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今朝の日経「春秋」です。
一升瓶の酒をコップにトクトクトクとついでもらい、立ったまま、近所のオヤジがキューっと一杯。肴はあぶったイカ……も出せないから棚にあるイワシ缶など開けて、あとは乾き物くらいだったろう。その昔、夕暮れどきになると横町の酒屋の店先でよく見た光景だ。
▼「角打ち」などと呼ばれる、こういう立ち飲みが昨今めっきり減った。というよりそんな商売が似合う酒屋そのものが少なくなった。買うのは町の酒販店より安いスーパーや量販店、あるいはネット通販という時代なのだ。それが世の中の流れだと思っていたら、自民党の先生方はどうしても往年の風情を取り戻したいらしい。▼安売りをやめさせるために新たな基準をつくり、守らない業者の名を公表したり、、、、、、、
先般、ウチの記事でも日経さんでも「ふーん」と流した感じの安売り規制。ここに来て「反対!」という声を挙げてきました。
これは何かあるのかなか?と少しググってみると、各紙が主張を!
読売新聞では4/26の社説で
酒の安売り規制 消費者の利益を損なわないか
2015年04月26日 01時24分
酒の安売りを規制するため、自民党は酒税法などの改正案を今国会に提出する方針だ。
財務相が、酒類販売の「公正な取引基準」を新たに定め、業者が従わない場合には、販売免許を取り消せるようにする。
量販店などの安売りから、「街の酒屋さん」を保護する狙いという。だが、免許取り消しを恐れ、経営努力による適正な値引きまでしなくなる懸念は拭えない。
過剰な規制強化で、消費者の利益が損なわれないだろうか。慎重に見極める必要がある。
酒の販売は、1990年代以降の規制緩和で大手スーパーや量販店などの参入が相次ぎ、競争が激化した。一般の酒店はこの20年でほぼ半減し、全国で約5万5000店になっている。
追い込まれた中小販売店の組合などが安売り規制の強化を求め、自民党が議員立法で対抗措置を講じることになった。
新しい取引基準の詳細は決まっていないが、原価を下回る安値販売などを禁じ、これを守らない業者名の公表、罰金、免許取り消しへと、段階的に重い処分を科す内容になりそうだ。
もちろん、採算を度外視した安値攻勢で大手業者が周辺の酒店を廃業に追い込むといった、不当な販売は看過できない。
ただ、こうした不当廉売については、独占禁止法に基づいて公正取引委員会が摘発する仕組みがある。国税庁も2006年に策定した取引指針で、公取委との連携強化などを打ち出している。
まずは、既存の制度をしっかり機能させることが重要だ。
量販店などの攻勢を受けているのは酒店だけではない。なぜ、酒に限って独禁法とは別の廉売規制が必要なのか。筋の通った説明がなければ、酒以外の小売店や消費者はとても納得できまい。
酒店は、コンビニやネットスーパーなどとの競争でも劣勢に立たされている。求められるのは、大型店にない個性的な品ぞろえなどの創意工夫だ。法律で量販店などの安売りを制限しても、業績改善の効果は限られよう。
新たな安売り規制は、自民党などが昨年に議員立法で実施したタクシー業界の参入規制強化と同様に、競争制限的な政策だ。
規制緩和を推進して民間の自由な競争を促し、経済活性化を目指すことが「アベノミクス」の本筋と言える。自民党は、安易な業者保護政策に走り、成長戦略の路線を踏み外してはならない。
その前日の4/25には、中日新聞も社説で反対表明、です。
酒安売り規制 晩酌の楽しみに影が…
消費税増税で家計が苦しいのに、酒の安売りを規制する法案を自民党が今国会に提出する。量販店などに押される街の酒屋を守るためという。消費者利益を重視してきた規制緩和の流れに逆行する。
まずは、安売りをやめなければ酒の販売免許を取り消すというやり方に驚く。放送免許をかざして民放やNHKを威圧したのと同じだ。「不当廉売」というなら独占禁止法が対応すべき話である。
酒安売りをめぐっては国税庁が二〇〇六年に取引指針をつくり指導してきた。だが、罰則規定がなく指針違反が続いているため、酒屋の組合が自民党議員らに働きかけたのがきっかけだ。
法案の柱は、酒税法を改正して財務相が新たに「公正な取引基準」を定め、従わない業者に対しては免許を取り消すことができるとした。今国会で成立、一年以内の施行を目指すという。今後決まる取引基準によっては酒を安く買う機会が奪われかねない。
問題を多々抱えた法案である。まず、なぜ酒屋だけ助けるのか。苦しいのは街の精肉店や鮮魚店なども同じである。かつて酒屋の免許を取得できたのは地元名士で、今も自民党の有力支持者が多い。この疑問への説明は欠かせない。
そもそも安売り規制を強化したところで街の酒屋救済につながるのかという根本問題もある。大量仕入れするディスカウント店やスーパー、ネット通販などは確かに価格は安いが、消費者の支持理由はそれだけではない。
購買行動が大きく変化しているのである。酒屋で買うより、量販店でほかの買い物と一緒に求めたり、深夜でも買えるコンビニ利用が増えた。安売りを禁じても、量販店の豊富な品ぞろえやコンビニの二十四時間営業の便利さに対抗できるかだ。結局は消費者をつかむ創意工夫次第ではないか。
こうした消費者の利便性向上は、とりもなおさず規制緩和がもたらしたものだ。かつて酒屋を出店するには、一定規模の地域人口や、既存の販売店から一定の距離をおくなどの規制があった。一九九〇年代から段階的に規制が緩和された結果、量販店やスーパー、コンビニが参入した。今回の改正案は一連の流れに逆行するものだ。
酒税法に手を付けるのなら先にやるべきことがある。例えば半世紀以上前、舶来の高級酒とされたビールは高い税率が課されたが、いまだにそのままだ。「いびつな税」を時代に合わせ直すべきだ
◆
朝日新聞も4/24付けでこんな記事を:
酒の安売り規制、自民法案準備 「まちの酒店」働きかけ
酒の安売りが行き過ぎないように規制する法案を、自民党が準備している。大手スーパーなどの安値攻勢を受けた「まちの酒店」が、歯止めをかけるようにと働きかけたことがきっかけだ。本来は市場が決める価格に踏み込み、規制を強めれば、消費者が安く買う機会を奪いかねない。困惑も広がる。
規制案では「公正な取引の基準」を財務相が定め、従わない場合、販売免許を取り消すこともできる。自民党は24日の総務会を経て議員立法で酒税法などの改正案を提出し、今国会での成立をめざす。公明党にも賛成を働きかけている。
規制を強く求めたのは、中小の酒店でつくる政治団体「全国小売酒販政治連盟」(酒政連)だ。水口尚人政策部長は「公正な取引の土壌が整って、初めて店の創意工夫が生きる」という。採算を無視した不当な安売りは独占禁止法が禁じているが、「公正取引委員会の注意にも是正しない業者が多い」との声がある。
酒の販売に対する参入規制は、1998年に段階的な廃止が決まった。酒政連は国会議員への働きかけを強め、相次いで献金もした。2003年に自由化を一部凍結する時限立法が成立しても価格競争は変わらず、コンビニへの事業転換もあり、「まちの酒店」である一般酒販店の割合は半減した。
酒政連の資金力は落ちたが、政権交代後の13年から政治家への働きかけを再び強める。酒政連と同大阪府支部の13年の政治資金収支報告書によると、自民党の議連「街の酒屋さんを守る国会議員の会」会長の田中和徳衆院議員が代表の自民党支部に計20万円、事務局次長の有村治子女性活躍相の後援会に10万円を献金した。
酒政連の水口氏は献金を「お手数をかけていることへの気持ち」といい、田中氏は「(献金と法案は)全く関係ない。仕入れ価格を割るような違法状態を憂えている」と語る。
青山学院大の三木義一教授(税法)は「工夫を怠り免許で守られようとする発想が、業界の改革を遅らせた。自民党も票集めのため業界を使おうとしているようにみえる」と批判する。
なるほど、この法律が国会に出ることが決まったのが24日の自民党の総務会だったんですね。それでそれ以降、立て続けに出ているわけ
だ。
後段で「献金」でまとめているのは朝日らしいかも。
◆
ただ、反対の声はもっと前から。
産経ニュースでは「主張」として4/19に。
酒の安売り規制 消費者の利益を損なうな
自民党が酒の安売りを規制するため、酒税法などの改正法案を今国会に提出することを決めた。酒類販売で適正な基準を決め、従わない業者には、販売免許の取り消しもできるようにする。
量販店などによる安売り競争から小規模な酒販店を保護するのが目的だというが、あまりに問題が多い法案だ。不当廉売は独占禁止法でも禁じられており、酒販店だけを保護の対象とするような新たな規制は公平とはいえまい。
不当な安売りか、あるいは経営努力による適正な値引きなのかの判断も難しい。規制で安売りがなくなり店頭価格が上がれば、消費者の利益を損なうことにもなるだけに慎重な対応を求めたい。
自民党部会などによると、仕入れ原価や製造コストを下回るような安値販売を禁止する取引基準を設ける。それを守らない業者名を公表し、それでも従わない場合には罰金や免許取り消しを科す。議員立法で今国会中に成立させ、1年以内に施行するという
酒類販売をめぐっては、規制緩和で大手スーパーやディスカウント店などが相次いで参入し、一部では安売りが加速している。こうした競争も響いて一般の酒販店数は、約5万5千店とこの20年で半分近くにまで減少している。
自民党は、一般酒販店の急減は地域経済に与える影響が大きく、円滑な酒税徴収にも支障が生じる恐れがあるとみている。国税庁も過度な安売りをしないように指針を設けて指導してきたが、自民党は酒販店側の要請を受け、法規制として導入することにした。
確かに行き過ぎた価格競争には問題が多い。他の業者を排除するため、仕入れ原価を下回るような不当廉売は独禁法も明確に禁じている。酒類販売でもそうした違法事例がみつかれば、まずは公正取引委員会が中心となって取り締まるのが筋だろう。
新たな安売り規制の導入は、大手スーパーなどが経営努力による値引きに対し消極的姿勢になる事態も懸念される。店頭価格が上がり、消費者の「酒離れ」を招くようでは元も子もない。
タクシー業界の台数規制を議員立法で導入するなど、最近では政府が成長戦略で進める規制緩和と逆行する動きも目立つ。規制改革を通じた市場の活性化が、民需主導の景気回復につながる早道であることを忘れてはならない
◆
「日刊ゲンダイ」では4/15に記事になっていました。これも斜に構え系。
庶民イジメの「安売り禁止法案」自民が“町の酒屋”を守る理由
自民党が今国会に提出する「酒の安売り禁止法案」が成立前から悪評ふんぷんだ。きのう(14日)の財務金融部会で承認された、「酒類の製造や販売に関する取引基準を法制化する酒税法の改正案」だ。命令に従わないと、業者は免許取り消しなどの厳しいペナルティーを受ける。この法案が成立したら、“激安酒”は姿を消すことになるだろう。
議員立法の旗を振ってきたのは自民党議員約200人からなる「街の酒屋さんを守る国会議員の会」。会長の田中和徳議員が言う。
「量販店の不当廉売によって競争に疲弊した“町の酒屋さん”がバタバタと倒産や廃業に追い込まれ、自殺者まで出ています。地方の商店街で中核的な役目を果たしてきた酒販店が衰退の一途をたどる現状を、なんとか食い止めなければならないと考えたのです」
■“町の酒屋さん”から流れたカネ
確かに地方は苦境に陥っているし、“町の酒屋さん”が巨大資本のスーパーやコンビニとガチンコ勝負したところで厳しいのは事実だろう。しかし、北朝鮮じゃあるまいし、政府が酒の小売価格にまで口出しするのはいかがなものか。大体、庶民が安い酒を求めて量販店まで足を運んでいるのは、アベノミクスによって家計が苦しくなっているからだ。激安酒がなくなったら、庶民はささやかな楽しみさえ奪われてしまう。
政治評論家の伊藤達美氏がこう言う。
「政治には地方の窮状や弱者を救う義務があると思います。しかし、なぜ“酒屋さん”だけなのか。肉屋だって豆腐屋だって大手スーパーとの安売り競争に苦しんでいます。庶民から反発を買うことを承知で、自民党が議員立法を目指すのは裏がありそうです。票田でありカネづるの“酒屋さん”を守りたいのでしょう」
実際、全国約10万人の酒店主が加盟する「全国小売酒販組合中央会」が母体となっている政治団体「全国小売酒販政治連盟」から、「街の酒屋さんを守る国会議員の会」に所属する議員へ政治献金が流れていることが明らかになっている。
もっともらしい“正論”もカネをもらった上での発言となると、しらじらしく聞こえてしまう。
いやはや、四面楚歌というか、集中砲火というべきか。
ただ、「票田でありカネづるの“酒屋さん”を守りたいのでしょう」というのは本当なのでしょうか?
読売新聞の記事では全国の一般の酒販店さんは5万5000店としていますが、その人たちがそれが理由で自民党に投票するとは思えないし、それほどの票数なのでしょうか?また、献金をたんまり、とも思えません。
また、「肉屋だって豆腐屋だって大手スーパーとの安売り競争に苦しんでいるのだから」というのもちょっと違和感を感じます。
発泡酒などが代表的ですが、他の商品とは違い、原価割れ的な価格で売られているので、さすがにそれは公正取引とは言えないかも。
とは言え、ものすごく理詰めで考えると、わからないことが多い法案であるのも事実です。
何故このタイミングなのか? これで街の酒屋さんが救えるのか?
本当に得をするのは誰なのか?
なるほど!Eureka!です。
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