蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

不思議な日本語(21)  (bon)

2022-01-30 | 日々雑感、散策、旅行

 日が経つのは本当に速いです。 仕事もなく、毎日ぶらぶらしているのにどうし
てこんなに早く感じるのでしょうか!  1月往ぬる、2月逃げる、三月去る・・と
いわれるように、何かと行事などがあったりして忙しいから、とありますが、特段
忙しいこともないにもかかわらず、早く過ぎると感じるのです。

 新型コロナは、感染者が連日8万を超え過去最多を更新して異常を呈しており、
医療現場が逼迫して、その拡大スピードが速すぎるため対応が追い付かない状況に
なっているようです。一人一人が気を付けて感染しないことしかないようです。

 不思議な日本語も、21回目を数えました。 今回は、「やぶ」の付く言葉が3つ
出てきましたが、やぶにもそれぞれ意味があるのですね。

 

・やぶさか  いきなり「やぶさか」が出てきましたが、普通「やぶさかでない」と
否定の形で用いられますが、意味的には、決して否定ではなくむしろ控えめに肯定
しているんですね。「やぶさか」の漢字は、「吝か」で、文と口で構成されている
ように、「口先だけで、出し惜しみする」の意で、「物惜しみする」「ためらう」
「気乗りしない」となります。

 「やぶさかでない」は、それの否定形ですから、つまり反対の意味となり、奥ゆ
かしく「私で良ければやりましょう」「喜んでやりましょう」といっているのですね。
中には積極的にやりたくはないが、「しかたなく、やりましょう」といっていると
思っている人が4割以上もいたそうです。(平成25年世論調査で)

         (ネット画像より)

 

・やぶから棒 こちらのやぶは、草木が群がる「藪」で、その中は見えず何がいるか
わからない。 そんな藪から、棒を突き出されれば、それは驚きますよね。 藪か
ら棒は、「藪から棒を突き出す」の略で、「前触れなく唐突に事を起こすこと」の
意味ですね。

 江戸中期の浄瑠璃に、「藪から棒と申さうか 寝耳に水と申さうか」の例がある
そうです。

 英語では、“out of the blue” というそうです。 が、「思いがけない」に近
いかもしれませんね。このblueは空の意らしく、青天の霹靂 なんて・・。

 乃木坂46のヒット曲に out of the blue があるそうですね。

「藪から棒」の類語には「あに図らん」や「出し抜けに」、また「突として」や
「計らずも」などがあります。

 また、「藪から棒」と似たような表現に「藪から蛇」があります。  こちらは、
「やぶへび」で、「藪をつついて蛇を出す」つまり、良く見えない藪の中をつついて
蛇が出てきたことのたとえで「余計なことをして災難を招く」との意味ですね。

         (ネット画像より)

・やぶ医者  最後の「やぶ」は、漢字で書けば、藪医者となり、草木の繁るやぶ
の字ですが、上の「藪から棒」や「藪へび」とは、少々違った言葉のようです。
 藪医者とは、適切な診療能力や治療能力を持たない医師を指す俗称・蔑称で、ここ
での「やぶ」は、「野巫」(やぶ)からの説があり、「野巫」(やぶ)とは、田舎
に住んで、占い、呪術、まじないや悪霊祓いなどを職業とする霊能者のことで、
「ただ一つの術」しかわかっていない「医者」を指している。 
 また、「養父」(やぶ)とする説もありました。もともと但馬の国(現、兵庫県
養父市)に住んでいた評判の名医を指して呼ばれていたが、その名声を悪用して
「養父医者の弟子」を騙る者が現れて「養父医者」の評判が悪くなり、「藪医者」に
変化したのではないかというのです。

 もっとも、「やぶへび」と同じ、草木の繁る藪とする説もあり、こちらは、「藪
のように見通しがきかない」医者という意味なんですね。 そして、藪以下の全く
見通しのきかない未熟な医者を「土手医者」と呼んだり、さらに藪医者以下のひどい
医者のことを、「やぶ医者にも至らない」「藪にも至らない」という意味を込めて
「筍(たけのこ)医者」と呼ぶこともあるとありました。(ウイキペディア)

 藪医者を人名になぞらえて、「藪井竹庵」(やぶい ちくあん)という医者から
だという話は、落語に登場してきますね。

 ついでに、「やぶ入り」は藪の深い田舎に帰る、実家に帰る「宿入り」が変化した
などの説があるそうです。 また、「やぶそば」とは、甘皮をとらずにひいた蕎麦粉
でつくった、淡緑色の蕎麦。また、そういう蕎麦を使うそば屋の屋号 とありました。 

 

・まぶす 粉などを表面全体にまんべんなくつけること。「きなこをまぶす」など
といい、漢字で書けば、「塗す」で、ちょっと読めませんでした。 この言葉は、
特段不思議でも何でもなく、「塗る」から来ていると考えられます。

 で、塗を含む言葉や熟語を挙げてみますと、
・糊塗:その場だけ取り繕うこと、一時しのぎ
・下塗り:建築や彫刻などで上塗りする前に土台となるものに塗ること
・血まみれ、血塗れ:身体や物が一面血に染まること 血みどろ
・塗装:ペンキなどの塗料を塗ったり吹き付けたりすること

 チョット飛びますが、「ひつまぶし」というおいしい食べ物があります。 粋な
言葉にも聞こえますが、うなぎの蒲焼を細かく刻んでご飯に塗した料理ですね。名
古屋名物だそうです。 これは、お櫃の中で塗すので、この名前が付いたそうで
「櫃まぶし」もしくは「櫃塗し」となりますが、普通ひらがなで「ひつまぶし」と
いわれています。

          (ネット画像より)

 食べ方は、「お櫃から茶碗に取り分けて、一杯目はそのまま、二杯目にネギや
わさびなどの薬味をのせ、三杯目にお茶もしくは出汁をかける」食べ方が一般的だ
とありました。

 明治時代からあるそうですが「ひつまぶし」は1987年に「あつた蓬莱軒」が商標
登録しているそうです。

・四六時中 「一日中ずっと」「いつも」という意味ですが、なぜ四六なんでしょうか?

 これは、昔 一日を昼、夜をそれぞれ六刻に分けて、一日を十二刻としたところ
から、一日中を「二六時中」といっていたのです。それが、現在一日が24時間制と
なり、四六時中という言葉になったそうです。つまり、2×6=12時間 が4×6=24
時間を表す言葉として使われたのです。 どこか分かったような分からないような
感じもしますが、このようなんですね。

『四六時中、スマホをいじってばかりいて親に叱られた』
『彼は四六時中、お腹を空かせてばかりいる』

 「四六」や「二六」のように、掛け算を使って数字を表すことはほかにもあった
ようです。16 を表すのに「二八」や18を表すのに「二九」を用いて、『年のほど
二八ばかりなる女の・・』などと言ったり、「四十九日」を「七七日(なななぬか)」
とするなどがあります。

 四六時中の類語にはたくさんあって、一日中、一昼夜、全日、日がな一日、ひね
もす、始終、しょっちゅう、常時、のべつ・・いろいろありますね。

       “おひつご飯四六時中”(チェーン店)
          (同HPより)

 

 

 

The Second Waltz - Dmitri Shostakovich, André Rieu

 

 

 

コメント (2)
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