金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

32:赤木かん子 編 『あなたのための小さな物語5 マザー』

2007-02-27 09:32:05 | 07 本の感想
赤木かん子 編『あなたのための小さな物語5 マザー』(ポプラ社)
★★★★☆

【収録作品】
赤川次郎「ひとりぼっちの誕生日」
山岸涼子「コスモス」
シャルル・ルイ・フィリップ「アリスちゃん」
ルーシー・モード・モンゴメリ「夢の子供」


こ わ い よ ー ! !

後ろ二つも母あるいは子の狂気が描かれているのだけれど、
特に前二つは子への愛情ゆえだとは単純にいえない母親たちの
振る舞いが描かれていてブルブル。

赤川次郎は高校~大学時代にシリーズ物をいつくか読んだな……。
数年前に読んだ『校庭に、虹は落ちる』があまりにもひどく、
「この人は自分の作品に満足しているのだろうか……」と
評価を下してしまったところがあるのだけど、
今回収録された「ひとりぼっちの誕生日」はなかなか読みごたえあり。
よくも悪くもライトな人物描写はあいかわらずだけど。


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31:R.L.グリーン 『アーサー王物語』

2007-02-25 14:01:05 | 07 本の感想
R.L.グリーン/厨川文夫・厨川桂子(訳)『アーサー王物語』(岩波少年文庫)
★★★★☆

大学時代、少年ジャンプで連載していた『ライジングインパクト』という
ゴルフ漫画を読み、英語は「アーサー王物語を読む」、体育はゴルフを
選択してしまった女……それはわたしです。
(東堂院と黒峰が可愛かったなー 
 ちなみに子どものころから漫画といえば「りぼん」ではなく「ジャンプ」。
 喫茶店にあるから。喫茶店文化花開く岐阜県出身のわたし)

イングランドのアーサー王伝説。
「ガウェイン卿と緑の騎士」だけは英語で読んだけれど、
全体の正確なストーリーは知らないなあ~ということで読んでみました。
アーサー王……どこが偉大なのかさっぱりわからない……
悪者に挑んで負け、「助けてくれ!」と命乞いをする王……
かっこ悪すぎ!
エピソードの一部だけを編集してあるとはいえ、
ガウェインとラーンスロットのかっこよさだけが目立つ。
そして後半、ログレス王国崩壊のはじまりのあたりはメロドラマ!
アーサー王の妻・グウィネヴィア王妃とラーンスロットの恋の罪が
描かれるわけだけれど、グウィネヴィアにムカつく。
罪を自覚して距離を置こうとするラーンスロットをなじっちゃったり、
誘惑して結果的に窮地に陥れちゃったり。
ラーンスロットの逡巡は描かれても、彼女の苦悩はほとんど描かれないので
感情移入できないんだよなー。
女性が「お人形」なのは、騎士物語ゆえやむなしといったところでしょうか。

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30:金子由紀子 『持たない暮らし』

2007-02-25 13:35:54 | 07 本の感想
金子由紀子『お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし』(アスペクト)
★★★★★

著者は『スッキリ朝とゆったり夜』の監修の人ですね。
これも「暮らし本」ですが、なかなかおもしろい。
節約とはちがう、こだわり生活のススメ。
この手の本を読んでも一向美しくならないわたしの部屋なのですが、
ダイエット本と暮らし本は読んだ直後、
「やるぞー」と前向きな気分になるのがいいですね。
(ダイエット本では、美波紀子『晩ごはんダイエット』がおもしろい)

とりあえず、通販で物を買ったり、試供品やおまけをもらったり、
試着もしないで手当たりしだいに服を買うのはやめようと思いました

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29:赤木かん子 編 『あなたのための小さな物語2 安楽椅子の探偵たち』

2007-02-22 10:45:42 | 07 本の感想
赤木かん子 編『あなたのための小さな物語2 安楽椅子の探偵たち』(ポプラ社)
★★★☆☆

【収録作品】
ベン・ヘクト「十五人の殺人者たち」
ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」
フィリス・ベントリイ「登場人物を探す作者」
天藤真「多すぎる証人」

わたしはミステリーを「ストーリー」として読んでいて、
謎解き自体にはたいして興味がないのかもしれないなあ……と思った。
収録されているのはおそらく切れ味のいい作品ばかりだと思うのだけど、
最後のオチがわかっても「ふーん」としか思えず。
「九マイルは遠すぎる」は物語としておもしろかったけど。
「十五人の殺人者たち」は原文がもともとそうなのか、訳のせいか、
非常に文章が読みにくい。
「多すぎる証人」の天藤真って初めて聞いた名前……と思ったら
「大誘拐」を書いた人か!
ママさんバレーの説明が出てきたところですぐに犯人がわかってしまって
残念。




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映画:『マリーアントワネット』

2007-02-22 10:29:20 | 映画の感想
映画:『マリーアントワネット』(ソフィア・コッポラ 監督)

ファッション誌がこぞって取り上げ、話題先行の感のあった作品。
オーストリアからフランスへ嫁ぐことが決まった日から、
ベルサイユ宮殿を落ち延びるまでを2時間強でまとめているので
しょうがないのだけれど、ある程度ベースとなる知識がないと
「あれはだれ??」の連発になるかも。
(わたしは地味顔のお友だちと、小姑?の正体が気になって
 しょうがなかった
「世界一有名な王妃を等身大の一人の少女として描く」というのが
売りだったのだけど、ちょっと中途半端だったなぁ……。
特に後半は史実を追いかけるのに終始して、ポップさにも欠け、
ちょっと退屈してしまった。

でも、ビジュルアル面は評判どおりガーリッシュでロマンチック。
パステルカラーの世界にうっとり
ストーリーとしては★3つだけど、映像の美しさで★4つ。

コメント (3)
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28:ケストナー 『飛ぶ教室』 

2007-02-21 10:27:52 | 07 本の感想
ケストナー/若松宣子訳『飛ぶ教室』(偕成社)
★★★★☆

名前はよく耳にしたものの、読んだことがなかったケストナー。
海外文学はカタカナの人名が覚えられないのと、
訳の不自然さが気になるのとで、手を出しにくいのだけれども、
新訳のシリーズだということでチャンレンジ!

親に捨てられたジョニー、成績優秀だが貧しさに苦しむマルティン、
食いしん坊でボクサーを夢見るマティアス、皮肉やのゼバスチャン、
小柄で気の弱いウリ。
ドイツのギムナジウムで過ごす5人の少年たちを中心に、
クリスマスまでの日常を描く物語。

案の定、マルティンとマティアスの区別がつかず、最初は困ったけれど、
訳は自然でとても読みやすい。
少年たちの抱える不遇というものも描かれるのだけれども、
勇気や優しさ、友情をテーマにしたエピソードが積み重ねられていて、
物語としては全体的にとても美しい。
美談すぎるのでは?という気もするけれど、
ナチス台頭の時代に描かれた話だと考えると、重みがあります。
小中学生に安心してすすめられる本。
おしむらくは、「短い!」ということでしょうか。
もっと読みたかった……と思わせるほど登場人物が魅力的。

5人の少年たち、小学生(10~12歳くらい)だと思ってたら、
中学生にあたる学年(13~14歳)だそうで……。
両親からもらえるクリスマスプレゼントにウキウキしたり、
クリスマスに家に帰れないことに涙をながしたり、
正義の先生に心酔したり……
ギザギザハートの中学生を見慣れたわたくしにとっては
こんなかわいい男子中学生の存在など信じられません!
そして「ぶあつい財布を持った天使」はどうかと思った

コメント (5)
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27:佐藤絵子 『フランス人の贅沢な節約生活』

2007-02-21 09:54:25 | 07 本の感想
佐藤絵子 『フランス人の贅沢な節約生活』(祥伝社)
★★★☆☆

古本屋で購入(100)。
フランス育ちの筆者による、フランス(パリ)式生活のすすめ。
たくさんおいてあったのを見ると、売れていた本なのでしょうか。
腰をすえて読書をする時間がないとき、こういう本は良い。

最後まで結構楽しく読めたけれど、目新しさがないのと
書かれていることを実践しようという気が起こらなかったのとで、
★2.5くらい。
パリという土地に憧れがないせいかもしれないな……。
わたしの好きなインテリア関係の雑誌でもパリの生活というのは
憧れの対象として扱われていることが多いのだけれど、
いまいちよくわかりません。
足を踏み入れた外国というのは、数だけならそこそこあるけど、
そこでどんなにおもしろく過ごしても、「日本はダメだ」とか
「ここに住みたい!」とか思ったことってほとんどない。
一時的に滞在するのとずっと住むのとでは全然ちがう、と
なぜか最初の海外旅行のときから思っていた気がする。
おしゃれでなくても、閉鎖的でも、
わたしは日本の生活が好きですよ。

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26:伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』

2007-02-18 15:15:05 | 07 本の感想
伊坂幸太郎『オーデュボンの祈り』(新潮文庫)
★★★☆☆

籐子ちゃんライブラリーから借りっぱなしになっていたもの。
デビュー作。
コンビニ強盗の末、目覚めたら未知の島にいた主人公の伊藤。
百年の鎖国状態にある島の奇妙な住人たちは、
未来を予知するしゃべるカカシ・優午に導かれて暮らしていたが
ある日優午が何者かによって殺されてしまう……
というミステリー@ファンタジーといった感のあるお話。

短い通勤時間で細切れに読んでいたせいか、童話的雰囲気のせいか、
いまいち入り込めず。
散在していたエピソードがラストに向けて集約していく過程は
みごとだと思うのだけど、「ふーん」で終わってしまった……。
ファンタジーな舞台設定ゆえか、身に迫ってこない。
おもしろくなかったわけじゃないのだけど、
ちょっとインパクトが薄かったかな?

城山が出てくるたびに「うわぁ……!」とどきどきしていたので、
あのオチには一安心しました。


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25:赤木かん子 編 『あなたのための小さな物語1 戦争』

2007-02-10 17:23:34 | 07 本の感想
赤木かん子 編『あなたのための小さな物語 戦争』(ポプラ社)
★★★★☆

【収録作品】
ミハイル・ショーロホフ「人の運命」
手塚治虫「ぼくは戦争を忘れない/語り部になりたい」
手塚治虫「紙の砦」


小説・漫画を問わず、良質な中・短編をテーマに沿って集めた
中・高生向けシリーズの一冊目。
国書刊行会の「書物の王国」シリーズが好きだったので、
この手のアンソロジーには期待大であります。
第1弾からテーマに「戦争」を持ってきているのも骨太な感じ。
しかし、一気に食欲が失せる一冊でした……

手塚治虫のエッセイ(「ぼくは戦争を~」)で、
戦時中に戦意高揚のための映画教育が行われていた話から
「映像による教育」の効用というものが述べられているのだけど、
ここが配置の妙。
直後に漫画の「紙の砦」を収録することで、
具体化されたイメージの力をみごとに証明している。
ビジュアルメディアの影響力って、よくも悪くもすさまじい。
手塚治虫礼賛の評論はもう読み飽きた!と辟易していたのだけど、
彼自身はやはり偉大な人だったのだなあと思う。
「手塚治虫を読むべきである!」など押し付けがましい言い方をしたり、
比較対象としてあげられたほかの漫画をこきおろす文章を読むと、
むかっ腹が立ってしょうがなく、反発したくなってしまうのだけど。
これは美空ひばりについても同様で、本当に素晴らしいものは
黙っていても多くの人に価値を認められていくのだから、
おかしな使命感で声高に騒ぐのはやめてほしい……
と思うのでありました。

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24:上田信道 『謎とき名作童謡の誕生』

2007-02-08 10:53:05 | 07 本の感想
上田信道『謎とき名作童謡の誕生』(平凡社新書)
★★★☆☆

唱歌から童謡へと、日本で童謡が誕生するまでの流れと、
「鳩ぽっぽ」「故郷」「かなりや」「赤とんぼ」「赤い靴」
「砂山」「夕焼小焼」「七里ヶ浜の哀歌」「月の砂漠」
「花嫁人形」の全十曲の誕生した背景に、
作詞者・作曲者からアプローチをこころみた一冊。

奇をてらった珍解釈・新解釈が氾濫する中、
より事実に近い、正統派の「謎とき」をしているところに
好感が持てる。
「砂山」「七里ヶ浜の哀歌」「花嫁人形」の三曲は、
実は歌詞も見たことがない、曲も聴いたことがないので
いまいち「そうだったのか!」感もありませんでしたが、
「赤い靴」のモデルになった少女の生涯、
「鳩ぽっぽ」は盗作だった!という意外な事実もわかって
おもしろく読めました。
まあ、本当に「正しい」内容なので、刺激を求める人には
物足りなく思われるかもしれませんが……。
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