金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

120:アガサ・クリスティ 『オリエント急行殺人事件』

2007-10-29 12:34:16 | 07 本の感想
アガサ・クリスティ『オリエント急行殺人事件 (偕成社文庫)
★★★☆☆


大雪のために停車することになった国際列車オリエント急行。
密室となった車内で、アメリカ人富豪が殺害された。
乗り合わせ探偵ポアロは、容疑者である乗客たちを
一人一人調べることになる。
聞き取り調査の中で浮かび上がってきた、
車掌に変装した小柄で女のような声をした男、
そして赤いガウンを着たはいったい誰なのか?
乗客にはみな、他の乗客によって証言された
崩せないアリバイがあり……

*****************************

不二くん宅の本棚にあったのを読了。
ドラマの名探偵ポアロシリーズは見たけれど、
本をしては初のアガサ・クリスティ。

訳は読みやすかったし、人物描写も意外な真相も
おもしろかったのだけど……
時代背景のギャップがあるんでしょうか。
動機が美しすぎるというか、
なんだか現実味を欠いているように思えて
いまいちしっくりこない。
しかもポアロ、見逃しちゃうんだ!?

ストーリーとしては腑に落ちない点が
いくつもあったのだけど、フェイントを含めた「書き方」に
注意してもう一度読んでみたいところ。
そして次は「そして誰もいなくなった」を読んでみたい。

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119:赤木かん子編 『あなたのための小さな物語15 日本語ということば』

2007-10-22 13:27:32 | 07 本の感想
赤木かん子編『日本語ということば (Little Selectionsあなたのための小さな物語)』(ポプラ社)
★★★★☆

【収録作品】
橋本治「わたしの口の中のアイウエオ」
丸谷才一「ウナギ文の大研究」
千野栄一「『元祖ゴキブリラーメン』考」
鴨下信一「会話の名文Ⅱ」
久世光彦「私立向田図書館」
寺山修司「市街魔術師の肖像」
矢野誠一「桂文樂の至福の日々」
中村咲紀「『あまえる』ということについて」


日本語の発音や文法に関する論説文や、伝記、エッセイなど
日本語にまつわる種々の文章をセレクトした一冊。
言語論に関する最近の新書にはもう飽き飽きしているので、
これも大丈夫かな?と心配していたのだけれど、
おもしろかった!

中でも衝撃的だったのは、
ラストの「『あまえる』ということについて」。
これ、小学2年生の女の子が書いた「セロ弾きのゴーシュ」の
読書感想文なのです。
「小学2年生でここまでの思考力・文章力があるものなの!?」
という驚きもさることながら、
彼女が幼稚園卒園時、小学校入学時に到達した結論に、
いまの自分が及んでいないということがさらにショック!
なんかもう、泣いてしもうたよ……
39度の熱が出ても自力で薬局まで薬を買いに行き、
本当にしんどいときに誰にも「助けて」と言えない、
28歳女子のわたくしです。ううっ。


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118:宇田川悟 『図説 ヨーロッパ不思議博物館』

2007-10-19 08:25:29 | 07 本の感想
宇田川悟 『図説 ヨーロッパ不思議博物館 (ふくろうの本)
★★☆☆☆

トリュフ博物館にノストラダムス博物館、
偽者博物館に中世刑罰博物館、
ダンス博物館、ウィーン犯罪博物館……
ヨーロッパのちょっと変わった博物館を写真とともに
紹介する一冊。

こんな博物館もあるのね~というおもしろさはあるのだけど、
あくまでもガイドブックなので、読み物としては
いまいちおもしろみに欠ける気も。
わたしが博物館マニアじゃないからでしょうか?
自然科学系の博物館は好きだけれど、
文科系はあまり興味をそそられないのも原因だったかも。


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117:堀辰雄 『菜穂子・楡の家』

2007-10-17 21:51:08 | 07 本の感想
堀辰雄『菜穂子・楡の家』(新潮文庫)
★★★☆☆

「菜穂子」
母と交流のあった作家・森於菟彦をめぐって
少女時代に母と確執を生じていた菜穂子。
自分に関心のない夫と結婚し、
息子を愛する義母ともしっくりいかない日々を過ごしていたが、
病気のために家族と離れ、療養所に入ることになる。
夫や義母との関係、幼なじみの明との再会、
母にまつわる記憶に菜穂子の心は揺れ動き、
ある日突然療養所を抜け出して東京へ向かう。

「楡の家」
成長した菜穂子にあてて、母が自らの心情をしたためた日記と、
それを読んだ菜穂子による追記。

「ふるさとびと」
「菜穂子」に脇役として登場していたおようの物語。

*********************************************

やっぱりわたしは堀辰雄の文学を理解できないようです。

ほかごとを考えて仕事中も上の空、
こんな仕事はだれでもできる、
おれにはおれにしかできないことがあるはずだ、
と思っているだめんずの香りぷんぷんの都築明に失笑。
仕事中ぼんやりしている明に社長が、
「一月でも二月でも、休暇を上げるから
 田舎へ行って来てはどうだ?」
などと言い出すくだりには吹き出してしまいました。
堀辰雄は会社勤めをしたことがないのかしら??
村娘とのやりとりでも、「なんだこの男!」と
つっこみどころ満載でありました。
明のダメ男ぶりに心奪われ、主役のはずの菜穂子の印象は
あまりありません

長編の物語となるはずだった話が、この3編になったとのことで、
どうも説明不足のような感じがして、
いまいち釈然とせず、もやもやが残ります。


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116:千野帽子 『文藝ガーリッシュ』

2007-10-14 18:41:50 | 07 本の感想
千野帽子『文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。』(河出書房新社)
★★★★☆

乙女な文学少女のための読書案内。
図書館でたまたま目について手にとってみたのだけれど、
紹介文だけですでに濃厚な世界をつくりあげております。
吉屋信子や嶽本野ばらと言えば、お察しいただけるかと。

尾崎翠、野溝七生子、森田たま、城夏子……と
名前も聞いたことのない作家から、
室生犀星、太宰治、三島由紀夫等々有名どころまで、
69の乙女本を紹介。
既読本は、

武田百合子『富士日記』
舞城王太郎『阿修羅ガール』
藤野千夜『少年と少女のポルカ』
高樹のぶ子『光抱く友よ』

のみでした。
大半は絶版で入手困難なのでは?と思われるセレクトなのだけど、
読んでみたい!と思わせる内容の紹介文。とりあえず、

綾辻行人『緋色の囁き』
太宰治『女生徒』
武田泰淳『貴族の階段』
室生犀星『蜜のあはれ』

あたりを読んでみたいです。


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115:カレン・キングストン 『ガラクタ捨てれば自分が見える』

2007-10-12 09:51:54 | 07 本の感想
カレン・キングストン 『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門 (小学館文庫)
★★★☆☆

昨年から「捨て熱」におかされているわたし。
お片づけブログを見ていると、
この本が頻繁に取り上げられているので
なんだろう……と思っていたのだけど、風水だったのね。
この本が「捨てる」ブームのさきがけだったりするんでしょうか。
Amazonのレビューの多さにびっくらこいた!

似たような内容の本をすでに何冊か読んでしまったので
インパクトは薄く、「気」だとか「エネルギー」だとか、
スピリチュアルな内容には「うーん?」といったところだけど、
捨てるぞ~!!という気にはなります。
玄関の位置から、自分の家のどこが人生の何を司っているのかを
調べる「風水定位盤」というのがついていたのだけど、
わたしの家の物置は、「健康、結合」にあたる場所らしく、

「ここに『ガラクタ』がある人は、健康を害しやすく、
意義のある人生目的を見失います。」


だって!


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114:斉藤光政 『偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件』

2007-10-11 21:18:35 | 07 本の感想
斉藤光政『偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件』(新人物往来社)
★★★★★


「東日流三郡誌(つがるそとさんぐんし)」って
ご存知でしょうか?

青森県五所川原市の一民家の天井裏から「発見」され、
東北地方の知られざる歴史が書かれているとして
青森県を中心にひと騒動巻き起こした文書です。
騒動のあった十五年前、わたしは中学生だったのもあって
リアルタイムではまったく知らず、
その後、東北史関連の本で、名前とおおまかな内容、
偽書とされていることを知った程度。

本書は、この事件を追い続けた東奥日報の記者による
ドキュメンタリー。
おもしろくて一気読み!!
著者とともに事件を追っていくようなドキドキ・ワクワク感が
味わえます。
こうして経過とからくりを見れば、その荒唐無稽さに
「なぜだまされる?」
と思ってしまうのだけど、地元の人間としての
歴史的な認識・心情を持っていたら、
やっぱりだまされちゃったかもなあ……。

古田氏の立場がその後どうなっていったのか気になります。


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113:浅田次郎 『中原の虹〈3〉』

2007-10-02 13:49:05 | 07 本の感想
浅田次郎『中原の虹 第三巻』(講談社)
★★★★☆

西太妃の死後、皇族内閣によって追放された袁世凱が、
相次ぐ革命勢力の蜂起を押さえるため、奉天に呼び戻された。
復帰した袁世凱は、幼少の宣統帝に対し、
自らを新たな内閣の総理に任命するよう要求する。
一方、王永江を取り込んで政治的な能力を補った張作霖は、
東北地方で一大勢力を形勢するに至る。

*********************************************

西太后の死後、とうとう宣統帝が退位。
袁世凱はしぶとく頑張ってるし、
張作霖も勢力を伸ばしているのだけれど、
前巻のドラマチックな展開の後始末というのか、
それぞれの思惑がからみあいながら
地味ーに話が進んでいく印象。
徐世昌、趙爾巽といった地味なエリートの活躍が
目立ちます。
浅田次郎はスーパーエリートが好きだよね。

西太后の亡霊が降りてきて、溥儀に喋らせるという展開には
やや白けてしまいましたが、清王朝の終焉は感慨深い。
あと1巻で完結なのか……。

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