蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

ウイルスについて  (bon)

2021-08-04 | 日々雑感、散策、旅行

    昨日(8/3)朝のNHKテレビのインタビューで、レスリング(グレコローマンスタイル)で、
    銀メダルに輝いた 文田健一郎選手の思いが語られていて、その中で『今回のオリンピックは
    これまでの大会とは違っていて、スポーツ界の人達だけでなくそれ以外の多くの人達によって
    支えられている‥そんな大会に出場できた・・』にハッと画面を見直しました。こういう捉え
    方をしている選手もいるのでした。 いよいよ東京大会も佳境に入ってきました。 昨夜の
    サッカーは残念でした。

 

 長引く新型コロナウイルスは、社会を混乱に陥れ、ここに来て、感染者がまたまた
急拡大し過去最高値を更新して不気味さを露にしています。
 ウイルスは、地球上に30億年前に出現していながら、ようやく19世紀末に牛の
口蹄疫とタバコの葉のモザイク病から初めて発見され、それ以来ウイルスは動物や
植物に病気を起こすことで検出されてきました。 これまで、主なものではエボラ
ウイルス、エイズウイルス、ポリオ、インフルエンザ、天然痘など世界で怖れられ
たウイルスがあります。 が、これらのウイルスはウイルス全体から見ればほんの
一部であるそうです。

      新型コロナウイルス
        (ネット画像より)

 ウイルスは、このような恐ろしい病気ばかりでなく、有益な役割を果たしている
ものもあり、たとえば、女性の胎盤で胎児を保護する役割を果したり、海洋におい
ては微細藻類に感染し生物の多様性に貢献しているそうです。 ウイルスは30億年
前に出現しあらゆる生物に寄生し、その総量は10の31乗という膨大な量の推定もあり、
地球上最大の多様性を持つ生命体だというのです。

 手元の会報の「ウイルスの存在する意味」(山内一也氏、東京大名誉教授)との
記事からウイルスについて改めて概観してみたいと思いました。

 ウイルスは自らの遺伝情報としてDNAまたはRNAを持っていますが、生物の細胞が
持っている代謝機能がありませんので生物ではないのです。 しかし、近年、代謝
機能にかかわる遺伝子を持つものも見つかってきているところから生物ともみなさ
れてきたとあります。

     感染と複製のメカニズム
      (ネット画像より)

 ウイルスは細胞のように自らが生きることはできず、他の生物(宿主)に寄生し
て子孫を継続増殖する生存戦略をとっています。 したがって、宿主が死ねばウイ
ルスも存続できないため、最も安全な生存戦略として宿主と平和共存しているのです。

 人類はウイルスよりもはるか後年(20万年前)に地球上に出現していますから、
それまでは野生動物等に存在していたウイルスがヒトとの間で受け継がれて、いろ
いろと変異しながらヒトの間だけでも存在するようになってきたのです。
 ヒト・ウイルスは常に症状を発するというのではなく、冬眠状態で潜伏するという
巧妙な戦略を持つものもあり、たとえばヘルペスウイルスは、4億年も前から存在
していて生物の進化と共に受け継がれていて、高い感染力、潜伏、再発という生存
戦略をとっています。
 代表的な水痘ウイルスは空気感染で子供の間で広がり、神経細胞に潜伏するのです。
病気から回復しても、ウイルスは神経細胞に潜伏し冬眠していて、ストレスや免疫
低下が起きると目覚めて皮膚に潰瘍病変を作るのです。これが帯状疱疹です。
 また、エイズの原因であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)はもともとサルからヒト
に感染して,ヒト・ウイルスに進化したもので、ヒト遺伝子の中に紛れ込み、効果
的な薬剤でエイズの発症は抑制されても染色体内に潜むウイルスには薬剤の効果は
なくHIVは生き続けるのです。したがって、エイズ患者は減少してもHIV保有者は増
え続けているのです。

 共生に失敗したウイルスの代表例は、天然痘ウイルスです。感染した人は死亡、
もしくは終生免疫が確保されるため、ウイルスは絶えず免疫のない人に感染し続け
なければならないのです。 ワクチンによって、ヒトの間の伝搬が阻止された結果、
1980年に根絶されたのです。

            

 自然界にいる野生動物の間では、ウイルスは接触感染だけで存続するのは容易で
はなく、蚊やダニなどの昆虫によって媒介されます。 今や世界の人口は78億人に
達し、家畜も増加し、人間と家畜は地球の哺乳類の大半を占めるようになり、この
ための食糧需要増大などから森林伐採、農地開発などによって野生動物の生息域は
激減し、その結果野生動物と共生してきたウイルスの生態に変化が起き、人間社会
と家畜(特に豚)の間に広まってきているのです。ジカウイルスやアフリカ豚ウイ
ルスなどがその代表例だそうです。

 蚊やダニなど昆虫媒介でないウイルスは、コウモリ由来のウイルスです。コウモリ
は飛翔できる唯一の哺乳類で、数百キロも移動でき、大集団で生息するため昆虫に
頼らずとも容易に存続できるからです。 
 このコウモリ由来ウイルスの代表的な例は、1万年前からコウモリと共に共進化
してきたコロナウイルスです。 人間社会に広がったコロナウイルスは、2003年
に発生したSARSや2008年のMERS、そして2019年のCOVID-19(新型コロナウイルス)
でパンデミックを起こし今なお感染拡大しています。
 コウモリから豚に広がったコロナウイルスは、1950年代から発生している伝染性
胃腸炎ウイルス、1970年代にヨーロッパで発生し、2013年にはアメリカだけで800万
頭もの豚が死亡したウイルス、さらにはその後中国でも発生しているウイルスがあ
ります。

 山内氏の記事の末尾には次のように締めくくられています。『ウイルスは単に、
自己を複製する利己的存在である。たまたまヒトや豚に飛び移って、グローバル化
した現代社会という広大な増殖の場を見出しているに過ぎない。人間が野生動物の
ウイルスを招き入れているのである』と。

            

 このように見てきますと、ウイルスというのは、人間社会でこの先まだまだ発生
する機会が想定され、しかも、それは、常に新種を含んでいる可能性が高く、どの
ような感染力かも不明であり、もちろんワクチンなどはない・・そのような危機が
いつやってくるかも全く予測がつかないのです。

 

 

本文と関係ありませんが、久しぶりにタンゴで・・

碧 空 BLAUER HIMMEL アルフレッド・ハウゼ楽団 UPG‐0141

 

 

 

コメント
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