金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

2:石原真 『AKB48、被災地へ行く』

2018-01-29 20:35:05 | 18 本の感想
石原真 『AKB48、被災地へ行く』(岩波ジュニア新書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

「アイドルとして自分たちの出来ることをやろう!」。
AKB48グループの被災地訪問活動は2011年5月から現在まで、
毎月1回、一度も欠かすことなく続けられている。
即席のステージで行われるミニライブや握手会に参加した
メンバーの数はのべ450人以上…。
彼女達はそこで何を感じたのか?
アイドルの知られざる活動の記録。[カラー写真多数]

***************************************

先輩からのおすすめ。

自分が芸能人に興味ないからって、アイドルを斜めに見てたの、
ほんと申し訳なかったよ……
と懺悔したくなる内容だった。

最初のシロツメクサの花束のエピソードですでに泣きそう。
ファンにとったらアイドルは、この世に存在してくれるだけで
うれしい存在なんだな。
自分がつらいときに、肉眼で見えるほど、声が直接聴けるほど、
近くに来てくれたら、確かに元気づけられるだろう。

お涙ちょうだいのしつこさがまったくない文章なのに、
ところどころで涙ぐみそうになってしまった。

AKB48は初期メンバーの5人くらいしか顔と名前が一致しないので、
おそらく感激も半分だろうけど、それでもいい本だったよ。

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大河ドラマ「西郷どん」#4

2018-01-28 20:46:29 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
大河ドラマ「西郷どん」#4

ロシアンルーレット(笑)(笑)(笑)

将軍から茶器が下される=隠居勧告、というのは
知らなかったのでへえ~って感じ。
鹿賀丈史と渡辺謙の対決は緊迫感もあり
おもしろかったけど、何というか、
斉興=息子を嫌い藩主の座にしがみつく自己中心的な悪、
斉彬=賢く民を思う希望の星、
みたいなわかりやすい図式に落とし込もうとしているために、
なんだかいろいろと薄っぺらくなってしまっているなあ。
紀行では少し触れられていたけど、
傾いた財政を立て直した調所の活躍とか、
久光派が斉彬を藩主にしたがらない理由とか、
大幅に割愛されてる。
前回の終わりがけに畳みかけるように説明されたお由羅騒動も、
結局好き嫌いとか私欲だけの出来事になっちゃってるんだよね。


主人公が師事してきた赤山先生が切腹を命じられて、
父が介錯を務める羽目になったり、
一連の騒動のあおりを食って大久保父(平田満さん)が
島流しにあったり、ドラマチックなイベントが発生しているはずなのに、
あまり心が動かなかった。
これ、完全にエピソード不足だと思う。
お由羅騒動の描き方は簡略化されすぎだし、
赤山先生と弟子たちの絆とか、
西郷父と大久保父の幼馴染感とか、
もう少しエピソードを重ねていたら感慨深くなっただろうに。
(でも「喜界島にハブはおらん!!」は面白かった)

わたしが複雑な人物描写とか、エピソードの積み重ねによる
伏線回収が好きなせいか、どうも入り込めない脚本だ。
昨年の直虎も、面白くなるまでが長かったけど、
わりと序盤から登場人物やその関係性がフックとして機能していた。
今のところ、西郷どんにはそれもないんだよなー。
「斉彬さまが藩主になればなんとかなる!」
と盲信している主人公に、
「現実はそんなに甘くないんだよ!!」
と失望してほしい……とゆがんだ願望を抱いてしまうのだが、
この脚本だとそんなことにはならなさそう。
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大河ドラマ「西郷どん」#3

2018-01-21 20:00:01 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
大河ドラマ「西郷どん」#3

父親の悪政をただすべく、斉彬は老中に
薩摩の密貿易をチクったが、
結果として申し開きにやってきた調所を
自害に追い込んでしまう。
怒った父は斉彬派を一掃、
赤山も自害を申し付けられる。

……ということで、主人公が関わっていないパートは
面白かったよ。
悪役として登場しながらも、主君に累が及ばぬよう
一切の責めを負って死んでいった調所の貫禄は
さすがといったところ。
お由羅騒動に発展し、大河ドラマっぽい緊迫感も出てきた。


登場人物が「善」と「悪」にはっきり分かれていて、
主人公が「正しいこと」しか言わないの、
陳腐だなあ……と思っちゃうんだけど、
そう思うのはある程度ストーリーの消費に慣れてる人間だけなのかな。
一般的には、これくらい単純でわかりやすいほうが
受けがいいのかもね。

正義感に駆られて、できもしない約束を繰り返す主人公には
相変わらずイラッとさせられる。
しかし、これはもう家庭環境の問題だな。
百両借りて気が大きくなって大盤振る舞いしちゃう西郷家の行動が、
借金を重ねていく人の行動パターンそのもの。
借金体質と、「できもしないことを安請け合いする」のって、
見積の甘さという点で根が同じだと思う。

そして、前回から思っていたが、主人公も赤山も
斉彬を神格化しすぎだよね。
あっという間にすべてを解決してくれる
スーパーヒーローか何かだと思ってる。
予告見て、
「ほんとやめて、過剰な期待は……」
と胸が痛い。
その神格化の危うさをきちんとドラマとして描いてくれるのか、
ちょっと心配してる。
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大河ドラマ「西郷どん」#2

2018-01-14 21:06:20 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
大河ドラマ「西郷どん」#2

直虎ファンのみなさん、
もちろん「隠し田」に反応しましたね?

今年の主人公は百姓の不正にショックを受けていたが、
昨年の主人公サイドは不正する側。
隠蔽工作を試みたあげく、バレそうになると
事務担当に罪をおっかぶせようとしていた(笑)。

主人公が世間知らずで青臭く、
そのうえ力もないとなると、
見ていて本当にストレスたまるわ……。
「家族の生活を背負う身で、
 他人になけなしの金をくれてやるな」
とか
「ここで身銭を切って一次的に娘ひとり守ったところで、
 いったい何になるんだ」
とか思ってしまうのは自分が歳だからだろうか……。
主人公に感情移入できず参った。
しかし、こういう「正しい」主人公のほうが
全体としての受けはいいんだろうな~。
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1:吉川英梨 『葬送学者 鬼木場あまねの事件簿』

2018-01-13 17:30:09 | 18 本の感想
吉川英梨 『葬送学者 鬼木場あまねの事件簿』(河出書房新社)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

「結婚式が自己顕示欲にまみれたただのフェスティバルだとしたら、
お葬式こそが人生最大の愛のイベントである」
葬送儀礼の研究のため、全国を巡り実地調査を続ける鬼木場あまね。
土葬の慣習がのこる地域の葬儀を取材できることになったのだが…
葬送儀礼に魅せられた美人助手鬼木場あまね、
柳田國男オタクの民俗学教授福満博美。
一癖あるふたりが繰り広げる葬送学ミステリ!!

***************************************

初作者さん。
葬送という民俗学要素の織り込まれた、
コメディタッチのキャラミス。
ところどころに差しはさまれる下ネタで
人を選びそうだけど、
個人的には嫌いじゃない。

4編のうち最初の3編は、謎に関するネタは興味深いものの
ストーリーの展開にはあまり乗れないなあ……
という印象だったのだけど、
最後の「鍋かぶり葬」がおもしろい。
設定は作りこまれているし、謎解きも爽快。
複数のストーリーラインが先を読ませずに
きれいに着地して、お見事。

仁平とあまねの関係など、
きれいに締められてはいないので
続編は出そう(売上次第かな?)。
福満が気持ち悪いので、ふたりの恋の行方は
まったく気にならない……というか、
進展してほしくない。

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大河ドラマ「西郷どん」#1

2018-01-07 21:09:42 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
大河ドラマ「西郷どん」#1

原作、林真理子なのかー。

大河ドラマの1話めとしては、可もなく不可もなく、といったところ。
主人公も、ヒロインも、
今のところは大河のテンプレート内に収まってる感じ。
子役パートは、登場人物紹介と状況説明に終始することが多いからなー。
1話めから面白かった真田丸は、青年期から始まってたし、
ドハマりした清盛も直虎も、序盤は結構退屈だったので
楽しめるかどうかは、まだ判断できないな。

1話めは、ひたすらに「斉彬さま格好いい!!」を演出する回だった。
マントにゴーグル、爆発、と何やら特撮めいた雰囲気で登場し、
度量の大きさを見せつける。
しかし、こっそり江戸から薩摩に帰って来ても父親にまるで歓迎されず、
どうやら家庭内不和が起こっているらしい……ということも匂わされ、
そのキャラ立ちと物語性で完全に主人公を食ってしまっていた。

藩士内にある階級差のために主人公が一生残る障碍を負わされ、
武士なのに刀を扱えなくなり、
そのうえ犯人はおとがめなしで終わる……という重い展開が、
「これからの時代に求められるのは刀ではない」
という思考の転換で救われるのは良かったけど。

とりあえず5話くらいまでは見てみよう。




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映画:『ヒトラーに屈しなかった国王』

2018-01-04 20:09:12 | 映画の感想
2018年の映画①:『ヒトラーに屈しなかった国王』(エリック・ポッペ監督)
★★★☆☆

【シネマトゥデイの内容紹介】

1940年4月9日、ノルウェー。
首都オスロに強大な戦力を持つナチスドイツ軍が侵攻し、
主要都市は次々と占領されてしまう。
ナチスドイツ軍は降伏を迫るが、ノルウェー政府は拒否する。
その後ナチスドイツ軍は再度降伏を求めるべく、
ドイツ公使(カール・マルコヴィクス)と
国王ホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)への謁見を要求する。
国王は、ナチスドイツ軍に従うか、国を離れて抵抗を続けるか、
国民と家族のために結論を出さなくてはならず……。

****************************************

映画館にて。
今年最初の映画はこれ。
先月からずっと楽しみにしていた映画だけど、
思っていたのとはちょっと違ったかな……。
史実ベースなので仕方ないんだけど、
爽快感はまるでなし。

ドイツ公使がノルウェー侵攻に否定的で、
国を守ろうと奮闘していたというのはよかったし、
国王の孫たちがお父さんとの別れに泣き叫ぶところなんか
うっかりもらい泣きしちゃったんだけど、
2時間ちょっとの本編のうち、1時間半は、
国王もドイツ公使も、どちらも「流されるまま」。
戦争の恐ろしさだったり、心休まる時間のない不安な日々だったりは
描けていたんだけど、いったいいつ国王と公使の見せ場が来るのだろうと
苛々してしまった。

国王はノルウェーに王室が必要になったからという理由で
デンマークから呼びよせられて王となったものの、実権はない。
ナチスの侵攻に対する初動を誤った政府は、
ほとんど役に立たないが、
王は政府の決定に従うという立場を貫くものだから、
もうひたすらにナチスの追撃から逃れるのみ。
孫を可愛がり、家族を愛する良き家庭人として描かれるんだけど、
タイトルから予想されるほど毅然としたところはないんだよね。
公使との会談でも、まったく堂々としておらず、
彼から逃げてるし。
公使の提案を拒否したのも、口では理由を言っていたが、
降伏したデンマーク国王である兄を引き合いに出されて
激昂しただけのように見えた。
そしてこれは結果論になるけれども、国王が提案をはねつけて
何かいいことはあったんだろうか……。
その後、国王はイギリスに亡命し、結局ノルウェーは降伏。

公使も、ノルウェーという国をリスペクトはしてるんだけど、
この人、いったい何をしたの??? という感想しか出てこない
描き方なんだよ。

いくらでもヨイショ&劇的な演出ができたと思うんだけど、
最後まで締まらなかった。
もったいないなあ……。
ノルウェーの歴史についてはほとんど知らなかったので
その点では興味深く見たけれど。
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