砥上裕將『線は、僕を描く』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」
家族を失い真っ白い悲しみのなかにいた青山霜介は、
家族を失い真っ白い悲しみのなかにいた青山霜介は、
バイト先の展示会場で面白い老人と出会う。
その人こそ水墨画の巨匠・篠田湖山だった。
なぜか湖山に気に入られ、霜介は一方的に内弟子にされてしまう。
それに反発する湖山の孫娘・千瑛は、
一年後「湖山賞」で霜介と勝負すると宣言。
まったくの素人の霜介は、困惑しながらも
水墨の道へ踏み出すことになる。
第59回メフィスト賞受賞作。
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長いこと積んでいたのを、ようやく消化。
ストーリーは「喪失と再生」というオーソドックスなものなのだけども、
水墨画という題材を選んだ点にオリジナリティがある。
脇を固めるキャラクターたちも魅力的。
「全然そうは見えないが、実はすごい」という西濱さんみたいなキャラ、
絶対人気出るでしょ……。
主人公と千瑛がくっついたらイヤだなあと思っていたので、
(キャラが嫌いとかではなく、恋愛がストーリー上のノイズになってしまう)
恋愛めいた気配はありつつも、
最後まで「水墨画に向き合うもの同士」という関係性で
終わったのがよかった。