金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

NHK大河「平清盛」レビュー38

2012-09-30 20:50:52 | NHK大河「平清盛」レビュー
【今日の重盛】

時子が「重盛は体調悪くて権大納言を辞任して~」と言ってたときに
挿入された重盛のカットが、頼朝ばりに廃人モードで動揺した。
先週は、「もういいから休め、な!」って感じだったけど、
やはりストレス過多だったか……

この子、いつも清盛の顔をじっと見ていて、胸が痛い。

**********************************

禿怖いよ!(((゜Д゜)))
集団でターゲットを取り囲んでるところ、
崇徳院のメタモルフォーゼよりホラー!!

重しを積んだ船を沈めて岬をつくるという計画を思いつき、
キャッキャと騒いでいるチンピラ3人組(清盛・兎丸・盛国)@福原。
都で一門が徐々に暗い方向に進もうとしているのに、
このおっさんたちは若いころのまま、
「いえーい! ゲームの●面クリア~!!
のノリなのね……と、ほほえましいやら悲しいやらだったのだけど、
夜中に薄暗い中、ひとりで憑かれたように
岬づくりのシミュレーションに没頭する清盛は
殺される前の信西を思わせるし、
それを見てしまった盛国は不安げな表情。
そして、予告を見ると兎丸がどうにかなっちゃいそうで、
今回も心乱されまくり。
兎丸&盛国は清盛にとって、若いころから一貫して「俺のチーム」で、
仲間だったわけなのだけど、彼らもまた、
ずっと仲間ではいられないのかと思うと淋しい。

「平家であらずんば人にあらず」も、時忠がドヤ顔で言うのかと思いきや、
意外に悲しい流れで言っていた。
「チンピラ・いらんことしいのろくでなし・流罪の常連ニート」だった時忠も、
ここへ来て悲哀を感じさせるようになってきた。
忠正おじさんとは別の形で、おじさん役を務めようとしているのだなあ。


【その他いろいろ】

・時子の病にかけつけた清盛は、なぜほっかむりしてるの?

・いまだ時子に対してツンデレ気味の清盛。
 そして変わらず可愛い&殿大好き!な時子。

・ゴッシーの「どっちがおっきいもの食べられるかな♪」ごっこに
 付き合わされる滋子&近臣たち。
 西光まで生真面目につきあっているのに笑った。

・徳子可愛い。可愛い担当だった滋子はすっかり妖怪に。

・顔芸がおもしろい麻呂は、藤原経宗。ようやく名前を覚えた。
 この人、以外に息が長いよね。

・完全にセコい悪役の八条院。
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128:荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』

2012-09-29 08:24:23 | 12 本の感想
荻上チキ『検証 東日本大震災の流言・デマ』 (光文社新書)
★★★☆☆

タイトルの通り、東日本大震災の際にTwitterやチェーンメールとして
大量発生した流言・デマについて、サンプルを取り上げながら
その背景を分析し、流言・デマとどのように向き合うかを述べたもの。

東日本大震災の際は、普段テレビを見ないわたしも頻繁に
ニュース番組を見ていたけれど、それだけではなく、
Twitterも結構みていた。
【拡散希望】のツイートは大量に見た。
有益な情報はそこにない、とわかっていても見てしまったのは
不安の共有を求める気持ちがあったからなのかも。
そんな中で、関東大震災の際に流れたデマと同じような内容の
「朝鮮人が~」というツイートを見て、我に返ったというのか、
冷え冷えとした気持ちになり、しばらくTwitterは見なくなった。
ああいうときって、「当事者じゃない」人間のみにくい部分が
むき出しになるよね……
著者が述べているように、過去の事例を知って「流言ワクチン」を
持っておくことは、有効なのだと思う。
「朝鮮人が~」のデマで関東大震災のときみたいな展開にならなかったのも、
過去の事例を知っている人が多く、
判断するための情報が入手できる社会だったからだと思うし。

そして、個人的な印象だけど、救援物資に関する携帯のチェーンメールは、
同世代の人より年配の先輩たちから送られてくることが多かった。
若い世代に比べると、インターネットにアクセスする習慣が定着していなくて
デマを打ち消す「検証屋」の発する情報に触れる機会が
少なかったからかしら。


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127:斎藤孝 『15分あれば喫茶店に入りなさい。』

2012-09-28 08:46:55 | 12 本の感想
斎藤孝 『15分あれば喫茶店に入りなさい。』(幻冬社)
★★★☆☆

もう、あらゆることにやる気を失ってなんともならないので、
モチベーションを上げるためのドーピング。

ふだんから仕事はカフェ・喫茶店とファミレスでしているし、
ストップウォッチも使っているので、
個人的には新鮮味が感じられなかったんだけど、
「相談事は喫茶店で」の項では、ガガーン!と思った。
というのも、わたしはめったに人に相談をしないから。
人に話すときは、
「こうしますけど、いいですか?」と承諾を得る場合と
「こういうことがあって、こうしたんだけど……」と愚痴る場合が
ほとんどで、もう自分の中での方針は決まっていて
そのアウトプットなのであった。
もちろん、そうすることで相手の反応から得るものがある場合もあるし、
仕事で「相談」ということになったら、ある程度、
落としどころは用意しておかなきゃいけないと思うんだけど、
「コミュニケーションのための相談事」
という考えがまったくなかった!!

本筋から外れた部分なんだけど、

「私がよく行くカフェでは、地下が喫煙席になっています。
 タバコを吸う人をまとめて地下に閉じ込めてくれていて、
 大変好感が持てます。」(p.137)


↑この言いぐさに笑ってしまった。


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126:磯田和一 『書斎曼荼羅 1 ―― 本と闘う人々』

2012-09-27 08:21:39 | 12 本の感想
磯田和一 『書斎曼荼羅 1 ―― 本と闘う人々』(東京創元社)
★★★☆☆

息抜き本。
「IN★POCKET」に連載されていたもの。
文筆業に携わる人々を中心に、増え続ける本と戦う人々の
書斎の有様をイラストと文で紹介した本。
登場するのは、関口苑生、京極夏彦、佐野洋、大沢在昌、林望、真保裕一、
藤野邦夫、逢坂剛、小池真理子、藤田宜永、山田風太郎、花村萬月、
磯田和一、菊池信義、阿刀田高、縄田一男、井上夢人の17人
+特別取材として小池利栄子氏。

この本に登場する大部分の人々にとって、本は消費するものじゃなくて
所有するものなんだなあ……というのが非常によくわかる。
尋常じゃない本の量。
わたしは部屋のスペースの関係で、図書館に寄付したり、
古本屋に売ったりして定期的に処分しているけど、
それでも本はいつの間にか増える。
全部所有しようと思ったら、わたしの狭い部屋なんか
あっという間に生活空間がなくなっちゃうよな~。
図書館みたいに大量の本が整然と棚に収まっている家にあこがれる。
あ、でも、棚とスペースがあっても、
自分が「出したものを片付ける」習慣を身につけるか、
片付けてくれる人がほかにいないと整然とした環境は維持できないのか。
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125:クウネルまんぷく隊 『よりぬき ただいま食事中。』

2012-09-26 08:35:10 | 12 本の感想
クウネルまんぷく隊 『よりぬき ただいま食事中。』(マガジンハウス)
★★★★☆

息抜き本。
イラストレーター、エッセイスト、写真家、書家……などなど
さまざまな職業の人びと30人の2~3週間の食事を
写真と文で記録したもの。
カラーで写真がいっぱいだし、情報量も多くて読みごたえあり。

写真家の高橋ヨーコさん……すごいな。
偏食にもほどがある。本当に食べることに興味がないんだなあ。


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124:ミチオ・カク 『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』

2012-09-25 08:18:15 | 12 本の感想
ミチオ・カク 『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』(日本放送出版協会)

一部分しか精読していないので、★はなし。

訳は斉藤隆央。
まったく知らなかったんだけど、著者は現役の科学者らしい。
タイムトラベルやスターシップ、テレポーテーション、
サイコキネシスなどなど、SF世界に登場するテクノロジーは、
将来、実現可能なのか?
不可能レベルを3段階に分けて、それぞれのテクノロジーについて
展望を述べた一冊。

専門用語も使うときにはちゃんと説明されているし、
科学の素養のないわたしにも読める内容だった。
理解できないところは、理解できないものとしてスルーしても
支障なく文章の主張や結論はとらえられる。
SFはSFとして実際の科学とは切り離されているのかと
思っていたのだけど、ちゃんと科学として検討&実験が
されているのね! と驚いた。
非常に分厚いけれども、おもしろいので、目的部分以外のところも
読み込んでしまった。


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123:押谷仁・瀬名秀明 『パンデミックとたたかう』

2012-09-24 08:50:46 | 12 本の感想
押谷仁・瀬名秀明『パンデミックとたたかう』(岩波新書)
★★★★☆

このところ、パンデミックやらウイルスやらの本ばかり読んでいて
「病は気から」状態なのか、扁桃腺が腫れあがって全身がだるい……

さてこれは、微生物学の教授とSF作家の対談形式で、
新型インフルエンザをめぐる問題について語った一冊。
行政を批判したり、「個人レベルでこういうことをすべき」と
対応策を示したりするのではなくて、
統計資料のとらえ方やなぜこういう対応が採られたのかという理由、
感染症を取り巻く社会の在り方について書かれていて
読み物として大変おもしろかった!

わたしが子どもの頃、予防接種は学校で強制されたものだけど、
最近はそれがないと聞いて、なんでだろうと思ってた。
この本によると、かつては、社会を守るためという公衆衛生の考え方で
予防接種が行われていたのに、日本も個人主義的になってきて
予防接種は集団を守るためというよりも個人を守るためという形に
考え方が変わってきたのだとのこと。
神様みたいな絶対的な存在がいない日本の社会では、
「個人主義」と「自分勝手」が混同されやすいというけれど、
この本にも書かれていたように、感染したら「自分がつらい」だけじゃなくて
「自分から感染して命を落とす人もいる」のだということまで
想像が及ばないんだよね……。


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NHK大河「平清盛」レビュー37

2012-09-23 20:50:18 | NHK大河「平清盛」レビュー
もうやめてよォォ~!!

重盛がかわいそうで見ていられなかった殿下乗合事件。
本当のところは重盛が激怒して報復したのを、
「平家物語」では「清盛=悪玉、重盛=善玉」にするために
清盛の仕業ということに改変したと言われているけれど、
今回の大河は、清盛の意を汲んだ時忠の仕業ということになって、
それが重盛を追い詰めるのであった。
キャラクター的にも、前後の話の流れ的にも
非常にうまくできた脚本だったと思うんだけど、つらい……
清廉潔白な重盛に似ず、息子たちはぼんくらっぽいし、
筋を通せば敵には舐められ、一門には不満がくすぶる。
報復の後、時忠の仕業だとは知らない一門は
重盛を誉めるし、息子は感謝するし、
正しい方法を選んだはずの自分が間違っていたと思い知らされた
重盛はストレスMAXで夜中に爆発。
旦那さま大好き!な経子と、夜中に二人で読書しちゃうような
仲良し夫婦ぶりが、憩いになるどころか、
かえって悲壮感を増幅させる。
どんどん重盛を窮地に陥れる清盛。
息子をいったいどうしたいのか、清盛を問い詰めたいよ!

ゴッシーを福原で宋人に引き合わせるためのエサになった赤い鳥の羽が、
殿下乗合事件にからみ、禿につながっていったのは予想外。
今日の脚本は本当にすばらしかったなあ。
しかし、うますぎてつらい……
たびたび挿入された琵琶を弾く時子のシーンも意味ありげで
もういやな予感しかしない。

【その他いろいろ】

・京本政樹登場。
 歴史ドラマ史上、こんな耽美派な秀衡がいただろうか……!

・いい具合に壊れてきた基房。

・周新「あやや」「あややや」
 いったいどんなキャラを狙ってるんだ。

・久々の「清盛―盛国―兎丸」のチンピラチーム。

・いつのまにか宋語をマスターしていた清盛。

・相変わらず頼朝は廃人モード。坂東武者の飲み会で浮きまくり。
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122:吉村達也 『感染列島 パンデミック・デイズ』

2012-09-22 08:11:20 | 12 本の感想
吉村達也『感染列島 パンデミック・デイズ (小学館文庫)』(小学館文庫)
★★★☆☆

恋人である編集者・理沙の協力を得て、
絵画に潜んだ新型ウイルスを題材とした小説を
書き上げた人気作家の神崎慧一。
その作品を文芸評論家にこきおろされて打ちのめされた慧一は、
画商・榎本の提示する条件に従い、理沙を捨てて
新作の取材のためにヨーロッパで謎のグループと接触する。
そんな中、沖縄で強毒性H5N1型鳥インフルエンザがヒトに感染。
パンデミックの序曲が始まった。

*********************************

同じタイトルの映画があるけど、これは原作ではない模様。

『アウトブレイク』を見た直後なので、
人間の描き方なんかがどうしても物足りなく思えちゃうんだけど、
絵画とウイルスの結びつきが、ファンタジーとしてではなく
一応現実的に、納得できる形で描かれていたのはよかった。
このところ、ウイルス関係の本を何冊か読んでいたので、
「はい、ここから説明パートですよ!」といわんばかりの
文章が続くところも抵抗を感じることなくすんなり頭に入ってきた。
厚労相の最期の言葉は、
「日頃の創太郎からは想像もつかないラスト・メッセージ」
とあったけど、これまでの彼の人物像からは出てきそうもない語彙で、
違和感があった。
新院長もいきなり演説始めちゃって、
パンデミックを境に内面に変化がもたらされたという説明では
納得できない唐突感。


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映画:『ザ・ハッカー』

2012-09-21 08:30:19 | 映画の感想
映画『ザ・ハッカー』(ジョー・チャペル監督)
★★★★★

アイスブレーカーと名乗るハッカーから呼び出されて
情報交換を持ちかけられた仮釈放中のケヴィン・ミトニック。
これが罠だと考えたミトニックは電話で製造者らを騙して
SAS(電話網アクセスサービス)のシステムデータを手に入れ、
FBIの捜査官であったアイスブレーカーを出し抜き、
FBIの電話を盗聴することを可能にした。
2年後、潜伏していたミトニックは、聴聞会で発言する
日系のセキュリティ技術者・下村に反感を抱き、
ハッキングして下村の持っていた大量のファイルを盗み出した。
その中には下村の作った、国を支配することもできる
重要なコンピューター・ウイルスがあり、
暗号化されたそれをミトニックは解読しようとする。
サーバーに侵入した犯人をミトニックだと考えた下村は、
FBIとともにミトニックを追跡する。

**********************************************

コンピューター関係のコラムで紹介されていた映画。
実話をもとにしているらしい。
原作は下村氏の著書らしいけど、ミトニックのほうに
人間性を感じられるような作りになっていて、それが不思議。
コンピューターのことにくわしい人なら、
登場人物たちがやっていることをきちんと理解できて、
もっと楽しいのだと思うけれど、
コンピューターのことを全然知らないわたしでも楽しめた。
2000年の映画だし、今のコンピューターの世界は
この映画のそれとはずいぶん様変わりしているんだろうな。



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