金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

168:長野まゆみ 『コドモノクニ』

2005-12-31 13:34:12 | 05 本の感想
長野まゆみ『コドモノクニ』(河出書房新社)
★★★★☆

ずっと敬遠していた作家さんでした。
中学生のころに読んだ『雪花草子』で気分が悪くなり、
本のあらすじを見るたびに「男の子どうしのいちゃいちゃ」を思い、
その本に偏見に満ちた視線を送っていたのですが、
これはすごく好みでびっくり!
それらしい要素もちらりと出てくるのだけど、
小学生~中学生にかけての女の子の物語で、ふわふわしたはかない雰囲気。
制服に凝った刺繍をしてみたり、チェーホフの「桜の園」を朗読してみたりと
少女なりの美意識を張り巡らした生活ぶりが楽しい。
ストーリーよりはディテールがおもしろくて、
三日かけてお風呂で読んでいました。
江國香織さんの初期の作品が好きな人にも楽しめると思う。
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167:川島誠 『セカンド・ショット』

2005-12-30 13:32:46 | 05 本の感想
川島誠『セカンド・ショット』(角川文庫)
★★★☆☆

帰り道に読むものがなくなってしまったため、購入。
この人のスポーツものを読みたいなあとずっと思っていて、
本屋にそれがあったのに、なぜかこっちの短編集を買ってしまった。
結果、失敗。
オィディプス症候群に、スカトロジー。
どうしてそこでわざわざコレを持ってくるのだ……と気分が悪い。
表題作「セカンド・ショット」と「悲しみの池、歓びの波」はおもしろかった。
今度は『800』を読んでみたい。

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166:湯本香樹実 『西日の町』

2005-12-30 13:31:44 | 05 本の感想
湯本香樹実『西日の町』(文藝春秋)
★★★☆☆

悲しくてやさしい、西日の雰囲気の物語。
大人になった主人公が、祖父である「てこじい」と母と三人で暮らした短い時間を
回想する形で物語はすすむ。
破天荒な生き方をしてきた祖父と、ひとりで息子を育ててきた母の、
人生と悲しみ、愛情が、少年の視点で切り取られていて、
記憶のやさしさが静かに胸にしみる。
どちらかというと『ポプラの秋』の方が好きなのだけど、よいお話でした。
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165:吉田修一 『ランドマーク』

2005-12-29 13:30:32 | 05 本の感想
吉田修一『ランドマーク』(講談社)
★★★★☆

高層ビル建設に関わる二人の男性の物語が交互に描かれる。
二元構成の物語はラストで交錯。
最後に暗示されるふたりの未来のコントラストが印章的。
気味が悪いような不安な感じのなかにも、
男性用貞操帯をつけてみたり、壁一面に毛皮を貼ってみたりと、
わけのわからないユーモアがちりばめられていて笑わせる。
わかりやすさ、すっかりした読後感はないので、好き嫌いはわかれそう。

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164:河崎愛美 『あなたへ』

2005-12-28 13:29:21 | 05 本の感想
河崎愛美『あなたへ』(小学館)

15歳で小学館文庫小説賞を受賞した河崎さんのデビュー作。
……無理でした……
心の汚れたわたくしには読み通すことができませんでした。
後半は筋だけ追って斜め読み。
中学生の頃って恋する自分に酔うというか、
自分の恋を特別なものだと思いこむ傾向があって、
そういう点ではリアルな世界なのかなあと思うのだけど。
会話文に「」を使わず前後一行ずつ空けるという手法と、
一貫したデスマス体も、入り込めない原因だったかも?
古典的な展開のピュアな恋愛小説で、ヒロインと同世代のころに読んだら
心動かされたかもしれない。

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163:森絵都 『つきのふね』

2005-12-28 13:27:55 | 05 本の感想
森絵都『つきのふね』(角川文庫)
★★★★☆

ずっと読みたいと思いつつ、図書館に入っていないため読めないままだった作品。
このたび文庫落ちしてめでたく入手!
森さん特有のキャラクター造形(勝田くんとか)には今回も笑わせてもらいました。
近年の作品にくらべるとやっぱりこなれた感はないのだけど、
そこがまたいい感じ。
ユーモアとせつなさが同居したストーリー。
ラストの二行で胸がいっぱいになってしまいました。
おもしろかったです。

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162:高山なおみ 『日々ごはん〈2〉』

2005-12-27 13:26:40 | 05 本の感想
高山なおみ『日々ごはん〈2〉』(アノニマ・スタジオ)
★★★★☆

図書館にいくと④→③→②と一冊ずつきちんと逆の順番で遭遇する。
不思議だ……。結局本当に逆行するかたちで読むことに。
文章のトーンが好きで、気軽にすいすい読めてしまう。
高山さんってとても魅力的な人だという気がする。
最初は「?」だった人間関係もちょっとずつわかってきた感じ。
本の紹介もおもしろい。気になるのが何冊かあったので今度読んでみよう。

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161:乃南アサ 『凍える牙』

2005-12-27 13:25:32 | 05 本の感想
乃南アサ『凍える牙』(新潮文庫)
★★★★☆

男社会の警察で苦闘する女性刑事の物語。
わたしはキャリア志向もないし女性蔑視を実際に体験したことはないけれど、
彼女の憤りや齟齬をきたす感じはわかるような気がした。
サスペンスとしてのストーリーもおもしろかった。夢中で一気読み。
ヒロインの内面が善くも悪くも女性的すぎて好きではなかったのだけど、
乃南作品らしい感じもする。
解説はないほうがよかったな……。
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160:竹内真 『図書館の水脈』

2005-12-24 13:24:10 | 05 本の感想
竹内真『図書館の水脈』(メディアファクトリー)
★★★★☆

『自転車少年記』がすごくよかったので、ほかの著作にもあたってみようと。
村上春樹へのトリビュート小説。
トリビュートってなんじゃい、と英語力のないわたしが調べてみたところ、
「賛辞」の意味でした。
村上春樹の小説に導かれて出会った人々の物語。
村上作品だけではなく、芦原すなを、徳富蘆花、セルバンテスをはじめとした
作家・作品が登場する。
本と図書館を愛し、ものを書くことに特別な思いを寄せる人にとっては、
胸にせまる物語だと思う。
別々に進行する二つの世界が出会うという構成は、
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を意識してのこと?
村上春樹の本は一部しか読んでいないので、またあらためて
チャレンジしてみたい。
竹内さんの女性の描き方が好きです。

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映画:『木曜組曲』

2005-12-23 13:22:49 | 映画の感想
『木曜組曲』(篠原哲雄 監督)
★★★★☆

深夜に放送していたもの。
恩田陸の原作が好きだったので見てみたのだけど、
期待を裏切らない出来。
原作を読んだのがずっと前だったせいか、原作とのギャップ、
違和感は感じませんでした。
厚化粧の浅岡ルリ子が時子役にぴったりだったし、
服装で登場人物の個性をうまく表現している。
原作でははっきりした真相は語られていなかった記憶があるのだけど、
映画オリジナルの演出もよかったです。
原作を読み返したくなりました。

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