金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

22:さとうまきこ 『14歳のノクターン』

2011-02-25 17:02:50 | 11 本の感想
さとうまきこ『14歳のノクターン (teens’hert selections)』(ポプラ社)
★★★☆☆

小説家の章子が、小説の資料を探して開けた本棚の下の棚。
その奥に見つけたのは、中学二年の時の文集、
そして、その中に挟まれていた親友の写真。
消息不明のかつての親友チーコと当時の友人たちとの日々を
章子は思い出す――。

********************************************

S女学園で出題されていたもの。
使われていたところは
「勉強ってこういうものなのよね」
というまじめな内容なのだけれど、別の箇所では
「男がその気になると××が……」
みたいな会話もあり、男をめぐるいざこざもあり、
この本を選んだ意図を考えると、なんとなく苦笑してしまう。

「逢引」だったり「不良」だったり
「キスされそうになったらどうしよう」とか思ったり、
ほしいと言った写真をもらえたら「両想い」だったり……
おお、昭和30年代!!ってところもあるのだけど、
この年頃の女の子特有の、同性あるいは異性との関係に対する
センシティブな部分は現代と変わりないのかも。
大人になると、「合わない」と感じるようになった友達とは
疎遠になっていくし、もともと合いそうにない相手とは
距離を置くのがお互いのためという面があるのだけど、
中学生のころって、関係がまずくなりそうなことがあると、
確かにこういう
他の子に相談→「みんなでなんとかしようよ!」
って雰囲気があった。

男女共学の設定なのに、どうも女子校のイメージが強い。
クラスメイトの男子に存在感がないんだな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

21:恩田陸 『土曜日は灰色の馬』

2011-02-25 09:20:28 | 11 本の感想
恩田陸『土曜日は灰色の馬』(晶文社)
★★★☆☆

文庫本解説や雑誌掲載のエッセイを集めたもの。
小説、少女漫画、映画など、作家になる前にどんなものに
触れてきたのか?という作家のルーツみたいなものが
感じられるのがおもしろい。
そして、本が読みたい!映画が見たい!という気分にさせられる。
「読んでみよう」と思った本のページに付箋をつけていったら
付箋だらけになってしまった

それにしても、小説・論説・評論・詩・短歌・俳句……と
文章の種類はいろいろだけれど、一冊の本として見たときに
いちばん気楽に読めるのはやはりエッセイだな。
詩・短歌・俳句は読むのに多くのエネルギーを消費する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:『グリーン・デスティニー』

2011-02-19 23:21:32 | 映画の感想
映画:『グリーン・デスティニー
★★★☆☆

剣の名手としてその名を知られた英雄リー・ムーバイは、
血で血を洗う戦いの日々に倦み、
名剣「青冥剣(グリーン・デスティニー)」を
同門の弟子である女性・シューリンを通して
役人のティエ氏に献上する。
ムーバイとシューリンは互いに思いを寄せていたが、
ある事情から結ばれないままに年月を重ねていた。
ティエ氏の邸宅で、シューリンは貴族の娘・イェンと出会う。
父親のために有力なゴウ家に嫁ぐことになっていたイェンは、
結婚するよりもシューリンのような剣士になりたいと言うのだった。
その夜、ティエ邸に賊が侵入し、グリーン・デスティニーを
盗み出す。
賊を追跡し、対峙したシューリンは、
すぐれた武術の使い手である賊がイェンではないかと疑いを抱く。

**********************************************

原題は「臥虎蔵龍」。

ストーリーは荒唐無稽なうえ、構成もイマイチ。
ワイヤーアクションもいかにも「吊ってます!」という感じの、
重力をまるで無視しすぎた動きなんだけど、
当時としては画期的だったのかなあ……
背景がよくわからないこともあって、
いろいろと釈然としない点あり。
メインはムーバイとシューリン、イェンとローという
世代の異なる二組の男女のロマンスとアクション。
女性二人にスポットが当たっている印象。

映像は美しかったので、★2.5というところ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:『JUNO』

2011-02-19 22:52:18 | 映画の感想
映画:『JUNO/ジュノ
★★★☆☆

アメリカに住む16歳の女子高生・ジュノは、
「退屈だったから」と、同級生のブリーカーを誘ってした
一度だけのセックスで妊娠してしまう。
中絶を考えたものの実行できず、
友達のリアとともに見ていたタウン誌で
里親希望の広告記事を見つけ、養子縁組をして
おなかの子どもをある夫婦に託すことにする。
子どもを望む裕福で美しい妻とその夫に会い、
契約を結び、あとは子どもを産むだけと思われたが……

***************************************************

高校生で妊娠、中絶or出産って、命がどうこうという
かなり重い話になりそうなものなんだけど、
それに関しては驚くほどライトに話は進む。
主人公はおなかの子どもに対してほとんど執着を持っていなくて、
ブリーカーと、里親になる夫婦に対する気持ちが
中心に描かれているんだよね。

子どもを迎え入れることになったことで、
里親の夫婦が互いの間に生じていた齟齬に気づいて
思いもよらない展開になっていくのだけど、
主人公の苦悩よりもこの夫婦にスポットをあてたのが
話としては新鮮でよかったと思う。
主人公が「やっぱりわたしの子なの!」とか
言い出さなくてほんと良かったよ。

ブリーカーはどうなの……。
今後もろくなことにならないと思うんだけど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20:宮下恵茉 『ガール!ガール!ガールズ! 』

2011-02-14 21:20:24 | 11 本の感想
宮下恵茉『ガール!ガール!ガールズ! (teens’best selections)』(ポプラ社)
★★★☆☆

中学2年生の日菜は、女子の世界のルールを守り、
クラスでもテニス部でも、「外され」ずにうまくやっていた。
ところが女子とはしゃべらないはずの
学校一のルックスの持ち主・藤崎翔音に声をかけられたことによって、
女子のリーダー・あゆに妬まれ、クラスでもテニス部でも
「外され」てしまう。
そんなとき、公園で会った女の子と、象のようなその母親と知り合った
日菜は、彼女たちの家へ招かれることになる。

************************************************

初読の作家さん。
中学生の世界だけを描いていたら、「そうだよね」で
新鮮味もなく終わっていたと思うのだけど、日菜のほかに
かつて女子の世界で失敗してそれを引きずり続けている大人と、
これから女子の世界へ入っていく女の子を登場させていることで
話がおもしろくなっているような気がする。
いくつになっても女子の世界のヒエラルキーはあるよな。
女子の世界で特別な立ち位置にいる、完璧なお姉ちゃんの存在も
いいエッセンスになっていた。

男がらみでいじめが始まっているので、
なにやらロマンスが発生するのかと思いきや、
主人公にまったく男っ気がない。
それも湿っぽくならなかった原因の一つかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

19:あさのあつこ『ねらわれた街―テレパシー少女「蘭」事件ノート〈1〉』

2011-02-14 12:58:46 | 11 本の感想
あさのあつこ『ねらわれた街―テレパシー少女「蘭」事件ノート〈1〉 』(講談社青い鳥文庫)
★★★☆☆

中学1年生になった蘭は、好きな男の子でもある幼馴染の留衣と
小学校からの友達である冴子と同じクラスになり、
中学生活に心を弾ませている。
超能力を持ちながら、その自覚は薄く、「カンがよい」程度にしか
考えていなかった蘭だが、転校生の美少女・翠に
テレパシーで話しかけられ、能力を自覚するようになる。
不気味な視線や笑い声を感じるようになった蘭と翠は、
留衣や蘭の兄・凛とともに、街で起こっている事件について
調べ始めるが……

**************************************

これ、アニメ化もされてたのか。
児童書らしいストレートさ……というか、ひねりのなさなんだけど、
特異な存在を迫害する人間の心理や、
アイデンティティの問題もそれとなく抑えつつ、
蘭と翠の友情と、周囲の人々とのつながりを描いていて、
「おもしろい!」という感じはないのだけど、嫌いではない。
ストーリーに目新しさはまったくないので、
蘭と翠のかけあいを楽しむといった感じ。
2巻以降は……買ったり図書館で借りたりはしないだろうけど、
会社の本棚に入ったら読む。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

18:ジョージ・オーウェル 『一九八四年』

2011-02-12 16:08:21 | 11 本の感想
ジョージ・オーウェル『一九八四年』(早川書房)
★★★☆☆

「偉大なる兄弟」(ビッグ・ブラザー)率いる党が
支配する近未来社会。
ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務し、
党の発表にあわせて過去の記録を改竄する仕事に携わっている。
常に監視され、体制に反する思想を持つものは密告されたが最後
いつのまにか「蒸発」させられる全体主義的な社会で、
ウィンストンは現在の社会のありように疑問を抱いていた。
自らを思想犯として見張っているのではないかと思っていた
美女ジュリアに「あなたを愛しています」というメモを渡された
ウィンストンは彼女と関係を持ち、反体制活動に参加することを
決意するが……

**************************************

わたしが読んだのは、旧訳のほう。
「言語の統制が民衆の思考を停止させる」という例として
この小説が紹介されているのを読んで、興味を持ったのでした。
より言語を単純化し、語彙を減少させた「新語法」(ニュースピーク)と、
「二重思考」(ダブルシンク)によってコントロールされ、
プロパガンダに操られる民衆たち……恐ろしい
「これは予言か?」と思えるようなところも。

話はなかなか進まないし、観念的な説明が多くて
「おもしろい!」とは思えなかったのだけど、
こういうのを読むと、昔の読書が教養たり得たのがわかるなあ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:『ピーターパンの公式』

2011-02-12 11:29:17 | 11 本の感想
映画:『ピーターパンの公式
★★★☆☆

男子校に通うハンスは、将来有望な水泳選手だったが、
大学進学に関わる全国大会を目前に退部を決意する。
そんな折、唯一の家族である母が自殺を図り、
昏睡状態に陥る。
自殺は保険が利かないため、高額な治療費が必要なうえ、
母の作った借金の取り立てもやってくる。
希望の見えない日々のなか、ハンスは
隣に引っ越してきた音楽教師の人妻に心惹かれるが……。

**************************************

韓国映画。
予告は、
「昏睡状態の母を抱え、空虚な日々を過ごす青年は、
隣に引っ越してきた音楽教師のやさしさに包まれて……」
みたいなハートフルな感じだったけど、
いろんな点で生々しすぎた。
まあ、普通、自分のパンツを自慰に使用され、それを返却された時点で
ドン引きして、関わらないようにするだろうから、
隣の奥さんは確かにやさしいのだろうが……

だんなさんが「会社をクビになったよ」とか
なんでもないことのように言ってるし、
あんな薄手のストッキング被ってコンビニ強盗(ファミマ率高し)したら
すぐ捕まるだろ!と思うし、ツッコミどころは満載。
主人公の男の子が、知人の男の子3人を足して割ったらこんな顔、
という顔だちをしているので、彼が奥さんにアタック?するたびに
笑いがこみあげてきて仕方なかった。

しかし、高校生の身分で高額な借金を背負い、
昏睡状態に陥った母の世話をしなければならないハンスの
追い詰められた状況や、奥さんに救いを求める気持ちは
よく表現されていて、せつない。
海で凧揚げをするデートのシーンはよかったな。
奥さんは美人じゃないのだけど、服装やたたずまいが
「あこがれのお姉さん」って感じなんだよね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画:『墨攻』

2011-02-11 13:52:24 | 映画の感想
映画:『墨攻
★★★☆☆

戦国時代の中国。趙と燕の国境にある粱城は
燕を侵攻しようとする趙によって攻められようとしていた。
10万の趙軍にわずか4千人で立ち向かわなければならない梁は、
思想家の戦闘集団である墨家に助けを求めるが、
墨家からは音沙汰がなく、粱王は降伏を決意する。
その直後、墨家の革離がただひとりで梁城を訪れ、
趙軍を撃退した。
兵の指揮権を与えられ、城を守る革離。
趙軍の将軍・巷淹中は革離の能力を認め、
梁城をめぐる攻防が繰り広げられる。

*************************************************

酒見賢一の小説を原作とした漫画を原作とする映画……
というちょっとややこしい関係になっているのだけど、
酒見賢一ならおもしろいにちがいないと、
公開時に気になってた映画。
小説は未読だけど、小説のほうでなく漫画を原作としているあたり、
もともとの話とはずいぶん異なってるんだろうな。

女戦士とかもう飽きたよ……と思ってたが、
やはり物語に花を添えるだけで、彼女が登場する
ストーリー上の必然性は稀薄。
彼女、はっきり言って、戦場で全然役に立ってない。
エキストラの演技もやたら大げさで、
なんだか全然作品世界に入り込めなかったわ。

そして、これだけ救いのない映画は初めてじゃないかと
思うラスト。
墨家の思想が時代の流れの中で消えゆくものだったで
あったとしても、あまりの救いのなさに呆然としてしまった。

話自体はきらいじゃなかったので、★3つ。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

17:辛酸なめ子 『女子の国はいつも内戦』

2011-02-09 23:54:10 | 11 本の感想
辛酸なめ子『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)
★★★☆☆

わたしの中ではいまいちパッとしない印象の
「14歳の世渡り術」シリーズの中の一冊。
私立女子校、公立校の女子のグループ分けとヒエラルキー、
男子や海外との比較を通して女子社会を分析する。
まあ、なんというのか、女子社会のことは女子にとっては
自明のことなので、目新しさはない。
筆者の文体のユーモアを楽しむといった感じ。
陰惨さがないのは、このレーベルの読者層を慮ったからなのか、
それとも、「ガーリーな毒」ゆえか……。
男子も、実際はもっとドロドロしてると思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする