金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

映画:『ルックバック』

2024-12-18 18:27:57 | 映画の感想
2024年の映画⑫『ルックバック』(押山清高 監督)
★★★★☆
 
【公式サイトのあらすじ】
 
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。
クラスメートからは絶賛を受けていたが、
ある日、不登校の同級生・京本の 4コマを載せたいと先生から告げられる...。
二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。
しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が...。
胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる。
 
********************************
 
友人宅にてアマプラで。
 
原作を読んだのがずいぶん前なので詳細には覚えておらず、
アレンジされている箇所は一部しかわからなかったのだけども、
原作の持つムードを壊さないようにうまく演出されていたと思う。
結末を知っているために、悲劇が起こる前の
キラキラした二人の場面だけですでに泣きそうだった。
 
情熱と友情の物語で、理不尽な悲劇な襲いかかっても、
前向きなラストを迎えるので陰鬱な気分が残らないのもいいところ。
 
小学生だった主人公の描く漫画、絵は小学生らしいんだけども、
小学生であそこまでちゃんとオチをつけてまとめられるの、
すごい才能だと思うよ!!
 
 
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映画:『ゴールデンカムイ』

2024-12-08 21:26:18 | 映画の感想
2024年の映画⑪『ゴールデンカムイ』(久保茂昭 監督)
★★★★☆
 

原作が完結したとき

「実写化? せんでええわ……」

と思っていたのだけども、映画の評判が非常によかったうえ、

WOWOW配信のドラマの評判も上々、

中川大志くんが鯉登役……ということで

WOWOWオンデマンドの契約をしてしまった。

 

先にドラマのほうを見始めてしまったのだけども、

映画の配信が本日までだということで慌ててこっちを見た。

ちゃんと原作リスペクトと愛が感じられる作りで、

事前に聞いていた通り再現度がすごい。

特に自然やアイヌの生活、明治期の北海道の街並みなんかは

実写化した意義があったと感じられる作り。

動物の作りもの感はどうしようもないというか、

本物を使えない以上仕方ないと思うし、

コメディパートも若干、あれ? と感じられる部分もあったけど、

おおむね面白かった。

演技で気になったのは端役の人くらいで、メインキャストには文句なし。

 

今回映画化されたのは導入部だけで、

三陣営の顔見せと杉本・アシリパ・白石のチーム結成までで終了。

二階堂役の栁俊太郎さん、この実写で初めて知ったのだけど、

めっちゃ二階堂だった。

二人同時に顔を写さないように撮ってるんだけども、

気をつけて見ないとそれがわからない自然さ。

玉木宏の鶴見と館ひろしの土方も、コスプレ感があったのは最初だけ。

キャストやセット等すべてをひっくるめて、

現時点でできる限りの最高の実写化をしました! という感がある。

 

杉元役の山﨑賢人くんは、実写請負人みたいになっていて、

毎回文句言われて気の毒ね……。

今回も杉元役にしては男くささがなくて顔が可愛すぎるように思うけど、

じゃあ誰がぴったりなのかと言ったら思いつかないし、

とても頑張ってるのはよくわかる。

癖のない美形だから、何の役にもそれなりに近づけられるポテンシャルと、

主役を張れる安定感、現場での信頼があるのだろうと思う。

特に主役は、顔が似てるだけじゃダメだというのはわかるしね。

 

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映画:『チャチャ』

2024-10-12 14:24:28 | 映画の感想
2024年の映画⑩『チャチャ』(酒井麻衣 監督)
★★★★☆
 
【公式サイトのあらすじ】
 
野良猫系女子の予測不能な恋の顛末とは!?
 
チャチャは、“人目を気にせず、好きなように生きる”をモットーに
自由気ままな日々を送る。
ある時、屋上で偶然出逢った樂に興味を持ち、
「お互いに好きなものは正反対だけど、2人いたら丁度いい」
とチャチャは次第に惹かれていくが・・・。
 
********************************
 
公開初日に、映画館にて。
若い女の子向けの映画かと思っていたんだけども、
一人で見に来ているおじいさん・おじさんもいた。
 
※以下、ネタバレ注意
 
 
 
 
 
 
事前に「途中でジャンルが変わる」「えぐいことになる」という
コメントを見ていたので、そこまでの驚きはなかったのだけども、
「これは相当好き嫌いが分かれそうだな~!!」
というのが見終わった直後の印象。
さまざまなジャンルの作品が融合、というより、
パッチワークみたいに混じり合わずに隣り合っている感じ。
シリアス展開にコメディみたいな会話が続いたり、
急に花とか電柱が語り始めたりするので、
「そういう作りの映画なのね」と受け止められない人は
怒り出すかもしれない。
 
見終わった直後は★3かな~と思っていたのだけども、
一日経ってから思い出すと、★4。
後でこの映画のことを思い出し反芻すると、
「序盤でチャチャ自身が言っていたように、樂もまた、
 懐いてきた野良猫を気まぐれに可愛がっていただけで
 ずっと一緒にいたいとは願っていなかったし、
 彼の中の孤独や空虚さも埋まらなかった」
「他者の心の中を見ることはできないし、
 理解することもできない」
ということがひしひしと感じられて、身にしみた。
 
恋愛ものにしては驚くほど早く、
ヒロインのチャチャが相手に恋をして一緒に住み始めるのだけれども、
陰気で無気力であっても、おいしいごはん作ってくれて、
世話してくれて、ビジュアルは中川大志くんだからね。
アプローチに慣れた「腕に覚え有り」な女の子なら話は早い。
でも、アプローチはチャチャからで、
そして、ずっと優しく世話をしてくれていても、
最初から最後まで樂はチャチャに恋をしてはいないし、
他の人に心が向いている。
決して鈍感ではないチャチャはそのことに気づいているから、
秘密に気づいてもすぐには尋ねることができない。
この一方通行の恋のやるせなさ、残酷さ……。
 
樂は弱さを抱えつつも、明らかに普通から逸脱した思考の持ち主で、
中川くんの役としては珍しい感じ。
ヒモ役の塩野くんのキャラも、かなり面白くて
出番は多くないのに印象的だった。
そして伊藤万理華さん、この映画で初めて知った方なのだけども、
あざとくて、同性に嫌われて、でもその傷つき具合が共感を呼ぶ、
難しい役を違和感なく演じていたと思う。
 
出てくるアイテムも含め、映像がとってもキュート。
 
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映画:『碁盤斬り』(再視聴)

2024-10-07 18:43:04 | 映画の感想
2024年の映画⑨『碁盤斬り』(白石和彌 監督)
 
【シネマトゥデイのあらすじ】
 
いわれのない嫌疑をかけられて藩を離れ、
亡き妻の忘れ形見である一人娘・お絹(清原果耶)と共に
貧乏長屋で暮らす浪人・柳田格之進(草なぎ剛)。
落ちぶれても武士の誇りを捨てず、
趣味の囲碁にもその実直な人柄が表れており、
うそ偽りない勝負を心掛けていた。
しかし、あるきっかけから隠されていた真実が明らかになり、
格之進は娘のために命懸けの復讐を誓う。
 
********************************
 
アマプラに入ったので、再視聴。
4月の映画館で見たときと、評価は変わらず(→以前のレビュー)。
 
前半の変わっていく國村隼のヒロイン感(笑)、
草彅くんの己に厳しい寡黙な武士ぶり、
斎藤工のクズっぷりは相変わらずよかった。
 
しかし、2回目に見るといっそう、
「ストーリーの都合」を感じてしまうな……。
盗んでいないのに、疑いをかけられたこと自体が不名誉だとして
切腹しようとしたり、盗ってもいない五十両を用立てようとしたり。
このあたりは元の落語がそうなっているから仕方ないものの、
現代の価値観とのギャップを埋めるようなアレンジがほしかった。
 
逆に、1回目に見たときには都合良く感じた
キョンキョン演じるお庚さんが「約束破られたけど、約束自体を忘れたふりした」ところは、
理解できる気がした。
廓に売られて父親を恨んで生きてきたからこそ、
約束を守ろうとした格之進と汚れないお絹ちゃんを
そのまま守りたかったんだね。
そして、「こいつのせいで自分は遊女に身を落としたかもしれない」という相手と
結婚したお絹ちゃんの気持ちもわからなくはないよ……。
恋模様の描き方が足りないからこその唐突感はあるけど、
たとえ好意が失せていても、五十両のせいで大変なストレスを抱えた後で
大店の跡取りとの結婚ははねつけられないでしょ。
どんなに誇り高い武士の娘であっても。
父親に再就職の望みはないうえに、相手にはこちらに対する引け目がある。
頼りないが善良な男だし、しっかり者の自分ならコントロール可能、という算段も
ゼロではなかったはず……
 
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映画:『ラストマイル』

2024-10-05 12:19:33 | 映画の感想
2024年の映画⑧『ラストマイル』(塚原あゆ子監督)
★★★★☆4
 
【公式サイトより】
 
ラックフライデー前夜、届いた荷物は爆弾だった――
日本中を震撼させる4日間。
 
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、
世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、
チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、
いかにして、連続爆破を止めることができるのか?
すべての謎が解き明かされるとき、 この世界の隠された姿が浮かび上がる。
 
********************************
 
話題になっていた映画。映画館にて。
 
面白かった! と無邪気に言えないような、
社会問題を扱った部分もあるのだけれども、単純にミステリーとして面白かった。
「アンナチュラル」と「MIU404」と地続きの物語ということなんだけれども、
ファンにとっては嬉しく(私は両方見たし、面白かったけど、特にファンではない)、
知らない人にとっては「なんか、脇役なのに豪華キャストで大きく映ってる」と
ややノイズに感じる程度の出番。
 
問題は提起され、ほんの少し改善した部分もあるのだけれども、
人が「より安く、より速く」「より便利に」を追求することは止められないし、
そのしわ寄せが立場の弱いところへ来るという社会の構造は変わってないぞ……
というラストだった。
よい製品を作っていたのに、競争で負けてしまった会社の洗濯機が、
終盤で思いもかけない活躍をするところがよかった。
 
そして、今までそんなに気に留めていなかったのだけども、
岡田将生の顔が良い。
彼の顔面や醸し出すムードが、役の重みのなさをかなり補っていた気がする。
たぶん、ビジュアルの弱い役者さんだったら、
この役は主役級の扱いはされなかっただろうと思う。
(ヒロインが何者なのか? という謎を発生させるための視点人物で、
 そこまでストーリー上重要な働きをしていたわけじゃないから)
 
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映画:『夏目アラタの結婚』

2024-09-06 17:38:00 | 映画の感想
2024年の映画⑦『夏目アラタの結婚』(堤幸彦 監督)
★★★★☆4よりの3.5
 
【公式サイトより】
 
元ヤンで児童相談員の夏目アラタ(柳楽優弥)が切り出した、 死刑囚への“プロポーズ”。
その目的は、“品川ピエロ”の異名をもつ死刑囚、 真珠(黒島結菜)に好かれ、
消えた遺体を探し出すことだった。
毎日1日20分の駆け引きに翻弄されるアラタは、やがて真珠のある言葉に耳を疑うーーー
「ボク、誰も殺してないんだ。」
プロポースからはじまった、予想を超える展開。
日本中を震撼させる2人の結婚は、 生死を揺るがす<真相ゲーム>の序章にすぎなかった・・・。
 
********************************
 
公開初日に映画館にて。
 
原作についてはまったく知らない状態で視聴。
脚本の人と相性が良くないので
(これまでに見た作品、特にオリジナルはすべてnot for me)、
あまり期待せずに見に行ったのだけども、
これは最後まで面白く見られた。
 
人心掌握に長けた賢くて油断ならないヒロイン、
スリリングなやり取り、予想外の展開……と
前半は文句なしに面白い。
後半は、やや好みから外れるほうに進んでしまったけれども、
ラブストーリーとしてみればうまくまとまっていて、
ベタだけと胸キュンなポイントも。
黒島結菜さん、『明け方の若者たち』『十二人の死にたい子どもたち』では
好みじゃないな……と思っていたのだけども、
今回はとっても魅力的で、演技も文句なし。
 
序盤がかなりスピーディに展開するのと、
グロ映像&音声があるので、注意。
犬は死にません。というか、出てきません。
(動物の安否が判明しないと見られないという人がいるらしいので、書いておく)
 
アラタと真珠の二人だけに焦点をしぼっているのは
この映画においては正解なんだけども、
宮前先生が若いイケメンである必要性は「?」
(安定と信頼の中川くんなので、文句は全然ないけど)。
見た後に、原作との相違点を知って、
採用しなかった原作のエピソードのルートを潰しておくために
わざと設定をずらしたのかなと思った。
 
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映画:『砕け散るところを見せてあげる』

2024-07-17 11:31:31 | 映画の感想
2024年の映画⑥『砕け散るところを見せてあげる』(Sabu 監督)
 
【Amazonの内容紹介】
 
平凡な日々を送る濱田清澄はある日、
学年一の嫌われ者と呼ばれる孤独な少女・蔵本玻璃に出会う。
玻璃は救いの手を差し伸べてくれる清澄に徐々に心を開くようになるが、
彼女には誰にも言えない秘密があった…。
その秘密に気づき始めた清澄に<恐るべき危険>が迫り、
友人の田丸や尾崎姉妹も心配する中、
物語は予測できない衝撃の展開を見せていく。
 
********************************
 
アマプラにて。
 
原作が発売された当初、買って読みかけたものの、
冒頭だけですでに内容がしんどく、
早々に読むのをやめてしまった。
そのため映画もなかなか見る勇気が出ず……という状態だった。

いや~……

いくらなんでも、重すぎるだろ!!

前半はいじめの場面が鬱すぎて早送り!
途中からは堤真一が怖すぎて早送り!
ちゃんと見られなかったので、好み度★はなしです。

キラキラ青春もののスパイスとして、
いじめだったり難病だったりが添加された作品は多いが、
これは毒物の塊に、キラキラがちょっぴり含有されてる感じ。

清澄とお母さんを助けようと夜家に玻璃がやってきた場面からの
恋する二人のエモさは相当だし、
再会してからの展開も大好きなんだけども、
特に後半の毒物パートが激しすぎる。
「キラキラ青春ものをバカにしてすみませんでした、
 もう勘弁してください、
 キラキラしてるだけの甘っちょろい恋物語、最高!」
と言いたくなる。
ものには限度があるんだよ……。
というか、まず警察を呼べ!!

 

直前に見た映画で同級生役だった北村匠海くんと中川大志くんが、
この映画では親子役になっていて不思議な感じ。

玻璃のビジュアルが、

「Q:なぜ清澄はそこまでして玻璃を守ろうとするの?
 A:恋しちゃったから」

を納得させるものではないのが残念なのだけれども、
そういう端々にある「説得力のなさ」を
石井杏奈さんと中川大志くんの演技がカバーしていた。
二人とも、素晴らしかった。

特に中川大志くん、大衆受けしない作品にばかり出てる印象が
あるところも含めて、見れば見るほど好きになっちゃう。
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映画:『スクロール』

2024-07-14 23:50:26 | 映画の感想
2024年の映画⑤『スクロール』(清水康彦 監督)
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
学生時代に友だちだった〈僕〉とユウスケのもとに、
友人の森が自殺したという報せが届く。
就職はしたものの上司からすべてを否定され、
「この社会で夢など見てはいけない」と
SNSに想いをアップすることで何とか自分を保っていた〈僕〉と、
毎日が楽しければそれでいいと刹那的に生きてきたユウスケ。
森の死をきっかけに“生きること・愛すること”を見つめ直す二人に、
〈僕〉の書き込みに共鳴し特別な自分になりたいと願う〈私〉と、
ユウスケとの結婚がからっぽな心を満たしてくれると信じる
菜穂の時間が交錯していく。
青春の出口に立った4人が見つけた、きらめく明日への入口とは──?
 
********************************
 
アマプラにて。
 
面白いか?っていったら、面白くはない。
序盤から自殺とパワハラが出てきて、
死の気配がずっと作品を覆っており、
暗くて息苦しい。
終盤で不思議と明るく前向きムードになるのだけども、
絵として明るいのが大きいね。
面白くはないが嫌いじゃない、不思議な感じ。
 
北村匠海くん演じる「僕」は、
自殺した森に自分を重ね合わせていたということ?
嫌いだと言ったのは、自己嫌悪していたことを
表しているのかな?
森のお母さんが、恨む対象に「社会」を挙げたこととか、
そのお母さんにユウスケが投げかけた言葉とか、
タイトルを含んだ「僕」のモノローグとか、
ちょくちょく不自然なセリフがあって、
おそらくテーマに関係しているのだけども、
そのテーマがうまくつかみきれなかった。
 
北村匠海くん、見るのは『明け方の若者たち』に次いで二回目なのだけど、
陰鬱な顔が似合う。
そして、中川くん演じるチャラ男、おそらくセフレであったであろう女に
会社に乗り込まれて自殺騒動を起こされたのに、
その直後に会ったばかりの菜穂にプロポーズしたのが、
マジで「性根!」って感じでおかしかった。
すがってくる面倒くさい女をセックスでなだめてしまうところとか、
いかにも。
案の定、病んだ菜穂に「死んでやる!」をされたあげく
刺されてるし……
 
そして、このチャラ男自身は相手の名前すら覚えていないのに、
学生時代にきまぐれに「いつも一人でいてかわいそうだから」と
遊びの場に誘ったことが、自殺した男の子にとっては
死の間際に電話をかけるほどのきらめいた思い出になっていたということが、
なんというか、残酷で、美しい、人生の一場面だった。
 
見たのが「真田丸」とこれだけだから、私の中で
松岡茉優ちゃんにメンヘラ女のイメージが定着しちゃった……。
ユウスケは菜穂から逃げ切れるのか……??
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映画:『碁盤斬り』

2024-05-18 11:15:30 | 映画の感想
2024年の映画④『碁盤斬り』(白石和彌 監督)
★★★★☆4寄りの3.5
 
【シネマトゥデイのあらすじ】
 
いわれのない嫌疑をかけられて藩を離れ、
亡き妻の忘れ形見である一人娘・お絹(清原果耶)と共に
貧乏長屋で暮らす浪人・柳田格之進(草なぎ剛)。
落ちぶれても武士の誇りを捨てず、
趣味の囲碁にもその実直な人柄が表れており、
うそ偽りない勝負を心掛けていた。
しかし、あるきっかけから隠されていた真実が明らかになり、
格之進は娘のために命懸けの復讐を誓う。
 
********************************
 
映画館にて。
公開初日だったためか、作中のキーアイテムである小判のシールがもらえた。
 
落語の「碁盤斬り」にオリジナルのエピソードを絡めているとのこと。
もとの落語は知らないけれども、たぶん、
藩を離れたいきさつと、それに絡んだ仇討ちの部分はオリジナルなんだろう。
というのも、ここは、
「主人公を江戸から離す」
「タイムリミットを設けて緊迫感を出す」
というストーリー上の必要性しか感じなかったから。
ただ、この過程で生まれた「清廉潔白な生き方への疑問」も、
タイトルにもなってる「碁盤切り」につながってないこともないのかな。
 
感想としてはまず、
 
「弥吉、お前、報連相をちゃんとしろ~!!!!!」
 
だ。
いくら番頭に言われたといっても、主人公は主人の客人なのだから、
主人に許可を取ってから小判の行方を聞きにいけ!
断りもなく主人の首を賭けるな!
そもそも、
「主人が小判をどこにやったか忘れてしまったのだが、覚えてないか」
という訊き方をすれば角が立たなかっただろ!!
 
……いや、わかっています。
弥吉がちゃんとしてたら、話が終わってしまうということは……。
お絹が身を売って五十両を作る必要もなくなるし、タイムリミットもなくなるし。
中川大志くんはストーリーの犠牲になったのだ……。
まあ、でも、手代にしては長身で見映えがいいこと、
もともとは武士の子という設定で、見苦しくあがかず
自分の首一つでおさめようとしたこと、で
「なんでハッピーエンドにおさまってるんだよ」という反発は
和らげていると思う。
 
敵役だった斎藤工は、一貫してクズでよかった。
主人公の清廉潔白な生き方は完全に肯定できるものなのかという視点を
提供するキャラクターでもあり、
賢さや、武士らしい矜持もちらりと見せているんだけども、
やっていることはやっぱりクズ。
(余談だけど、首を落とすシーンをはっきり描いていることに驚いた。
 大河ドラマとかだと、たいてい、そのものは映さないから……)
斎藤工、第一印象が大河ドラマ「江」で、
「いっつも同じ顔してる……。演技下手だな」と思ってたんだけど、
息の長い俳優さんになったのね……
 
主人公役の草彅くんは本当にこういう寡黙な武士の役が似合う。
貧乏だからって、自分のしたことの償いに、
藩主の絵をあてようとしたことは理解できんが……。
もとは斎藤工がパクって「売り払った」と言ってたものだからいいと思った?
これが、仇討ちを通して生じた「清廉潔白な生き方が正しいのか?」への
アンサーでもあったのかな?
 
悪役として登場したかと見せかけて、
主人公に惚れ込み感化されていく國村隼は始終可愛かったし、
小泉今日子は女郎屋の主人らしい厳しさも見せつつ、結局甘かった。
そういう終盤のとんとん拍子具合、世界の優しさ、都合のよさは
やっぱり気になったけど、四季の描写は美しいし、
時代劇は日本に残ってほしい。
 
見終わった直後は、好み度★3かな、と思ってたんだけども、
これだけ感想に書くことがあるってことは、好きだったんだろうな。
というわけで、★4寄りの★3.5。
 
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映画:『窓ぎわのトットちゃん』

2024-03-21 11:57:48 | 映画の感想
2024年の映画③『窓ぎわのトットちゃん』(八鍬新之介 監督)
★★★★☆4.5
 
映画館にて。
広く公開されていた時期には全然見る気が起こらなかったのだけども、
友だちの誘いで、遅れて上映しているところへ見に行った。
 
原作は読んだことがあるし、話も知っているのに、
自分でも「なぜこんなに泣く!?」と思うほど泣いてしまった……。
小児麻痺で体が思うように動かないやすあきちゃんが木に登れた!
というだけで泣いちゃうし、大切な人が亡くなる場面では当然泣くし、
明るく将来の夢を語って別れる子どもたちが、
もう二度と同じ学校へ戻ることができないこと、
そのうちの何人かは大人になる前に亡くなってしまうであろうことも
わかって泣いてしまうし、
校長先生から受け取った肯定と愛を、
トットちゃんが幼いきょうだいに分け与えるところで泣いてしまうし。
 
「普通」の枠におさまることができないトットちゃんのような子どもたちが
トモエ学園に行けて居場所を見つけられたのが、
理解ある富裕層の両親のもとに生まれたからだということは、
言葉にしなくてもわりとはっきり描かれていたように思う。
きっぷを受け取っていた駅員さんが途中で男性から女性にかわったのは、
出征することになったからであろうし、
戦争の影響が背景としてあちこちに描かれている。
そういう、言語化はされないけれども気づく人は気づく、
気づけなくてもメインのストーリーはちゃんとわかる、
という作りがとてもよかった。
 
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