金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

10:岡田芳朗・松井吉明 『年中行事読本:日本の四季を愉しむ歳時ごよみ』

2018-04-16 12:17:53 | 17 本の感想
岡田芳朗・松井吉明 『年中行事読本:日本の四季を愉しむ歳時ごよみ』(創元社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

盆正月や節句など季節ごとのしきたりから、
全国各地の神社仏閣での祭事まで、現代に生きる年中行事の数々を、
四季別・月別で一年分網羅。
それぞれにこめられた歴史や意味を、
身近な生活文化に即して解説した読み物事典。

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暦関係の本を手に取ると、かなりの確率で著者がこの岡田氏。
亡くなられたようだけど、暦の研究の第一人者だったとのこと。

暦や行事の成り立ち、地方による違いが説明されていて、
これまでに読んだ類書に比べるとかなりディープに、
だけど読みやすくとっつきやすく書かれている。
知らなかったことがたくさんあって、読み応えあり。
とても良い。

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9:吉本とも子『収納家具いらずの片づけ図解百科』

2018-04-16 12:04:57 | 17 本の感想
勝間まなみ 『収納家具いらずの片づけ図解百科』(主婦と生活社)
★★☆☆☆2.5

【Amazonの内容紹介】

片づけがらくな家をつくるには…
片づけのプロ「レジデンシャルオーガナイザー」が伝授!
スッキリをらくに維持する住まいのつくり方。
建築士も気付かない!モノが増えても使い勝手のいい収納計画。

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今ある家で工夫する方法を紹介しているのかと思ったが、
これから家を作るorリフォームする人向けの内容だった。
玄関クローゼットとか、家事室とか、
これから家を作る人に向けて「こうすると便利!」と
アイディアを提供している。
ターゲットはかなり絞られるし、個人的なニーズには合致しなかったけど、
夢がふくらむ内容なのはいいね。

それにしても、最近出ている本の、
著者の肩書の多様さには驚かされる。
「レジデンシャルオーガナイザー」って
初めて聞いたわ。

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110:藤沢周平 『一茶』

2017-12-02 20:23:43 | 17 本の感想
藤沢周平 『新装版 一茶』(文春文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

生涯、二万に及ぶ発句。
稀代の俳諧師、小林一茶。
その素朴な作風とは裏腹に、貧しさの中をしたたかに生き抜いた男。
遺産横領人の汚名を残し、晩年に娶った若妻と
荒淫ともいえる夜を過ごした老人でもあった。
俳聖か、風狂か、俗事にたけた世間師か。
底辺を生きた俳人の複雑な貌を描き出す傑作伝記小説。

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小林一茶の実像というものが、

雪とけて村いっぱいの子どもかな
やせ蛙まけるな一茶これにあり
我ときて遊べや親のない雀

などの句からイメージされるような好人物ではない、
ということはすでに評論で知ってしまっていたので、
そういう点では驚きはなかった。
でも、教科書に取り上げられているような句しか
知らなかったら、この小説も衝撃的だっただろうな。

おもしろいか? といったら否。
継母との不仲から故郷を離れて江戸に出て、
俳諧師としての道を歩み始めたものの、
経済的にも困窮し、義母や異母弟と父の遺産をめぐって争い、
田畑をふんだくった挙句、年若い妻の体におぼれ……と
まったく美しくない、胸のすくような展開がひとつもない伝記。
自己中心的で根性がねじ曲がった男の一代記としては
予想通り。

ただ、俳諧師として大成できずに歳をとっていくことに対する焦り、
生活の苦労を知らなかったり、
有名になりもてはやされたりする俳諧仲間に対する
妬みやひがみの感情なんかは、身につまされてしまう。

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103-109:灰原薬 『応天の門1~7』

2017-11-28 21:58:25 | 17 本の感想
灰原薬 『応天の門1巻~7巻』(新潮社)

【Amazonの内容紹介】

時は平安、藤原家が宮廷の権力を掌握せんと目論んでいたその頃、
都で突如起きた女官の行方不明事件。
「鬼の仕業」と心配する帝から命を受けた・在原業平は、
ひとりの青年と出会う。
その少年の名は――菅原道真。
ひきこもり学生の菅原道真と京で噂の艶男・在原業平――
身分も生まれも違う、およそ20歳差のふたりが
京で起こる怪奇を解決!? 
「回游の森」「SP」の気鋭・灰原薬がおくる、
平安クライム・サスペンス!

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ずいぶん前に読んだ。
漫画の感想はふだん残していないんだけども、
8巻を読むまでに間が空きそうなので
再読がてらメモ。

学習漫画以外で、この時期を舞台にした作品って珍しい気がする。
伴善男や源融にスポットがあたってる時点で、
歴史オタにはときめき不可避でしょう。
藤原良房&基経が敵役で、主人公サイドが道真&業平って時点で
悲劇の予感しかしないのであるが、そこをどう描くのかというところにも
期待大。

ストーリーは、平安京で起こる大小の事件の謎解きという横糸に、
宮中での権力争いという縦糸が絡んだ作り。
7巻は、良相が兄の良房を出し抜いて取り付けた
多美子の入内まで。
コラムも面白い。

【覚書】
・良房と良相、基経、高子と、一族内でぎすぎすしまくった藤原北家。
・だんだん伴善男を好きになってしまう作り。
 お父ちゃんの化け物じみた気力に対して、息子が気弱すぎ……。
・忠臣が師である是善のもとを離れ、基経に従う動機が
 回想で明かされて苦しい。
・今後も何かやらかしそうな紀豊城
・深刻な若いイケメン不足(おっさん率高し)

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102:瀬尾まいこ 『あと少し、もう少し』

2017-11-09 20:52:59 | 17 本の感想
瀬尾まいこ 『あと少し、もう少し』(新潮社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

陸上部の名物顧問が転勤となり、代わりにやってきたのは
頼りない美術教師。
部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り
練習をはじめるが……。
元いじめられっ子の設楽、不良の太田、頼みを断れないジロー、
プライドの高い渡部、後輩の俊介。
寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。
あと少し、もう少し、みんなと走りたい。
涙が止まらない、傑作青春小説。

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入試問題に頻出の作品。
読んだのは単行本版。

紹介文にある「涙が止まらない」は大げさじゃないかなあ。
泣ける要素がまったく見当たらなかったのだが……?

かといってつまらないわけではなく、
たいへんおもしろいし、一般受けするだろうから
安心して人にすすめられる。
中学生たちが可愛いし、ユーモアがちりばめられていて
吹き出すところが多かった。
「不良の大田」や「プライドの高い渡部」が、設定のわりに
ちょろくて素直なのが、物足りない反面、
かわいらしさ・親近感につながっているし、
トラブルも引きずることなく割とあっさり解決するので
ストレスがない。
いちばん闇を抱えているのが、さわやかな桝井というところが
ある種期待通り。

キャラクターたちがたいへん良いので、もっと読みたいな~と
思ってたら、スピンオフが出ている模様。

スポーツものというより、青春ものとしておすすめ。

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101:瀬尾幸子 『昭和ごはん 作れる思い出レシピ』

2017-11-04 09:30:00 | 17 本の感想
瀬尾幸子 『昭和ごはん 作れる思い出レシピ』(講談社)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

昭和の味を思い出とともに再現できる料理本
幼いころ食べた懐かしい味を、
料理研究家がインタビューしながら再現、
思い出深い味が簡単に作れるレシピと、
昭和の生活が浮かび上がる珠玉の1冊

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ごはんというよりは、「職人の仕事」めあてで読んだ。
印章店や食品サンプル業者など、
ふだんなじみのない業界を垣間見られて楽しい。

小松菜って、もとは関東のローカル野菜だったんだ……。
料理をしはじめた頃にはすでにスーパーに並んでいたので
全国的にある野菜なんだと思ってた。
そして、「うな重」と「うな丼」の違い。
調べてみたら、店にもよるけど「うな重」の方が
うなぎの量が多かったり、おいしい部位を使っていたりするので
値段が高いとのこと。
へええ。

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100:紅玉いづき 『ガーデン・ロスト』

2017-11-03 09:30:00 | 17 本の感想
紅玉いづき 『ガーデン・ロスト』(メディアワークス文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

誰にでも、失いたくない楽園がある。
息苦しいほどに幸せな安住の地。
しかしだからこそ、それを失うときの痛みは耐え難いほどに切ない。
誰にでも優しいお人好しのエカ、
漫画のキャラや俳優をダーリンと呼ぶマル、
男装が似合いそうなオズ、
毒舌家でどこか大人びているシバ。
花園に生きる女子高生4人が過ごす青春のリアルな一瞬を、
四季の移り変わりとともに鮮やかに切り取っていく。
壊れやすく繊細な少女たちが、楽園に見るものは―。

***************************************

この作家さんはデビュー作以来。
デビュー作は、
「うまいし、好きな人が多いのはわかるけど、
 精神疾患じみた『少女』の描き方と
 それに付随する登場人物の語り口が好きじゃない」
という印象。
今回も、半分くらいまでは同じ印象で、
読むのを断念しかけたんだけども、
恋の描写が鮮やか少し印象が変わった。
あらすじで「毒舌」と表現されたシバは
単純にひねくれ者で性格が悪いだけなんじゃないかと思うが、
同じくひねくれていて性格が悪い自分は
「こういうことしちゃうの、あるある」
であった……。

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99:伊丹十三 『女たちよ!』

2017-10-30 12:12:12 | 17 本の感想
伊丹十三 『女たちよ!』(新潮文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

日常の振る舞いにこそ、その人となりは現れる。
スパゲッティの召し上がり方、アルコールの嗜み方、
サラダの本格的な作り方、クルマの正しい運転法、
セーターの着こなし方、強風下でのマッチの点け方、
そして「力強く、素早く」の恋愛術まで。
体験的エピソードで描かれる実用的な人生論風エッセイ。
真っ当な大人になるにはどうしたらいいのか?
そんな疑問を持つ「男たち」へ――。

***************************************

「男はなんのために結婚するのか。ベッドと食事のためだそうである。
 ということは料理は結婚生活の五十パーセントではないか。
 世の奥さまがたには、今少し料理に情熱を持ってくれなければ困るぞ。」
 (P.161)

今、SNSでこれを書いたら炎上待ったなしだな……。

確か、雑誌で紹介されているのを見て読んだ本。
映画監督としての顔しか知らなかったのだけども、
もとは俳優だったのか……。
昭和43年発刊の本。
時代が時代であるだけに、
かなり男尊女卑な考え方がにじみ出ていて、
タイトルに反し、想定している読者は男性だと思われる。
共感できるところはほとんどなかったけれども、
筆者のこだわりや思想をかっこいいと思う人もいるのだろう。

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98:泉ハナ 『外資系オタク秘書 ハセガワノブコの仁義なき戦い』

2017-10-30 11:33:35 | 17 本の感想
泉ハナ 『外資系オタク秘書 ハセガワノブコの仁義なき戦い』(祥伝社文庫)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

オタク仲間が命より大事なコレクションを奥さんに捨てられた!
オタクと結婚は相容れないのか!?
周囲と、ノブコ自身にも降りかかる、結婚、恋愛、出世問題……
人生を変える選択肢に、今後のオタク人生を考えるノブコ。
さらに、オタクを食い物にする危険な女も出現して、
平和なはずのオタク仲間も崩壊の危機に!?
次々襲い来るピンチに、ノブコはどう立ち向かうのか?

***************************************

今回もおもしろかった。
「自分のコレクションを妻が勝手に捨てた」問題に、
サークルクラッシャー、と実際にオタク界で話題になった
出来事を無理なくストーリーに落とし込んでいる。

「愛の伝道師」「フランシスコザビエルの再来」
に笑った。

そして、生き方にまつわる価値観の相違、という問題については、
過去のある場面を思い出して胸が痛い。
昔、教職についている友だちが、びっくりするほどナチュラルに、
悪気なく、自分の価値観だけに基づいて
別の友だちを否定する発言をしたことがあって、ショックだった。
もちろん、先生だからといってプライベートまで
偏った考え方をしてはいけないというわけではないんだけど、
長い付き合いの中で、
「わたしはこう思うけど、ちがう考え方もあるよね」
くらいの視点は持っている人だと思っていたから。

今だってわたしは彼女のことが好きだけど、
そのとき決して歩み寄れない価値観の違いというのを
他人に対して初めて感じたのだった。
話しても決してわかりあえないことってあるよね。

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97:川口明子 『大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館にようこそ』

2017-10-27 19:47:04 | 17 本の感想
川口明子『大塚女子アパートメント物語 オールドミスの館にようこそ』(教育史料出版会)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

1930年、独身の職業婦人のために、日本で初めて建てられた
「同潤会大塚女子アパートメントハウス」。
ここは、元祖キャリアウーマンの城であり、
「オールドミス」と揶揄されながら
「個」の人生を生きた女性たちを守るシェルターでもあった。
さまざまな女性がやってきて、さまざまな人生が交錯し、
働く女性に新しいライフスタイルをもたらした
大塚女子アパートメント、その73年の物語。

*************************************

仕事の関係で読んだ本。

「職業婦人」が働いている女性全体を指すのではなく、
女医や教師、芸術家などの「精神労働者」に限って
使われた言葉だというのは初めて知った。

駅近で、レストラン(食堂)とサンルームが
ついているなんて、夢のようなアパートだ。
外部の人もレストランには入れるけど、
居住スペースには入れない造りになっていて
防犯面もしっかり。

著者の個人的な反発のように受け取れる記述が
邪魔くさく感じられる部分もあったけれど、
初めて知ったことが多く、
谷崎潤一郎など意外な有名人が関係者として登場するのも
おもしろかった。

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