中村安希『インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日』
★★★★★
【Amazonの内容紹介】
世界各地の生活に根付く“小さな声”を求めて 貧困、紛争、汚染、疫病。
まことしやかに語られる世界は、本当は一体どんな姿をしているのか。
自らの目で確かめるべく26歳の著者は2年間、47カ国にわたる旅に出た。
第7回開高健ノンフィクション賞受賞作。
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大先輩が「よかった」と言って貸してくれた本。
以前話題になっていて、私も題名だけ知っていた。
ノンフィクションなのだけれども、
各地のエピソードを描いた文章の一つ一つが短く断片的で、
それが文学的でもある。
旅の中で出会う人の無償の親切や愛といった美しいもの、
社会の構造から来るどうしようもなさ、やるせなさに、
情緒を乱されっぱなしだった。
そのせいか、読むのにずいぶん時間がかかってしまった。
女性である筆者が単身で治安の悪いとされる地域へ行くのは
読んでいてはらはらしてしまうのだけども、
決して無鉄砲ではなく、危機管理もしっかりしている。
旅人同士の助け合いだったり、現地の人々の親切だったりに
驚かされることも。
『青春を山に賭けて』を読んだときも、
現地の人々の親切さにびっくりしたのだけども、
旅慣れた人にとってはそれが普通なのだろうか。