金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

206:ヒキタクニオ 『ベリィ・タルト』

2006-09-30 19:51:32 | 06 本の感想
ヒキタクニオ『ベリィ・タルト』(文藝春秋)
★★★★☆

これも『だらしな日記』より。初めて読む作家さん。

元ヤクザの芸能プロダクション社長・関永にひろわれた家出中の美少女リン。
関永の片腕・小松崎やオカマの仁によって磨き上げられたリンは
アイドルとしての道を歩み始めるが、人気が出始めた矢先、
大手プロダクションから移籍を持ちかけられる。
ヤクザもからみ、リンをめぐる壮絶な争奪戦が繰り広げられることになる。

まわりのキャラクターが濃いのでリンの存在がかすみがち。
「アイドルはつらいよ」話ではなく、アイドルを作り出す芸能界の裏側と、
関永と小松崎というふたりの元ヤクザの生き様がメインでしょうか。
争奪戦の決着の付け方には「ええっ……!?」と驚愕。
悲しいなあ。
ラストには肩透かしを食らわされた気分だけれども、おもしろかった!!
リンのキャラクターがもう少し色濃く出ていたら、
文句なしで★5つでした。

本筋とはあまり関係ないけど、美容に関する薀蓄が
なかなか参考になります。
「アイドルは作られる」というのがよくわかるなあ。
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205:日明恩 『鎮火報』

2006-09-29 17:03:15 | 06 本の感想
日明恩『鎮火報Fire’s Out』(講談社)
★★★☆☆

これも『だらしな日記』より。
筆者の名前、「たちもりめぐみ」と読むんだって。
人名って難しいなあ!

メフィスト賞を受賞してデビューした著者の二作目。
殉職した父のようにはなるまいと、事務職を志願する消防士・雄大。
不法就労の外国人アパートで、摘発と同時に火災が発生する事件が
連続して起こり、因縁の元救助隊員・仁藤や入管の小坂と関わる中、
雄大は発火の謎に首を突っ込んでいくことになる。

「饒舌な石田衣良?」と思ってしまったのはわたしだけ?
IWGPの文体を煮詰めて増量させたような語り口。
守のキャラクターを気持ち悪いと思ってしまったのと
ぎゅうぎゅうに詰まった説明に辟易してしまったのとで
好み度は下がってしまったけれど、話としてはおもしろい。
真相が明らかになり、決着がつく場面ではほろりときてしまった。
著者のカラーは他の作品でも一貫しているのだろうか……。
キャクター造形に苦手意識があるので、やや危惧は感じるのだけど、
受賞作の『それでも、警官は微笑う』も読んでみたいところ。

メフィスト賞出身者って「文字量が多い」というイメージ。
なんとなくだけど。

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204:大美賀直子/川口哲也 監修『ミラクルチェンジ! 心とカラダの磨き方』

2006-09-29 12:33:06 | 06 本の感想
大美賀直子/川口哲也 監修『心とカラダの磨き方―ミラクル・チェンジ!』(PHP研修所)
★★★★☆

例のシリーズ。タイトルがなんだか恥ずかしいんだけど……。
これもイラストがたいへん可愛い
見ているだけでにこにこ!
内容はストレスのかわし方とダイエットの二本立て。
「磨き方」と言ってる割にはガツガツしておらず、
ゆるーくやわらかな感じでほのぼのできる。

前から思っていたのだけど、ストレスって
どうやって自覚するのでしょうか?
「自分はストレスを受けている!」と声高に訴える人は、
その場その場で自分で「あっ、いまストレス!」と認識しているのかな?
わたしは自分でストレスを認識していないのに、
「苦しい!助けて!!」
と連日寝言でうめいていたりするらしいのです。
(いかにも根暗っぽい!
突然、体にどかんと影響が来ちゃったりとか。
「このところ表情が急に明るくなった」と人に言われて、
これまでのストレスに思いを馳せてみる今日このごろ。

ダイエットのほうは、
「イライラなどから来る心理的な食欲をやり過ごすため、
 五分間にやることのリストを作る」
など、現実的で頑張りすぎない方法が紹介されていて良し

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203:上野やすみ 監修『夢がかなう!お金と時間の使い方』

2006-09-27 12:58:57 | 06 本の感想
上野やすみ監修『夢がかなう!お金と時間の使い方』(PHP研究所)
★★☆☆☆

はじめよう!気持ちのいい暮らし』がとっても可愛い本だったので、
シリーズ数冊を購入してしまったのだけど……
ぎょえ~! わたしの苦手な自己実現の本ではないか!!
よく見ると小さく「夢がかなう!」と書いてあるなあ。
そのタイトル通り、夢をかなえるための財産運用、保険、
キャリアアップについてアドバイスをまとめた一冊。
貧乏人なのだから財産を増やすことを考えたほうがいいと思うのだけど、
投資とかキャリアアップなんて読むのも面倒でイヤだ
ただし、可愛いイラストでわかりやすくまとめてあるので
興味のある人には入門編としておすすめ!

夢……わたしは一度は望んだものを手に入れたし、
それを失った今も「ほしい」ではなく「それしかない」「手に入る」と
漠然と思い込んでいるので、いまいちぴんと来ない。
そして頭の中の準備ができれば、趣味も生活も切り捨てて集中できるので、
時間に関して死ぬほど困ったことも、ほとんどない。
心がけているのは、「誰かのため」に意に添わないことをして
後で時間を奪われたと恨み言を言わないようにすること。
……たまに愚痴っちゃったりするんだけど、自己憐憫がみっともない。
それを選んだのは自分だと、受け入れる覚悟がなきゃだめだ。

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202:白石公子 『僕の双子の妹たち』

2006-09-27 08:58:58 | 06 本の感想
白石公子『僕の双子の妹たち』(集英社)
★★★★☆

図書館でたまたま目について、なんの予備知識もないまま
借りてきたのだけど、おもしろかった!

突然の事故で両親を失い、双子の妹たちと祖父との四人暮しを
することになった25歳の直毅。
いかにも女性が書きそうな男性といった感のある主人公と
静かな生活の描写から、ふわふわした優しいお話なのかな……と思いきや、
徐々に両親や家族にまつわる問題とどろどろが噴出してきてびっくり。
両親の死を受け入れるまでの再生の物語ではあるのだけど、
ままならない恋の苦しみや兄妹三人の間の閉塞感、
静かに精神的に追い詰められていく過程にこっちまで息苦しくなる。
修羅場は逆に文章が淡々としているので安心して読めてしまった。
全体を通して優しく、穏やかなトーンは保たれているのだけど、
ときどきドキッとするような言葉があって痛い。

安易な方向に流されやすく、情けないながらも、
妹たちを思いやる主人公のお兄ちゃんぶりにちょっとときめき!
男の兄弟がいないので夢みちゃうんだよね……。
そして多くを語らず、孫たちのために料理を作り続けるおじいちゃんの
あたたかさにほろり……

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201:戸梶圭太 『トカジノフ』

2006-09-26 10:47:58 | 06 本の感想
戸梶圭太 『トカジノフ』(角川書店)
★★★☆☆

だらしな日記』で取り上げられていたもの。初めて読む作家さん。
本当は昨日読み終わったのだけれど、前日の飲み会ではしゃぎすぎたため、
昨日はその後始末に煩わされていたのでした。

下品でばかばかしい短編集。
バイオレンスに免疫のないわたしは、ころころっとギャグみたいに
人が死んでいくたびに、ぎょ!ぎょ!
いろんなタイプの話があったのと、手作り感満点のイラスト&写真が
おもしろい。
鳩殺しの請負人が鳩に復讐される話なんて、
ばかばかしいし気持ち悪いんだけど今まで読んだことがないので
ついつい引き込まれてしまった。
昔の少年マンガみたいなノリで、男の人にはわりと
入りやすい世界じゃないでしょうか。

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200:あさのあつこ『No.6 #4 』

2006-09-24 12:35:04 | 06 本の感想

あさのあつこ『No.6 (#4)』(YA! ENTERTAINMENT)
★★★★☆

籐子ちゃんライブラリーから拝借。
とらわれた沙布を救出するべく、No.6の高官から情報を引き出し、
「人狩り」を機に矯正施設に潜入することになった紫苑とネズミ。
階層社会の明暗、差別、刷り込まれた価値観……と興味深いテーマを
含んでいるし、まったく異なる環境で生まれ育った主人公たちが
互いに影響を与え合って変化していくのもおもしろい。

ただ、煩悶とか懊悩の内面描写が多いせいで、
文字数の割に展開が遅く感じられてもどかしい。
同じシーンを異なる視点で繰り返すという書き方が二箇所あって、
これにも焦らされた。
毎回言ってる気もするけど、BLっぽさも気になるところ。
『あさのあつこ読本』で同性どうしの関係を重視してるって言っていたけれど、
別に男どうしにこだわっているわけではないのかしら。
『テレパシー少女「蘭」』は女の子たちが主役のようだけど、
未読だから判断できない。
わたし、美少年って好きじゃないんだよな~。
どうせなら無精ひげのおじさん同士でお願いします!

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199:銀色夏生 『これもすべて同じ一日』

2006-09-24 12:09:31 | 06 本の感想
銀色夏生『これもすべて同じ一日』(角川文庫)
★★★★★

これも写真詩集。
出たのが20年前だということにびっくり。
詩よりも写真メインの仕様になっているけれど、
わたしはこっちのほうが好き。
モチーフといい色といい、写真が本当に素敵。
へんな高尚さとか気取ったところがないのがいいのかな。
『つれづれノート』は終わってしまったけれど、
詩ではなく日記と写真の組み合わせが見たかったなあ。

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198:銀色夏生 『そしてまた波音』

2006-09-23 20:23:42 | 06 本の感想
銀色夏生『そしてまた波音』(角川文庫)
★★★★☆

写真詩集。
詩集の中でも写真つきのものって、「カラーだし文字数のわりに高い」と
思っていたのだけど、値段自体はそんなに変わらないのね……

植物モチーフの写真が多かったので、個人的にはそれだけで充分楽しめた。
砂浜と表紙にもなっているシャボン玉の写真もすてき。
依然として勢力を保っている「メッセージ本」とか「癒し本」と、
こういう詩集をいっしょくたに考えている人もいるかもしれないけれど、
個人的には、あの類の本とはまったく別ものだと主張したい。
(「メッセージ本」も「癒し本」も、悪くはないし、効用もあると思うけれど)

幸福な詩よりも悲しい詩のほうが美しく感じられるのは、
人が悲しみのほうに同調しやすいためかしら。
日記で描かれる日常と、この詩と写真の世界が、ひとりの人物の中に
同居しているのだなあ……となぜだか初めて気づいたような気分になった。

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197:小坂部元秀 『浩宮の感情教育』

2006-09-22 18:39:08 | 06 本の感想
小坂部元秀『浩宮の感情教育』(飛鳥新社)
★★★★☆

これも『だらしな日記』で取り上げられていたもの。
学習院高等科で浩宮の主管(クラス担任)をつとめていた著者による回想録。
皇室について、学習院について、知らなかったことがてんこ盛りで
非常に興味深かった。
皇室についてはくわしくないので、書かれていることを客観的に見るのは
難しいのだけど……本当に特殊な世界。

しかし、率直に感想が述べづらい。
それもまた特殊性から来るものではあるのだけど。

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