金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

25:神野薫 『森茉莉―贅沢貧乏暮らし』

2009-07-26 21:31:08 | 09 本の感想
神野薫『森茉莉―贅沢貧乏暮らし』(阪急コミュニケーションズ)
★★★★☆

大学三年生のとき、群ようこの『贅沢貧乏のマリア』を貸してから
しばらくの間、わたしと友人の間では森茉莉がブームだったのだけど、
それは彼女の作品ゆえではなく、書かれている彼女の言動への
「痛さ、おかしさ」ゆえ。
当時は永遠の少女だった彼女に物悲しさも感じなかったし、
ただツッコむのが楽しかったのです。
そんな動機だったとはいえ、これがきっかけで
鴎外関連の本を読むようになったのでした。

さて、本書は森茉莉の生活ぶりを、文章の引用と
作品中に登場する料理や所持品の写真とともにつづったもの。
料理はおいしそうだったし、作品世界を壊さない良いつくりに
なっているのだけれど、実物は彼女の文章世界を超えられない、
文字列が喚起するイメージは実物をはるかにしのぐのだなあと
いうことがしみじみ感じられる。
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24:ビアリーナイドゥー 『ヨハネスブルクへの旅』

2009-07-26 21:26:05 | 09 本の感想
ビアリーナイドゥー『ヨハネスブルクへの旅』 (さえら書房)
★★★☆☆

南アフリカで暮らす少女ナレディは、重い病気にかかった妹のもとへ
母を呼び戻すため、弟のティロとともに
母の働くヨハネスブルクを目指して歩く。
アパルトヘイト下での人種差別の実態を目にしたナレディたちは
自分たちが差別されていることをはじめて知る。

********************************************

今年の青少年読書感想文コンクールの課題図書。

アパルトヘイトについての前知識があるため、
これを読んだ子どもたちが感じるであろう
とまどいや驚きといったものを、
わたしは一切感じなかったのだけど、
これに関する調べ物で、アパルトヘイトと日本の関係、
「日本・南ア友好議員連盟」の存在なんかを
初めて知った。
学校の社会科でアパルトヘイトについて教えられたときには、
リアルタイムでその体制が続行中だったんだよなー。
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映画:『ハリー・ポッターと謎のプリンス』

2009-07-23 21:49:27 | 映画の感想
映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
★★★★☆

久しぶりに映画を見に行った……
ブログを見返したら、前回見に行ったの、
1年半も前だよ

一緒に見に行った人が言うには、
「原作のエピソードを飛び飛びにピックアップしてるので、
映画だけ見た人は意味がわからないのでは?」
とのことだけど、前作の内容すらうろおぼえのわたしなので
わからないのが前提でそれなりに楽しめました。
原作発売時に話題になってた「誰が死ぬのか」については、
わかってもとくに驚きはなし。
スネイプのは演技だと予想。

なんか、いきなりロマンス花盛りでぽかーん。
ドラコの老けっぷりが涙を誘う。
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23:新潮文庫編 『文豪ナビ 夏目漱石』

2009-07-18 17:05:19 | 09 本の感想
新潮文庫編『文豪ナビ 夏目漱石』 (新潮文庫)
★★★★☆

漱石作品ナビ、10分で読む要約のほか、
三浦しをん、北村薫によるエッセイや
斉藤孝の「声に出して読みたい夏目漱石」など、
薄くコンパクトにまとめた入門書。
とにかくとっつきやすさを追求しているので、
「漱石作品ナビ」なんかは特に、違和感のある表現が
多々あるのだけど、
読む順番を示したおすすめコースのセレクトはなかなか。
『吾輩は猫である』は、知名度も高いし、
抜粋したものを読むとお手軽でおもしろそうなのだけど、
通して読もうと思うと結構きついんだよね。

三浦しをんはあいかわらず腐女子視点バリバリで笑った。
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22:阿部夏丸 『ライギョのきゅうしょく』

2009-07-18 13:36:10 | 09 本の感想
阿部夏丸『ライギョのきゅうしょく (どうわがいっぱい)』 (講談社)
★★★☆☆

さかな学校1年生になった仲良しのライギョとたなご。
別々のクラスで、ライギョは「きゅうしょくのたべかた」を習い、
タナゴは「かくれんぼ」を勉強する。
やがて、お互いが食う・食われるの関係にあることを
二匹は知ることになるが……

***********************************************

絵本。イラストは村上康生。
子供向けなのに、最初に時間割が出てきたところで
ひやひやした
食物連鎖や自然界の掟を描きながらも、
かわいいイラストと前向きな結論に
にこにこしてしまう一冊。
子ども向けだからといって、現実離れした安直な結論に
なっていなくて安心しました。
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21:夏目房之介 『孫が読む漱石』

2009-07-18 13:13:37 | 09 本の感想
夏目房之介『孫が読む漱石』 (新潮文庫)
★★☆☆☆

著者は漱石の孫で、漫画批評家・漫画家・エッセイスト
だそうな。
漱石関連の本を探していてたまたまこの本を手にとって、
著者の存在を初めて知った……というくらいなので、
わたしは彼に対してなんの思い入れもないのであった。
そのせいか、あまり楽しめなかったなあ~。

大きく分けて、
①「漱石と自分」語り
②漱石の著作への批評
③祖母である悪妻と名高い鏡子夫人へのフォロー
の3つで成り立っている本なのだけど、
著者自身は漱石と面識がないため
「身内の語る思い出」の面白さはないし、
批評だって、吉本隆明あたりの解説のほうが面白い。
最初に著者の『漱石の孫』を読んでたら
印象もちがったかもな~とやや残念。
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20:新潮社 『夏目漱石 新潮日本文学アルバム』

2009-07-18 13:00:11 | 09 本の感想
『夏目漱石 新潮日本文学アルバム』(新潮社)
★★★☆☆

関連資料と写真でつづる『新潮日本文学アルバム』シリーズの一。
鴎外とちがって、漱石については研究本も読んでいないし、
あまりよく知らない……と思っていたのだけど、
これを読んでも、既知の話ばかりだった。

写真で見る限り、漱石は明治人的な良い顔をしているなあ。
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19:夏目漱石 『門』

2009-07-02 21:14:32 | 09 本の感想
夏目漱石『』(新潮文庫)
★★★★☆

『三四郎』『それから』に続く三部作の完結編。
世間とのかかわりを最小限にして、ひっそりと暮らす
宗助とその妻・御米。
なにやら訳ありらしく、後ろめたい過去を垣間見せる
二人の淡々とした生活が描かれる前半。
後半には思いがけなく目の前に立ち現れたその過去
――宗助は友人から御米を奪った――に動揺する
宗助の迷いと苦悩が描かれる。

過去が明かされたところで、
「盛り上がってまいりました!」
と思ったら、いきなり宗助が禅寺に行ってしまい、
ポカーン……
宗助の苦悩は、御米とは共有できないものだというが、
自分が禅寺に引きこもってる間に、
御米が安井と顔を合わせるかもという心配は
しなかったんだろうか?
『こころ』のお嬢さんほど「お人形」ではないけれど、
御米も「役割」だけの登場人物といった感じ。

メロドラマを期待していると、過去のエピソードでは
肩透かしを食わされる。
そこが知りたいのにね。
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