金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

156:光原百合 『時計を忘れて森へいこう』

2006-07-29 14:14:26 | 06 本の感想
光原百合『時計を忘れて森へいこう』(東京創元社)
★★★☆☆

女子高生・翠は、自然の中に生きるレンジャーの護さんに出会い、
同級生のトラブルにまつわる謎を解き明かしてもらったのをきっかけに
森へ通うようになる。
翠の視点で語られる三話を収録。
ミステリーというよりは、自然や人間ドラマに比重が置かれている。
評判はいいみたいなのだけど、わたしにはどうもいまいち。

自然と心通わせる優しい男なんていやだ!!

……という超個人的な嗜好からすべては始まっているような気がする。
自然がどうこうというのにも食傷気味だしね。
主人公と探偵役のキャラクターが薄かったり、文章が合わなかったりで
読み飛ばしてしまったところが多かったのだけど、
第三話は人物造形・ストーリーともに好きでした。
『十八の夏』はずいぶん文章がすっきりしてよみやすかったので、
次は最近のものを読むことにする。


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153:竹内真 『風に桜の舞う道で』

2006-07-27 14:18:58 | 06 本の感想
竹内真『風に桜の舞う道で』(中央公論新社)
★★★★☆

浪人時代の友人リュータが死んだという噂の真偽を確かめるため、
かつて寮でともに暮らしていた仲間たちと連絡を取り始めるアキラとヨージ。
仲間たちとの十年ぶりの再会と、浪人時代の回想が交互に綴られる。
人物の名前は覚えられないし、やたら時事ネタを盛り込んでいるのが気になり、
最初はなかなか物語に入り込めなかったのだけど、中盤から一気に読了。
リュータの消息については、予想外にあっけなく解決してしまったのだけど、
夢に向かって邁進し、懸命に働いている彼らの姿が、
回想の挿入によって活き、輝いてみえる。
十年の年月を経てそれぞれの生活を得、奮闘していることに、
ああ良かったなぁとなんだか胸が熱くなってしまった。
ちょっとくさいくらいストレートな物語だけど、
『自転車少年記』に通じる雰囲気もあって好きです。


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井上荒野 『誰よりも美しい妻』

2006-07-26 14:20:12 | 06 本の感想
本の感想152:井上荒野『誰よりも美しい妻』(マガジンハウス)
★★★★☆

バイオリニストの夫・惣介と、美しい妻・園子。
夫の先妻、若い愛人、親友。
夫婦を取り巻く恋愛がしっとりした文章で描かれる。
わたしは結婚していないので、妻を愛しつつ浮気を繰り返す夫に対し、
気付かないふりをしたり、浮気相手を思いやってみせる妻の心情は
よくわからないのだけれど、雰囲気は好き。
雰囲気が似ているので、江國香織さんの本が好きな人は気に入るのでは?
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伊藤たかみ 『ぎぶそん』

2006-07-25 14:21:40 | 06 本の感想
本の感想151:伊藤たかみ『ぎぶそん』(ポプラ社)
★★★★☆

バンドを組むことになった中学生のガク、マロ、リリィ、かける。
ガクとリリィ視点でバンド結成から文化祭、その後が描かれる。
伊藤さんの本、児童書の方しか読んだことがないけれど、
男の子も女の子もみんな本当に可愛い。
実は泣き虫で親の前ですぐ泣いちゃうガクに、胸がきゅんきゅん。
中学生ってほんとはそうだよな~と思ったり。
これ、続編あるのかなあ。
後半は恋愛の話に終始し、かけるとマロの存在意義が薄くなってしまうので、
これで終わりだとやや物足りない。
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山田永 『日本神話とアンパンマン』

2006-07-24 14:24:45 | 06 本の感想
本の感想149:山田永『日本神話とアンパンマン』(集英社新書)
★★★☆☆

日本神話とアンパンマンの、物語としての構造の共通点を説き明かす一冊。
あらゆる物語の原型が神話にあることはすでに指摘されていることだし、
馬鹿馬鹿しいっちゃ馬鹿馬鹿しいのだけれど、
アンパンマンってとこがいいじゃないの。
作者のツッコミも楽しい。
わたしもドキンちゃんが好きだ。
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石井睦美 『卵と小麦粉それからマドレーヌ』

2006-07-24 14:23:05 | 06 本の感想
本の感想150:石井睦美『卵と小麦粉それからマドレーヌ』(ピュアフル文庫)
★★★☆☆

大好きなママの「爆弾発言」に揺れる中学生の菜穂。
危機や友達とのやりとりを通して、「もう子どもじゃない」立場を
獲得していくまでの小さな成長の物語。
ふわふわしたやさしい印象の本でした。
穏やかすぎて(主人公にとっては一大事なのだけど)、
やや物足りない気もするのだけど、児童書としてはよいのでは?
靴のくだり、どこかで読んだ気がするので、教材などで一部だけ
既読なのかもしれない。
作中にも出てくるブラッドベリの作品は、読んでみたいと思いつつ、
なかなか手を出せないでいるもののひとつ。


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伊坂幸太郎 『ラッシュライフ』

2006-07-11 14:31:20 | 06 本の感想
本の感想147:伊坂幸太郎『ラッシュライフ』(新潮社)
★★★★☆

ばらばらに展開していた5つの人生、5つの物語が、
少しずつ交差しながらからみあい、収束する。
読み進めるうちに、ぴたぴたとピースがはまっていくような快感を
感じました。
構成自体は、すでにいろいろな作家がやっていることだけれど、
テンポのよさとライトなキャラクター造形が爽快。
何かを学ぶとか、感動するというようなタイプの話ではないものの、
かなりおもしろかったので、興味のある人にはおすすめ!
(文庫版も出てます)
時系列が「エッシャーのだまし絵」になってるのかしら?
時間を整理しながらもう一度読み返したいなあ。

お面をかぶった銀行強盗の事件って、『チルドレン』にあった話ですね。
他作品ともリンクしているようで、そこにもにやり。


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川島誠 『NR(ノーリターン)』

2006-07-10 14:35:44 | 06 本の感想
本の感想146:川島誠『NR(ノーリターン)』(角川書店)
★★★☆☆

なんたるバカバカしさ!!
記憶喪失の少年をとりまくはちゃめちゃストーリー。
下ネタ満載でナンセンス、荒唐無稽。
漫画みたいなノリで軽い本が読みたい人にはオススメですが、
なんだかもう久々に触れたなあ、こういうどうしようもない話
おもしろかったんだけど。


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高橋源一郎 『一億三千万人のための小説教室』

2006-07-10 14:29:43 | 06 本の感想
本の感想148:高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』(岩波新書)
★★★★☆

「小説の書き方」を説明した本ではないので、
そういう内容を期待している人は要注意。
メインになるのは「小説とはなにか」から始まる作者の文学論や小説観。
堅苦しさのない文章で読みやすい。
ブックガイドの武者小路実篤のところで笑った。
片岡義男、高校生のころに何冊かよんだなあ。
村上春樹を初めて読んだとき、思い出したのが片岡義男だった。
コメントを読んでその理由がわかった気がする。


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佐藤秀明 『日本の路地裏100』

2006-07-07 14:37:27 | 06 本の感想
本の感想145:佐藤秀明『日本の路地裏100』(ピエ・ブックス)
★★★★★

日本各地の路地裏の風景を集めた写真集。
旅行に行っても、気持ちが惹かれるのは観光名所より
町並みだったりするので、見ていてとても楽しい。
古都、小京都と呼ばれるような街が多いので、
ノスタルジックな雰囲気の一冊に仕上がっている。
それぞれの写真にどこの風景だとは書かれていなくて、
リストで確認しなければならないのがやや面倒。
でも行ったことのない土地で、それとわかる観光名所が写っていなくても
「あっ、ここは長崎だ」となんとなくわかって、それもおもしろい。
角館に行きたくなったよ。

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