金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

2009年版 年末のひとり遊び。

2009-12-29 23:30:35 | 1年のまとめ
週休ゼロで突っ走ったこの1年……
おそろしいほどに本を読めませんでした。
毎年のように「読めなくなったなあ」と書いているのだけど、
今年は、職業柄、危機感を覚えるほどです。
しかし、ブログをやってて良かったな~と思うのは
こういうとき。
このブログ、完全に自分用の記録と化しているわけですが、
「本を紹介しろ!」という仕事が来たとき、
過去の読了本を見て、あれこれしのげます。
いつまでもこんなことしてちゃいけないんだけど

では毎年のことながら、わたし以外の誰の役にも立たない
年末のひとり遊びを今年も!

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【一般小説】

①上橋菜穂子『獣の奏者
②デュマ・フィス『椿姫
③村上龍『半島を出よ
④夏目漱石『三四郎』
⑤ルイス・セプルベダ『ラブ・ストーリーを読む老人』

①は文句なし。
ファンタジーを面白いと思う日が来ようとは……。
③~⑤は同率3位というところ。
数が少ないので、不作の印象。

【随筆】

①寺田寅彦『柿の種
②金子由紀子『買わない習慣』

随筆、読んでない……
『柿の種』がすごくよかったので、
寺田寅彦随筆集を図書館から借りてきていたのだけど、
読む時間を捻出できずに期限が来てしまって途中で返却。
買おうかな。

【新書系】

①内田樹『下流志向』
②菅野仁『友だち幻想』
③姜尚中『悩む力』

新書系はあまり積極的に読まないため、
「読むもの=好きなもの」でアタリ率が高くなる。
「よりみちパン!セ」シリーズをもっと読みたいなあ。
『下流志向』は本当に良かった。

【映画】
『ラストエンペラー』
『クィーン』
『魔法にかけられて』

映画館では「ハリー・ポッター」「ヴィヨンの妻」を
見ただけなのだけど、今年はお試しで
宅配レンタルというのに手を出してみたので、
例年より見た数は多かった。
テレビをまったく見ないわたしも、映画なら見られるようだ。
(※まったく見ないのでテレビは捨ててしまった)
宅配レンタルは「とにかく一週間に2枚見なければ!」と
ペースメーカーになるので、来年は正式に申し込もう。
「ラストエンペラー」はすばらしいです。
なぜもっと早くちゃんと見なかったのか悔やまれる。

**********************************************

母体数が少なすぎるのであっというまに決定でしたわ。

ちっとも更新しないにもかかわらず、
ご訪問くださっているみなさま、今年もお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします
コメント (2)
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71:吉本笑子 『お母さん、もっとおしえて!』

2009-12-21 22:23:32 | 09 本の感想
吉本笑子『お母さん、もっとおしえて!国語・算数・理科・社会』(情報センター出版局)
★★★★☆

基本的に仕事で読んだ本のことは書かないことにしているのだけど、
良かったので書いておきます。
幼児期から親子の会話を通して子どもに「先行体験」をさせることで、
知ることに対する意欲、学ぶ姿勢を身につけさせようという
趣旨の、お母さん向けの本。
すいか・いちご・メロンは果物ではなくて野菜である理由とか、
干拓と埋め立てのちがいとか、
曜日に天体の名前が使われているわけとか……知らなんだ!!

先行体験の重要性というのは、自分が重視していることでもあるし、
こういう会話をするためにはお母さんが勉強をしなくては
ならないわけで、「やりなさい!」じゃない、こういう親の姿勢が
必要なんだよな~と納得・納得。
中学受験を考えていなくても、これから子育てをしていくお母さんには
ぜひ読んでほしいと思います。

しかし「ごんぎつね」の内容が間違っていたのは気になった。

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70:鶴岡真弓 『阿修羅のジュエリー』

2009-12-14 10:03:04 | 09 本の感想
鶴岡真弓『阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ)』(理論社)
★★★☆☆

人気の国宝・阿修羅像。
その面差しや異形のポーズばかりが取り沙汰されるその像を、
装飾という点からとらえ直す視点を提示する一冊。
仏像から始まり、ルネサンスの絵画に描かれた貴婦人や
聖母マリア像、サロメ、シュリーマン発見の財宝など
東洋と西洋にまたがるジュエリーの歴史を解き明かす。

やたらと「!」を多用したテンションの高い文章と、
ジュエリーをまとった著者自身の写真が
図版に紛れ込んでいるのがおちゃめ。
この人、自分の研究を愛してるんだなあ~というのが
伝わってくる一冊。
この「よりみちパン!セ」シリーズは、
アカデミックな内容から、
辛酸なめ子、中村うさぎ、叶恭子といったイロモノ(失礼)
まで取り揃えており、毎回おもしろいラインナップで
楽しませてくれます。




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69:岡本綺堂 「修禅寺物語」

2009-12-12 21:07:32 | 09 本の感想
岡本綺堂『修禅寺物語』
★★★☆☆

伊豆修禅寺の面作師・夜叉王は、
鎌倉幕府の二代将軍・頼家の命を受けて面を打つが、
何度試みても死相が現れてしまい、
献上することができない。
待ちきれず自ら受け取りにやってきた頼家は
面を気に入り、持ち帰るとともに、
関白大臣将軍家のそばへ召し出されることを夢見ていた
夜叉王の姉娘・かつらを見初め側室として迎えいれるが、
北条の討手が頼家を狙って迫っていた。

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明治期に発表された岡本綺堂の戯曲。
中学の頃から好きだった皇なつきが
漫画化したもの(『梁山伯と祝英台』所収)しか
読んだことがなかったので、
旅行の予習として、青空文庫にて読む。

展開速っ!!

桂は、出会って一日も経ってないというのに、
よく頼家のために死のうと思ったものだ。


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静岡は意外に遠い④

2009-12-12 20:57:19 | おでかけの記
修禅寺や蒲冠者範頼の墓を見て、修善寺駅に戻り、
今度は浄蓮の滝へ。
旅行二日目は、たいてい移動中に寝ている。
往復1時間強のバス移動中、例にもれず寝る。
浄蓮の滝はわさびづくし。
滝の近くにはわさび田、みやげ物もわさびグッズ、
わさびフード。
わさびが食べられない人間にはまったく食指の動かぬ品揃え。
浄蓮の滝は観光バスのツアーコースに入っているらしく、
白糸の滝とはちがって大賑わいでした。

帰りの電車でも寝る、新幹線でも寝る。
旅行中はなぜこんなに眠くなるのか謎。
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静岡は意外に遠い③

2009-12-12 20:41:21 | おでかけの記
翌日は晴れ。
お部屋から見た風景。
最初のトラブルのせいで、心情的にどうしても
手放しで礼賛はできなくなってしまったけど、
ずっと川の音が聞こえていて庭の紅葉も美しく、
素敵なムードの旅館でした。
これはもう、人間関係でも仕事の上でもそうなのだろうけど、
どれだけ心をくだいてフォローしても、
第一印象を覆すのは難しいのだなあ。
おわびにお土産をいただきました。

富士宮では紅葉はすでに散った後だったけれど、
修善寺温泉のあたりはまだまだ紅葉真っ盛り。
観光地らしく、人もたくさんいました。
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静岡は意外に遠い②

2009-12-12 20:24:55 | おでかけの記
富士宮から修善寺まで移動したら、
天気の悪いせいか、夕方なのにもう真っ暗。
今回のお宿は、大奮発して宿泊料がお高い老舗旅館A。
しかし到着早々、旅館側のトラブルでテンションだだ下がり。
「もう帰りたい……」
とつぶやき、
「ダメダメ!ポジティブシンキング!」
とたしなめられ、夜ごはん。
いのしし鍋と会席のコースでした。
いのしし肉を食べたのは初めて。
「牛でもない、豚でもないから、いのしし」
という感じ。
鍋の味付けのせいか、前もって聞いてたほどの癖もなく、
おいしかったです。
旅館のコースはただでさえたいてい食べきれないのに、
それにいのしし鍋が加わったので、
どちらも食べきれず、せっかくのお料理がもったいなかった。

旅館に備え付けの「伊豆文学紀行」みたいな題名の
ガイド本がおもしろかったです。
「杉本苑子は伊豆に住んでおられる」
という言い回しがツッコミどころ満載。
井上靖の「あすなろ物語」に登場する女の子のモデルとされる
女性のインタビューが載ってたのだけど、
「こういうことがあって、靖さんがわたしにチュッとキスしたの。
 靖さん、初めてだったと思うわよ~」
みたいなことをしゃべってて、いたたまれない。
死後、本人が隠しておきたかったかもしれない日記や書簡も
活字にされちゃって、昔の文士って、
芸能人以上にプライバシーないよね。
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静岡は意外に遠い①

2009-12-12 20:05:53 | おでかけの記
ものすごく久しぶりに二連休が発生したので、
旅行に行ってきました。
隣県の静岡だから旅行って感じもしないけど……
と思ってたら、これが遠いのです。
静岡には新幹線の駅が6つもあるけれど、
大部分の駅はこだましか止まらないのでは!?という不便さ。
名古屋→静岡→富士宮で所要時間2時間。

まずは音止めの滝と白糸の滝を見に行ったのだけど、
朝から雨。
オフシーズンのためか、滝周辺のお店はしまってました。
しかも、私たち以外誰もいない……
わたしの旅行はたいていオフシーズンなので、
観光地らしい賑わいに遭遇したことなんて稀だけど。

白糸の滝の中のいちばん大きい滝は、
流れてくる水が大量の白い粉末に見える。
これがこの勢いで流れ続けてるって不思議。

富士宮市街では、村上弘明風のお兄ちゃんが一人でやってる
お店で富士宮焼きそばを食べました。
なんか、麺がふつうと違うの??
B級グルメで町おこしをしようとしているのかしら、
店内で見知らぬおじさんが「うまい!」と言っていた
ミルクラーメンが気になりました。
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68:藤沢周 『オレンジ・アンド・タール』

2009-12-06 11:21:37 | 09 本の感想
藤沢周『オレンジ・アンド・タール』(朝日新聞社)
★★★☆☆

屋上で語り合っていたある日、目の前で友人のキョウが
飛び降りた。
その後、しばしば現れるキョウの幻影におびえるカズキたち。
キョウの自殺の影響として保健室にやってくる生徒たちが増え、
その現象は「カワナリ・シンドローム」と呼ばれていた。

************************************

★2.5.
すごく……うざったい!!
わたしの嫌悪する思春期の面倒くささがいまここに!

なんか、古いなあ、一時期よく読んだなあというタイプの
話だと思ったら、発行は2000年。
酒鬼薔薇事件の後、この手の小説がいっぱい出てた印象がある(※)。
同じ時間をトモロウ視点で書いた「シルバー・ビーンズ」は
カズキよりも歳がいってるだけに腹立たしさ倍増。
いつまで思春期やってんだよ、働け!

(※)重松清の『エイジ』もその一つだと思ってたら、
『エイジ』連載中に事件が起きたのだね。
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66・67:上橋菜穂子『獣の奏者〈1〉・〈2〉』

2009-12-06 11:00:54 | 09 本の感想
上橋菜穂子『獣の奏者〈1〉闘蛇編』・『獣の奏者〈2〉王獣編
(講談社文庫)
★★★★★

エリンは母と二人、闘蛇村で暮らしていたが、
ある日闘蛇が大量死するという出来事が起こり、
生活が一変する。
闘蛇を死なせた罪で刑に処せられた母を救おうとしたエリンは
母の指笛によって死地を逃れ、九死に一生を得るが……

************************************

「ファンタジー嫌いの私でも、おもしろかったから!」
と先輩が貸してくれたもの。
同じくファンタジー嫌いのわたしは、なかなか読む気になれず
手がつけられなかったのだけど……
おもしろいじゃないか!!

揺るがない世界観と人物造形が好みだったし、
歴史小説と通じる要素もあるので入りやすかったのかも。
へんに凝った設定の術とか武器とかが出てこないのも
よかったみたい。
続編も出ているようで楽しみ。
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