
★★★☆☆
図書部に所属する望美と図書部のメンバーの
日常を描く青春小説。
文科系の中でも決して花形ではなく、
クラスの中でなじめない生徒が集う図書部。
特別に大きな出来事も起きず、
事件かと思われた出来事に関しても特に盛り上がりを見せず、
なんだかもの足りないのだけど、つまらないという印象はない。
キャラクターの描き方がよかったのかなあ。
桂望実『Run!Run!Run!
』(文春文庫)
★★★☆☆
長距離ランナーとして恵まれた肉体を持ち、
幼い頃からランナーとして努力を積み重ねてきた岡崎優は、
S大学陸上部に入る。
オリンピックを目標とし、箱根駅伝は通過点に過ぎないと
公言する優は協調性もなく、周囲の反感を買う。
そんな中、突然の兄の死をきっかけに母が精神を病み、
母の口から思いがけない言葉を聞いた優は
自らの出生にまつわる秘密を知り、苦悩する。
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知らない作家さんだなあ……と思ってたのだけど、
『県庁の星』の人ね。
(映画になってたことくらいしか知らないが)
陸上や駅伝を題材にしたものは、
佐藤多佳子、三浦しをん、あさのあつこ……と
いろいろ出ているけれど、
この話、物語の軸となる設定は
今まで読んだことのないパターンで新鮮でした。
しかし、人物造形や部内での人間関係に関するエピソードはベタ。
主人公のキャラクターもなんか中途半端だなあ。
好きだと思える登場人物が一人もいない。
ふろしきを広げすぎてうまく回収できなかった感じで、
浅い印象を残してしまうのが残念。