金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

35:井上靖 『あすなろ物語』

2009-09-22 20:08:35 | 09 本の感想
井上靖『あすなろ物語』 (新潮文庫)
★★★★☆

これもKライブラリーから拝借。
「しろばんば」「夏草冬濤」と同じく
井上靖の自伝的小説。
主人公・梶鮎太の少年時代から成人後を年代順に追う
6部構成になっている。
檜になりたくてもなれず「明日は檜になろう」と
考え続ける翌檜の伝説(※)をモチーフに、
何者にもなれない鮎太の孤独と劣等感、
それぞれの時代に出会った女性への憧れを描く。

これもしばしば入試に使われる作品だけど、
子どもには薦められないわ~。
少年時代を描いた部分も、全部読むと結構ショッキングで
「子どもは見ちゃダメ」って感じなんだよね。
迫力があり、面白く、上手い。

(※)あすなろの語源は「貴(あて)なり」だと聞いたことが
あるけど、これも一説にすぎないようだ。
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34:長野まゆみ 『鳩の栖』

2009-09-22 14:26:50 | 09 本の感想
長野まゆみ『鳩の栖』 (集英社文庫)
★★★★☆

短編集。
これもKライブラリーから拝借。
入試問題でよく使われている印象があったたため。

長野まゆみは、中学生時代に読んだ『雪花草子』をはじめとする
数冊を読んで、その少年愛、同性愛的要素に
「気持ち悪!!!!
と大変な衝撃を受けたものです。
表紙を見るだけでいやだ……と思っていたのだけど
(女の子が主人公の『コドモノクニ』は好き)、
これはそれほどでもなかったな。
静謐で澄んだ、少年たちの世界。
嫌いな要素も確かにあったのだけど、
年とって感受性が低下しているせいなのか、
自然と受け流すすべを身につけたのか。
雰囲気は好きでした。

趣味嗜好の問題だから仕方ないのだけど、
線の細い美少年ばかりじゃなくて、
マッチョとか不細工が出てくればいいのに。
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33:佐藤多佳子 『しゃべれどもしゃべれども』

2009-09-22 10:57:38 | 09 本の感想
佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』(新潮文庫)
★★★★☆

二十六歳の落語家・今昔亭三つ葉は、
テニスクラブでコーチをしているいとこの良を
初めとする口下手で訳ありな三人を相手に
自宅で落語を教えることになる。
自らの不調に悩みつつも、三つ葉は
一癖も二癖もある三人に手を焼きながら
状況を変えようと奮闘する。

**************************************

Kライブラリーから拝借。
国分太一主演で映画化もされていましたね。
十河五月は香里奈か~。
相手が最初に登場したときから
「あーくっつかないといいな、これ……」
と思っていたのだけど、やっぱりか。
ヒロインが好きなタイプじゃないと
ときめきが半減するなあ。

ジャンルとしてはヒューマンドラマ。
主人公のキャラクターが良い味出してるし、
話もテンポよく進み、おもしろい。
映画は見ていないけど、国分くんは
主人公のイメージにも違和感なく、良いなあ。
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映画:『ラストエンペラー』

2009-09-14 11:45:53 | 映画の感想
映画『ラストエンペラー
★★★★★

中国清朝最後の皇帝・宣統帝溥儀の生涯を描いた大作。
断片的にしか見たことがなかったため、
今回初めて全部通して見た。
「すごいものを見た!!」という感じ。
わっと泣けるような映画ではなく、
見終わったあとに途方にくれてしまうような。
今までに読んだり見たりした中国史関係の小説や映画が
色あせて見えるほど。

それにしても、甘粕が坂本龍一だったとは。
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映画:『プライドと偏見』

2009-09-14 11:26:45 | 映画の感想
映画『プライドと偏見
★★★★☆

18世紀末、イギリスの田舎町に資産家の独身男性
ヒングリーが引越してきた。
自活するすべをもたない当時の女性にとって、
結婚は死活問題。
ベネット家の母親と五姉妹は胸をときめかせ、
美貌の長女ジェーンは舞踏会で見事に
ヒングリーの心をとらえる。
次女エリザベスは、ヒングリーの友人・ダーシーの
高慢な態度に反発しつつ、次第に彼に心惹かれていく。

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原作は、もはや古典といってもいい
ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』。
美しい映像と、キーラ・ナイトレイの魅力もあり、
ユーモアのあるロマンチックな映画に仕上がっている。

しかし、相手役のダーシーが裕福なわりに
生活に疲れたヤモメ風だったのがいただけない……。
おまけでついていたアメリカ版エンディング、
こっちを本編として見せられなくてよかったなあ。
すべてがぶちこわしになっていたところだよ。
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映画:『あるスキャンダルの覚え書き』

2009-09-08 21:30:48 | 映画の感想
映画『あるスキャンダルの覚え書き
★★★★☆

バーバラはロンドン郊外にある中等学校で歴史を教える
ベテラン教師で、生徒や同僚に煙たがられている。
バーバラの勤める学校へ、ある日、
美貌の美術教師シーバが赴任してくる。
シーバと親しくなったバーバラは、
彼女との友情に胸をときめかせていたが、
ある時、シーバと15歳の男子生徒の情事の現場を
目撃してしまう。
その秘密を利用して、彼女を支配下に置こうとする
バーバラだが……

***********************************************

なんだか偶然にも、借りてくる映画がリンクしてるなあ。
見始めてから気づいたのだけど、シーバ役の人、
『エリザベス』のケイト・ブランシェットなのね。
彼女の孤独が理解できるだけに、
シーバに執着し、ストーカーと化すバーバラが怖い。
若く美しい親友を求めるバーバラの、
次の物語が暗示されるラストにぞっとする。

おまけで『Lの世界』の第1話がついていたのだけど、
タイトル見たとき、てっきりデスノートの映画かと
思ったわ。
全然違った
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映画:『かもめ食堂』

2009-09-08 21:18:11 | 映画の感想
映画『かもめ食堂
★★★☆☆

原作は群ようこ。
以前評判になっていたので楽しみにしていたのだけど、
前評判が良すぎたのかなあ。
小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという女優陣の
キャラクターが活きた、「スローライフ」のイメージ映画、
という感じ。
起伏の少ないストーリー展開で、退屈に感じる人が多そう。
わたしは退屈だとは思わなかったけれど、
生活感のまるでない、非現実的な日常の風景に
釈然としないものを感じました。

しかし小林聡美のたたずまいはきれい。
シナモンロールがおいしそうだった。

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