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【Amazonの内容紹介】
平安朝をうつす日記『小右記』を綴った藤原実資。
かの藤原道長のライバルと言われた実資には、
“千歳まで生きてほしい”との願いをこめて、
千古と名づけた娘がいた。
王朝貴族として幾多の縁談に翻弄される姫君、
藤原千古の運命とは…。
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実資が歳をとってからできた女の子を溺愛したこと、
モーロクしちゃったこと、遺産の大部分をその子に残したので
結果として小野宮流が衰退しちゃったこと……は知っていた。
でも実資の人生の詳細、そして千古のたどった運命については
知らなかったので非常に興味深く、楽しく読んだ。
道長や彰子、その周辺が、
他の家を辱めるために零落した姫君を出仕させ、
出仕しない者は心身に欠陥があるといって侮辱した……という話、
ほんとうに嫌な気分になる。
(ただ、ここ、「客観的な事実ばかりではなく、著者の描くイメージに沿っての
記述では?」とも感じられたので、本当にそうだったのかはわからない)
幸いにも千古はそうなることを免れたけれども、
父や夫を失った高貴な姫君が生きていくというのは
大変なことだったにちがいない。
傘下にあった受領国司たちが千古の裳着のために
経済的な負担を強いられたり、
実資の養子やその血縁者まで動員されていたりと、
貴族同士の関係がうかがい知れるのもよかった。