金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

155:上大岡トメ 『トメさんちの前向きごはん』

2012-11-29 08:40:04 | 12 本の感想
上大岡トメ『トメさんちの前向きごはん(メディアファクトリー)
★★★☆☆

イラストとエッセイを組み合わせた本。
自炊のモチベーションアップになるかと思って。
いろんな本で書かれていることをすでに読んでしまったので
料理をしよう!とモチベーションが上がることがなかったのだけど、
気軽に読めるので気分転換にはいい。

それにしても、アマゾンのこの本のレビューが
あまりにも独善的でびっくりした。
ブログを見ていても、
「料理できなくて(料理嫌いで)困ってまーす」
という主婦の人は結構いると思うんだけどなあ。


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154:内田樹 『街場のアメリカ論』

2012-11-28 08:51:27 | 12 本の感想
内田樹『街場のアメリカ論』(文春文庫)
★★★★★

日米関係、ファースト・フード、アメリカン・コミック、
統治システム、戦争経験、児童虐待、シリアル・キラー、
身体と性、キリスト教、社会関係資本、裁判をテーマにした
11章からなるアメリカ論。
読むのに肩が凝りそうだなあ……と思ってたんだけど、
読み始めたら止まらない。
深夜で眠いのを我慢して、最後まで読んでしまった。
非常におもしろかったので、おすすめ!

首相の靖国参拝になぜアメリカが抗議しないのか、
太平洋戦争中、インドシナ半島で日仏両軍の間に
戦闘が起こらなかったのはなぜか、
「なるほど」と思う内容が満載。
アメリカ映画やアニメの子供がかわいくないのは、
「子供嫌い」の伝統のためだったのか。
アメリカの子どものミスコンも、写真を見ると、
子どもらしい純真さ、かわいらしさを売りにした子より、
大人の女性の縮小版みたいなけばけばしい子が多いよね。
「子ども」に対するイメージが全然違うんだろうな。

その他、「なるほど」と思ったところ。

・「有事法制」はアメリカあるいはアメリカの許諾を得た外国が
 日本領内に侵略してくる可能性を勘定に入れていない。
 日本にとっての真の軍事的危機は「ありえない」ものとされている。

・アメリカン・コミックで繰り返し描かれるヒーローの苦しみや孤独は
 国際関係におけるアメリカのセルフ・イメージ

・アメリカは「自分の運命を自分で決める」という生き方を標準として定めた。
 アメリカのような国はアメリカ以前には存在しなかった。

・アメリカの統治システムは、愚鈍で無能な統治者が社会にもたらす
 ネガティブな効果を最小化するように制度化されている。
 アメリカは理想の国をすでに達成した状態からスタートしたため。

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153:山崎佳 『ごきげん朝ごはん』

2012-11-27 08:29:27 | 12 本の感想
山崎佳『ごきげん朝ごはん』(講談社)
★★★☆☆

名前も聞いたことがなかったけれど、
著者は「フォトエッセイスト」とのこと。
おしゃれでかわいい朝食の写真とレシピ、ポエムみたいなエッセイを
組み合わせたもの。
「焼きりんご」とか「アーモンドマフィン」とか、
名前だけで素敵なイメージが喚起される。
108~111ページの写真に登場している男女(特に女性のほう)の
やさぐれた雰囲気が、本のほかの部分とミスマッチで
違和感がすごかった

「女の子はフレンチトーストが好き」
とあったけど、わたしはあまり好きじゃない。
給食と自作のものとホテルの朝食でしか食べたことがなく、
本当においしいフレンチトーストを知らないだけかしら?


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152:さくら剛 『感じる科学』

2012-11-26 08:12:46 | 12 本の感想
さくら剛『感じる科学 (Sanctuary books)』(サンクチュアリ出版)
★★★★☆

前書きの最初に
「この本は、バカバカしい本です」
と書かれているように、「バカバカしいたとえ話」のオンパレードで
科学の世界をわかりやすく説明している。
何度も吹き出しそうになった。
「相対性理論」や「量子論」も、まったく納得はできないけれど、
「どういう理論なのか」はこれを読んで初めてわかった気がする。
「重力」と「引力」も別のものなのね。

モテるオスの子孫だけが増えていくのが動物の進化なのに、
なぜ人間の男はイケメンばかりではないのか?
という冗談の部分、そんなこと考えたこともなかったけれど、
人間がイケメン/非イケメンで淘汰されていくには
まだまだスパンが短すぎるよね。


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NHK大河「平清盛」レビュー46

2012-11-25 21:00:17 | NHK大河「平清盛」レビュー
清盛、ぼっち街道驀進→発狂の巻。

「わしの国づくりに付いて来られぬと申すのか!
 わしの国づくりがわからぬ者はこの国にいらぬ!!」

なんて、そんなこと言ったら、日本には清盛しかいなくなっちゃうよね!

仏御前に夢中で祇王・祇女を空気扱いして、
みんなが反対する福原遷都を強行した清盛。

小兎丸は清盛の国づくりに不信を抱き、
遷都に対して思い切って苦言を呈した頼盛は清盛に恫喝され、
遠く伊豆で清盛ファンを続けていた頼朝も
清盛を見限って挙兵を決意。
若い日の思い出話を持ち出して清盛を諌めようとした
西行は諫言をスルーされ、
清盛に恐怖した仏御前は清盛に射殺されかけ、
イエスマン・盛国がついにキレる!

……とファンや身内の人間までも、
次々と清盛にはついていけないドン引き状態に。
「わしに逆らうものは皆死罪じゃー!!」
「すべてを手に入れ復讐するのじゃー!!」
と完全な暴君になってしまった清盛を、
みんなが「ダメだこりゃ」という目で見ているのが、
恐ろしいやらせつないやら。
白河院が母を殺したのと同じ方法で仏御前を殺しかけ、
危うく白河院と同化してしまいそうになったところ、
頼朝挙兵の報が届けられ、奇しくも頼朝が清盛を正気に戻らせた……
というのが今回の結末。
白河院の血というのが第一話から一貫して
清盛の人生を縛っているのだなあ。
そして第三部で清盛の内面を描かなくなったのは、
第三者の視点に限定することで

「そりゃー平家は滅びるよね」

と納得させるためだったのか。
松ケン演じる狂った清盛が迫力ありすぎた。

【その他いろいろ】

・ちょっとしか出てきてなかったくせに
 最後は泣かせることを言う仲綱。
 頼政はずっと腰が定まらず、今回の決起も
 ムードに流されてって感じだったけど、
 老体で、穏やかな余生と引き換えにこれに賭けた!と
 思うと感じるものがあるな。

・やっぱり顔を見るとムカムカしちゃう以仁王。

・「本妻がいたら側室が出入りしにくい」
 と福原に移っても清盛と別居する時子。
 常盤のことも「側室にすればいい」って言ってたし、
 時子って全然嫉妬の感情を見せないのね。
 宗子ママみたいにいつか爆発しないのかしら……。

・清盛の「幸薄そうな女」好きのルーツはやはり舞子なのか。
コメント (3)
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154:内田樹 『街場のアメリカ論』

2012-11-24 13:16:29 | 12 本の感想
内田樹『街場のアメリカ論』(文春文庫)
★★★★★

日米関係やアメリカの文化、宗教、戦争、児童虐待等々、
過去から現代にいたるアメリカの姿について論じた一冊。

おもしろかった!!!
目から鱗が落ちるような言葉、刺激になるような言葉が
たくさんあって、メモを取るのに忙しいくらいだった。
とっつきにくい題材を扱っているのに、
易しい言葉でわかりやすく書かれているので
むさぼるように読んでしまった。
大満足です。


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151:ローラン・プリューゴープト 『アルファベットの事典』

2012-11-24 09:01:54 | 12 本の感想
ローラン・プリューゴープト『アルファベットの事典』(創元社)
★★★☆☆

訳は南條郁子。
カリグラファーである著者が、アルファベットの個々の文字について、
そのデザインや成り立ち、歴史、意味や使われ方について述べたもの。
内容としては『数のはなし』と似ているかも。
あちらは数字、こちらはアルファベットで、扱っているものは違うけど。
アルファベットの装飾文字は優美で、見ていて楽しい。

「&」をわたしは「アンド」としてしか認識しておらず、
「なぜ&でandがあらわされているのか」
ということを考えもしなかったのだけど、
この文字には「アンパーサンド」という名前がきちんとあるのね。
ラテン語の「et」の合字だというのも初めて知った。


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150:k.m.p. 『k.m.p.のやなコトを、どーにかこーにか。』

2012-11-20 12:58:02 | 12 本の感想
k.m.p.『k.m.p.のやなコトを、どーにかこーにか。』(二見書房)
★★★☆☆

幼いころから今にいたるまで経験してきた「やなこと」に
ついてつづった本。
理不尽な大人の言動に反論できずに泣くしかなかったり、
時間はあるけどお金はない大学時代、
「なぜみんなはあんなにコギレイに女子大生をやれるのか」
と思ったり、豹変した友だちの言動に
思わず無言になってしまったり……
「ああ~あった、あった、こういうこと!」
と、思い出して、なんだかじわっとイヤな気分。
泣くほどではない、怒りをぶちまけるほどではない、
だけど「ズキッ」としたり「もやっ」としたりする、
ふだんは忘れているけれど、触れられるとその存在を
思い出す心に刺さったトゲのような記憶を呼び覚まされる。

これを読んだ多くの人が「あるある」と思うと思うんだけど、
会ったこともない人々と共通の経験をするってことは、
その経験のきっかけになった「やなこと」を与える相手の
言動というのも多くの人に共通のもの。
個々の人間は一人ひとり異なるわけだけど、
遺伝的あるいは環境的なものに由来する共通の行動パターンというのは
やっぱり存在するわけで、だから心理学とか社会学というのが
成立するのだなあ……といまさらながら納得。


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149:岡嶋二人 『クラインの壷』

2012-11-19 10:44:46 | 12 本の感想
岡嶋二人『クラインの壷』(講談社文庫)
★★★★☆

ゲームブックの原作として応募した作品が、
新しいゲームの原作として見いだされ、
イプシロン・プロジェクト研究所に二百万でそれを売った彰彦。
イプシロン・プロジェクト研究所は、
あらゆる感覚をリアルに再現できるヴァーチャルリアリティ・システム
『クライン2』の開発をしていた。
美少女女子大生・梨紗とともに、彰彦はテストプレイヤーとして
『クライン2』のバーチャル・リアリティの世界に入り込むが、
次々に不審な出来事が起こり始める。

************************************

まったく予備知識がなかったため、
裏表紙のあらすじに「美少女・梨紗」と出てきた段階で
電撃文庫系のライトノベルを想像し、
「美少女とムフフ」な話なんだろ!と思ってました。ごめんなさい。
実際は、SFをベースにしたミステリー&サスペンス。
現実と仮想現実の世界の区別がつかなくなる、というストーリーは
今となっては目新しくはないのだろうけど、
1989年の作品だと思うとすごいよね。
1989年ってファミコンの時代だし、パソコンもそれほど普及しておらず、
ヴァーチャル・リアリティという言葉も一般には知られていなかったはず。
ミステリー&サスペンス仕立てにしているので、
今読んでも陳腐な印象はまるでない。
読んでいる間は、主人公と一緒に、
「どちらにいるのか」がわからずに不安で仕方なくなってしまう。


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NHK大河「平清盛」レビュー45

2012-11-18 20:47:12 | NHK大河「平清盛」レビュー
いよいよおかしくなってきた清盛。
女狂いも始まって、色ボケじじの様相も呈してきた。
これまで清盛のターニングポイントというのは
いくつかあったと思うんだけど、この「おかしさ」は
「ある時を境に」じゃなくて、
本当に「いつの間にか、だんだんに」なので
なんだか見ていて不安になる。
イエスマン盛国ですら今日は
「あーやべー。殿やべー」って顔してたもんね。
ろくでなしのチンピラ時忠ですら苦笑するレベル。
それにしても酒を飲みながら若い娘っ子とキャッキャしてる
清盛を見て、「弔いのようにも見える」という時忠は、
意外にロマンチストだと思った。

さて、本日輝いていたのは、新しく棟梁となった宗盛。
「宗盛」と書いて「だめもり」とルビを振りたいバカ息子っぷり。
高倉帝を厳島へ参詣させることに激怒した坊主たちが結託すると、
「どーしよ、どーしよ!?」と泡食って
弟の知盛と重衡の提案に一も二もなく乗っかる(自分で考えろよ!)。
棟梁となってから宴三昧なのを時子に叱られると、
「重盛の兄上は、正妻の子である自分を棟梁にするために
 早く死んでくれた」
と言って反省の色もなし。
息子が蔵で見つけてきた竹馬によって
忠正おじさんとの別れの場面がフラッシュバック、
「おじさんの思い出によって心を入れ替えたのか!?」
と思ったらとんでもない。
かの有名な、「平家物語」の馬をめぐる仲綱との因縁話を
実践して、頼政&仲綱を焚き付けるはめに。
本当に、重盛が死んでしまって、
坂道を転げ落ちていこうとする一門を止める人間は
いなくなってしまったのだなあ。

追記:よそ様の感想を見て「なるほど」と思ったのだけど、
   忠正の記憶(与えられなかった偽物の馬・ないがしろにされていた自分)
   →仲綱からの馬取り上げ(本物の馬ゲット・力のある自分)
   という流れなのね。

【その他いろいろ】

・不遇をかこつ以仁王だが、この人の顔を見ていると
 ムカムカしちゃって、ちっとも同情心がわいてこない。

・小さい子のみずらは本当に可愛い。

・的を外したってレベルじゃねーぞ! という
 頼朝の弓矢の腕前。
 政子ですら気をつかってアドバイスも遠慮がち。

・義経は元服したらイケメンに見えてきた。
 小兎丸もイケメンだ。

・相変わらずすごい秀衡の舞台メイク。
コメント (3)
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