金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

22:高野和 『七姫物語』

2005-05-31 11:55:28 | 05 本の感想
本の感想:高野和『七姫物語』(電撃文庫)
★★★★☆

すみません。
よく知りもせず、電撃文庫のことを
「おっぱいが上向いた女の子の絵がついてる本」
という偏見に満ちたイメージで見てました・・・。
作者は男性の方だと思うのですが、文章はやわらかで澄んでいて、
女性的な印象。
主人公の空澄が可愛いです。
悪い意味ではなくて、男性だから書ける可愛らしさかもしれない。
あたたかく見守りたくなるようなキャラクターです。
ファンタジーの宿命かもしれませんが、一巻なので、
舞台となる世界の説明が多いなあという印象。
これからおもしろくなりそうで、二巻・三巻が楽しみです。

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21:山田宗樹 『嫌われ松子の一生 (上)』

2005-05-28 14:19:12 | 05 本の感想
山田宗樹『嫌われ松子の一生 (上)』(幻冬舎文庫)
★★★★☆

以前、書店でおすすめされていたのを見て、
気になっていたので購入。
アパートの一室で殺害されていた女性の転落の人生を
描いた物語。
けっこう厚めだったので時間がかかるかな?と思ったのだけど、
一気に引き込まれて読了。
上巻だけでも、教師から、「神田川」な生活、不倫を経て
トルコ嬢(時代を感じますね・・・)、とめまぐるしく流転。
松子の性格についてはいまいちつかみきれてないのですが、
なにやらひっかかりを覚えている様子の明日香と、
松子の人生に深くかかわっているらしい龍が気になります。
下巻が早く読みたい。

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20:上塔ゆう 『あまい鎖』

2005-05-28 14:17:52 | 05 本の感想
上塔ゆう『あまい鎖』(講談社F文庫)
★★☆☆☆

「オレだけの貴方にしたい・・・」という帯の文句にビビり、
「絶対途中で投げ出す!」と手を出さないでいたのですが、
そんなこともありませんでした。
帯とか紹介文の文句って諸刃の剣です。
中身を書いた本人が見てびっくりすることもありますからね。

群像劇っていうのかな。
いろんなタイプの人がたくさん出てきて、興味深く読みました。
正直なところ、好みの話かと言われたらそうではないのだけど、
こういう会話で話が進んでいくスタイルは新鮮に感じました。
仕事の話がおもしろかったです。

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19:大崎善生 『ドナウよ、静かに流れよ』

2005-05-27 14:16:28 | 05 本の感想
大崎善生『ドナウよ、静かに流れよ』(文藝春秋)
★★★☆☆

ウィーンの心中事件で亡くなった日本人女性の人生をめぐる
ノンフィクション小説。
「ああ、こんなふうに、手紙や日記が死後、
不特定多数の人の目にさらされるのはいやだな」
というのが最初の印象。
ノンフィクションを読んだのが初めてなので、
これをどううけとめていいのか迷います。
「すごいと思うけど、好きじゃない」というところかも。

人間には多面性があり、見る人によってものごとのとらえ方は違う。
ささいなことに思われた過去のできごとが、
重なりあって取り返しのつかない悲劇へ発展してしまう。
ある面ではとてもリアリティを感じる作品。
ただ、作者の「美しくやさしい少女」という解釈と、
生み育ててくれた両親への傲慢で近視眼的な言動が
ちぐはぐな印象。
「多面性」に集約できないのです。
死ぬ間際で両親へ残した、呪いの言葉は忘れられません。

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映画:『ナビィの恋』

2005-05-26 14:12:48 | 映画の感想
『ナビィの恋』(中江裕司 監督)
★★★★☆

濃すぎる光と影の映像がなつかしい感じ。
沖縄のプロモーションビデオ・・・? と
はじまったばかりのときは思ったのだけど、
おばぁの恋のエピソードが出てきたあたりから
ぐいぐい引き込まれました。
おばぁがとってもキュート。おじぃもいい味出してました。
最後のあたりで涙がじわじわにじんできました。
奈々子の恋はとってつけたようで唐突だったかも。

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18:柳美里 『魚が見た夢』

2005-05-25 14:00:07 | 05 本の感想
柳美里『魚が見た夢』(新潮社)
★★★★☆

作者の名前はあちこちで目にして知っていたのだけれど、
手に取ったのは初めて。
タイトルが気になって、借りました。
エッセイ集。
貧しかった生活や離散した家族のこと、学校でのいじめのことが
書かれていて、最初パラパラめくって見たときは、
「今これを読むと、ますます気分が沈むのでは・・・」
と思ったのだけど、無用の心配でした。
恐ろしい話や残酷な描写が多いのに、気分が悪くならない。
書き方が、とても冷静で無駄がなく、静かな印象を受けました。
この人は、もとは劇作家だったのですね。
小説の方も読んでみたい。

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17:乃南アサ 『ヴァンサンカンまでに』

2005-05-24 14:11:32 | 05 本の感想
乃南アサ『ヴァンサンカンまでに』(幻冬舎文庫)
★★★★☆

わたし、ヴァンサンカンはとうに過ぎていますが、
こんなに必死に生きていません。
「失敗したくない」と〈恋人〉と〈愛人〉を使い分け、
計画的に生きる23歳のOLの姿を描いた物語。
恭一郎のキャラクターが秀逸。
ああ、こういう男の人っているよね・・・と落ち込んでしまいそうな
リアリティ。
主人公に災難が降りかかるのを、今か今かと待ち構えていたのですが、
このラストは災難よりも悲しい。
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16:綿矢りさ 『インストール』

2005-05-23 14:10:01 | 05 本の感想
綿矢りさ『インストール』(河出書房新社)
★★★★☆

いまさらですが、読みました。
ライトノベル的なのだけれど、文学の香りも。
前半で、文章の書き方と主人公のキャラクターのために
挫折しそうになったのだけど、
かずよしと風俗チャットをはじめたあたりから一気に読めました。
あおり文句の割にチャットの話は少なかった気がするけど、
おもしろかったです。
著者近影の綿谷さんがかわいい。美少女ですね。

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15:藤沢周平 『蝉しぐれ』

2005-05-22 14:03:34 | 05 本の感想
藤沢周平『蝉しぐれ』(文藝春秋)
★★★★★

時代小説と歴史小説の相違については、
諸説あると思いますが、わたしの個人的な定義は、

「歴史小説」
=史実にもとづいた物語。実在の人物を中心に描く。
「時代小説」
=架空の人物が中心となって活躍。舞台は江戸時代が中心。

となっています。
そうすると、わたしが今まで読んだ時代小説は、
池波正太郎『鬼平犯科帳』『剣客商売』、
平岩弓枝『御宿かわせみ』あたりに限られるのですが、
既読の時代小説でいちばん好きなものをと言われたら、
迷わずこの本をあげます。
 
最初は目にしたのは、仕事で読んだ中学校の教科書。
「最近の教科書は恋愛の話が載ってるんだなあ。
 時代小説っていうのもめずらしい」
という程度の認識でした。
それが本を一冊読んだら、印象が一変。
「なにこれ!」と、もだえました。
ひとりの下級武士の少年時代から壮年までの物語なのですが、
とにかくストイックでせつない。
藩内の陰謀と、叶わなかった初恋の女性への思いがからみ、
彼女を守ろうと命をかける主人公が男前!
ラストのふたりのやりとりに、胸が震えます。

NHKでドラマ化されたときのキャストは素敵でした。
内野聖陽の文四郎はりりしくかっこよく、
水野真紀のおふくさまはしっとりと美しい。
秋に映画が公開されるようですが、
このイメージを越えることはないだろうと、
見にいくのに躊躇してしまいます。
コメント (2)
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14:浅田次郎 『輪違屋糸里(下)』

2005-05-19 14:01:22 | 05 本の感想
浅田次郎『輪違屋糸里 下』(文藝春秋)
★★★★★

新撰組の芹沢暗殺までを、女たちの視点で描いた物語。
読んだあと、ずっと頭がぼんやりしてしまって、
うまく感想がまとまりません。
女であることの悲しさ、女の強さと誇り。
これを男性が書いているというのが興味深い。
平山の「おゆき」と、糸里の誇り高い決断に泣いてしまいました。
友だちが「影のヒーローは永倉と斎藤」と言っていたけれど、納得。
上巻とあわせて、もう一度読み返したいお話です。

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