金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

390:香月美夜『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第一部「兵士の娘I」』

2021-09-30 19:06:04 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

幼い頃から本が大好きな、ある女子大生が
事故に巻き込まれ、見知らぬ世界で生まれ変わった。
貧しい兵士の家に、病気がちな5歳の女の子、
マインとして…。
おまけに、その世界では人々の識字率も低く、
書物はほとんど存在しない。
いくら読みたくても高価で手に入らない。
マインは決意する。
ないなら、作ってしまえばいいじゃない!
目指すは図書館司書。
本に囲まれて生きるため、本を作ることから始めよう!
本好きのための、本好きに捧ぐ、
ビブリア・ファンタジー開幕!
書き下ろし番外編、2本収録!

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Kindle Fireの読み上げ機能で読む(聞く)。

Web小説は文章が合わないことが多くて
避けていたのだけども、
narkejpさんのところで感想を見ていたのと、
「文章は好きじゃないけど、本がどうやってできたかを
 教えるために子どもに読ませている」
というようなことを先輩が言っていたため、
興味を持って読んでみた。
読み上げ機能だと、他の作業をしながら聞くせいか、
文章とかもったりした展開も気にならない。

転生先が、都合のいい、いわゆる「ナーロッパ」では
ないことに好感が持てる。
衛生観念が現代日本とずいぶん違う、
不潔と思われるような社会、
「あれもない、これもない」社会。
必要なものがない、ではどうする? と
代替品を探したり作ったりする過程が楽しい。
その過程で、そのものの性質や原理について
知ることができるのがいいね。

木簡と竹簡のくだり、一回目に燃やされたあとで
「これは使わないで」と家族に言うようにしたら
解決する話では??
なぜ絶望するのかさっぱりわからない……

コメント (2)
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389:百舌鳥遼『鎌倉鬼譚 大江広元残夢抄』

2021-09-30 18:59:25 | 21 本の感想

【Amazonの内容紹介】

鎌倉幕府の創設に貢献した能吏、大江広元は
鬼一法眼直伝の陰陽術の遣い手でもあり、
治安を乱す「鬼」の存在から鎌倉を陰ながら
守り続けていた。 
だが、源頼朝亡き後の幕府は朝廷との軋轢、
平家残党や御家人の反乱、二代将軍頼家の失脚、
御家人同士の争いなど、様々な事由から
不安定な政情が続く。 
そんな厳しい情勢の中、
鎌倉市中で化物による辻斬りが横行し、
人々に大きな恐怖を与えた。
その背後に平家生き残りの猛将悪七兵衛景清、
さらに崇徳院の怨霊の脅威を見て取った広元は、
鎌倉を守るために立ち上がる。 
しかし、その事件は幕府を揺るがす大きな乱へと
発展して…。 
鎌倉幕府を発展させた名臣、大江広元の陰陽活劇、開幕!

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白河院は鳥羽院の「実父」ではなくて祖父だよ……。

大江広元である必然性がほとんどないので
(一応、「匡房の子孫」というのがよりどころになっている)、 
陰陽師ものをやりたいなら、オリキャラでやってほしい。

あらすじを見た段階で、それは望めないとわかっていたけれど、
史実にもとづいた、実務官僚としての広元のスペックを
活かした話が読みたかった~!!

怨霊のあの方も、これまでもたらした被害の大きさに比べて、
今回やってることがしょぼくない??

和田合戦の折、朝比奈義秀が討ち取られずに逃れたという話と
リンクした展開になっていたのはよかった。

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387-388:ゆうきまさみ『新九郎、奔る!(1)・(2)』

2021-09-28 23:20:56 | 21 本の感想
 ゆうきまさみ『新九郎、奔る!1・2』
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

戦国大名の先駆け、伊勢新九郎の物語!

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康……
かの有名な武将たちが活躍する時代の少し前、
戦乱の世のはじまりを生き抜き、切り開いた男がいた―――
その名を伊勢新九郎。
彼はいかにして戦国大名となったのか。
彼はそもそも何者だったのか。
知られざる伊勢新九郎の生涯を、
まったく新しい解釈で描く意欲作!
「戦国大名のはしり」とも言われる武将を描く、
話題騒然の本格歴史コミック、待望の第1集!!!!! 

********************************

期間限定無料で読む。
北条早雲の話。
ちゃんと最近の説に基づいて、
室町幕府の中枢にいた一族の出身としている。

歴史もので、
「気安く上位の者の名を呼ぶな~!!」
と思うことが非常に多いんだけども
(ひどいのだと帝の諱も呼ぶ)、
「作者が知らずに書いている」場合だけでなく、
「読者の負担を減らすためにあえてそうしている」場合も
あるかもしれないな……と思った。
というのも、この漫画で、「名称」の壁にぶちあたったから……。

カタカナ語を使ったりドライヤー出てきたりするんだけど、
ちゃんとわかっててわざとやっているな、という崩し方。
その証拠に、登場人物同士は、ちゃんと官名で呼び合っている。
そこに好感度大なのだけど、前提知識がないわたしは、
もう、誰が誰やら。
「備中守(さだふじ)殿」
「斯波左兵衛(よしかど)佐殿」
「兵庫助(さだむね)殿」
とルビとして名を入れ、読者に配慮してるんだけど、
その名も覚えられず、このルビのために官名も頭に入ってこない。
一周目は縁戚関係もわからないまま。
もう一回読み直して、ようやく把握できた。

わからないなりに魅力も感じる漫画なので
続きは気になる。


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377-386:最近読んだ漫画

2021-09-28 23:16:25 | 21 本の感想

もう少女漫画は楽しめないのかも……と
最近思っていたが、これは面白かった。
仲間を集めるための旅というファンタジーの王道で 
線の細い美形ばかりだなぁ(武闘派も含め細い)という点は
ひっかかるけれど、ギャグも面白い。
登場人物同士の関係もよし。



原作を毎回ワクワクして読んでいた、
小学生の頃のことを思い出した。
おもしろかったなあ。



かわいいなあ。
本編の1巻、情報の出し方が唐突で
「もっと丁寧にしてほしい」と思ったけれど 
これを描いた後だと、ああなるよな~と納得。



未成熟な女の子に言い寄る教師が気持ち悪い。
女子高生の時に読んでいたらときめいたかもしれないけど、
この歳になると、高校生がいかに幼いかもわかるので、
たとえコメディでも
「在学中に言い寄るなよ、ゴラァ!」
と思ってしまう。


『』
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大河ドラマ『青天を衝け』#28

2021-09-26 20:45:54 | 大河ドラマ「青天を衝け」
栄一のもとに新政府から出仕しろと呼び出し。
「断ってくる!」
「この地でしっかり根を下ろして生きていくんだ!」
栄一は威勢よく言い切ったけど、
絆されちゃうんだろうなぁ……というのがわかっちゃうのは
今までの積み重ねゆえ。
慶喜が見抜いた通り、口では拒否しつつも
大隈の話を聞いて
「 行きたい、やりたい」
と思っちゃったの、見ててわかるもんね

大隈重信、おもしろキャラだな。
ずっと徳川サイドで 見ていたから、
コメディ仕立てで来たのは複雑だわ~。

 【その他いろいろ】

・美賀 「今更一緒に暮らすの恥ずかしい」
 初期の暴れん坊ぶりがあるからこそキュンだね。
 可愛い夫婦だ。

・猪飼さん、久しぶりだ~

・ 五代、いつのまにか新政府から居なくなってた!
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映画:『聖者たちの食卓』

2021-09-25 00:24:13 | 映画の感想
2021年の映画㉖:『聖者たちの食卓』(ヴァレリー・ベルト、フィリップ・ウィチュス 監督)

【シネマトゥデイのあらすじ】

インド北西部アムリツァルにある
シク教寺院ハリマンディル・サーヒブでは、
毎日10万食を人々に提供するため
早朝からサバダールと呼ばれる奉仕者たちが
作業を開始する。
彼らは野菜の下ごしらえをし、チャパティをこねて焼き、
カレーやサラダを用意する。
ここでは宗教も人種も階級も関係なく、
みんなが平等に手にした食事を共に口にする。

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作業用BGMとしてよいというツイートを見て。
セリフも劇伴もなく、ただひたすら聖地での一日を
淡々と追うドキュメンタリー。
ストーリーを追わなくていい気楽さがありつつも、
たまに見入ってしまうシーンあり。
10万食を無料で提供できるのは、
寄付によるものなのかな?

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366-376:最近読んだ漫画

2021-09-24 21:44:49 | 21 本の感想

連載中にパラパラと見ていて、
年下の男の子と年上の女の子の話ということだけ
知っていた。
こういう話だったのか。




懐かしい作家さんだ。
原作は何度も読んでいるので
アレンジを楽しむ。
まだキャラの魅力はやや薄め。




微妙に百合風味。 
ストーリーに全く関係のないエロはいらないよ。


斎藤けん『かわいいひと 1 ・2』

話にたいして起伏がないけど、
ほのぼのと可愛いムード。




うう……読んでいるこちらが
いたたまれない……


 あきづき空太『赤髪の白雪姫 1 ~5』

ヒロインと王子の関係性や距離感は、
たぶん一般的にはかなりときめくものだと
思うんだけど、わたしは
ダメ王子のラジの方が断然好みだよ……

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365:永井路子『執念の家譜』

2021-09-24 16:52:13 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との
40年にわたる暗い宿縁を知る。
同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、
鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、
北条氏は、鎌倉幕府存続のために、
地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。
だが、三浦氏の北条に対する反撥は、
何度かの争いを経て増幅されてゆく……。
という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、
精緻な歴史小説の短編6作を収める。

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【収録作品】
「執念の家譜」三浦光村
「裾野」曽我兄弟
「信貴山落日」松永久秀
「群猿図」長谷川等伯
「裏切りしは誰ぞ」小早川秀秋
「関ケ原別記」宮部長煕
「刺客」山口重政・重信

「執念の家譜」と「裾野」のみ再読。
宮部長煕と山口親子のことは、
名前すら知らなかった。
有名人ばかりにスポットがあたりがちだけども、
関ケ原の合戦にも大阪の陣にも
多くのドラマがあったのだなあ。
なんとなく永井先生の傾向みたいなのがわかってきて、
序盤でもう、
「この人たち、何も成し遂げられずに
 かわいそうなことになるんだろうなあ……」
と予想がついてもやもやしてしまう。

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364:山本文緒『再婚生活 わたしのうつ闘病日記』

2021-09-22 17:46:22 | 21 本の感想

【Amazonの内容紹介】

「ほんの少しの起きている時間で、パン一枚だけ食べて、
書かなくちゃならない原稿だけ死ぬ思いで書いて、
猫の世話だけは何とかやって、
あとはとにかく臥せっているしかありませんでした」
望んだ再婚生活なのに、心と身体がついてゆかない。
数回の入院生活と自宅療養、うつ病をわずらった作家が
全快するまでの全記録。
克明な日記の、2年2ヶ月の空白期。
書けない時期に何があったのか──。
文庫化にあたり60枚を加え、重症期の闘病を明かす!

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連載時、掲載誌を仕事のために買っていたため、
山本さんがうつ病で苦しんでいたことは知っていた。 
『負け犬の遠吠え』のくだりを読んだ記憶が
はっきりある。

メンタルの病気って、コンディションによっては 
病気でない人と同じぐらいに元気だったりするから 
怠けたり甘えたりしていると思われて
それがまたしんどいのだろうなあ。

「改めてふり返ってみました」のパートを読むと、
やはり連載されていた日記からうかがえることも
ほんの一部にしかすぎないとわかる。

追記:記事を書いて気づいたけど、なんと、これ、
   単行本版を読んでいた……。
   記憶がまったくない!!

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354-363:山田芳裕 『へうげもの〈1〉~〈25〉』

2021-09-22 17:33:52 | 21 本の感想
 山田芳裕『へうげもの(1)~(25)』
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

群雄割拠、下剋上の戦国時代。
立身出世を目指しながら、
茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。方向
織田信長(おだのぶなが)の家臣・
古田左介(ふるたさすけ)。
天才・信長から壮大な世界性を、
茶聖・千宗易(せんのそうえき=利休)から
深遠な精神性を学び、
「へうげもの」への道をひた走る。
生か死か。武か数奇か。それが問題だ!!

*************************************

1巻から3巻が無料だった時に読んでハマり、
少しずつ読み進めていた。
ついに最終巻まで読了。 
すごい漫画だった。 
信長から秀吉、家康の時代を、
権力争いだけではなく、気風や文化の衝突として
描いているところが面白い 。

長谷川等伯や俵屋宗達、小堀遠州といった文化人だけでなく 
マイナーな武将もしっかり登場している。

エネルギッシュでチャーミング 。 
ギャグの部分も、きちんと勉強した上で
崩しているのが分かるし、 
はっちゃけるなら徹底的にはっちゃける、といった
思い切りの良さも感じられる。

下品な要素もあるので好き嫌いは分かれそうだけど、
この時期を描いたフィクションの中でいちばん好き。

主人公が内通の疑いをかけられて切腹させられる、
ということが史実としてわかっているので、
それをどう処理していくのかということに
終盤は興味津々だったのだけども、
最後まで明るく痛快に描いていた。 
これまでを文化闘争として描いてきたため、
敗北ではなくポジティブに受け取れる。

主人公と一緒に生きてきた者たちが
次々に退場していく終盤も、
みんな乱世を生き切った感があったし、
主人公の教えを受けた文化人たちが才能を花開かせて
自らの道を切り開いていくことにも胸を打たれる。
賞を取るのも納得の面白さ。おすすめ。

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