金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

255:伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

2022-09-30 22:04:16 | 22 本の感想
伊坂幸太郎『ホワイトラビット』
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

兎田孝則は焦っていた。
新妻が誘拐され、今にも殺されそうで、だから銃を持った。
母子は怯えていた。
眼前に銃を突き付けられ、自由を奪われ、
さらに家族には秘密があった。
連鎖は止まらない。
ある男は夜空のオリオン座の神秘を語り、
警察は特殊部隊SITを突入させる。
軽やかに、鮮やかに。
「白兎事件」は加速する。誰も知らない結末に向けて。
驚きとスリルに満ちた、伊坂マジックの最先端!(解説・小島秀夫)

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めちゃくちゃ久しぶりの伊坂幸太郎。
読み進めながら、
「そうだった、そうだった、こういう作風だった」
と思い出す、ユーモアを含んだ軽妙な会話とどんでん返し。

登場人物が多く、設定が入り組んでいるので
途中で中断すると設定を忘れてしまい、
もう一度読み返す羽目に。

綿子ちゃんが経理の女なのかと思ってた!


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254:森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』

2022-09-30 22:00:28 | 22 本の感想
森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

身長2メートル超のマッチョなオカマ・ゴンママ。
昼はジムで体を鍛え、夜はジム仲間が通うスナックを営む。
名物は悩みに合わせた特別なカクテル。
励ましの言葉を添えることも忘れない。
いつもは明るいゴンママだが、突如独りで生きる不安に襲われる。
その時、ゴンママを救ったのは、
過去に人を励ました際の自分の言葉だった。
笑って泣ける人情小説。

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決してつまらないわけではなく、
じーんと来る話も多いのだけども、
なぜかなかなか読み進められず、
読了までに時間がかかってしまった。

バーが舞台で、
「マスターがちょっといいこと言ってお客の悩み解決」
みたいな話はたくさんありそうだけど、
舞台は店よりもジム、というのがちょっと珍しい。

文化圏が違うはずなのに、
仏教の「阿吽」とキリスト教の「ΑΩ」が、
双方、初めの文字と終わりの文字から出来た言葉で
意味も共通しているのがおもしろい。

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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯37

2022-09-25 23:17:05 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第37話「オンベレブンビンバ

先週の衝撃を、一週間引きずってしまった。
重忠ロスもあるけれど、小四郎の「ちびった」が
地味に効いて。
あれは、優しく頼もしかったころの父を小四郎が思い出して
自分も息子に対してそうあろうとした場面なんだよね。
今回にもつながる仕込みだとわかっているだけにつらい。

謎タイトルの正体は、まったくの予想外だった。
大姫がオカルトにかぶれてみんなをドン引きさせていた、
あのときのおまじないだったのか~!
回想シーンを差し挟んであからさまに泣かせようとするのではなく、
会話だけで、伊豆時代の仲の良かった北条家、
大きな権力を握る前のまだ平和だったころのことを
視聴者に思い出させることで泣かせにかかっていた。
あの祝いの席にいた人々の多くが、
もう死んでしまったのだね。
大姫に全成、重忠に重成、あきに八重、政範。
あき以外、「殺される」「事故死」「ストレス死」。
酷い……。
本当に、頼朝に出会わず、伊豆で暮らしていたら
こんなことにはならなかったのだ。
久々の仲良し家族ぶりに泣いてしまった。

りくさんの言うままに、実朝を廃し、
政子と小四郎を討つところまで暴走し始めた時政パパ。
「いいかげん、正気に戻って~!!」
と思っていたけれど、パパはうまくいかないことが
わかっていて、それでもあえて愛妻の望みを叶えるために
やっていたのだね……。
政治センスがなくても、さすがに平六が小四郎を裏切って
自分に付いたりしないこと、
こちらの計画を小四郎に伝えることくらい、
わかっているのだな。
(しかし、三浦の親子二代にわたる献身ぶりよ……)

りくさん、序盤は継子たちとそれなりに良好な関係を築いていたし、
継子たちへの愛を感じる場面もあった。
でも、結局、彼女自身の気質もあって、
権力が近づき始めてからギスギスし始めたあげく、
今では完全に継子たちから「すべての原因」として
疎まれている。
嫡子だった息子を亡くしては、もう寄る辺もない身の上。
夫と娘婿にしか頼るものがない状態。
だから、時政パパはそれなりに地位を確立した子どもたちと
別れてりくの野望に殉じることにしたのね。
愛よ……! と思うけど、それに感動するには、
人が死にすぎた。
全成も重忠もりくのせいで死んでるし。

【その他いろいろ】

・実朝くんに同性愛者説が出てるけど、
 確かに泰時のこと好きだよね……。

・再び反抗期の泰時。

・大江殿、すっかり政子ファン。

・後鳥羽院の似顔絵を破いたりくしゃくしゃにしたりする
 兼子&慈円。仲良し。

・実朝の正室の千世ちゃん、めちゃ品のいい
 優しいお嬢様って感じでいいねえ。
 のえさんとの対比でさらにそれが際立つ。

・阿野時元、彼もまた、無実の罪で誅殺されるのかと
 思ってたけど、これはほんとに謀反起こしますわ……

・和田義盛による盛りすぎ&パクリ劇場。
 武衛の意味を、まだ信じてたのか……。
 「そうだそうだ、みんな武衛だ」
 と適当にあしらう平六にも笑った。

・泣き落としされても脅されても、
 断固として起請文を書くことを拒否し、
 母や小四郎に相談してから、と言う実朝。
 重忠を死に追いやってしまったことを
 反省しているのだね。ちゃんと成長してる。

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241~253:うめ『大東京ボックス』シリーズ13冊

2022-09-23 16:03:20 | 22 本の感想
うめ『大東京ボックス〈1〉~〈10〉』 
   『東京トイボックス〈1〉・〈2〉』
    『大東京ボックスSP』
 ★★★★★

【Amazonの内容紹介】

ゲームクリエイターを目指す元気な関西娘・百田モモ。
かろうじて採用されたのは、あの天川太陽のいる
ゲーム制作会社・スタジオG3。
そこで企画見習いのモモを待ち受けるのは、
夢と現実の違いを痛感させられるリアルな修業の日々だった――!
面白いゲームのことしかアタマにない年中無休のゲームバカ・太陽、
キャリアだが隠れた趣味を持つ月山星乃ほか、
個性豊かなアイツらが、今日もアキバの片隅でゲーム魂を燃やす!

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名前は聞いたことがある漫画だ……
と思って読み始めたのだけども、
シリーズ展開していることに気づかなかった。
最初、『東京トイボックス1・2』→
『大東京トイボックス〈3〉~〈10〉』
の順で読んでしまい、
「いきなり出てきたこの子、何?? 人が覚えられん!」
と混乱してしまった。

ゲームにも、ゲーム業界にも全然詳しくないけれど、
それでも面白かった。
敵の本当の正体は早いうちに見当がついてしまったけれど、
その敵が最後に見せる愛も、
その立場ゆえのものだと納得がいくものだった。
序盤に敵として出てきた人も、真の敵の登場に霞むことなく
最後に活躍してくれたところがいい。



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238-240:板東いるか『廓源氏〈1〉~〈3〉』

2022-09-23 15:51:27 | 22 本の感想
板東いるか『廓源氏〈1〉~〈3〉』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

葵の上、六条、夕顔……
『源氏物語』の女たちが江戸・新吉原の娼妓として
苦界を生きる――。
性調教され続ける新入り女郎!
娼妓が恐怖する地獄の仕置き!
性の快楽にむせび泣く花魁! 
血まみれ童話と残酷実話の狂い咲き!

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絵がすごく上手い!!

この「まんがグリム童話」シリーズって、
残酷&エロで売ってるんだろうか。
Kindle unlimitedで知ったものの、
全然好きじゃないわ~って作品が多いのだけど、
この『廓源氏』は、絵だけで無くストーリー、構成含めて
漫画としての出来が突出して良い。

廓用語をばんばん使っているせいで
かなり読者をふるい落としそうなんだけど、
源氏要素がなくても、花魁ものとしてレベルが高いと思う。
末摘花の話がいちばん好き。

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228-237:最近読んだ漫画

2022-09-20 19:28:54 | 22 本の感想
 おつじ『いびってこない義母と義姉』

やっぱり悪い人が出てこない優しい世界はいいね。
最近とみにそう思う。
嫌いになりようがない。


 椿いずみ『月刊少女野崎くん1』

あれ?? と戸惑うほど入り込めなかった……



 信吉『漫画方丈記 日本最古の災害文学』

方丈記の原文も載っているのだが、
こんな短い作品だったんだな。



 本田『ほしとんで01 ~5』

再読。やっぱりとても良い漫画。
詩歌の面白さを堪能できる。


週末北欧部 chika 『北欧こじらせ日記』

作者さんの行動力すごすぎる。
そして、「好き」って尊いね。

登場する人がいい人ばかりなのは、
きっと作者さんの人柄が
そういう人を集めているんだろうな。


 葉月つや子
『まんがグリム童話 艶聞源氏物語 まんがグリム童話
 艶聞源氏物語』

登場人物の言葉遣いも振る舞いも、
やんごとなき血筋とはとても思えない下品さなのだが、
藤壺視点でまとめたのが見事。
王命婦にスポットライトをあてたのもよい。


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217-227:最近読んだ本(記録のみ)

2022-09-20 19:25:22 | 22 本の感想
 『眺めるだけでワクワクできる 彩る手帳アレンジ』


 『天然生活 2022年 08月号』

 『天然生活 2022年 06月号』

 『天然生活 2022年 07月号』

 『別冊天然生活 暮らしのまんなか vol.33』

 『別冊天然生活 暮らしのまんなか vol.34』

 『暮らしのまんなか vol.32』

 『サルビア給食室の毎日のおやつ手帖』
 『東海さんぽ旅』

 『日帰りウォーキング 東海(2023年版)』

 『見て楽しむカフェ風景 [ 東海 CAFE BOOK ] vol.1 気軽にカフェトリップ!: 東海地方のカフェ風景を集めました。(岐阜・愛知・静岡・三重)』
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大河ドラマ「 鎌倉殿の13人」♯36

2022-09-18 22:39:30 | 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
第36話「武士の鑑

重忠退場回。
もっとエモーショナルな演出で泣かせにかかると思っていた。
だから見ている最中は拍子抜けしたんだけども、
後から一つ一つの場面を思い返して意味を考え、
ずーっとめそめそ泣いたわ……。

小四郎と重忠の一騎打ちという展開、
正直、「ないやろ」と思うし
個人的には好きじゃないんだけども、
勝者として去っていく重忠を描いて
最期を描かなかったところ、
製作サイドの愛だと思ったよ。
「戦には負けたけどタイマンでは勝った!」
という体で、かっこいい重忠を守ったのだった。
(イケメン二人をボコボコにして小汚くしたの、
 単純にすごいと思った)

小四郎にとどめを刺さなかったのは、
彼の立場を理解していた重忠の友情のゆえでもあり、
時政を処分させるためでもある。
重忠が、大将である小四郎を引っ張り出すために
泰時を狙ったところも、
和田義盛が重忠の気持ちを理解して
説得を続けず引き下がっちゃうところも、
重忠が「何とかの一つ覚え」と
義盛の作戦を見抜いちゃうところも、
今までの関係性ありきの言動で、
とても優しく悲しい。

畠山討伐を機に、小四郎は時政追放へ。
今回で時政は追い落とされ、
諦めて伊豆へ引っ込むんだと思ってた。
次回は時政vs政子・小四郎で一波乱ありそう。

【その他いろいろ】

・今回も和田義盛だけが癒やしだった……。
 「次郎ってやつは見栄えはいいし頭も切れる、
  自分と同じものを感じるんです」
 この義盛の発言を、即座になかったことにする平六に笑った。
 
・懐妊を思わせる、のえの吐き気。
 なんか演技くさいけど、本当かしらん。
 史実では、重忠が死んだ日に子が生まれてるんだけど、
 わざわざ泰時の前でアピールしたようにも見える。

・実衣ちゃんは、畠山討伐に対して、
 一体どういうスタンスでいるんだ。
 先週、ちょっと昔に戻った感じがあったのに、
 終盤の政子への反発といい、また嫌な感じに。

・時房、時政にもりくにも、はっきり意見を言って
 諫めてるの、偉いよ。
 両方とも聞く耳持たないけど。

・時政パパは、ちゃんと田舎ヤクザとして
 戦のことは理解してるんだけども、
 自分のしたことをまったく
 受け止めようとしないとこがダメ!
 「しょうがねえ、(重成に)死んでもらうか~」
 じゃないんだよ!😡 

・稲毛重成、このドラマではほとんど無実なので
 本当に可哀想。

・三浦胤義、初登場。
 頭ごなしに兄に「お前は黙ってろ!」と言われていた。
 この強権的な兄に対する鬱屈もあったんだろうな~と
 今後の描かれ方に期待。

 ・政子が足立殿にかける言葉、嫌な感じだったわ~。
 冗談だと言っても、相手を小馬鹿にしていないと
 出てこないでしょ、ああいう物言い。

・小四郎は江間の分家であって、
 本家の父親に逆らえないのはわかっているが、
 前回も今回も、重忠を助けようという気持ちが
 感じられないんだよな~。

・小四郎が泰時に対して、
 時政と同じギャグをやってすべるところ。
 優しく頼もしかった父親がかつて自分にしてくれたことを
 思い出したのだと思うと、
 現在とのギャップの激しさもあって、切ないね。

・大江殿、やっぱり黒いなあ!!!

・「平六にやらせろ。私に隠れてこそこそ動き回った罰だ」
 って言ったり、本人に
 「ご苦労、下がっていい」
 って言ったり、今日の小四郎は
 平六に対しても偉そうだな~??
 平六の小四郎に対する献身は序盤から続いているが、
 小四郎はそれに報いてなくない??
 ずっと受け取れるものだと思わないほうがいいぞ!

・時政「わしはな、皆が喜んでいる顔を見ると心が和むんじゃ」
 なんか狂気を感じたよ……

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216:森下えみこ『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく名古屋』

2022-09-18 17:37:51 | 22 本の感想
森下えみこ『ご当地グルメコミックエッセイ まんぷく名古屋』
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

ご当地グルメコミックエッセイ第9弾は、名古屋!
味噌カツ、どて、手羽先、ひつまぶし…
王道の茶色系から知られざるグルメまで、
どえりゃーうみゃー名古屋グルメを森下えみこが食べ歩き!

****************************************

思いがけず読み応えがあった。
あえて「一番手の有名な店」を外しているだけあって、
知らない店がほとんどだったし、
「たまり醤油」
「店の看板についているパトランプ」
が東海地方や名古屋に特有のもの、というのも知らなかった。

千種正文館も店長さんと一緒に紹介されていた。

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215:青木祐子『派遣社員あすみの家計簿』

2022-09-17 17:34:57 | 22 本の感想
青木祐子『派遣社員あすみの家計簿』
★★★★☆3.5

【Amazonの内容紹介】

家計簿をつけながら、生活も恋も立て直し!

「結婚したら専業主婦になって、
 ぼくの収入は好きに使っていいよ」――
飲食店の社長だと自称していた恋人の理空也に騙され、
正社員として勤めていた会社を“寿退社”してしまった
藤本あすみ、28歳。
理空也は姿を消し、残ったのは二人で贅沢したぶんの
高額なカードの支払いだった。
通帳の残高は428円。
ピンチに陥ったあすみは親友の仁子に説教され、
家計簿をつけることに。
(以下略)

****************************************

主人公のふるまいに、
「お、愚かだなあ~!!」
とハラハラしながらも、その成長ぶりにやや安心。
自分も浪費を控えよう……と気持ちが引き締まる。

元カレがゆるぎないクズでよかった。
金を引っ張るためとはいえ、
嘘に手間をかけ、演技を徹底しているのはすごいよ。

作者さんの作品は、他に『これは経費で落ちません!』
一冊しか読んでいないのだけども、
主人公の相手役の男性(おそらく本命として描いているであろう人)の
描き方、
「本当にその男でいいんか?」
と思ってしまうところが共通している。
何というか、ライト文芸の恋人役って、
自分の好みでなくても、
「作中では魅力のある人ということになっているんだろうな」
と納得できるキャラ立てがされていることが
ほとんどなんだけど、この作者さんの描く男性、
へんに現実的で、気に障る欠点があるのだ……

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