を作る
・自分メンテナンスday
・おうち映画館 …etc.

食のこと、自分磨き、趣味、家事、特別な日の過ごし方…etc.
暮らしを好きでいっぱいにするアイデアがたくさん。
何気ない日常の中にあるささやかな幸せを
今日から1つずつ叶えていきませんか?
 
****************************************
 
ファンなので買った。

You Tubeで似たような「女の子の暮らし」系Vlogはいくつか見てみたけど、
継続して見てるの、彼女のものだけだ。
理由を考えてみたけど、他の多くのVlogが行った店や買ったものを見せる消費中心の内容なのに対して、
彼女は生産中心で、ポーズだけじゃなくて本当に作ることを楽しんでるから好きなんだな。
結婚して二人暮らしになっても、よい意味で生活感がなく、
オタク要素を含みつつ、穏やかで可愛い世界観を維持しているのもよい。

忙しくて生活が荒れているときに、暮らしを楽しむことを思い出させてくれる。

 

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33:原田実『トンデモ日本史の真相 人物伝承編』

2025-03-20 21:34:10 | 25 本の感想
原田実『トンデモ日本史の真相 人物伝承編』
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
大河ドラマや歴史小説、都市伝説雑誌等で紹介される日本史上のエピソード、
「あれ、ほんとなのかな?」と気になったことはありませんか?
日本の歴史でまことしやかに語られてきた奇説・珍説・伝承等を徹底検証!
文庫化にあたり、「福澤諭吉は侵略主義者だった?」を追加。(解説・芦辺拓)
[奇説・珍説・異端日本史の例]
『竹内文書』『秀真伝』『富士宮下文書』は真実の書/三輪山はニギハヤヒの墓/
聖徳太子非実在説/聖徳太子の地球儀/フルベッキ集合写真/
日本の原爆開発を止めたのは昭和天皇/聖徳太子は予言者/安倍晴明は美貌の貴公子/
明智光秀は利休・天海として生き延びた/松尾芭蕉は隠密/
日本の近代化は中居屋重兵衛が推し進めた/アインシュタインの「日本は世界の盟主」演説/
出口王仁三郎は史上最大の予言者/竜宮城はポナペ島に実在/「君が代」は古代王朝の挽歌/
安東水軍は十三湊の大津波で滅んだ/漂泊民サンカの暗号文字、他
 
****************************************
 
内容が重複しているとは知らず、題名だけ見て取り寄せてしまった。
先に書いた『トンデモ日本史の真相』の後半部分加筆訂正したものだそう。
目次の対応を見ると、単行本版の第4章以降を収録した模様。
内容紹介にあるとおり、福沢諭吉の「脱亜論」に関する章だけが
新規の内容だった。
単行本版はもう新品では手に入らないけど、こっちの文庫版はまだ入手できる。
 
検証し虚偽を暴いたところで、信じたい人は聞く耳を持たないだろうから
トンデモ説が滅びることはないのだろうけれども、
こういうふうに多種多様なトンデモ説が生まれ、それに対する反論がなされる、
この流れが面白くて読んでいて楽しい。
 
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32:原田実『トンデモ日本史の真相』

2025-03-19 11:22:09 | 25 本の感想
原田実『トンデモ日本史の真相』(文芸社)
★★★★☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
と学会・山本弘会長推薦! 
フルベッキ集合写真/武田信玄は騎馬民族の子孫/
安倍晴明は美貌の貴公子だった/与那国島海底遺跡/
出口王仁三郎は史上最大の予言者/信長はカトリックの謀略で殺された/
聖徳太子は実在しなかった/『竹内文書』『東日流外三郡誌』『秀真伝』『富士宮下文書』/
日本のピラミッド/サンカ文字と豊国文字/秀吉の墨俣一夜城/
古代文字を刻んだペトログラフ/日本のレイライン/秦の徐福/聖徳太子の地球儀/
アインシュタインの「日本は世界の盟主」演説...など、
奇説や異端の書を「と学会」の俊英が徹底検証。
 
****************************************
 
一時期、こういう偽書関係の本をよく読んでたな~と懐かしくなった。
戦国武将から超古代遺跡、日中交流や皇室関係、
予言・霊能者、神話・伝説・文字……と
様々な分野の「巷説」を紹介したうえで「検証」を加えた労作。
知らないトンデモ説もあって楽しめた。
非現実的であればあるほどトンデモ説はおもしろいのだけども、
今もネットでこういう説を「事実」として紹介している人の心理に
とても興味がある。
怪談話と同じようにエンタメとして楽しんでいるのか、
事実としているならば、他の史料や現実の技術レベルと
どう折り合いをつけているのか。
 
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映画『早乙女カナコの場合は』

2025-03-19 11:04:21 | 映画の感想
2025年の映画①『早乙女カナコの場合は』(矢崎仁司 監督)
★★★★☆3.5
 
【公式サイトのあらすじ】
 
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。
入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、
そのまま付き合うことに。
就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。
長津田とも3年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。
⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。
サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。
そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。
編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。
大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方は―
 
********************************
 
映画館にて。
 
原作は柚木麻子の『早稲女、女、男 』。
原作が好きだったのと、好きな俳優&女優さんが出ているのとで、見た。
原作は各大学の「あるある」を集めた(と思われる)面白さがあったのだけれども、
ジェンダー観の変化を反映し、カテゴライズすることを避けたとのことで、
大学名は変えられていたし、「大学の特徴」としては描かれなかった。
 
もともと原作が恋の成り行きについて「事後報告」の形を取っていることが多かったし、
主人公を変えたオムニバス形式の小説を映画では一本の話にしたためか、
ややダイジェスト感があったし、変に説明的なセリフもあった。
小説では描写されていた内面が、映像では描けないのもあって
説明不足になってしまっていたところや、
そのせいでセリフが取ってつけたようになってしまったところもあった。
でも、橋本愛ちゃんはヒロインのかたくななほど
生真面目なキャラクターによく合っていたし、
麻衣子役の山田杏奈ちゃんも第二の主人公と言えるぐらい魅力的だった。
バリキャリの慶野先輩も、ゆるふわモテ系の麻衣子も、
ハイスペ男子の吉沢先輩も、主人公に恋された長津田も、
だれもかれもがうまくいかない恋をしているときはみっともなくて、
見ていて恥ずかしくなってしまう。
一方通行の恋はこうなんだよな。
 
中川大志くんは『Eye Love You』と同じくらいの時期に撮っていたのかな。
ドラマが30歳の設定だから増量したのかなと思っていたけど、
あっちではちゃんと格好よく、こっちではキラキラがほぼ封印されていた。
口ばかりで何事もなさず、約束も守らないうえに
大手に就職が決まったヒロインに嫉妬するダメ男・長津田を
ヒロインが思い切れないのが、「見た目がかっこいいから」じゃない、
という説得力が出ていてよかったと思う。
まともな社会人のハイスペ男にヒロインを取られるかもしれないという段になって
急に態度を変えて言い寄ってくるところとか、見ていてもまったくときめかず、
「うおー! 恥ずかしい!!! やめて~!」
とみっともなさに顔を覆いたくなったもん。
それでいて、「それでもやっぱり吉沢先輩じゃなく長津田が好き」と
カナコが思い切れない理由もわかる。
 
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大河ドラマ「べらぼう」♯11

2025-03-16 20:36:40 | 2025年に見たドラマ・アニメ

芸能人を前におおはしゃぎする安達祐実、めちゃ可愛い!!

忘八たちが味方になっただけでなく、

アイディアも出して一緒に尽力するようになって

完全にチームになってるのいいね。

そして大金をかけた本が売れなくてもへこたれずに

次のアイディアを実行に移す主人公のメンタル、

相変わらず凄すぎる。

 

狙ってた直伝を蔦重にかっさらわれた鱗形屋にも、

ちゃんと味方になってくれる作家がいるのも良い……

鱗形屋を切り捨てた藩に恋川春町が所属してたのって

史実なのかな??

 

検校が怖すぎて、この先、花の井が不幸になる予感しかしない。

 

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株主優待の記録(2025年2〜3月)

2025-03-15 22:56:36 | 株主優待の記録

■アヲハタ

2月21日

ジャム3種類、ミルキーホイップ……賞味期限2026年1~2月

メモ帳、ウェットティッシュ

 

■ハウス食品

3月1日

ココイチ優待券1000円分、レトルトカレー、カレールー、

シチューのルー、生わさび、七味唐辛子

 

■キユーピー

3月3日

パスタソース、マヨネーズ、ドレッシング

ジャム

 

■すかいらーく

3月14日

優待券 5000円分

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31:榎本博明『「対人不安」って何だろう?』

2025-03-03 10:56:02 | 25 本の感想
榎本博明『「対人不安」って何だろう?』
★★★☆☆
 
【Amazonの内容紹介】
 
友だちといっしょにいてもホンネを出せない自分がいる。
嫌われることを恐れ、気づかいに消耗している……。
そこにはどんな心理メカニズムがあるのだろう。
若者が抱える「対人不安」とそれを活かす方法を考える。
 
****************************************
 
ずいぶん前に、仕事のために読んだもの。
「ずっと同じ話してるな……??」
という感想が先に立ってしまうし、
ある程度歳を重ねた人間、類似本を読んだことのある人間にとっては
知っていることがほとんどで新しい知見みたいなものは少ないと思う。
でも、中高生や大学生たちにとっては、
「自分だけじゃなかったんだ! みんな同じなんだ」
ということが、さまざまな例を挙げてもらうことで腑に落ちるだろうし
救いにもなるんじゃないだろうか。
 
私は大人になってから、仕事柄、
毎日顔をつきあわせる固定された人間関係というものがなくなったので、
人間関係で悩むことがほぼなくなり、ものすごく楽になった。
でも、やっぱり学生時代は、
関係が密だからこそ起こる愛憎や、
コミュニケーションの失敗が死活問題になる状況に
リソースの多くを奪われてきたので、悩みはわかるよ……と思う。
「大人になったら関係なくなる」と言われても、
今目の前の問題が切実なのであって、
「先」のことなんかで救われたりしないよね。
 
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大河ドラマ「べらぼう」♯4〜8

2025-02-23 21:13:58 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー

序盤で感じた不快な要素は割と早めに薄らいで、

第6話あたりからかなり面白くなってきた。

強烈に惹かれる要素がない反面

(好きな登場人物は、花の井くらい)、

マイナスも少なく、

ストーリーに起伏がしっかりあって

ドラマとして面白い。

「幼なじみの鈍感主人公&ツンデレ優等生の恋模様」

「序盤の敵が頼もしい味方となって新たな敵に立ち向かう」

という定番設定も心憎いね。

 

何より主人公が序盤から有能で

メンタル強すぎ&機転が利くの、

割と新しいのでは?

演じる横浜くんがちょっと無理しているような

不自然な感じはあるし、

あまりにもスペックが高くて人間味はないんだけど、

主人公がこうだと見ていてストレスがない。

そして、卑怯な面から描かれてきた鱗形屋が、

本が好きで仕事に夢を持っていて、

ちゃんと実力で反撃してくるところ、

蔦重の仕掛けがうまくいったらいったで、

女郎たちに過重労働のしわ寄せが来るところ、

きちんと多面的に描いているのも良し。

 

毎回、展開にドキドキしつつも、

クオリティに関しては安心して見てられる。

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
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