蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

不思議な日本語(44) (bon)

2023-12-28 | 日々雑感、散策、旅行

  2023年も余すところ僅かとなりました。 冬至が過ぎたあたりから冬らしく寒く
なり、日本海側では大雪に見舞われて、早くも交通に支障が出ています。大みそか
は雨模様とか荒れたお天気だと報じられています。

 さて、不思議な日本語も今年最後となりました。 お買い物や掃除など忙しい
ところですが、ちょっと手を休めてどうぞお立ちよりください。 いつもの通り
順不同で思いつくままに並んでいます。

 ・こころもち デジタル大辞泉には、〖1〗[名] 心の持ち方。心がけ。気
だて。「心持ちのよい、素直な娘」  感じていることや思っていること。気持ち。
気分。「子を持って、親の心持ちがわかった」「一杯の酒で好い心持ちになる」 
〖2〗[副]程度がごくわずかであるさま。ちょっと。ほんの少し。「心持ちあご
を引いてください」

とあります。 ここで、取り上げましたのは、〖2〗の「ほんの少し」「ちょっと」
という意味が、どうして生まれたのか不思議に思ったからでした。

 結果的に、なぜそのような意味になったかを調べることができませんでした。
が、推測ですが、量的にはごくわずか(少し)だが、心を込めたものである・・
という意味合いを含めた言い方であるのではないでしょうか。心ばかりの~との
誠意を込めた言い方ではないか。

 「少し」というような意味では「心持ち」のほかに、「気持ち」と言うことも
あります。「気持ち上乗せしておきました。」「気持ち下げていただきますか。」
などといますが、「気持ち」と「心持ち」ではどう違うのでしょうか?

 広辞苑に次のようにあるそうです。 気持ち=そうだと思えばそう感ぜられるほど
わずかに。ほんのちょっと。幾分。 「気持ち短めに切ってください。」 心持ち
=そうだと思えばそう感じられるくらい。ほんの少し。やや。 「心持ち大きめに
書く。」 「気は心」とも言います。 額や量は少ないけれども、真心をこめている
という意味合いを含んで、贈り物をするときなどに言われますね。「—ですから、
少しだけ値引きします」

 でも何だかどちらも同じように感じますね。強いて言うならば、「気」は意識の
面から、「心」は感情の面から発せられる言葉であるのかもしれません。

・気ごころ goo辞書には、その人が本来もっている性質や考え方。「—が通じる
間柄」「—の知れた仲間」 とありました。

 これは、「気」と「心」が一つになった言葉で、直前に述べたように考えること
はできません。むしろ、「気心」は「気」も「心」もという意味で、「その人となり
を」丸ごと言い表しているのではないか? そんな風に思います。

 気心を「気心」とすると、前の言葉で述べたように、「ほんの少し」になって
しまいます。

  気が気でありませんが、もう一度「気」と「心」をふりかえりますと、次のよう
にありました。

 「」①くうき。すいじょうき。「気化」「気体」「大気」 ②天地間に生じる
自然現象。また、一年を二四に分けた一期間。「気候」「気象」「磁気」 ③いき。
呼吸。「気管」「気息」「呼気」 ④ようす。けはい。おもむき。「気運」「気品」
「景気」 ⑤におい。「香気」「臭気」 ⑥心のはたらき。意識。性質。「気力」
「気分」「短気」

ここでは、⑥の意味で使われています。

」①こころ。きもち。精神。「心情」「感心」⇔身・体 ②五臓の一つ。心臓。
「心音」「心筋」 ③まんなか。だいじな部分。かなめ。「心棒」「核心」

 ここでは①の意味でしょうね。

       こんなお酒がありました。
        (ふじきや酒店より)

 そこで、またまた似た言葉の違いを引用してみました。「気遣い」と「心遣い」
です。

  • 気遣い 「あれこれと気を使うこと」「よくないことが起こるおそれ。懸念」
    で。「お気遣い」の意味として相応しいのは前者の方です。「使う」には
    「頭脳・神経などを働かせる」という意味があることから、「気遣い」は
    「神経を使って相手に何かをしたり、発言したりすること」を言います。
  • 心遣い 「あれこれと気を配ること。心配り。配慮」「祝儀。心付け(贈答品
    やご祝儀など)」です。前者の意味は「気遣い」と非常に類似していますが、
    「心遣い」には「心配り」という意味があることから、「心から相手のこと
    を思いやって、何かをしたり発言したりすること」という意味になります。

「お気遣い」は一定のマナーやマニュアルの範疇にある言動であるのに対し、「お心
遣い」はその範疇を超えた言動と言える・・とありました。 難しいですね。


 ・しゃかりき  日本語不思議辞典には、「しゃかりきに働く」など、「しゃ
かりき」は必死になって仕事などに取り組んでいる様子を言い、漢字をあてると
「釈迦力」で、「お釈迦様が人々のために力を尽くす様子」から生じた言葉だと
言われています。しかし、古い出典があまりなく、必死になって頑張るような
「しゃかりき」のイメージは、お釈迦様のゆったりしたイメージとは合わないよう
な感じもあるといっています。

 一生懸命に努力した末の到達点を、仏教の開祖であり菩提樹の木の下で悟りを
開いた釈迦にあやかってこのように表現したという。 これと似た言葉に「ガムシャ
ラ」があるが、意味合いは違う。

 また、「おしゃかになる」という言葉があります。「製品としてだめになる=
死ぬ」ことから「オシャカになる」が成立したと考えられます。「お陀仏になる」
という類義表現もあります。

 「オシャカになる」は江戸時代の文献には見えないそうで、近代の工場で生ま
れた言葉であるようだとあります。

 「しゃかりき」は、もっと新しいことばだとあります。終戦前に使われていた
という証言もあるようですが、確かな例は戦後のものばかりで、戦後に広まった
俗語のようで、ますます仏教用語とは縁遠いとの見方もありました。
 語形から意味の捉えにくい言葉は、擬音(オノマトペ)ではないかと考える余地
があり、かりに「シャカリキ」が擬音だとすると、その成り立ちは、「シャカ+
リキ」か「シャカリ+キ」かのどちらかですが、仕事や勉強を「シャカシャカ、
シャカリ」と一生懸命やるイメージがあるとすれば、その可能性もあるかもしれ
ませんが、決定打ではないようです。 不思議な言葉ですね。

 ・Gメン  ウイキペディアに、『公務員 - 英語圏における俗称。ガバメント・
マン(Government Man=政府の役人)の略。単数形がG-man、複数形でG-men。』
とありました。
 これから転じて、特別捜査官との用法があり、アメリカの法執行機関における、
犯罪捜査・令状執行の権限を与えられた職員。特に連邦捜査局 (FBI)特別捜査官
の俗称とありました。

また、日本では下記の通称があります。

 特別司法警察職員―麻薬Gメン、労働基準監督官(労働Gメン)など、警察官では
ないが、特定の法律違反について刑事訴訟法に基づく犯罪捜査を行う権限が特別に
与えられた一部の公務員・非公務員。

・万引きGメン - 商店で万引きを取り締まる警備員。

・下請けGメン- 中小企業庁の取引調査員。

         Gメン75
         (ITmediaより)  

 

・しなやか  goo辞書に、1弾力 があってよくしなうさま。「—な足腰」「—な枝」
2 動きやようすがなめらかで柔らかなさま。「—な身のこなし」「—な革」 3姿態 
などがなよなよして上品なさま。たおやかなさま。 とあります。 漢字で書くと
「撓やか」で、「しなやか」は「しなる」を語源とし「柔らかくて強い」ことを
表す言葉であるとともに、「すらりとして上品」と「しとやかで美しい」人を肯定
的に表現する言葉でもあるとありました。

 内閣府男女共同参画局のページに面白い記事が掲載されていました。全文は省略
しますが、その要点は次のようにありました。

 『最初の質問にもどります。トップ・アスリート、トップ・ミュージシャン、
そして絵本が好きな男たちの共通するキーワードは何でしょう?  答えは「しな
やか」です。 トップ・アスリートたちは筋力をつけるとともに、柔軟でしなやか
な身体をつくり上げます。 トップ・ミュージシャンはしなやかな演奏技術を身に
つけます。 そして絵本が好きな男たちは、しなやかな発想で展開される物語を
楽しむことができます。
 しなやかであることが、アスリートやミュージシャンの力を引き出すように、
男らしさの縛りを解きほぐし、「しなやかな男」になることは、活力の回復を促し、
自分を元気にします。それは柔軟な人間関係を築き、ひいては穏やかで生きやすい
社会生活へと結びついていきます。』

 内閣府が何を言いたいのでしょうか?

         (コトバの意味辞典より)

 

 どうも、年内最後の不思議な日本語にしては、結論的なことがなく、今一つ締ま
りがない内容で年を越すことになりました。 2020年5月から始まった、この連載
テーマも、今回で、合計220語を数えることになりました。エクセルで分類しました
ところ、残念ながら8語にダブりがありました。「あわよくば」は1回と27回、
「ろくでなし」が3と14、「かりそめ」が2と9といった具合で、トリプルはさすがに
ありませんでしたが、やはりミスを重ねておりました。

 

 

 

 

Juliette Gréco - Sous le ciel de Paris ( 1951 )

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (samgirly)
2023-12-28 10:20:16
今回も興味深い内容で大変面白かったです。
「気心」、「気は心」、「気が気じゃない」…もう頭の中がぐちゃぐちゃになりそうですね(笑)
返信する
コメントありがとうございます。 (bon)
2023-12-28 18:30:43
samgirlyさん、気とか心は極めて身近というか、もう自分の中のこと
でもありますが、意外と抽象的で、いざ・・となると難しい言葉ですね。
気散じ・・きさんじ は、気晴らしとか、気楽、のんき などの意味がありますが、
子どもがおとなしく遊んでいる様子を指して「気散じやねぇ」などと
いいますね。
「心あてに折らばや折らん初霜の・・」凡河内躬恒の歌の「心あてに」は、
あてずっぽうに との意味だそうです。
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