八王子片倉にかつて「片倉城」があった丘を公園として整備した「片倉城跡公園」はある。その北側斜面には残る雑木林を縫うように散策路が造られている。斜面林の北は湿地となり「湯殿川」が流れている。この雑木林に「カタクリ」の群生地があり知る人ぞ知る「カタクリ」の名所である。当園に桜が咲くころ、3月末から4月初にかけて北側の斜面林には薄紫色の可憐な花姿で群生して咲き誇る。「カタクリ」はユリ科カタクリ属の植物で片栗粉の原料としても知られる。昔はカタクリではなく「堅香子(かたかご)」と呼ばれていた。堅香子という名前の由来はカタクリの花が傾いた「かご」のように見えるからだという説がある。当園のカタクリは自生しているものと他から移植されたものもあり数万株はあると思われる。自然の残る公園に溶け込んで良い風情を見せる。このあたりには昔からカタクリが多く自生しており「片倉」という地名は「かたくり」が転じたという説もあるほどである。カタクリの花は「春の妖精」、「スプリング・エフェメラル」とも呼ばれる。その可憐な姿は春の数日間だけそっと現れ初夏には緑の中に紛れてそっと消えてしまう姿はまさに「妖精」と言われる所以。ピンク、薄紫色でほっそりとした花弁に特徴があり、1株に1つだけ下向きの花をつける何とも言えない、儚い美しさに魅せられ花好きな人や花写真が趣味の人にはこの時季欠かせない被写体となる花である。






