金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

35:高山なおみ 『日々ごはん<12>』

2011-04-27 18:11:06 | 11 本の感想
高山なおみ『日々ごはん〈12〉』(アノニマ・スタジオ)
★★★☆☆

ついに最終巻。
途中何度も中断しながら読むことになってしまったため、
読みながら、気もそぞろな状態だったのだけど、
たぶん、これからちょこちょこ読みなおすだろうな。
忙しくて生活がおろそかになったとき、
そのときと同じ月の日記を読むと、
きちんとごはんを作って美しく生活しようという気になる。

以前感想にも書いたけれど、この人は小説が書きたいんじゃないかと
ずっと思っていて、やっぱりという感じだった。
絵本を出したとのことでした。
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DVD:『NEON GENESIS EVANGELION vol.1~8』

2011-04-23 17:44:23 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
DVD:『NEON GENESIS EVANGELION vol.1~8』
★★★★☆

久々にアニメを見たな……。
リアルタイムで放送してたのはわたしが高校生のころ?
『ふしぎの海のナディア』のガイナックスが製作、というのは
当時から知っていたけど、とくに興味もなく見てなかった。
(当時すでにテレビを見なくなっていた)

15年前のアニメだというので絵柄を受け付けないんじゃないかと
心配していたのだけど、杞憂であった。
アニメとか漫画の絵って、たまにすごく古臭く思えるのがあるんだけど、
あれは「流行」が変わったからじゃないのかも。
時代とともに絵柄が洗練されていっている。
ある一時点で技術が一定のレベルまで達して、
今はそれで安定している印象。

vol.5までは文句なしにおもしろく、
ブームになった理由がわかるわ~という感じ。
問題はvol.6~7。
この2枚だけ、同じ話をテレビ版とビデオフォーマット版で収録。
知らなかったので、同じ話が表示されるのを、
DVDプレーヤーが壊れたせいだと思ったわ。
ファンにとってはうれしいのかもしれないけど、
ファンじゃないわたしにとっては「金返せ!」であった。
分けて売ればいいのに……。
そして物議を醸したらしい最後の2話(vol.8)については
やはりポカーン……

まあ、でもおもしろかったです。
小学生の頃、夕食後に家族で見ていた「ナディア」を
思い出してなんだか懐かしかったな。
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34:益田ミリ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』

2011-04-18 08:34:54 | 11 本の感想
益田ミリ『47都道府県女ひとりで行ってみよう』 (幻冬舎)
★★★☆☆

タイトルそのまま、旅行エッセイ。
「通過しただけ」とか「何県かまとめて」とかではなく、
「この県に行く」という明白な意志を持っていくという
ルールで一ヶ月に一回旅に出て、女ひとりで
47都道府県に行った、という内容。

「旅」にまつわる強迫観念から逃れて、
無理に地方の名物を食べなくてもいい、
地元の人とふれあわなくてもいい、というスタンスで
やっているのがいい。
それで食べておいしかった、と書かれているのは
本当においしそうだし。

そうだよね~と思ったのはここ。

***************************************************
それは「人の旅の話は、あんまり楽しくない」ということだ。
人は、旅の話を聞くよりも、旅の話をする側のほうが好きなのだと思う。
旅をすると、あんなこともあって、あんなものも見て、と色々話したく
なるけれど、よっぽどの話術がないと退屈というか、自慢というか。
わたし自身も「きっと、つならないだろうな~」と心の隅で
思いながら喋っている。(P.240より)
***************************************************

旅行に行ったという相手に「どうだった?」って聞くのは
社交辞令なんだよね。
そこに行きたいと思っているか、相手によっぽど関心が
ある場合以外は。
紀行文や旅行エッセイが作品として成立するのは、それが
「○○を見た」「すごかった」という
「誰が行っても同じ」「見ればわかる」ことじゃなく、
その人が考えたこと・思ったことを、その人の言葉で、
その人だけのエピソードとして書いているからなのだと思う。
わたしはそういう話なら、聞きたいし読みたい。
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映画:『フォース・カインド』

2011-04-17 17:43:02 | 映画の感想
映画:『THE 4TH KIND フォース・カインド
★★★☆☆

アラスカ州ノーム。
心理学者のアビゲイル・タイラー博士は、就寝中に夫を
何者かに殺害されたという2年前の事件の真相を探るべく、
夫の残した研究を引き継いで、街の不眠症の患者たちを診ている。
彼らはいずれも、午前3時頃に同じような白いフクロウを見ていた。
タイラーは、彼らに対して催眠療法を行い、真実を突き止めようとするが、
ほとんどの患者は思い出すことが出来なかった。
しかし、ある一人の患者が「あれはフクロウではない」と言い出し、
その正体を悟った瞬間、錯乱状態に陥る。
後日、彼は恐ろしい事件を起こし、タイラーはノームの住人が
宇宙人による拉致に遭っているのではないかと考え始めるが……

*****************************************

これ、何で予約したんだろう……。
雑誌か誰かのエッセイで紹介されていたんだろうか。
予告編にホラー系が多かったので嫌な予感がしていたんだけど、
「Xファイル系」とでも言えばいいんでしょうか。
「Xファイル」は昔よく見てたけど、この手の話の、
絶叫してギャーギャーうるさい感じがあまり好きではないのでした。

2000年にアラスカ州ノームで実際に起こった事件を
もとにして製作……ということで、
タイラー博士へのインタビューや彼女が撮影した実際の映像と、
ミラ・ジョヴォヴィッチらが演じる再現ドラマが組み合わさって
ストーリーは進む。
見ているときから、
「録画されている映像が、毎回きちっと肝心なところから乱れてるの、
おかしくない??」
といぶかしく思っていたのだけど、
あくまでもドキュメンタリー「風」の「モキュメンタリー」だそう。
やれやれ。
シュメール文明の話が出てきたのはおもしろかった。
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映画:『大奥』

2011-04-17 17:04:23 | 映画の感想
映画:『大奥
★★★☆☆

江戸幕府6代将軍・家宣の死後、幼い家継が将軍になった。
大奥では、先代・家宣の正室であった天英院一派と、
側室であった家継の生母・月光院一派の対立が激しい。
将軍生母であり、家継の補佐役として権力を握る
側用人・間部詮房とも親しい月光院の勢いは盛んで、
月光院の右腕である絵島も大奥取締役として
高く評価されている。
天英院は、月光院と間部を失脚させるべく、
間部と対立する老中と手を組み、
月光院と間部の密通を認めさせるために
絵島を罠にかけようと画策する。

*****************************************

仲間由紀恵が絵島を演じる映画版。
大奥シリーズの締めくくりという位置づけらしく、
テレビ版の各章に出演していた俳優さんたちが
役柄を変えて再登場しております。
松下由樹の憎々しげな顔なんか、
「これだよ、これ」って気分になる。

2時間でまとめなきゃいけないので仕方なんだけど、
小さくまとまりすぎている印象あり。
女どうしのドロドロもわりとお上品な感じで
物足りない。
しかし誰かに嫁ぐこともなく、大奥の中だけで
生きていくはずの女の「一生に一度の恋」を
美しい仲間由紀恵が演じているのは良かったな。

それにしても、井川遥演じる月光院のうざったさといったら!
ミッチーじゃなくても突き飛ばしたくなるわ。

ちなみにテレビ版大奥シリーズでわたしがいちばん好きなのは
菅野美穂主演の最初のやつなんですが、
ストーリーだけで言うと、史実などくそくらえとも言わんばかりに
ドロドロを煮詰めた内山理名主演の「華の乱」が最高です。
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33:酒見賢一 『分解』

2011-04-16 09:03:23 | 11 本の感想
酒見賢一『分解』 (ちくま文庫)
★★★☆☆

【収録作品】
「ピュタゴラスの旅」
「エピクテトス」
「分解」
「音神不通」
「この場所になにが」
「泥つきのお姫様」
「ふきつ」
「童貞」

短編集。
古代中国の、河の氾濫におびやかされる部族社会を
舞台にした「童貞」がいちばん良かった。
わりとボリュームがあるので、きちんと作品世界が
構成されている。
ピュタゴラス、エピクトスを主人公にした最初の二編も
読ませる。
わたしに先入観があってそう感じるのか、
作者に得手不得手があるのか、よくわからないけど、
この人の作品は古代を舞台にしたもののほうが、
現代ものよりも断然おもしろい。
今回はたまたま現代ものが、わたしのあまり好きじゃない
ショートショートっぽいやつだったからかもしれないけど。
ひたすら分解の過程が書かれている「分解」は、
読むのが苦痛で大部分を斜め読みで済ませてしまった。
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32:よしもとばなな『王国〈その4〉アナザー・ワールド』

2011-04-15 00:14:42 | 11 本の感想
よしもとばなな『王国〈その4〉アナザー・ワールド』(新潮社)
★★★★☆

亡くなったパパとの思い出を胸にミコノス島をおとずれた
ノニは、そこでパパを思い出させる男性・キノに出会った。

視力の弱い占い師のパパ、植物を育てる能力に秀でたママ、
そしてパパの恋人だったパパ2の三人の親に育てられるという
特殊な環境で育ったノニは、パパの予言どおりに
愛情について苦しむことになった。
しかし、同時にパパが予言した、
恋愛抜きでいっしょにいるようになる相手―「猫の女王の家来」が
キノであると確信を得る。
敗れた恋のために傷ついていたノニは、キノと出会い、
母と二人の父の間にあったドラマを知り、
自分へ向けられた愛情をあらためて受け取ることになる。

*****************************************

冒頭で新しい男性との出会いがあったため、
「新章に突入?別の話が展開するのか?」
と思ったら、主人公が雫石の娘なのでした。
王国3」の最後、こんな展開で終わってたっけ?と思ったのだけど、
読んだのが5年前の2006年。
なので細かいところまで覚えていないのだけど、
「その3」と「その4」の間にいろいろあったんだな。たぶん。
娘の視点で完結編になったのは良かったかも。
圧倒的な光に包まれるような読後感。
片岡さんはいいお父さんだ。

そして雫石が真一郎くんのことをいつまでも引きずってるのが
おかしかった。




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映画:『カミュなんて知らない』

2011-04-08 15:07:13 | 映画の感想
映画:『カミュなんて知らない [DVD]
★★★★☆

「映像ワークショップ」の課題として
高校生が老婆を殺害した実在の事件をモデルに、
「タイクツな殺人者」という映画を撮る大学生たち。
クランクインまであと5日というときに、
主役の役者が降りてしまい、監督をつとめる松川たちは
演劇サークルの池田に交渉し、
なんとか主役を引きうけてもらうことになった。
撮影に向かう忙しい日々の中、
長い間別れられず、つきまとってくる恋人・ユカリに
頭を悩ませながらも、別の女の子と関係を持ってしまう松川。
美しい女学生に胸をときめかせる指導教官の中條。
彼氏の留守中、松川との対立で心乱れ、
ワークショップのメンバーから次々に好意を寄せられる久田。
混迷する人間関係の中、屋上での撮影中にユカリが現れ……

************************************************

サスペンスの要素も入った青春群像劇というところ。
キャンパスの夜の風景やサークルの人間関係、
ほとばしる感情のエネルギーみたいなものに
「ああ、いいなあ、大学生活……
と郷愁に似た憧れを抱いてしまうのでした。

前田愛演じる久田は、助監督的な立場で、
やたらめったらモテている。
可愛いわけでもなく垢ぬけているわけでもないんだけど、
固定された人間関係の中で何かを成し遂げようとするとき、
彼女みたいなタイプはモテるよね、と納得。
体育祭とか文化祭の学級委員ポジション。
しかし彼氏に謝るシーンはなくてもいいと思った。

吉川ひなの演じるストーカー気質のユカリがこわい。
そして黒木メイサは先生をバカにしすぎだ。

あらすじだけ見ると「だから何?」なんだけど、
現実と映画の世界のリンクもおもしろく
わたしは好きでした。
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映画:『チェイサー』

2011-04-07 10:48:29 | 映画の感想
映画:『チェイサー
★★★★★

デリヘルを経営する元刑事・ジュンホは、
自分のところのデリヘル嬢二人が姿を消し、
手付金を持って逃げたのだと思い、苛立っている。
人手不足のところへ客からの電話が続き、ジュンホは
風邪で休んでいたミジンを脅して仕事へ向かわせるが、
その客の電話番号に見覚えがあることに気づく。
姿を消した女たちは、その客に呼ばれてから
連絡がつかなくなっていたのだった。
その客が女たちを売ったのだと考えたジュンホは、
ミジンに客の住所を知らせるように命じるが、
客の家の中には携帯電話の電波が入らない。
ジュンホは偶然、その客―ソンミンと衝突事故を起こし、
彼が犯人だと見抜く。
連続猟奇殺人の犯人として警察に捕まったソンミンは、
女たちを殺したことは認めるが、住所を明かさない。
まだ息絶えていないミジンを救うため、
ジュンホはひたすらソンミンの家を探すが……

****************************************

韓国映画。
実在の事件をもとにした話らしいですね。
ディカプリオでリメイクされたそうで、
確かにハリウット的な迫力と起伏のある作品。

「ぎゃー!やめて~!!」と目を覆ってしまうような
残虐なシーンはあるし、血まみれだし、
希望が見えてきたと思ったところで
再びどん底に突き落とされるし、
なんというかもう、とにかく「間に合わなかった」
「できなかった」ことのオンパレードで
打ちひしがれる。
でも不思議と不快感はないんだよね。
ソンミンは異常だし、淡々と当然のように
殺人を重ねていく様子が怖いんだけど、
見ためや態度が、ちょっと頼りなくて
母性本能をくすぐるタイプ。
そのキャラクターがいい味を出していた。

警察が役に立たなさすぎだろ……って感じだけど、
まあ、主人公を活躍させなきゃいけないし。
ミジンの娘である小さな女の子とジュンホのやり取りが
可愛くてよかったな。

「好き」とは言いたくない。
「おもしろかった」って言っちゃいけない気がする。
でも良かった! ということで★5つ。
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31:豊島ミホ 『神田川デイズ』

2011-04-05 21:49:10 | 11 本の感想
豊島ミホ『神田川デイズ』(角川書店)
★★★★☆

【収録作品】
「見ろ、空は白む」
「いちごに朝露、映るは空」
「雨にとびこめ」
「どこまで行けるか言わないで」
「リベンジ・リトル・ガール」
「花束なんかになりたくない」

「野性時代」に掲載されていたものを収録した連作短編集。
大学生になれば、東京に行けば、
なにか素敵なことが起こるように思えて、
だけどその素敵なことは誰にでも起こるわけではなく
何者にもなれないまま学生時代は過ぎていく。
そんなさえない大学生六人の物語。
登場する人物が重なっていて、
それぞれちょっとずつリンクしているので
後日談のような様子を見られるのがうれしい。
ああ、こんな風景ってあったなあ……というなつかしさと、
ちょっと目をそらしたくなるような痛み、
登場人物というより「人生の一時期」に対するいとおしさ。
「いちごに朝露、映るは空」と「どこまで行けるか言わないで」が
好き。

わたしは眼鏡男子好きではないけれど、
アズマくんに最高にときめいた……
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