4年前の洛南高校時代に、10秒01を出して以来、いつ9秒台に突入するのかと期待されてきた桐生祥秀選手(東洋大)が、今日のインカレで遂に日本人初の9秒台をマークしました。速報では9秒99で、反対に転べば10秒00で、1998年に伊東浩司選手が出した日本記録タイでしたが、良い方に転び9秒98でした。追い風も1.8mでセーフでした(追い風参考では桐生選手はじめ何人かが9秒台に突入していますからね)。
私の若い頃は、同郷・同世代の不破弘樹選手の10秒33くらいが日本記録でした。その前と言ったら、もう伝説となっている飯島秀雄選手というくらい、日本のスプリントの歩みは遅々として進みませんでした。1998年に伊東浩司選手が9秒台にあと一歩に迫った時も、朝原選手など選手層も厚くなりつつありましたが、コンスタントに好記録を出すには至らず、9秒台も間近という機運はありませんでしたね。
それが4年前、高校生の桐生選手が登場して一気に9秒台突入の機運が高まったわけです。それに山縣亮太というライバルもいたため、ますます期待は高まりました。ところが、この4年間、いつかいつかと言われながら、ケガがあったりもして、足踏みをしてきました。
そして、その間にケンブリッジ飛鳥、サニブラウン、多田修平と、9秒台を狙うライバルが次々と登場し、先日の世界選手権では何と桐生選手が100m代表の座を失うという事態となりました。この4年間、常に日本のトップとして、期待を背負ってきた立場として、その悔しさはいかほどであったか。
それを世界陸上のリレーで悔しさを晴らして迎えた今大会で、堂々の9秒台突入です。
こうした記録というのは、一度壁を越えると堰を切ったように後が続くことがあります。今日の試合で2位となった多田修平も10秒07をマークしましたし、急成長中のサニブラウンも9秒台は近いと思います。
日本のスプリント界も楽しみになってきましたね!