蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

生物の多様性  (bon)

2022-01-16 | 日々雑感、散策、旅行

 あまり興味の湧くタイトルではありませんが、大事なことなんです。
「生物多様性(Biological Diversity)」とは、『地球上の生命、その中には、ヒト
やトラやパンダ、イネやコムギ、大腸菌、さまざまなバクテリアまで、多様な姿の
生物が含まれていて、この生きものたちの命のつながりを、「生物多様性」と呼ば
れていますが、これらの生きものはどれも、自分一人、ただ一種だけで生きていく
ことはできないのです。多くの生命は他のたくさんの生物と直接かかわり、初めて
生きていくことができ、地球上の生きものたちは、全て直接的・間接的につながり
合い、壮大な生命の環を織り成しているのです。』

『「生物多様性」は、この地球という一つの環境そのものであり、そこに息づく生命
の全てを意味する言葉に他なりません。』(WWF:世界自然保護基金)


          (WWFロゴマーク)

 この地球上の環境は、あらゆる自然によって形作られ、その中には、動物、植物、
土など多くの要素が含まれており、普段食べている魚や貝、紙や建材などになる木
材、生きる上で欠かせない清浄な水や大気など、さまざまな資源がここから生み出
されているのです。

 この地球に生命が誕生した38億年前に光合成の植物が誕生し、やがてバクテリア
や動物では三葉虫などが生まれ、ようやく5億4千万年前のいわゆるカンブリア爆発
といわれる、一気に生物の多様化が進み、地球が生命に満ちた豊かな星になって来
たのです。

      生物の歴史
   

 しかし、これらの生物は、環境の変化などによって、それに対応できない種は滅
び、いわゆる絶滅に追いやられながら多様化が進展していますが、下図にあります
ように5億4千万年前からの顕生代で、少なくとも5回の生物の大量絶滅期があり、
その都度5000万~1億2~3000万年をかけて再び生物が多様化し繁殖して現代につな
がってきているのです。

  顕生代における生物多様性の推移(ネット画像より)
    

 

 1億年以上もの長い期間、地球を支配してきた恐竜が、6500万年前に直径10㎞の
小惑星が衝突した事で直接的な破壊の他、発生した火災と衝突時に巻き上げられた
塵埃が太陽の光を遮り、全地球規模の気温低下を引き起こし、植物などの食料が枯渇
したことが原因で絶滅に追いやられたとされています。恐竜だけでなく地球上の
3/4の生命が死滅したといわれています。

              

 現在までに名前がつけられている野生生物の数は、アフリカゾウからシロアリ、
さらに小さな藻類などの生きものまで含めて、生物の全種数は約212万8,000種ある
といわれていますが、未知の生物の種を含めると、1,000万種あるいはそれ以上だと
推定されています。かなり幅がありますが、このうちの0.01~0.1%が毎年絶滅し
ているといわれています。

 ここで問題なのは、現代に起きている種の絶滅、つまり生物多様性の喪失が過去
の大絶滅と決定的に違うのは、生物が絶滅するスピードが圧倒的に速い、という点
だというのです。その速さは、人間が関与しない状態で生物が絶滅する場合の、
1,000倍から1万倍になるといわれています。

 そして、その危機が急激に大きくなったのは、20世紀以降の100年間だというの
です。その原因は、自然環境の汚染と破壊、資源の過剰な利用、外来生物、地球温
暖化の4つがその主なものなのだそうです。いずれも人類によるものなんですね。

 IUCN(国際自然保護連合)は、絶滅のおそれのある野生生物をリストアップ
したレッドリストにより評価していますが、2021.10.1の時点で生物の全種数約212万
8,000種のうち約13万8,374種の絶滅危機を評価し、下表にある通り38,543種が絶滅
の危機に遭遇していると発表しています。つまり、調査対象の27%が深刻な絶滅に
遭遇しているのです。

     絶滅危機種(IUCNレッドリストより)  

 

 ここで、絶滅種の区分は以下のようになっています。

      絶滅種の区分表(WWF活動2020.12より)
   

 

 上の表で、一般的に「絶滅のおそれのある野生生物」とされているのは、特に絶滅
の危機が高いとされる、3つのカテゴリー(【CR】Critically Endangered、【EN】
Endangered、【VU】 Vulnerable)にランクされている野生生物です。

 生物区分別絶滅危機種(IUCN 2007年レッドリストより)
  

 いくつかの例を見てみますと、

・スマトラサイ(CR):生息域の熱帯林の開発。密猟、・オランウータン(CR):
農耕地や植林地の拡大等、・トラ(EN):農耕地や市街地の拡大に伴う生息環境の
開発。密猟、・アオウミガメ(EN):観光などによる産卵場所の海岸の開発。過剰
な捕獲や混獲。汚染。温暖化により生まれてくる仔ガメがメスばかりになる。
・二ホンウナギ(EN):過剰な漁獲。市街地やダムなどの開発等、ホッキョクグマ
(VU):地球温暖化

 また植物では、日本の環境省が発表しているレッドリストには約3000種の植物が
掲載されており、そのいくつかを挙げてみました。

イヌノフグリ、キキョウ、オニバス、アサザ、キンラン、ミズオオバコ、ミズアオイ、
チョウジソウ、ハマボウ、ヒゴタイ、クマガイソウ、サギソウ、ヤマシャクヤク、
オキナグサ、ムサシのキスゲ、カッコソウ、カノコユリ、キタダケソウ、カザグルマ、
セツブンソウ、タチスミレ、オミナエシ、セッコク、カキツバタ
などです。

 サギソウは、何度か栽培しましたし、チョウジソウはベランダにあり、キンラン、
ムサシのキスゲは府中の浅間山公園で観察しました。そのほか、カノコユリ、セツ
ブンソウ、オミナエシ、セッコクなどよく知る種もありますね。

              

「生物多様性=Biodiversity」という言葉は、1985年に2つの言葉「生物的な=
biological」と「多様性=diversity」を組み合わせて作られました。その背景に
あったのは、地球環境の未来に対する危機感からでした。

 20世紀後半から、世界の各地とりわけ自然が豊かに残っていた途上国地域を中心
に急激に進み始めた自然破壊が、「環境問題」を引き起こしてきたためで、世界中
でこのことに関心を深め取り組んで行こうとしているのです。
 また、2015年に発足した2030年目標のSDGsもその一環として具体的に実行して
行こうとしているのです。
 地球温暖化を低減するCOP活動もその具体的内容ですが、いずれも重要性は理解
されつつも実現の成果は極めて危ぶまれているのですね。

 いずれ人類がこの地球から自らの生命を無くしてしまうことに向かっているのです。

 WWFの記事にありました。
『人類は、自分が暮らすこの地球という星に、どれくらいの種数の生物が生きてい
るのか、ということよりも、宇宙にどれだけの星があるか、という事の方を、よほ
どよく知っている。』



記事内容とは関係がありませんが・・

「ジャニー・ギターJohnny Guitar」ペギー・リー、Peggy Lee

 

 

 

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