ネットやスマホの普及で、オンラインゲームなどに過度に依存する問題が世界各地で指摘
されていることを受けて、WHO(国際保健機関:国連の専門機関の一つ)は、先月6月18日
に、病気の世界的統一基準であるIDC-10(現行の国際疾病分類)を 28年ぶりに全面
改定すると公表しました。
つまり、ゲームに過度に依存して、日常生活に支障をきたしている症状を「ゲーム障害
(ゲーム依存症)」として疾病に認定するということなんです。来年5月のWHO総会決議を
経て、IDC-11版が 2022年1月発効の見通しだという。
国際的に病気と認めることで、実態把握や治療法の開発が進むことが期待されているので
す。 厚生省は、今後IDC改定を医療現場に反映する方策を検討すると言っていますが、
日本の現状は、2011年に開設した「国立病院機構久里浜医療センター」をはじめ、全国で
相談できる医療機関は 25か所程度に過ぎず、専門の医師も少ないそうです。
(ネット画像より)
黙々とゲームに夢中になっている人を見かけたりしますが、これらの人がすべて対象に
なるわけではなく、いわゆる“ゲーム好き”と“依存症”は明確に区別されています。
WHOでのゲーム依存症の主な診断基準として、以下のように定義されています。
・ゲームをしたい欲求を抑えられない
・日常生活の中で、ゲームを最優先してしまう
・家族関係、仕事、学習などに問題が起きてもゲームを継続する
・このような行動が1年以上続く
上記のような場合、ゲーム障害と診断されますが、特に進行性が早い幼少期では、全ての
症状が当てはまり 重傷であれば、短期間でも依存症とみなすとあります。
依存症は、ゲーム愛好家のごく一部で、2~3%に過ぎないと言われますが、世界でゲー
ムを楽しむ人は、なんと推定 23億人もいるとかですから、単純計算でも、4~7000万人と
なり穏やかではないのですね。
厚生労働省の調査では、成人約421万人、中高生約52万人がゲームなどのネット依存
の恐れがあると推計されていますが、平成20年 患者調査では、精神疾患323万人、悪性新生
物152万人、脳血管疾患134万人、虚血性心疾患81万人、糖尿病237万人 とありますから、
ゲーム依存の恐れありはダントツに多いのですね。すべてが、依存症とは限らないとしても、
早めの対策が是非とも必要でしょう。
平成20年調査の精神疾患323万人は、気分障害、ストレス関連、統合失調症、アルツハイ
マーなどですから、ゲーム依存症とダブル部分があるとしても、新しい疾患として要注意で
しょう。
ネットを繰っていますと、子どもたちがこのゲーム依存症に陥った場合、どのように対処
すればよいか? など、いくつかの試みがありましたので、一部を紹介します。
このような依存症に陥る子どものこころの特徴は、
①低い自尊心(閉じこもり)
②自己主張が苦手(IT機器で疑似的な人間関係をつくる)
③不得手な対人関係(威嚇または同情を買う)
が、主なところとされており、したがって、一筋縄で解決しにくく、じっくり腰を据えて
対峙することが重要だとしています。 このため適切な家族の対応が不可欠であり、具体的
に以下の6か条が揚げられていました。
1、取引しない、駆け引きしない 宿題が済んだらゲームをしても良い、や、〇時間だ
けなら・・のような条件を付けない
2、一貫した毅然とした態度 なぜそのようになったかを共に考え直視する
3、一喜一憂しすぎない 騒がない
4、1人で判断しない 専門医などに相談する
5、「私は・・・」で始まるメッセージで話す 常に一人称で事に当たる
6、家族で同じ対応を目指す みんながそのような行動をする
そして、いきなりゲーム機を取り上げるなどは、好ましくないとありました。
また、ゲーム以外に気を向けるような仕掛けなども効果的な場合があるとありました。
つまり、友達と一緒におしゃべりする、遊ぶ、家族で旅行などに行く、趣味を持つなど、
自分を取り戻す工夫をするということですね。
さらには、マイナス方向ですが、ゲームに費やす時間管理などをしてみるというのも
ありましたが、いずれも難しいことですね。
一方では、IOC(国際オリンピック委員会)は、2024年のパリ五輪からゲームの技術
を競う「eスポーツ」の正式競技を検討していることが報じられていましたが、今回の
WHOの決定を受けて早急に方向を決めるとしているそうです。
eスポーツ例
(ネット画像より)
先月6月17日には(CyberZとエイベックス・エンタテインメント)、国内最大級の eス
ポーツイベント『RAGE 2018 Summer』が幕張メッセで共同開催し、全イベント会場(西日
本予選と東日本予選も含む)の来場者数が 3万5000人を超え、また大会賞金総額が 2000
万円を突破したとの発表があるなど、既に加熱気味の現実もあるようです。
これまでも、アルコール、ギャンブル依存症なども聞かれていましたが、いずれも楽し
む範囲にとどめたいものです。