金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

85:恩田陸 『蒲公英草紙―常野物語』

2006-04-29 11:03:11 | 06 本の感想
恩田陸『蒲公英草紙―常野物語』(集英社)
★★★★☆

『常野物語』の続編。
東北の農村の旧家の人々と、そこにやってきた常野の一家をめぐるできごとを
少女の視点から追憶の形で描いた物語。
聡子の決断のところで泣いてしまった……。
20世紀初頭の、急激な時代の流れとその中にいる人々の戸惑いや悲しさ、
常野一族と激変する日本社会の対比が印象的。
でもやっぱり『常野物語』ほどのインパクトはないなあ……ということで
★4つ。

好きな女の子をいじめてしまう、典型的悪ガキの廣隆様にときめき。
お約束のロマンスに弱いのです。

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84:野沢尚 『ステイ・ゴールド』

2006-04-28 11:04:40 | 06 本の感想
野沢尚『ステイ・ゴールド』(幻冬舎文庫)
★★★☆☆

コンセプトは少女版「スタンド・バイ・ミー」だそうです。
(実はわたし、「スタンド・バイ・ミー」はまだ見ていません)
自殺した親友への思いを胸に、彼女との友情を永遠にするべく自然の中を旅する
三人の少女たちと、それを追う教師二人の物語。
あとがきによると意図的にだったということだけれど、
一人称形式で語り手が見ていないシーンまで書いてしまうのには、
やはり違和感があります。
全体的に説明不足の感があって、奈美のキャラクターも、
少女たち三人の関係も、大人ふたりの恋もいまいち輪郭がはっきりしない。
もっと書き込まれていてもいいのでは?……と思っていたら、
映画のノベライズだったのでした。
映像だとやっぱり情報量がちがうんだろうなあ。
紅葉や水源の情景の美しさも印象的だし、ストーリーも好みだったので、
映画版を見てみたい。
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83:はやみねかおる 『都会のトム&ソーヤ〈1〉』

2006-04-26 11:06:08 | 06 本の感想
はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ〈1〉』(講談社 YA! ENTERTAINMENT)
★★★★☆

夢水シリーズをまだ読み終わっていないのだけど、図書館で発見したので。
分厚いな! と思ったけれど、児童書なので字は詰まっていないし、
短編二本立てという感じなので気楽に読めました。
ミステリー要素も含みつつ、基本的には冒険もの?なのかな?
やたらとサバイバル能力に長けた主人公と、創也のコンビネーションが楽しい。
創也のキャラクターがときどきブレるのが気になるけれど、
これもギャグの範囲内か。挿絵も可愛いくていいですね。
シリーズの核は栗井栄太さがしなんでしょうか。
2巻以降に期待大。

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82:谷川俊太郎訳 『マザー・グース (1)』

2006-04-21 11:08:47 | 06 本の感想
谷川俊太郎訳『マザー・グース (1)』(講談社文庫)

あれこれ出ているので迷いましたが、谷川訳の評判がいいようなので
全巻購入。
和田誠氏のイラストもかわいらしくてよい感じ。
童謡なので、好み度とか評価の対象ではありませんが、
個人的には巻末の原詩についている解説が興味深い。
神話や伝承のようなものも、いつもテキストそのものより
解釈に興味がいってしまうので。
原詩とてらしあわせながら、訳し方に注目してみるのもおもしろい。

ひさしぶりに荻原規子『樹上のゆりかご』を読み返したくなってきた。
学園ものとか日常ものが好きなので、既読の荻原作品の中では
いちばん好きです。
そういえば『風神秘抄』を読むのをすっかり忘れていたな!

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81:大島真寿美 『香港の甘い豆腐』

2006-04-20 11:10:15 | 06 本の感想
大島真寿美『香港の甘い豆腐』(理論社)
★★★☆☆

母との口論をきっかけに、突然母に香港に連れらて来られた高校生の彩美。
「いないもの」として言い訳に使ってきた「父親」に引き合わされ、
香港の人々とふれあい、閉じていた世界が広がっていく。
それまでの日常が彩美の説明だけで済まされており、ロマンスもなく、
好みかといったらそうではないのだけど、淡々とつづられる
押し付けがましさのない前向きな展開に、優しい気持ちになれました。
単純だけど、香港行きたいなあ!!と思いました。
アジアのごはんをがっつり食べたい。
久々に海外旅行へと心が動きました。
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80:オルコット 『若草物語』

2006-04-19 11:11:49 | 06 本の感想
オルコット『若草物語』(青い鳥文庫)
★★★★★

なつかしいなあ!
小学校の頃にアニメ絵本で読んだのが最初で、そのあと原作版も読んだのでした。
二十年ぶりの再読ですが、貧しいながらも仲のよい幸福な家庭、
家族の危機に力をあわせ、それぞれに成長していく四姉妹の姿が魅力的。
人気者はジョーなのだと思うけれど、わたしは子どものころからだんぜんメグ派。
アニメ版の金髪&緑の服の組み合わせに心をわしづかみにされ、
美人なおねえさま設定に心をひかれたものでした。
女の子についての好みも昔から変わらないのね……
いま読むと、ローレンス氏とベスの組み合わせにときめきます

続編は実写映画版でちらりと見た記憶しかないのだけど、
たしかローリーはエイミーとくっつくんだよね。
続編もさがしてこよう。


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79:中野由貴 『宮沢賢治のお菓子な国』

2006-04-18 11:16:41 | 06 本の感想
中野由貴『宮沢賢治のお菓子な国』(平凡社)
★★☆☆☆

賢治作品に出てくるお菓子をテーマにした、
エッセイのようなレビューのような一冊。
作品も研究書もわりと読んでしまっているので目新しさは感じなかったけれど、
ほのぼのとしたイラストと語り口に味があって、
宮澤賢治に興味を持つきっかけになるかもしれない。
作家研究のコーナーにあったけど、児童書コーナーに置いたほうが
いいんじゃないかなあ。

「バナナ」の章でとりあげられているのは、劇「飢餓陣営」。 
かつてひとりで花巻に行ったとき、バスターミナルで出会ったお兄さんが
「バナナン大将のクッキー」をなぜか一パックまるごとくれたのを思い出した。
バナナ香料は苦手だけど、おいしかった。

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78:多和田葉子 『球形時間』

2006-04-17 11:18:18 | 06 本の感想
多和田葉子『球形時間』(新潮社)
★★★☆☆

正確には、読み終わったのは昨日。
一部教材に使われていたのを読んで以来、気になっていた本。
女子と男子、ふたりの高校生の日常をファンタジックに描いた物語。
この方の本を読んだのは初めてで、ほかの本がどうなのかわからないけれど、
文章がかなり特徴的。
勘弁してよ! というような描写もありましたが、引き込まれて一気に読了。
イザベラ・バードが登場する意味はいまいちよくわからなかった。

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77:宮本輝 『青が散る』

2006-04-15 11:19:44 | 06 本の感想
宮本輝『青が散る』(文藝春秋)
★★★★☆

まったく、どいつもこいつも、なんで夏子がいいんだよ!!

……と超個人的な好悪で★ひとつマイナス。
実在したらホント、異性には好かれるけど同性に嫌われるタイプ。
キャラクターに妙なリアリティを感じました。
個人的にはひそやかなるマドンナの祐子ちゃんが好き。

そんなこんなで★4つですが、十分おもしろかったです。
新設大学でテニスにあけくれる学生たちの青春小説。
学生時代の終わりとともに次々と降りかかってくる悲しいできごとと、
それにともなう喪失の痛み、無力感にしんみり。
読み終わったあと、夏の合宿の夜に燎平と金子、安斎、貝谷が
話をしていたシーンがよみがえってきて、
二度と戻らない季節の輝きに胸がいっぱいになってしまいました。

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76:バーネット 『秘密の花園』

2006-04-14 11:21:28 | 06 本の感想
F・H・バーネット『秘密の花園』(福音館書店)
★★★★★

籐子ちゃんのところのレビューを見てから、
ずっと読みたいなあと思っていた一冊。
この話に関するわたしの知識は、
子供向けのダイジェスト版絵本と、昔ちらっと見ただけのアニメ
(ハウス名作劇場だと思ってたら、NHKだった!)
のみで構成されていて、原作を読むのは初めて。
主人公はわたしの中では「メアリ」なのだけど、この訳では「メリー」。
ディッコンとコリンが登場したあたりから話が俄然おもしろくなり、
コリンが花園に足を踏み入れた場面の美しさには
頭がぼんやりしてしまうほど!
劇的に変化していくメリーやコリンの内面、
子ども時代の幸福を絵に描いたような世界にじんわり胸を打たれます。

映画版のオリジナル続編があるという話をちらりと見かけたけど、
本当なんでしょうか。見たいなあ。


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