牛込・神楽坂 酒問屋 升本総本店の別館「涵清閣」 主人が語る

三世紀に亘り問屋を営む升本総本店の徒然を毎日更新!!商品情報からビアガーデン・試飲等イベント情報、酒文化経済・書評等々!

一歩間違えると思い込み記事に!「被災地で飲酒量が増大」@毎日新聞

2017-12-25 12:00:21 | 附属酒類経済研究所
                           
                           【公式HPはこちら↑】




あ、捨ててしまった。。。。。


週末、気になる記事を見ました。
確か土曜日の毎日新聞。


ネタにしようと思って新聞入れを見てみたのですが、毎週のルーチン「日曜日に一週間分の新聞(と空き缶・空き瓶)を捨てる」により捨ててしまったので、ネット上で探した。


あった




飲酒量が急増 死別や将来不安が引き金か



比較的長めの記事なのですが、資料としての保管も念頭に、全文を引いてみましょう。
(最初の段落が要旨になっています)


2011年3月の東日本大震災以降、岩手、宮城、福島の被災3県で成人1人当たりのアルコール消費量が急増していることが国税庁の調べで分かった。津波の被災地や住民の避難先では、身近な人との死別や将来への不安が引き金となった飲酒による健康障害や自殺が深刻化。増加が目立つ岩手県は、依存状態の把握やケアの充実を図る独自計画の策定を決め、宮城、福島両県も策定を検討している。

(この後の赤字の部分は読み飛ばして結構です)

国税庁が公表した最新の都道府県別1人当たりの「酒類消費量」によると、被災3県とも10年度は全国平均(81.8リットル)を下回っており、岩手81.4リットル、宮城68.5リットル、福島65リットルだった。

ところが11年度以降、全国平均は横ばい状態なのに対し、3県は増加傾向。15年度は岩手90リットルと10年度より10リットル近くも増え、宮城84.2リットル、福島81.7リットルも全国平均(81.6リットル)を上回った。都道府県別順位では、10年度と15年度で岩手13位→8位▽宮城39位→12位▽福島44位→16位と上昇している。

震災と飲酒量増加との因果関係は科学的に解明されていないが、消費量が急増した岩手県は、災害によって被災地での飲酒量や依存症患者の増加を懸念。14年施行のアルコール健康障害対策基本法に基づき、今年度内に策定する県の対策計画に「被災者への配慮」を盛り込むことを決めた。

計画案には「復興までの長い年月でのさまざまな環境の変化に伴うストレスの発生や加重が、アルコール健康障害につながらないよう、こころのケア対策と連携して対策に取り組む」と明記。仮設住宅や災害公営住宅などでの見守り活動の中で、住民の飲酒や健康状態を把握し、依存症の疑いがある人や肝機能に問題がある人に専門医を紹介したり、支援団体につないだりするという。

宮城、福島両県も飲酒による健康被害を防ぐ計画を検討。福島県は「被災地とアルコール問題は切り離せない」(障がい福祉課)とし、宮城県も「沿岸部でのアルコール問題は対策が急務」(障害福祉課)としている。

依存症の患者らを支える岩手県断酒連合会の竹中保夫事務局長は「被災地の人々は、悲しみや苦しみから逃れようとお酒に頼りがち。被災者支援事業の終了で経済的に困窮したり、将来不安もあったりして、依存がさらに増える恐れがある」と指摘する。【佐藤慶】


グラフもあります。



試験問題的に要約すると、

①「東日本大震災以降、岩手、宮城、福島の被災3県で成人1人当たりのアルコール消費量が増えている」という事実

②増加要因の仮説としての「被災によるストレス等による影響」

③「ケア対策が必要」という提言


というもの。

確かに、オリンピック景気?など、バブル期を思わせる活況を呈している東京とは裏腹に、復興半ばにも係わらず「忘れられた」感もある被災地の未だ癒えぬ悲しみ・苦しみはいかばかりと思います。

そこからの逃避としてアルコールを飲む量が増えているとしたら、これjは深刻な問題ですし、この記事は「被災地を忘れるな」というメッセージ、なのかもしれません。
(毎日新聞の常としての署名記事ですね。「佐藤慶」さんです)


ただ、これまでにも何度か書きましたが、この国税庁のデータは注意が必要。

と、いうのも、各都道府県の酒類販売業者が販売したお酒の総量を、その都道府県ごとに成人の人口で割った数値。
毎日新聞の記事にも最後に注としてついていますが、「繁華街が多い東京都は、都外からの通勤者らも都内で飲酒するケースが多く、1人当たりの消費量が極端に多い」と、本当に飲んだ量とは必ずしも言えません。

上にもあるように、通勤者の多い東京都は多いし、観光客が多い京都なども多くなっています。

被災地の場合も、復旧事業等で来ている人たちによる消費もカウントされていることになります。

実際、「被災地でパチンコが大盛況」という話があって、帝国データバンクの調査によると、2012年度の前年比の伸び率は8.9%という数字のようで、それはそれで事実のよう。

ただ、2013年度は2012年度比1.7%減と頭打ち。そしてその理由として、帝国データバンクでは「復興の進展で建設作業員が減ったことなど」を挙げています。



このパチンコの例から見ても、復興事業に伴う人口流入の影響が存在するのは事実でしょう。

確かに、それらを考慮してもストレス等による飲酒量の増大があるのかもしれませんが、それにはデータの検証が必要。

「思い込み記事」になってしまいますよ。
(というか、タイトルの付け方が強引ですね)





★★お酒に関する諸事万端のご相談を承っております(商品企画/情報提供/寄稿等)★★

★★★★酒・ブログランキングにエントリーしています★★★★
応援何卒よろしくお願い致します

応援のクリックを↑↑↑↑↑

【アルバイト・契約社員募集中!】
(1)飲食部門(フロアスタッフ兼新規開店企画)
(2)酒類営業部門(倉庫管理兼営業企画)
(3)酒類営業部門(通販管理)
日時・時間はご相談。正社員登用もあり。男女問いません。詳細は当社HPまで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする