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★★★★★
光源氏の周辺の女性たちが語る「源氏物語」。
上巻は「桐壺」から「常夏」まで。
回想や思い出話という形をとっているので原作そのままではないし、
アレンジを加えている部分も結構あると思うのだけれど、
原文で読んだところを見る限りでは、
かなり忠実に原文のエピソードと表現を織り込んでいます。
愛蔵版でかなり厚く重く、持ち歩けないので
夜寝る前にちょっとずつ読み進めていたのだけれど、
女の情念の濃さにあてられて毎晩寝つきが悪くなって困ります
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以前から光源氏のことは
「気持ちの悪い男だなあ」
と思っていたのだけれど、紫の上を引き取ろうとするところや
玉鬘に言い寄るところではゾーッ!
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調子のいいことを言いまくり、自分を可哀想がってめそめそ泣いたり
愛人の悪口をほかの愛人に言ったりする源氏に本気でムカムカ。
しかし、高貴な身分で美貌の持ち主と来た日には
やっぱりモトモに育つわけないよね……。
源氏の薄っぺらなところを知りつつも、
思い切れずに死ぬまで苦しみ続けた六条御息所があわれ。
生霊になって二人も取り殺しちゃって
完全にホラー担当といった感のある彼女だけれども、
源氏への恋情からくる嫉妬っていうよりは、
それまでの華やかな人生に対する誇りゆえという感じ。
下巻も楽しみです。